こんな日本アーティストがパリで活躍中 【第1回】

2015.8.30
インタビュー
アート

パリで活躍中の日本アーティスト「刺繍作家 関元聡」


新しくスタートしたこのコラム連載では、パリで活躍中の日本人アーティストの方々をインタビューで紹介していきます。

【今回のアーティストのプロフィール】
 刺繍作家 関元聡さん(33)

パリの有名刺繍アトリエにて、シャネルをはじめとするブランドのオートクチュール刺繍を手がける。今年2015年、日本人として初めて刺繍部門でMOF(Meilleur Ouvrier de France)授与される。


世界へモードを発信し続けるパリコレ。実はこの華やかな世界を影ながらささえる数々の職人たちの中に、日本人がいることをご存知でしょうか?

今回ご紹介するのはそんな日本人の1人、刺繍作家の関元聡さんです。

広島県出身の関元さんは、学生時代ファッションの専門学校で服飾の基礎を学び、その際に出会ったフランス刺繍を本場のパリで学ぶため2004年に来仏。刺繍学校ルサージュで刺繍を学んだ後、オートクチュール刺繍を手がけるアトリエで現在も刺繍作家として活躍中です。今回MOFを授与されて間もない関元さんにお話を伺ってきました。

 

ーーMOFの授与、おめでとうございます! とても名誉なことだと思うのですが、日本ではまだまだ知られていないMOFについてちょっと紹介していただけますか?

関元:MOFというのは日本語に直訳すると、「フランスの最優秀職人」となるわけですが、フランスが伝統工芸技術を守るため4年に一度行われるコンクールに参加し、審査に選ばれた職人だけが与えられるものです。

お菓子や料理の世界ではよく受賞者たちが衿にMOFのマーク(フランス国旗)がついた制服を着てメディアに出演して目立っていますが、料理以外のファッション、家具等々、あらゆるジャンルの職人が挑戦できるコンクールなんですよ。(2015年のMOFオートクチュール刺繍部門では、 数多くの参加者の中から、関元さんともう1人の職人だけが選ばれた。日本人初の快挙!)

ーーコンクールに参加するだけでも大変だと聞きました。受賞までにどんな苦労がありましたか?

関元:日本でいう「職人」というと、ひたすら技を磨いていくイメージがありますが、フランスの職人というのは技術だけでなく、アーティストとしての創造性を求められることを改めて強く感じました。

審査に必要な作品作りは、与えられたテーマについて歴史をリサーチすることから始め、かなりの制限の中でも「どうしてこの作品のここは、この素材で、このデザインなのか」等々、全て自分の解釈をひとつひとつ練って解説できなければいけないんです。ただ美しい、だけでなく職人も哲学をもつことを求められるんですよ。


関元さんの作品。テーマは「インド」。華やかさだけでなく、刺繍の緻密さに目がくらみそうです。

 

ーーこれからの活動予定を教えてください。

関元:MOFを授与できたことは名誉なことですが、まだまだ刺繍について学ぶことはたくさんあります。今後は職人としてだけでなく、作家として、オリジナルな刺繍作品を世に生み出せるようになりたいですね。

フランスの職人は、アーティストであり、哲学者でもある。

パリという街にいまでも伝統文化が生き続け、世界から愛される場所である理由は、関元さんのような人の存在あってこそだということを実感するインタビューでした。

 

次回以降もお楽しみに。