冒険を彩る名曲の数々に『テイルズ』ファンは一時の夢を見るか? 「テイルズ オブ オーケストラコンサート 2016」レポ
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『テイルズ オブ』シリーズの名曲がオーケストラで再びよみがえ
2016年11月30日(水)、東京国際フォーラム・ホールAにて、『テイルズ オブ』シリーズ最新作「テイルズ オブ ベルセリア」の発売を記念した「テイルズ オブ オーケストラコンサート 2016」が開催されました。
「テイルズ オブ ベルセリア」の世界を彩ってきた楽曲を中心に、印象的な曲、オーケストラ演奏で是非ファンの皆様に聴いて欲しいという曲を厳選し、一部タイトルのテーマソングもフルオーケストラ用にアレンジ。昨年同様、指揮者は栗田博文さん、演奏は東京フィルハーモニー交響楽団です。名門指揮者/名楽団による贅沢な演奏が繰り広げられたコンサートをレポートします!
東京フィルハーモニー交響楽団による贅沢な演奏
『テイルズ オブ』シリーズの原点ともいえる1作目「テイルズ オブ ファンタジア」のテーマソング「夢は終わらない ~こぼれ落ちる時の雫~」からコンサートは開演しました。ここから「テイルズ オブ ベルセリア」の旅が始まっていきます。
アルトリウスが統治し繁栄を極めた王都ローグレスの曲「The brilliant capital」、ベルベットの故郷の曲「Nostalgic home town」、神秘的なダンジョン曲「The underwater ruins of Amenochi」、最後のダンジョン曲であり戦闘曲でもある「The way of the embodied dragon」。ステージのバックスクリーンに流れるゲームの映像と共に、その世界へと誘っていきます。美しいコーラスが荘厳さをより際立たせていました。
ここで一人目のゲスト、『テイルズ オブ』シリーズの音楽を手掛けている作曲家・桜庭 統さんが登場。「テイルズ オブ ベルセリア」の作曲について問われると「ストーリーに関しては、最初のうちは暗いなという印象だったんですが、音楽全体も暗くなってしまうのもどうかなという気がしたので、演奏していただいた1曲目(「The brilliant capital」)のように、華やかなところと(暗いところの)差をつけるようにしました」と桜庭さん。
最新作のキャラクターで一番印象強いのは「ベルベット」。「強いけど弱い部分も合わせ持っている」「何かを背負っている」、反対に「(「ゼスティリア」主人公の)スレイは誠実でちょっと天然が入っていて、元気」と語り、その2人のテーマソングを含めた次のブロックへ。
「テイルズ オブ ベルセリア」バトルメドレー(「Shout your soul」「Burn your soul & fly」「The awakened soul within the sky」)、「スレイのテーマ ~導師~」、「Theme of Velvet」。そのどれもが素晴らしい演奏でしたが、なかでも「Theme of Velvet」は、ベルベットの心の機微までがダイレクトに伝わってくる熱演で、観客の心をグッと引き込んでいったように感じました。
後半ブロックは夢のコラボレーションから!
20分間の休憩をはさんだ後半ブロックは、ゲストのFLOWから。東京フィルハーモニー交響楽団の前に登場し(ベースは左、ドラムは右手に)、まずは「テイルズ オブ ベルセリア」のテーマソング「BURN」を。
力強いツインヴォーカルとバンドサウンド、壮大なオーケストラとの融合というフレッシュなアレンジで、会場の雰囲気をガラりと変えていきます。「(次の曲の)冒頭のウォーウォーウォーを歌っていいんですよ! むしろ歌いませんか!」と、百戦錬磨の彼らならではのアジテートで、TVアニメ「テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス」のオープニング主題歌「風ノ唄」へ。大きなシンガロングとハンズクラップを巻き起こしました。
演奏を終え、改めてコラボレーションの感想を聞かれると「テイルズファンの皆さんとこんな貴重な体験を楽しめたことが、ありがたい経験」(KEIGO)と喜びを噛み締めたFLOW。アレンジにもこだわったと語り、フルオーケストラアレンジャーと音のやり取りを重ねたといいます。「オリジナルとはまったく別の「BURN」と「風ノ唄」を皆さんと聴けたことを非常に感謝しております」(TAKE)。
と、ここで最新情報が発表されました。「テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス」第二期が2017年1月からスタートすること(!)、オープニング主題歌をMinamiさん、エンディング主題歌をFLOWが担当することなどが続々と伝えられ、客席から歓声と拍手が! そして第二期の初出し映像と共に新曲「INNOSENSE」が流れ、期待に満ちた歓喜の声が沸きあがりました。
FLOWがバックステージに戻ると、今度は『テイルズ オブ』シリーズの音楽を手掛ける作曲家、椎名豪さんが登場。大きな拍手にて歓迎されました。続いて行われる「テイルズ オブ ゼスティリア」試練神殿メドレーの再演について聞かれると「この空間が遺跡的な空間となって……ここで演奏されている音楽を聴けることは最高の至福かなと思っています。この場所がダンジョンだと思っていただければ新しい発見ができるのではないんじゃないかな」とコメント。
そして「テイルズ オブ ゼスティリア」試練神殿メドレーへ。白いドレスを見にまとった女性ヴォーカルと、アコースティックギターがフィーチャーされた演奏に観客がじっと聴き入ります。そんななか、先ほどのMC時に椎名さんが「水の神殿に出てくる恐怖の……目玉のようなモノがあって、それを見ると入口に戻ってしまうんですけど、自分のなかで畑のカラス除けを思い出して。俺、前世カラスだったんじゃないかなって思ったことがあった」と笑いを交えながら伝えていたシーンが何度も映し出され、ユーザーから笑みがこぼれる場面も(笑)。
ゲームの思い出を共有しながら、音楽の旅を楽しむ。まさに至福の時でした。続いて披露された「Rising Up」では、外国人女性ヴォーカルが登場。パワフルな生の歌声で力強い曲をさらに印象付けました。
プログラムのラストを飾ったのは「テイルズ オブ ベルセリア」より「Battle between one and all」「Eternal dream」。興奮冷めやらない客席から、本編終了後も絶えず拍手が贈られました。
アンコールではなんと「あの」曲が!
和やかなムードからはじまったアンコール。「ねこにんの里にごしょうた~い♪」という掛け声と共にスクリーンに愛らしいねこにんが現れ、「ねこにん道」からスタート。観客はもちろん、オーケストラの皆さん、指揮者の栗田さんもこれにはノリノリの様子で、観客を指揮して盛り上げる場面もありました。
さらに「テイルズ オブ エターニア」より「flying」を熱演。演奏を終えると、指揮者の栗田さんは、コンマスと握手し一度袖に戻ります。……が、客席に向かってひょこっと顔をのぞかせ、迫力の指揮とは真逆のそのチャーミングな姿に客席から笑いが起きました。
そして栗田さんは再びステージに。指揮棒を振ると、ピアノの音色が鳴り響き、ピンときたファンから「わぁ……!」と声が上がります。ラストを飾ったのは、なんと「テイルズ オブ デスティニー」のテーマソング「夢であるように」。「夢は終わらない」から始まり、「夢であるように」で幕を閉じる夢のようなひと時。感動的なフィナーレで、『テイルズ オブ』シリーズファンに深い余韻を与えました。
[取材・文/逆井マリ]
>>『テイルズ オブ ベルセリア』公式サイト
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