青木玄徳『闇金ドッグス5』インタビュー 「オチもなくただ続けていくだけなら、続けていく意味なんか1ミリもない」

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青木玄徳 撮影=荒川潤

青木玄徳 撮影=荒川潤

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『闇金ドッグス』は、元ヤクザの組長・安藤忠臣と、元ホスト・須藤司のコンビが闇金業者として、さまざまな債務者と金と人間の欲望をめぐるドラマを繰り広げる闇金シリーズだ。1作目、2作目までは、山田裕貴演じる安藤忠臣を主人公だったが、3作目『闇金ドッグス3』では、脇役だった須藤が主人公に昇格。二人のアウトローが主人公の、異色の作品となった。

そんなシリーズ最新作『闇金ドッグス5』が1月14日(土)に公開となる。主人公・須藤を演じるのは、『闇金ドッグス3』で映画初主演を飾った青木玄徳。わずか半年強で再び主演する青木は、2度目の須藤の物語をどう演じたのか。そして、原作ものの多い昨今、珍しくなったオリジナルシリーズが持つ魅力や、『闇金ドッグス』シリーズの今後についてたっぷりと語ってもらった。

 

『闇金ドッグス』シリーズを通して変化した須藤司という男

青木玄徳 撮影=荒川潤

青木玄徳 撮影=荒川潤

 

――『闇金ドッグス3』での初主演からわずか半年強での再主演です。劇中の須藤は前作から少し時間が経った設定なんでしょうか? 少しヒゲが生えて大人びた印象です。

そうですね。今回の須藤は少し落ち着かせて演じました。パニックになったときに、「パニックだ!」という感じに見えないようにしたんですが、結果パニックになってましたけど(笑)。大人になっている部分もありますし、忠臣と仕事をしている期間がそれだけあるので、それなりに忠臣っぽくなっているところもあるんです。

――なるほど。影響を受けて変化しているんですね。

もっと言うと、最後に五条(荒木宏文)を詰めるときの言い回しは、山田くんの忠臣の言い方を少しだけ入れています。彼(山田)ではないので、なかなか難しかったですが。

――元木監督とは初めてのタッグですね。これまでのシリアスな『闇金ドッグス』にコミカルなテイストも入ることになりましたが、いかがでしたか?

台本の流れだと一方が暗い話だったので、須藤のほうはなるべくコミカルに、お客さんが重くなり過ぎず、いいスパイスになってくれればいいな、と思っていました。

――すごくイキイキとしてらして、表情が目まぐるしく変わるお芝居だったので観ていて楽しかったです。

表情を(カメラで)抜いてもらっていたのもあったので、それに応えられるようにはしたいと思っていました。

 

青木玄徳 撮影=荒川潤

青木玄徳 撮影=荒川潤


――元木監督の演出はいかがでしたか?

すごく面白かったですよ。性格が明るくてサッパリしていて、ぼくはそういう方が人間として好きなので。一緒にお仕事が出来てすごく良かったです。現場の雰囲気も和ませて下さって。

――今回は、須藤の戸籍上の妻(牧野ステテコ)が登場します。彼女への態度から、須藤がより「女の味方」であるという信念がより明確になっていました。

『闇金ドッグス3』から考え方が筋金入りになっているというところはあります。(「女の味方」と)言ったからには、女性に愛を持って接する。ただ、金は取っているクソ野郎ですけどね(笑)。

――シリーズを経て、少しずつイイ人間になっているのかな、と思いました。戸籍上とはいえ、妻を「ブス」と言われて「こんなイイ女を捕まえて何を言ってるんですか」と反論する場面もありますし。

まあ、あの価値観はぼくもわからないですが(笑)。

――(笑)

ただ、『闇金ドッグス3』を経た須藤はこのシーンでしか出せないな、とは思いました。それは『闇金ドッグス』から『闇金ドッグス5』まで繋がっている。『闇金ドッグス3』で「女の味方だ」と言うのは、自分にも言い聞かせたことだと思うんです。そのルールを変えずに生き続けているのがあのシーンで出るので、「何でコイツは女性にこんなに優しくするんだろう」というのは、『闇金ドッグス3』から観ていただければどういうことがあったのかわかると思います。

――闇金の仕事を始めてからの須藤の成長が見て取れる場面ですよね。須藤が「女の味方」と考えはじめた、一番大きなきっかけみたいなものはなんだったのでしょう?

『闇金ドッグス2』で、ななえ(菅野莉央)ちゃんという女の子の母親から金を引きずり出すために、忠臣が須藤を使ったんです。須藤はななえちゃんとデキて、母親を上手く嵌めたんだけど、その結果、彼女は母親と縁を切るような地獄を見ることになってしまった。それにダメージを受けた須藤は、『闇金ドッグス3』で「女の味方」になる。

――その前にも、須藤の家庭環境にまつわる裏設定もあったと聞いています。

茨城在住で、母子家庭に育ったというのはあるんですが、それはあくまで裏設定なのであまり表には出していません。ただ、そういう設定も込みで、女性に対する思いはあったんでしょう。それはホストをやっている間は忘れていたんですけど、ある瞬間に蘇ったのかもしれない。ただ、きっかけは『闇金ドッグス2』のラストで、『闇金ドッグス3』『闇金ドッグス4』『闇金ドッグス5』を経て強くなっていったんですね。

 

 (C)2016「闇金ドッグス4&5」製作委員会

(C)2016「闇金ドッグス4&5」製作委員会


――今回は、女性ではなく、おじさん(菅原大吉演じる沼岸光夫)に心を動かされていくのが新鮮でした。

ウィーメンズダイヤルなのに男性が電話をかけてくるわけですよね(笑)。BLものです。

――(笑)。そうなんですか? 沼岸は母親の介護を苦に借金をし、生活保護を受けることになる。すごくシリアスで辛いお話でした。

いや、BLは違うと思います(笑)。実は実際にあったお話をベースにしているんです。菅原さん(演じる沼岸)の家庭のお話はノンフィクションらしいです。『闇金ドッグス5』はそこに、ラストファイナンスの空想の話がどうぶつかっていくのか、という作品だと思っています。

――ただ、シリアスとコメディが両立していて、興味深かったです。

そうですね。陰と陽に別れた二つの主軸が並行して進んで行って、一点で交わってカオスで終わる(笑)。きれいに分かれていて、しかも新しい登場人物もきれいな形で入ってくるのでよかったです。

――たしかに、『闇金ドッグス2』で須藤が忠臣の仲間になったように、今回は副島淳さん演じるアフロヘアの男・キヴィマキ―(副島淳)が新キャラとして登場しますね。

三羽烏になったら面白いですよね。ほんとに優しい方なんですよ、副島さん。

――須藤が『闇金ドッグス2』から成長したように、これからまた
キヴィマキ―も変化していくんでしょうか。

わかりませんよ。『闇金ドッグス6』になったらいないかもしれないですよ(笑)。

――それはちょっと切ないですよ(笑)。

スケジュールが合わないこともありますからね(笑)。でも、是非
キヴィマキ―にもいてほしいな、と思います。あの状況からいないのは変な話ですからね。キヴィマキ―がいたことで、須藤を演じやすくなったんですよ。心のよりどころじゃないですけど、一人子分が出来たような感じで。でも、向こうは須藤の下だとは思っていない……という関係がひとつできたので。

 

 (C)2016「闇金ドッグス4&5」製作委員会

(C)2016「闇金ドッグス4&5」製作委員会

 

二人のオチがつく『闇金ドッグス』の話を作る前提で、続けていきたい

 

青木玄徳 撮影=荒川潤

青木玄徳 撮影=荒川潤


――予告編にもありますが、沼岸が忠臣と須藤に「返済を待ってほしい」とお願いに来るシーンがすごく良かったです。一度返済を待とうとする須藤を横目に、忠臣は沼岸からお金を毟り取り、須藤の胸に黙って叩きつける。あのシーンは山田さんと相談されたんでしょうか?

いや、ほとんど話はしてないですね。あの場で瞬発的にやりました。あれしかない、シーンが出来たと思います。あの場面から、忠臣が須藤を育てている関係性が見えるようになっています。こいつ(須藤)を部下として認めている部分があるのと、弱いところも知っている。(忠臣は須藤を)いつも助けてくれているんですよね。

――なるほど。そういう何気ないところがバディ(相棒)なんですね。実は、最近青木さんが山田さんより年上だと気づきました。

そうですよ。設定でも須藤が年上です。

――須藤は年上ですが、忠臣に育てられている感じがすごくよく出ています。そういう関係性みたいなものは、シリーズ始まった当初から山田さんと話をして決められた?

いや、ズバズバっと、インスピレーションです。ただ、(山田と)そんなに話し合うことはないですけど、一緒に台本を読むことはあります。ただ、『闇金ドッグス4&5』のときは、口裏を合わせることもなく、自然に上手くやれましたね。凄くやりやすかったです。

 

 (C)2016「闇金ドッグス4&5」製作委員会

(C)2016「闇金ドッグス4&5」製作委員会


――どんどん息があってくるのは、シリーズもののいいところですね。

ポンと出したアドリブにも乗ってきてくれるときもありますし。

――アドリブもあったんですか。全然わからなかったです。

いっぱいありますよ。まあ、境目がわかるようじゃアウトです(笑)。

――そりゃそうです(笑)。ただ、舞台挨拶などでは、劇中のお二人と全く関係性が逆なので微笑ましかったです。普段の山田さんは純朴な少年のようで、青木さんはお兄さんのようでした。

それが現実的な年齢差というやつです(笑)。

――撮影を離れたときのお二人はどんな感じなんですか?あまり撮影外でお話をする機会がなかったと聞いていますが。

仲はいいんですけど、必要以上にベタベタすることはないです。だから、シリーズを作る上で、ぼくと山田くんにはすごくいい距離感があるな、と思います。彼とだったら、ずっとシリーズを作ることになっても、「全然いいわ」と思えるというか。向こうもたぶんそこは気を遣ってくれていると思うし。お互い役者という職業なので、あんまり近寄り過ぎちゃうのも一緒に長くやる上では、いいとは限らないじゃないですか。

――演技を離れたところで馴れ合わないように気を付けられた?

気を付けたというよりは、自然とそうなりましたね。「プライベートでも飯に行こうよ」という話になることもあるんですけど……忠臣と須藤の関係を考えると、あまり仲良くなりすぎると、これからもし続けるのであればやりづらくなるな、と。


――なるほど。ただ、一度居酒屋で今後の『闇金ドッグス』について話されたことがあると聞きました。

バスを待つひと時だけ、ほんとに1杯だけビールを飲んだんです。そのときに、『闇金ドッグス』の話をして、「これはいつまでも続けるしかないでしょ。続けさせてくれるのなら」「ずっといけるんじゃないかな」という話はしました。

――山田さんも、これだけ同じ人物を演じることはなかなかないとおっしゃっていました。

忠臣に関しては、別のシリーズから演じているキャラクターですからね。

――青木さんにとっても、映画の中でこれだけ続く役は貴重なのでは?

『闇金ドッグス5』まできて思ったんですけど、これ、楽しいですよ。だって、変えていいんですから。成長していくわけですし、シリーズじゃなかったら出来ないことだな、と思います。

――最近は原作ものの映画が多いので、本作のようなオリジナルが逆に珍しくなっています。青木さんは原作ものもたくさんやられていますが、オリジナルの良さみたいなものは感じますか?

ぼくが思う(オリジナルの)いいところは、お客さんに出したときの反応を100%こちらがもらえる、感じられるところでしょうか。原作ものだと、ある程度(観客の)反応がわかっちゃう。もっと言うと半分くらいは反応がわかっちゃうんです。「たぶんそうだろうな」という反応が返ってきたり、「ここでこういう反応ということは、おれダメだな」というのがわかりやすかったり。これ(『闇金ドッグス』)は全部オリジナルで、なかったところから生み出されたものなので、観た人が何と言ってくれるかが一番気になります。

――予想外の反応も返ってきますか?

もちろん! めちゃくちゃいっぱいありますよ。「あ~これ、誤解されてる……」とか、そんなことがよくあります(笑)。そこは自分の腕の問題だな、と反省しなきゃいけないと思いますけど、逆にいい反応もいっぱいあります。「こういうところを評価してくれてるんだ。こんなところを見てくれてたんだ」とか。オリジナルの面白さというのは、一喜一憂できるところだと思います。


――最後に、今後も『闇金ドッグス』が続いていくという前提でお聞きします。どういうシリーズにしていきたいですか?

そうですね……新しい(闇金の)お客さんが来ることによって、こちらも変わっていかざるを得ないんですよ。一つひとつはゲスト主体の話なんですけど、全体を通すと忠臣と須藤の話になっているんです。だから、この人たち(忠臣と須藤)のキャラクターもどんどん変わっていく。そこが一番面白いと思うんです。そして、どうこの二人にオチをつけるのか。これは、絶対にどこかでオチをつけたほうがいいです。オチもなくただ続けていくだけなら、続けていく意味なんか1ミリもないと思います。だから、この二人のオチがつく『闇金ドッグス』の話を作る前提で、続けていきたいです。

 

撮影=荒川潤

撮影=荒川潤


 
PROFILE
青木玄徳(あおきつねのり)

1987年10月19日生まれ、埼玉県出身。
2011年にミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンで氷帝学園の部長・跡部景吾役で俳優デビュー。その後、ドラマ「仮面ライダー鎧武」、舞台「海峡の光」、「瞑るおおかみ黒き鴨」(主演)、「パタリロ」映画『闇金ドックス3(主演)、『コープスパーティー Book of Shadows』、『インターン!』、『Bros.マックスマン』などに出演。現在ドラマ「猫忍」にレギュラー出演中。今後の待機作に、映画『探偵は、今夜も憂鬱な夢を見る。』(2017年初春公開)、『くらわんか!』(2017年夏公開/主演)、舞台『里見八犬伝』など多数。
 


インタビュー・文=藤本洋輔 撮影=荒川潤
 

『闇金ドッグス5』は 2017年1月14日(土)よりシネマート新宿ほか公開。

プレゼント情報
青木玄徳サイン入り 色紙 1名様に
 

 
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作品情報
『闇金ドッグス5』 
 
 (C)2016「闇金ドッグス4&5」製作委員会

(C)2016「闇金ドッグス4&5」製作委員会



青木玄徳 菅原大吉 美谷和枝 牧野ステテコ 蒲生純一 副島淳 / 荒木宏文 山田裕貴

監督:元木隆史
脚本:池谷雅夫
企画・配給:AMGエンタテインメント
製作:「闇金ドッグス4&5」製作委員会(AMGエンタテインメント/JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)

【ストーリー】
女性債務者から、絶大の信頼を得ているラストファイナンスの須藤司(青木玄徳)は、かつて、街金から金を騙し取る為に、結婚離婚を繰り返し、戸籍上の名字を忘れてしまっている。そんなある日、銀行系のローン会社から、電話が入り、「あなたの奥様が借金をして、飛んだ。夫である貴方には支払いの義務がある」と。困り果てている司には、にべもなく、社長の安藤忠臣(山田裕貴)から、新規の客をあてがわれる。その客は、大手電機メーカーの下請け会社でエアコンの設置業者の契約社員として働く、沼岸光夫(菅原大吉)。ブラック企業では人扱いをされず、冷遇のなか必死にしがみついている。それは、ひとえに認知症を患っている母の為。だが、薄給で生活費もままならず、致し方なくラストファイナンスを利用している。沼岸の状況は悪くなるばかりで、理不尽な理由で急に解雇されてしまう。困った沼岸は、生活保護の申請をするも断られ、無職になったので、司から追加融資も受けられずにいた。そんな沼岸の前に、NPO法人で貧困ビジネスを営む五条礼(荒木宏文)が現れ、申請が通った生活保護費を不正に搾取されてしまう。母の病も進行が速くなり、生活は究極に困窮する。藁をもすがる思いで、沼岸はラストファイナンスを再び訪れた。

(C)2016「闇金ドッグス4&5」製作委員会
公式サイト http://yamikin-dogs.com/

 

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