有村竜太朗(Plastic Tree)×小林祐介(THE NOVEMBERS)×波多野裕文(People In The Box) ユーモラスな共通点と名作誕生の裏側

2017.1.11
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音楽

L⇒R:波多野、有村竜太朗、小林祐介 撮影=上山陽介

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キャリア初のソロアルバム『個人作品集1996-2013「デも/demo」』をリリースし、ソロツアー『Tour2017「デも/demo」』を1月12日(木)大阪梅田AKASOからスタートするPlastic Treeのボーカル・有村竜太朗の対談企画。第3回目は、有村のミュージシャン仲間であり、今回のソロアルバムでも共に音を制作したTHE NOVEMBERSの小林祐介(Vo&G)とPeople In The Boxの波多野裕文(Vo&G)を迎えて、それぞれの出会いから有村のソロ作にまつわる制作秘話、3人を取り巻くユーモラスな共通点など、ここでしか聞けない話をたっぷりと語ってもらった。

同じ時代に生きてて、曲を作って歌を歌うという同じ仕事をしている人たちのなかでも、こんなに仲良くなれる人はなかなかいない。しかも作品まで一緒に作れたのは、すごく意味のあることだと思う。(有村)

――先ず竜太朗さんの方から、小林さんと波多野さんを動物に例えて紹介していただけますか?

有村:すごい質問からきますねぇ、今日は(笑)。鷲(小林)と鷹(波多野)ですかね。

――お二人とも猛禽類ですね。その心は?

有村:今日の服の色味ですかね。

――あ~、着ている洋服がね。

有村:一応、酉年という干支を考えての回答だから。動物に例えるのは難しいな。じゃあ、僕は何に例えられるんだろう。

――それ聞いてみましょうかね。竜太朗さんを動物に例えるとしたら何だと思いますか?

小林:梟かな。シルエットが。

有村:あ~、そういう曲もありますしね。

波多野:バク、とかですかね。

有村:おっ! 夢を食べるバク。またいい例えをしてもらっちゃったなぁ(微笑)。

小林:バクはモノトーンだし。

波多野:モノトーンで、穏やかな感じなんだけど、夢を食べるという不思議な言い伝えがある幻想的なところが竜太朗さんっぽいかなと。

――では、竜太朗さんがお二人と出会ったきっかけは?

有村:波多野君は、僕がPeople In The Boxを見つけたときに“すごく素敵なバンドだ! みんなに自慢しよう”と思って、仲のいいte’というバンドのhiro君にいったら、hiro君が「それ俺の後輩だよ」って、te’のライブで紹介してくれたんです。そのときに「すごくCD聴いてます」って波多野君にいったら「実は僕もプラ(Plastic Tree)聴いてました」といわれて、ノリも合うなと思ったんで「今度飲みに行きましょう」と誘ったのが始まりで。小林君は『JAPAN JAM』というイベントで「一緒にやりませんか?」と声をかけてもらったのが始まりですね。当時僕はTHE NOVEMBERSというバンド名しか知らなかったので、音源を聴いたら“ヤバい! カッコいいな”と思って。そこにもう一人、dipのヤマジ(カズヒデ)さんという、僕が高校生時代から大好きだった人も加わって。僕、ヤマジさん、小林君、あとはTHE NOVEMBERSのみなさんでお互いの曲だったりMy Bloody Valentineの曲をセッションしたんですけど。僕は嬉しかったんですよね。小林君のように、自分が好きな音楽を受け継いでやってるような人が僕を名指しで呼んでくれたのが。だから、そこから飲みに行くようになって。元々小林君と波多野君は同世代?

小林・波多野:そうですね。

有村:それで一緒に飲んだりして、いまはこんな感じです(微笑)。

――まず竜太朗さんはPeopleを聴いて、どこがいいなと思ったんですか?

有村:全部としかいいようがないんですけど。これは勝手な僕の思い込みなんですけどね、Peopleを好きになったとき“これは俺が一番の理解者になれるな”ぐらい思ったんです(笑)。人とは(それを)共有できないぐらい、俺はすごい好きだと思って興奮したのを覚えてますね。

――では、波多野さんはPlastic Treeを聴いて、どこがいいなと思ったんでしょうか?

波多野:僕も同じような感じで。中学校の頃、周りに音楽の話をする友達がいなかったなか、当時の唯一の情報源だった雑誌で“見つけた!”という感じで出会いまして。だから、竜太朗さんの話を聞いてグッときました。なんか1周してる感じがして。僕も最初に聴いたときに、曲もそうですし、歌詞もそうですし、パッケージを含めてその世界観すべて自分のために作られたんじゃないかぐらいのフィット感がありまして。だから、竜太朗さんがPeopleを聴いて感じてくれた感覚は、おこがましいですけどすごく自分としても納得がいくんです。“ああ、1周したんだな”って。

有村:ありがとうございます。これ、俺ら鉄板のBL話なんで(笑)。というのは冗談です。

波多野:すごく音楽的な話だと思います。

有村:僕が先にやってたから、それを聴いて、自分が好きなことを追求してたら、出所は同じだから気づいたら逆にこっちがファンになってたというのも、すごく合点のいく話です。

――では、小林さんはなんで竜太朗さんに声をかけられたんですか?

小林:『JAPAN JAM』は他の人とコラボするイベントなので、自分たちが出るとなったとき、他のラインナップを見たら、当時はお祭りっぽいノリだったり、スポーツっぽい感じのコラボが多い印象だったんですね。その中で僕らは綺麗なもの、美しいもの、独特の美意識を1日のイベントの中の“華”みたいなものとして表現できたらいいなと思ったとき、まずdipのヤマジさんが閃いて。その他は誰だろうとみんなと話し合ったなかで“プラの有村さんは?”という話が出て。竜太朗さんの名前が出た瞬間に“それだ!”という空気になったので、全然面識はなかったんですけどダメ元で声をかけたんです。

L⇒R:波多野、有村竜太朗、小林祐介 撮影=上山陽介

――こうして出会ってしまった3人。どんな共通点を持っている3人だと感じていますか?

有村:なんだろうね?

波多野:みんな基本的に真面目だと思います。竜太朗さんはイメージとは裏腹に、最初に話したときに音楽に対する姿勢とかがすごく誠実な人なんだなと思って。ギャップっていったら失礼かもしれないんですけど。

小林:そういう情熱が見えてこないイメージだから、どういう感情を持って音楽に臨んでるのかがなかなか見えにくいと思うんです。ミステリアスな雰囲気故に。

波多野:そういうところは作品でわかりやすく見えるものではないので。

――確かにそうですね。

波多野:でも、根っこにあるとこって、僕ら3人単純に“音楽が好き”という気持ちで。小林くんと竜太朗さんは特に雑念が少ない人たちだなという気がします。

小林:“音楽が好き”というのは、僕も“まさに”と思うところです。他にも挙げるとすれば、僕のいろんな知り合いのなかでも、この2人に共通しているのは“独特のフェミニンな要素”なんですよ。うまく説明できないんですけど、中性的な雰囲気が2人にはあって。けれど、竜太朗さんには意外な男らしい部分もあるんですよ。話し方とか仕草とか、あまり公なイメージにはない男っぽさを垣間見たりするところを持ちつつも、フェミニンなんです。

――竜太朗さんはいかがですか?

有村:僕は“意外と飲める人たちだな”というところですかね。

一同:(笑)。

有村:そこは頼もしい。年齢的には僕が先輩になっちゃうんですけど、この2人に関してはいろんなことを教えてもらうことの方が多いから、先輩、後輩とかあんま意識してなくて。同じ時代に生きてて、曲を作って歌を歌うという同じ仕事をしている人たちのなかでも、こんなに仲良くなれる人なんてなかなかいないと思う。なおかつ、みんな自分のバンドを持ってて、それ以外の活動もしていて。しかも、今回作品まで一緒に作れた。だから、関わり方として一番美しい形でできたと思います。これが単純に“友達です”というだけなら、まあそれだけでも素敵なことなんですけど。出会って作品まで残せたというのはすごく意味あることができたなと思ってますね。

――作品を残せたことに意味があったと。

有村:ええ、めちゃめちゃありました。しかも、何となくお願いしますっていうのではないから。波多野君が必要だから、小林君とやりたいことがあったから呼んだというのだから。そういう考えが自分から湧き上がってきたことも嬉しいし、それを2人が俺と一緒にやってくれたことも嬉しいし。だから、バンドを長くやっててよかったなと思いました。途中でバンド辞めてたから、たぶん出会ってないですから。彼らにも。


僕は一人っ子だったんで、ずっと一人で遊んでたんですね。遊びを自分で開発したりして(笑)。ダンボールがあったら乗り物にするとか。(波多野)
 

有村:俺は中1とかで、バンドでいうとU2とかになるんだろうけど。果たしてそこが原体験なんだろうか……。でも、現実感がないところへと連れてってくれるというところでは、空想家でしたね。子供の頃から。空想ばっかしてたんで。それが中学生の頃に初めて自分の空想を表現できるものが見つかったなと思ったのが、絵を描いたりすることじゃなくて音楽だったというところかな。

波多野:そもそも僕が好きな音楽って、どこかに連れてってくれるようなもので。そういう意味でいえばSOFT BALLETでしたね。それに惹かれるというのは、さっき竜太朗さんがいってたみたいに元々自分が持ってる性質、育った環境の影響が大きいと思うんです。僕は一人っ子だったんで、ずっと一人で遊んでたんですね。遊びを自分で開発したりして(笑)。そういう一人遊びの因子がいつ音楽と結びついて発動されるかということだと思います。

有村:いまの遊びを開発してたという話は興味深いですけど。

波多野:例えば、ダンボールがあったら乗り物にするとか。メーターとかを描いたりして。

有村:やったやった(笑)。俺なりのコックピット作ったりした。俺、ダンボールでサッカーチーム作った。

波多野:それ最高ですね!!

有村:友達いなかったんで『キャプテン翼』読んで、俺もサッカーチーム入りたいと思ったんだけどできなくて。俺なりのサッカーチームをダンボールで作った。

波多野:僕はファミコンを買ってもらえなかったので、ロールプレイングゲームを自分で作りましたよ。モンスター作って、これを倒す最強の武器はこれだって。

小林:ダンジョンをノートに描いたりしてね(笑)。僕は、お城をめっちゃ描いてたなぁ。お城の断面図を書いて、ここに一番強い王様がいてっていう。

有村:そこまで設計してたんだ。

小林:そうそうそう(笑)。

波多野:僕ね、トーナメント表とか作って……。

有村:やったやった!!

波多野:それを勝ち抜いていくのがすごい楽しかったんですよ(笑)。

有村:表は地面に? ダンボールに?

波多野:僕はノートですね。何と戦うとかはなくて、ただただトーナメント表を描くんですよ。シードとかも入れて。でも頭の中には、ここでコイツは淘汰されて、とか物語が流れてるんです。その頃、きっと『(週刊少年)ジャンプ』を読みすぎてたんでしょうね(笑)。

有村:確かに。俺も一人遊びはよくしてたな。化石とか一人で掘ってたもん(笑)。みんなと同じように恐竜にハマったんだけど、そこで俺は一緒に話して盛り上がる感じじゃなかったから。

小林:じゃあ化石でも掘ってみるかって(笑)。

有村:自分なりの恐竜みたいなものを見つけたいなと思って、ちょうど俺の家と学校の間に山があったんで、1年間その山を掘り続けた。

小林:化石が出るんじゃないかと。

有村:そうしたらどんどんどんどん穴がデカくなって。子供1人入れるぐらいまでスコップで掘ったんですよ。俺1人だけで。でも、何一つ出てこなかったけど。

一同:(笑)。

小林:僕が異世界に触れた原体験はアニメとか漫画だった気がします。『幽遊白書』とか『超時空要塞マクロス』とかの宇宙もの、『BLUE SEED』や『新世紀エヴァンゲリオン』。そういったもので、自分には理解が及ばない常識とかキャラクター、こんな世界があるのかという、普段ともだちとかと遊んでるだけでは味わえない異世界を知った気がしますね。

L⇒R:波多野、有村竜太朗、小林祐介 撮影=上山陽介

集めてもらった甲斐があるものができたと思います。竜太朗さんに向けて自分はこういう音を出す。それが作品に結実したことが、あの名盤を生んだ要因じゃないかな。(小林)

――いろいろユニークなエピソードが聞けたところで、ここからはコラボした作品の制作秘話を聞けたらなと思うんですが。まずは小林さんとコラボした「浮融」。こちらの作業はどんなところから始まったんですか?

小林:まず竜太朗さんからスタジオのデモを頂きまして。“これでギターを弾いてほしい”ということで、シューゲイザーという言葉を含めたヒントをもらいまして。レコーディングではどこまでいっていいのか、やっていいのかはお任せだったので、まず弾いてみて。“どうですか?”と竜太朗さんに聞いたら“いいと思う”といわれたんですよ。僕の中では、自分がギタリストとしてプロジェクトに参加すると“そこまでやらなくてもいい”というのがどのプロジェクトでも必ず起こるんです(微笑)。THE NOVEMBERSを聴いて“小林君のギターを”という形でオファーがきたとしても、いつものをそのまんまやると“そこまでやられちゃうと困る”みたいな感じで(笑)。

有村:それ、分かりやすい。どういういわれ方をしたのか想像がつくよ(笑)。

小林:それで“こういうのはどう?”っていうことで、どんどんシンプルになって、洗練された形で参加することが多いんです。でも、竜太朗さんの場合は丸ごと僕がやった音を受け入れてくれるプロジェクトだった。だから、僕は“いいと思う”と竜太朗さんにいわれて“えっ!? いいのか”と驚いて。こんなに自由を感じた現場はTHE NOVEMBERS以外は初めてでした。だから、コラボレーションといいながらも、そのまままの自分を受け入れてくれて、僕の良さを引き出してもらうような場所を作ってもらったレコーディングだったので、すごく楽しかったです。自分がルールの現場だったら好きなことができるけど、他の人がルールで、竜太朗さんの美意識とか価値基準がある世界で自分が大暴れできたのは、竜太朗さんの懐の深さ、広さを感じられた瞬間でもありましたね。だから、本当に関われて幸せでした。あと、2曲目というところも嬉しかったです。1曲目のSEが終わった後に「浮融」っていうのが。

波多野:エンジンかかる感じでいいですよね。

――竜太朗さんも最初からここまでシューゲイザーに振り切ったギターを小林さんには求めていた。

有村:小林君も、それ以外のメンバーもなんですけど、自分が望んでた以上のことをやってくれた感じなので、僕も楽しかったんですよ。小林君がレコーディングしてるとき、実は他のメンバーも、波多野君もいて。すごくスタジオ内もいい雰囲気で楽しくて。

小林:軽井沢みたいでしたもんね?

有村:そうそう(微笑)。合宿スタジオにいるバンドマンたちみたいな感じで、和やかな雰囲気で。小林君が弾いてるのを波多野君と“おぉー! これがシューゲイザーか”“気持ちいー!”って。

一同:(笑)。

有村:“じゃあ次は自分の番ですね”と波多野君がいってレコーディングが始まったら“うぉ~、カッケー!”って。動画を撮っとけばよかったなと思うぐらい、すごくスタジオ内の雰囲気がよかったんです。みんなが帰った後に“じゃあ俺のギター録るか”ってなったらカポ(カポタスト=ギターなど弦楽器用の補助器具)がないってことになり(笑)。エンジニアさんとカポを探してたら1時間半ぐらい過ぎちゃったり。みんながいなくなった後も、そんなしょうもないことでも笑ってしまうぐらい、あの日はいいスタジオだったんです。レコーディングであんなに楽しい日はないですね、なかなか。本当はね、小林君と波多野君が録るすっごい大事な、緊張感を持ってやらなければという1日だったんですけど、すっごいワクワクで。

波多野:まさにそんな1日だったと思います。

有村:“何ができるだろう”っていうワクワクしかなくて。絶対あんな感じ、なかなかないよね?

小林・波多野:ないですね。

有村:“何ができるだろう”という根拠のない自信と期待感しかなかったですからね。

波多野:あの日のスタジオはレコーディングの緊張感よりも“楽しさ”が勝ってて。“何かが生まれてるな”というのを感じました。楽しいんだけどノリでやってるんじゃなくて、みんなが腹をくくってやってる。そんなブースト感がありましたね。いまでも竜太朗さんがいないとき、小林君と話をしたりするんですけど。

小林:この間も話したね?

波多野:そう。“あんな現場はなかなかないよね”って。

有村:へ~(微笑)。

波多野:お互い同じ曲をやった訳ではないけど、作品として聴いたときに、これは竜太朗さんがどこまで意識してやっているのかは僕には分からないですけど。このメンバーを集めてここに放流したらいいものができるに決まってるだろ、というやり方だったんです。だから、好きに泳がせるんですよ。僕らを。

小林:そうだね。だから、集めてもらった甲斐があるものができたと思います。コントロールするって、あれこれ指示することじゃなくて、出てきたものをどう自分がデザインしていくかという態度だと思うんです。一つあの現場に約束があったとすれば、竜太朗さんが真ん中にいるということだけ。竜太朗さんに向けて自分はこういう音を出す。それが作品に結実したという感じが、あの名盤を生んだ要因じゃないかなと思います。

竜太朗:ありがとうございます(照笑)。

波多野:僕や小林君のように元からビジョンを持ってる人って、本来は使い辛いと思うんですね。でも、僕はそれをまったく曲げることなくやれたから嬉しかったし。だからこそ、自分はあそこの現場にいられたんだなと後から思いました。竜太朗さんとこれまで接してきて、自分のビジョンが(竜太朗さんと)食い違う訳がないという自信が、たぶん僕にも竜太朗さんにもどこかにありましたよね?

有村:うんうん。

――つまり、絶対にこの人たちとなら自分の思っているビジョンを共有できてて、いいものが作れるという人選だった訳ですね?

有村:関わってくれた人、全部そうですかね。それでも、人間的な部分って実は大きいと思うんで、そこは散々フェアな関係を作っていって。その中で先輩、後輩ではなく“ミュージシャンとして”っていう話はすごくしてきたし。だから、すべては必然だったなという感じです。どんなにいいものができると思ってても、作ってみないことには分かんないんで。ここまで自分がやってよかったと思えるものができたのは嬉しいですね。

L⇒R:波多野、有村竜太朗、小林祐介 撮影=上山陽介

――では、波多野さんが関わった「恋ト幻」。こちらはどんなところから作業が始まったんですか?

波多野:僕はまずどういう形で作品に関わるかというのを厳密には決めずに取り掛かったのですが、竜太朗さんにデモをもらったときにその曲がすでに良い曲として完成されていたので、あえてメロディーと歌詞は一切、手をつけず、それ以外を自分が全部作るという形を取ることにしました。そのときは、竜太朗さんがあまりにもテクノロジーと無縁すぎてですね(笑)。

有村:分かんないんですよね~(苦笑)。データのやりとりとかできないんで。

波多野:竜太朗さんがエンジニアさんに音を送るとき、PCから流れてくる音を携帯のボイスメモで録って送ったという話が衝撃的すぎて。

一同:(笑)。

波多野:データのやりとりができないので、仮歌を僕が歌ってたんですよ。それで、歌録りの現場にお邪魔させてもらったときに初めて竜太朗さんの歌でその曲を聴くことになったんですが、声が入ったのを聴いた瞬間にゾクッとしましたね。思い描いてたものが立体になった感じで感動しました。あと、声を出すだけでこんなにすごいのかと。いちボーカリストとしての声の奥行きにただただ驚きました。

小林:この間、会ったときもそれ話したよね。

有村:それは嬉しいですねぇ(照笑)。

波多野:僕がどれだけトラックでやり過ぎたとしても、竜太朗さんの声が負ける訳がないというのは最初から思ってたんで、歌が入ったものを聴いて、それが立証された気がして嬉しかったですね。

有村:でも、僕は逆に波多野君の仮歌が入ったものを楽しんでましたけどね。Peopleファンとして(微笑)。だから、俺の歌が入ったときは……。

小林:自分の曲だけどカバーしてるような感じで(微笑)。

有村:そうそう! なんか、変な感覚でした。波多野君が仮歌で入れてくれたバージョンとか、俺にとっては宝物だから。そういうものができる現場もなかなかないよなと思いました。


――今後もまた、3人でコラボレーションできるといいですね。

有村:こういう機会があれば、僕はまたお願いしたいし。僕も、お二人が何かやるときがあれば呼んでいただければ何かしら参加したいですし。それぞれバンドとしてもPeople In The BoxTHE NOVEMBERSPlastic Treeの3バンドで何かやれたらいいなとも思うし。たぶん、こんなにいい作品が作れるなら、またどこかでやるんじゃないかなと思うんです。具体的なことは分からないですけど。それが音源なのかステージなのかも分からないですけど、何かしら意味のあるものが出せるんじゃないかなと思ってますので。これからもそこは楽しみにして、バンド生活を送りたいと思います。

波多野:こういうのって、決めずに自然に任せることが大切だという考えが僕にはあって。だから、また巡り合わせでいろんなことが起こるんじゃないかなという予感はありますね。

小林:僕も全く一緒で。ただ、僕は自分自身、おこがましい言い方かもしれないですけど、竜太朗さんと一緒にやって美しいものができない訳がないと思ってるので。だから今後も巡り会うたびにいいものが出来上がっていくつもりで、その日を待とうと思います。

取材・文=東條祥恵 撮影=上山陽介


 

【第1回】有村竜太朗Plastic Tree)×志磨遼平(ドレスコーズ)“バンドのフロントマンがやるソロ” を語る
【第2回】有村竜太朗×清春 “唯一の関係”とソロアーティストの魅力

 

THE NOVEMBERS情報
1/13(金)代官山UNIT『BODY -20170113-』 
1/27(金)青山月見ル君想フ『
灰野敬二×THE NOVEMBERS

<メンバープロデュースライブ>
THE NOVEMBERS Yoshiki presents「Modern Covers」

2/12(日) 新代田FEVER
これまで様々なトリビュート作品に参加してきた我々THE NOVEMBERS。ライブでやったことある曲も、やったことない曲もありますが、この日はそれらを全て演奏しようと思います。もちろんそれらの曲に合うようなNOVEMBERSの曲も演奏予定。この日もドレスコードは真っ黒の服は禁止。
よろしくお願い致します。
吉木諒祐(Dr)

THE NOVEMBERS Kengo presents 「ブレイクオンスルーナイト」
2/26(日) 新代田FEVER
勝手な俺の勝手な夜。何をプレイするかは決めない、俺次第。もしくはお前次第。気に入ったやつには「親の仇レモンサワー」を振る舞おう。今夜限りは無礼講だ。
ケンゴマツモト(Gt)

THE NOVEMBERS Takamatsu presents「CLUB L’」
3/12(日) 新代田FEVER
僕が大好きなL’Arc〜en〜Cielに関係する1日にします。まず、L’Arc〜en〜Cielのカヴァーを数曲演奏します。他、セットリストは僕が個人的に思う、「L’Arc〜en〜Cielを感じさせるTHE NOVEMBERSの曲」を選曲します。+僕が作曲に携わった曲を多めに演奏しようかと思っています。更に開演前または開演後、または両方でDJデビューしようかと思っています。勿論、L’Arc〜en〜Cielしかかけません。
高松浩史(Ba)

THE NOVEMBERS Kobayashi presents「Experimental experience」
3/26(日) 新代田FEVER
普段、僕は「THE NOVEMBERS」を前提に自分のやりたいことをやっています。この日、僕は「自分自身のやりたいこと」を前提にTHE NOVEMBERSでそれを表現します。この日限りの特別な演出や演目を含め、特別に過激で美しい夜にします。お好みの花を一輪お持ちください。
小林祐介(Vo/Gt)



◆THE NOVEMBERSオフィシャルサイト http://the-novembers.com/
 

 

People In The Box情報
アルバム『Things Discovered』
2017年1月18日発売
【初回盤】CRCP-40488/89 ¥4,167+税

People In The Box『Things Discovered』初回盤

【通常盤】CRCP-40490/91 ¥3,241+税

People In The Box『Things Discovered』通常盤


<収録曲>
[DISC 1]
01.木洩れ陽、果物、機関車
02.空き地 (New Recording)
03.沈黙 (New Recording)
04.旧市街 (New Recording)
05.maze
06.プレムジーク 9月/東京
07.矛盾の境界
[DISC 2]Remastered Selected Songs2007-2016
01.映画綺譚
02.空は機械仕掛け
03.海はセメント
04.天国のアクシデント
05.翻訳機
06.聖者たち
07.月
09.球体
10.犬猫芝居
11.はじまりの国
12.Alice

空から降ってくる vol.9 ~劇場編~
1/27(金)めぐろパーシモンホール・大ホール
2/3(金)阿倍野区民センター・大ホール

旧市街のワルツ
2/17(金)TSUTAYA O-EAST
<出演>
People In The Box / 9mm Parabellum Bullet

 

◆People In The Box オフィシャルサイト http://www.peopleinthebox.com/

 

有村竜太朗情報
アルバム『個人作品集1996-2013「デも/demo」』
2016年11月23日発売

【初回盤A】IKCB-9550~1 ¥3,700+税

有村竜太朗『個人作品集1996-2013「デも/demo」』初回盤A

<収録内容>
-CD-
01. 幻形テープ / genkeitêpu
02. 浮融 / fuyuu
03. 魔似事 / manegoto 
04. また、堕月さま / mata,otsukisama 
05. うフふ / ufufu
06. 猫夢 / nekoyume
07. 鍵時計 / kagidokei
08. 恋ト幻 / rentogen
op.1
op.2
op.3 
-DVD -
「有村 竜太朗 映像作品集 2016」

【初回盤B】IKCB-9552~3 ¥3,700+税

有村竜太朗『個人作品集1996-2013「デも/demo」』初回盤B

<収録内容>
-CD-
01.幻形テープ / genkeitêpu 
02.浮融 / fuyuu
03.魔似事 / manegoto 
04.また、堕月さま / mata,otsukisama 
05.うフふ / ufufu
06.猫夢 / nekoyume
07.鍵時計 / kagidokei
08.恋ト幻 / rentogen
op.4
op.5
op.6 
-DVD-
有村 竜太朗 映像作品集 2016」

【通常盤】IKCB-9554 ¥2,500+税

有村竜太朗『個人作品集1996-2013「デも/demo」』通常盤

<収録曲>
01.幻形テープ / genkeitêpu 
02.浮融 / fuyuu
03.魔似事 / manegoto 
04.また、堕月さま / mata,otsukisama 
05.うフふ / ufufu
06.猫夢 / nekoyume
07.鍵時計 / kagidokei
08.恋ト幻 / rentogen

Tour2017「デも/demo」
1/12(木)大阪梅田AKASO
1/13(金)名古屋ボトムライン
1/23(月)品川ステラボール
開場/開演 18:00 / 19:00
 ¥5,500(tax in) スタンディング
入場時別途ドリンク代必要、3歳以上有料、3歳未満入場不可

 
 
 
◆有村竜太朗 オフィシャルサイト http://arimuraryutaro.com/

 

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