15年ぶり新作リリースを発表したDASEIN オフィシャルインタビュー
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DASEIN
君はDASEINを知っているか!? 今年のハロウィン時期に、「きゃりっきーぷにゅぷにゅ」と名乗り、きゃりーぱみゅぱみゅの仮装をして話題になったかと思えば、音楽舞台劇『Sing Equally under the Sky-DIVISION-』では役者/シンガーとして殺陣を交えたクールな姿を見せたりと、多方面で異彩を放ち続けるボーカリストRicky、要塞のようなドラムセットを駆使し、歌モノにはあり得ない手数とスピードで狂気のごとく叩きまくるハイパードラマーJOEによるドラムとボーカルの二人組ユニット、それがDASEINだ。
"HYPER BEAT ROCK"を掲げ2000年に誕生、天下のavexから鳴り物入り(!?)で2001年元旦にメジャーデビュー。2004年1月の解散時までに11枚のシングルと2枚のアルバムを発売。6年間の沈黙のもと、結成10周年に当たる2010年に復活。その後、期間を空けながらも4枚のシングルを発売。現在Rickyは自立した新しいスタイルのソロアーティストを目指し“HYPER NEO SOLOIST(ハイパーネオソロイスト)”として、ソロ/RIDER CHIPS/R*A*P(一時期はTHE MICRO HEAD 4N'Sのメンバーとしても活動)など様々な表現スタイルで歌い続けている。JOEもthe CYCLE/ELLEGUNS/DAIDA LAIDA/Dufuとしての活動を軸に様々なバンドのサポートドラマーとして活躍し続けているように、二人とも音楽業界から引く手あまたな売れっ子ミュージシャンとして忙しく活動している。
互いのスケジュールの都合もあり、これまで二人ともDASEINとしての活動を中心軸に据えるのは難しい環境でもあった。それもあって、復活時以降DASEINが不定期ながらも活動していることに気づかない人たちも正直多かっただろう。でもそれは、「互いに時を待っていたから」だった。DASEINは本格的な再始動の時のため、ずっとアイドリングしながらエンジンを温め続けていたのだ。そして2017年、ついに完全復活の狼煙が上がるのだ。「新生DASEIN、未来の幕開け!!」と。
DASEINは新たなページの始まりを記すため、来年3月に15年ぶりとなる3rdアルバム『唯、此処に在る事が愛しくて』を発売する。しかも、そのアルバムを手に全6ヶ所計11公演に及ぶ全国ワンマンツアー「FEATURE≒FUTURE~今、此処に在ることが愛しくて~」をスタートさせる。これから新章に突入するDASEIN。彼らの最新の言葉をここにお届けしよう。
――DASEINは2010年に復活を果たしました。復活後こそ活発に動いていましたが、以降は散発的な動きを示すことが多かった印象を感じています。
JOE:確かに2010年にDASEINを復活して以降お互いの活動も忙しく、それぞれ自分の活動の中に於いてのDASEINの位置づけが難しく、そこまで活発的な活動ではなかったですね。今回の活動に至るまでにも、いろんな試行錯誤があったのは事実。それもすべては“DASEINとしてこういう姿勢を持って突き進んでいきます”という明確な指針を二人の中に描き出すまでに至らなかったからなんです。それがようやく……。
Ricky:とあることをきっかけに、互いの中にこれからに於けるDASEINの活動の位置づけを明確に出来たというか、明確にすべき時が訪れた形なんです。
――そもそも何故解散という道を選び、ふたたび復活することになったのか。改めて教えていただいても良いでしょうか?
JOE:DASEINは“HYPER BEAT ROCK”という独自の音楽スタイルを追求していましたが、時が経つにつれ、次第にそのスタイルに対して異なる意識を抱くようになりだした。僕はよりハードに、Rickyはよりポップスにという意識が強くなっていったような気がします。2人がDASEINに求める音楽性のバランスが保てなくり、それなら一度袂を分かとうと。結果的に僕らDASEINは解散という道を選び、RickyはR*A*Pとして、僕はふたたびSEX MACHINEGUNSのドラマーとして活動を始めることになったわけなんです。
――お互い、畑違いな環境から集まった関係でしたよね。
JOE:そうなんです。僕自身SEX MACHINEGUNSでドラムを叩いていたように、育ちがハードロックやヘヴィメタルな世界でした。片やRickyは、ポップスやシャンソンなどマイルドな音楽性を軸に活動をしていた。そんな二人に当時から共通してあったのがトランスやテクノというスタイルであり、それらを用いてロックしたいなという意識でした。それをすり合わせて形にしたのが、DASEINが追求しているHYPER BEAT ROCKというスタイルなんです。結成当初からお互いDASEINで一旗あげてやろうという気合というか熱意は相当ありましたし、音楽に対してもドラムとボーカルという特性を生かして、他にはない音楽性や世界観を打ち出してやろうという気持ちでした。そんな欲求を積み重ねていく中、さらに一つ高いレベルに上がっていくうえで壁にぶつかったというか、互いの納得の行く形で出す答えにすれ違いが生まれてしまった。お互い妥協は絶対にしたくない性格。DASEINがさらに上へ進んでいくためには一度時間を置いて寝かせるべきだったことから、互いに離れる時間を持った形でした。ただし当時は沢山の関係者も関わっていましたので、表向き解散という言葉を使わざるを得ない状態だったと、今は冷静に受け止めています。
僕らの中では、復活までの日々のことを「空白の6年間」と呼んでるんですけど、実際はね…。
――互いに、ふたたびDASEINとしての活動を行おうという時期を模索していたのでしょうか?
JOE:DASEIN解散後、SEX MACHINDGUNS活動休止をきっかけに僕は、当時所属していた事務所を離れ新たな活動をスタート。でもRickyは、それから何年かは事務所に残りR*A*PやRIDER CHIPSとして忙しく活動をしていたので、互いにDASEINとして活動を行うには難しい環境に身を置いていたのも事実でしたね。
Ricky:僕らの中では、復活までの日々のことを「空白の6年間」と呼んでるんですけど、実際はね……。
JOE:解散した後も毎年のように、年に何回かは会って互いの近況話はしていたんですよ。やはりDASEINの話になれば、お互い心の中では“ふたたびDASEINを演りたい”と想いながらも具体的に“こうしていこう”という話が出ることもなく、なんとなく定期的に会い続けていた形でした。
――それが、どういうきっかけから復活へと繋がったのでしょうか?
JOE:世の中にはタイミングというものがありまして。それが2010年を前にして起きたこと。
Ricky:当時僕が所属していた事務所の社長に、「2010年はDASEINが結成してから10周年に当たる年だし、音源制作やツアーのサポートも行うからDASEINとして10周年の活動をやらないか?」というお話を頂きました。お互いの気持ちの中に“DASEINをもう一度やってみたい”という意識があったからなんでしょうね、その言葉が後押しとなり、復活ライブをやったわけなんです。
――それ以降、沈黙が多いながらも活動を停止することなく続けてきたわけですよね。
JOE:結果的にそうなりますが、あの頃はお互いにDASEINの先の展開まで考える余裕はなかったんですよ。
Ricky:復活第一弾としてリリースした『真夜中のエレジー』というシングルも、解散前からDASEINの中にストックしてあった楽曲だったし、書き下ろし曲を作る気持ちも余裕も復活当時はなかったと思いますね。
JOE:ただ、お互いに復活したDASEINの活動を止めたくはなかった。当時僕は事務所を辞めていましたが、Rickyはまだその事務所に所属している状況だったので、DASEINはやりたいけど、どこかで気持ちがついていかなったところがあって。でもDASEINのライブをやる度にバンドコンセプトでもある「存在していれば可能性は無限に広がる」という想いにさせてもらえたし、DASEINを必要としてくれるファンも沢山いて、これはどんな形でも続けていこうと。それくらい僕にとってDASEINは、存在していることに価値のあるものになっていたんです。
Ricky:それは僕も感じていたこと。復活以降も一緒に活動はしているんだけどお互いの気持ちが見えていない状態でした。それでもなんとかタイミングを見計らっては作品をリリースしたり定期的にライブ活動を行ってはいて…そんな僕らが本気で向き合えたきっかけが、2013年の僕の事務所独立でした。そこからは霧が晴れたようにお互いの想いが通い合って、さあここから本格的に新しいDASEINを作ろうという意識のもと、新生DASEINを打ち出す起爆剤として新しいアルバム作りを考え始めました。ただ、あまりに力が入ってしまい、新しいDASEINの曲調や世界観を考えれば考えるほどどれが正しいのかわからなくなって、なかなか制作面で歩を進めることが難しかった。そんなときにJOEが、「解散前にプリプロまでしたものの、表に出せずストックしている楽曲がたくさんあるじゃない!しかも、今聴いても全然古くないし、これを今のDASEINで形にして、あの当時解散によって「お蔵入り」してしまった作品たちを新作として届けよう」と言ってくれた。そこからギアをシフトチェンジし、本格的な再始動のためのレールへと繋がったわけです。
当時の自分たちの核となるべき方向性を持った曲たちが、解散したことで陽の目を見ることなくいっぱい手元に残っていた。
――そんな流れがあったんですね。
JOE:僕のDASEINに対する思い入れはすごく強いものがある。メジャーで活動していた当時は、いろんな人たちの意見を取り入れなければいけなかったし、時に自分たちの意志が届かないこともありました。それこそ新曲が生まれるたびに「次のシングルはこれでいきたい!」と言っても、自分らが強く押したのとは異なる楽曲が選ばれることもありました。もちろんどれも自分たちで作り上げた楽曲なので思い入れは強いんですけど。そんな環境もあって、自分達は押していたけど結果的にボツになってしまった良曲たちが、解散したことで陽の目を見ることなくいっぱい手元に残っていたんですね。だからこそ“これらをDASEINの音楽を好きな人たちに聴かせなきゃ悲しすぎるだろう”と思い、Rickyに先のような提案をしたわけなんです。実際、復活してからリリースしたシングル表題曲はどれも、その頃にストックしてあった曲たち。今聴いてもぜんぜん古さを感じさせないどころか“これぞDASEIN”という核となるべき歌ばかり。だからこそまずはそれを形にして届けたかったんですよ。
Ricky:今回は楽曲のアレンジのほとんどを、Rickyのソロ活動でもサポートしてくれているギタリストの巧氏にお願いをしているんだけど、彼が昔のDASEINらしさをしっかり踏襲したうえで今の時代にも映えるサウンドにアレンジしてくれたので、昔から応援してくれている人たちにも、「あの頃のDASEINだ」という感覚を味わってもらえると思うし、懐かしくも新しいDASEINの王道的アルバムに仕上がるんじゃないかな。
――3月8日に発売を予定している3rdアルバム『唯、此処に在る事が愛しくて』が新生DASEINの新章の幕開けになります。ただし、お互いにDASEIN一本に絞るわけではなく、変わらずに個々の活動も平行し続けていくんですよね。
Ricky:そうです。僕で言うならRicky名義でのソロ活動やRIDER CHIPSなどをやりつつDASEINとしての活動のバランスを取りながらで、JOEも今やっているバンドやいろんなアーティストのサポートも続けたうえでDASEINとして活動していく。そのスタンスはこれまでと変わらないです。ただ、意識面では大きく違ってきている。
――そこ、教えてください。
Ricky:お互い、すべての活動の原点にあるのはDASEINなんですよ。DASEINとしての活動を活性化させることで他の活動も相乗効果で活性化させていければと。だからこそ改めて自分たちの原点であるDASEINとしての在り方をしっかりと突き詰めていこうと思ったんです。そんな想いを来年からできる限り表現していきたいと思っています。
JOE:DASEINとして先へ進むための…新たな始まりを告げるためのけじめをつけるのが、春からの活動になります。
Ricky:3rdアルバムの『唯、此処に在る事が愛しくて』は、僕らの中では復活後の活動を集約しつつ、DASEINの歴史が止まる前にすでに生まれていた曲たちをまとめあげた幻のベスト盤みたいな感覚なんです。別の言い方をするなら、「もしDASEINが解散していなかったら次に出すはずだったアルバムを、15年の時を経て2017年にリリースする。最近作った新曲も加えてるとはいえ、実質内容は究極(旧曲)の新曲ばかり。それが面白いじゃないですか。収録曲の『運命AUTOMATIC』では、「二人の運命は途切れることなく繋がっていたんだ」という、ここへ至るまでの想いを綴っています。
――アルバム『唯、此処に在る事が愛しくて』を手に6ヶ所全11公演を行う全国ツアーには「FEATURE≒FUTURE~今、此処に在ることが愛しくて~」と名付けました。ここにも意味を隠し持っているそうですね。
Ricky:“未来をフィーチャーする”つまり、昔見るはずだった未来とこれから訪れる未来を同時に観るという感覚ですね。ある意味パラレルワールド的な。きっと解散していなかったら今回のようなアルバムを引っ提げたツアーになっていたかもしれないと。あの頃に観るはずだった未来に限りなく近い未来、≒(ニアリーイコール)という記号にはそんな意味が込められていて、来年僕らはやっと過去の未来に追いつくんです。その未来を解散から13年経った2017年にファンと一緒に体感し共有し取り戻すツアー……もはやバックトゥザフューチャーですね!
JOE:3月発売のアルバムタイトルに『唯、此処に在る事が愛しくて』と名付けたように、この作品や春に行うライブツアーは、“今、此処にDASEINが存在している事が愛おしい”という想いを伝える内容になると思うし、解散から13年、あの時の未来の続きと、現代の未来を同時に体感できる、そんな不思議な空間になると思いますので、ぜひ“あの頃のDASEINの未来”へ一緒に向かいましょう。まさにBACK TO THE FUTURE的な!
Ricky:それ…僕がさっき言ったよ(笑)。
取材・文=長澤智典
2017年3月8日発売
<収録曲>
「唯、此処に在る事が愛しくて」「運命AUTOMATIC」…他,曲数未定
詳細後日発表
[FEATURE≒FUTURE]ー今、此処に在る事が愛しくてー
2017年3月11日(土) 西川口Hearts
2017年3月12日(日) 西川口Hearts
2017年4月01日(土) 長崎プラザおおむら
2017年4月02日(日) 長崎プラザおおむら
2017年4月15日(土)大阪RUIDO
2017年4月16日(日) 名古屋HeartLand
2017年4月22日(土)柏PALOOZA
2017年4月23日(日)横浜Baysis
2017年4月29日(土)仙台MACANA
2017年4月30日(日)仙台MACANA
TOUR FINAL
2017年5月13日(土)新宿ReNY