荒牧慶彦インタビュー&『TEEN×TEEN THEATER「初恋モンスター」』保護者会レポート
荒牧慶彦インタビュー TEEN×TEEN THEATER「初恋モンスター」
ランドセル+体操着の小学5年生をイケメン俳優が演じたらどうなる……!?
大注目の舞台『TEEN×TEEN THEATER「初恋モンスター」』。原作は、2013 年から月刊誌「ARIA」(講談社)にて好評連載中の、日吉丸 晃原作によるハイテンションラブコメディ漫画だ。世間知らずのお嬢様・二階堂夏歩(にかいどうかほ)が初めて恋に落ちたのは、外見は大人の小学5年生・高橋 奏(たかはしかなで)。
「……で、俺、小学生だけど、どうする?」のワンシーンを目にしたことがある人は多いのではないだろうか。とんでもなく甘いセリフを恥ずかしげもなく囁いたり、子どもが大好きな下ネタを言ったりと(本人はまぎれもない小学生なので無自覚)、外面と内面のギャップにハマる人が続出。2016 年7月にはテレビアニメ化(TOKYO MX 他)もされ、いよいよこのたび舞台化が決定した。
2017年、年初めの制作発表はその名も『5年1組保護者会』。キャラクター衣装をまとった奏役の荒牧慶彦を筆頭に、金子十六役の佐川大樹、三宮銀次郎役の神里優希、篠原耕太役のゆうたろう、多賀敦史役の小野健斗に、脚本・演出の川尻恵太(SUGARBOY)が揃って登壇した。物語の世界観を活かした学校の教室そのままの会見会場には、懐かしい黒板にチョークのいたずら書きが山ほど! 制作発表にて語られたキャストたちのコメントは以下の通り。
高橋 奏役:荒牧慶彦
初単独主演をやらせていただきます。小学5年生として精一杯やりますので応援よろしくお願いいたします! 15年ぶりに体操着を着て、ビジュアル撮影ではランドセルも背負いましたが、小学生の俺ってこんな格好してたっけ?と改めて思いました(笑)。チャームポイントは、胸の名札(ゼッケン)。なんか可愛いんですよね。童心に返って突き抜けます。
金子十六役:佐川大樹
“トム”らしく元気に、おそらくクレイジーになるこの舞台をみんなで楽しく盛り上げていきたいと思います。小学生とは関係なく特攻服を着ることはないので、そこがまず面白くて。なので、チャームポイントは、特攻服なのに上履きをちゃんと履いているギャップです。小学生である時点ですでにやんちゃですが、トムは加えてヤンキー(笑)。やんちゃさを出したいです。
三宮銀次郎役:神里優希
見た目のビジュアルに強いインパクトがありますが、なかなかこんな格好はできないし、こんなおかしな舞台にもめったに出られないので、思い切って演じたいと思います。初めて短パンを履いた時の周囲の大人の皆さんの対応が衝撃でした。首から上は“いいね”だったのに、視線が下に行くにつれて無言……。さすがに慣れました(笑)。チャームポイントは、短パン、サスペンダー、メガネといっぱいあります。特にメガネをうまく使いたいです。
篠原耕太役:ゆうたろう
初めての舞台と演技に緊張しています。演じる耕太くんなりに可愛らしく、時に乙女顔になって耕太くんファンに嫌われないよう、がんばります。カツラも初めてで、この長い前髪と目のバランスをどうするか戸惑いました。チャームポイントは、マフラーです。マフラーに手を持って行く仕草もあるので可愛く使いたいです。
多賀敦史役:小野健斗
僕は大学生の大人の役なので、小学生にはない大人の魅力と、言葉攻めで盛り上げていきたいと思います。役作りのこだわりは舌打ちで、ずっと練習しています(笑)。神里くんのメガネキャラに負けないメガネキャラにしていきます。
脚本・演出:川尻恵太(SUGARBOY)
原作を読んでぶっ飛んだ話だと思いました。でも、何度も読み返すと、小学生の素直な気持ちをただただまっすぐに言っているだけで、ぜんぜんぶっ飛んでない。僕はこれまでコメディを多く作ってきて、稽古の際によく“ボケないでください”と言いますが、それは、ボケに見えても本人は真面目に言っている言葉だからです。本作はまさにその通りのお話。役者の皆さんには思い切ってやってほしいですね。舞台上で小学生が遊び回って、歌って、踊って、ぜひ客席を巻き込みたいと考えています。観客の皆さんも同じ町に住んでいる気持ちで温かく見守っていただければ。
ここで、『初恋モンスター』ならではの“下ネタ”をどこまで出すか?という確認質問の声があがった。
川尻は、「そこ、あらゆる意味で大人たちとの戦いです(笑)。子どもが言うにしてもデリケートなもので、苦手な人もいるでしょうから、出来るだけニンジンを刻んでハンバーグに入れるかのように、誰でも食べられる形にしてお出しします。封印はしないです」と断言。
さらに、荒牧には「変化球を投げず、大谷翔平くんみたいな160㎞級の直球ボケを肩が壊れるまで投げ続けて」。奏を含めた小学生たちに「大人を捨てることが課題」、耕太(ゆうたろう)は「常に目撃者なので、どこから見ているのかお客さんに見つけてほしい」、多賀(小野)には「夏歩に厳しく、奏に優しい、超ツンデレの二面性を」とそれぞれ要望した。
TEEN×TEEN THEATER「初恋モンスター」
そして今回、『5年1組保護者会』の終了後、本公演で初座長を務める荒牧慶彦に単独インタビューを敢行! 小学5年生を演じること、初の座長となる本公演のことをたっぷりと伺った。
荒牧慶彦 インタビュー
荒牧慶彦
――印象深い体操着ですが着ることには慣れましたか?
今日で着るのは3回目なので、さすがに抵抗はなくなりました。最初は抵抗感がありましたよ。“僕、26歳だけど体操着どうする?”と(笑)。僕が小学生の時もこんな風に青で、胸にゼッケンを付けていました。懐かしいですね。
――ミュージカル『テニスの王子様』など2.5次元ミュージカルは多く経験されていますが、ここへ来て小5の役どころは。
衝撃です。初めてお話を聞いた時は、「僕で合ってます!?」と聞き直したほど。でも、せっかくの単独初主演で、またとない機会ですし、俳優のふり幅を広げるチャンスだと思いました。
荒牧慶彦
――原作を知ったのはいつ頃だったんでしょうか。
「……で、俺、小学生だけど、どうする?」のワンシーンは知っていました。すごいのが出てきたぞと周りがネタにしていたんです。その時は少女漫画としか思わなかったんですが、お話を受けてから原作を読んで、「あ、アレだ!」と思い出しました(笑)。
――イケメンな外見と、小学5年生の内面のギャップをどう作っていくのか気になるところです。
そこが課題なんです。ただ、いまの僕も若干子どもっぽいとは思うので、寄せやすいっちゃ寄せやすいかな……と。人にチョッカイを出すような小さないたずらが好きなんです。たとえば、仲良しの友だちが前を歩いていたら肩をトントン叩いて、振り向くと僕も振り返る、みたいなね! めちゃくちゃ小学生ノリでしょう?(笑) しょうもないことをしたくてムズムズするんですよ。最近、小学生を見かけたら観察しちゃうんですが、コンビニでカードゲームを真剣に選んでいる姿とか、「僕も一緒だ!」って共感しています(笑)。
荒牧慶彦
――荒牧さん自身はどんな小学生でしたか? 下ネタも言ったりしたんでしょうか。
ゲームも好きだけど、野球、サッカー、バスケと、外で活発に遊び回るのも好きでした。友だちは男ばかりで、男子ノリだったんですけど、ただですね! 僕は下ネタをぜんぜん言わない子だったんですよ! 役者になって舞台上でも下ネタっぽいセリフはほとんど言ったことがない。今回は一つの大きな挑戦です。もっとも下ネタを言うであろうキャラが奏ですから、羞恥心を捨てて役になりきって攻めていきたいです。
――いまも小学生時代の友だちと会うことは。
小3からの仲良しが4人いて、いまも会います。会えばいつでもその時代に戻れる。昔話をつまみに飲んで楽しんでいます。思い出しますね。今日の場所(教室)も懐かしー! 黒板で○×ゲームやあみだくじをしたな。相々傘も書かれたし、書いてやったりもしました!(笑)
荒牧慶彦
――初座長としてのお気持ちはいかがでしょう。
ひとつは、作品の魅力を最大限にお客様に伝えられるか、というプレッシャー。漫画だから、アニメだから面白い作品、とは思われたくない。生身の人間がやっても面白さが出せるという、『初恋モンスター』の無限の可能性を広げたいんです。漫画やアニメを超え、生身の人間だから伝えられるものがある。それって2.5次元の面白さですよね。原作ファンの方に新しい発見をしてもらって、舞台を好きになってもらいたいし、逆に、僕や共演者のファンの方々がこの舞台を見て、面白そうだから原作も読んでみようと思ってくれたらうれしいです。
――今回は円形に近い舞台で、客席が近いそうですね。
客席イジリが好きなんですよ。奏としてイジリのシーンを与えてもらえるなら、全力でイジリます。物語のしょっぱなからお客さんを巻き込んで、一緒に作りたいと思います。
荒牧慶彦
こんなに近かったら吐息までかかっちゃうよ!?な距離感で堪能できる『TEEN×TEEN THEATER「初恋モンスター」』は、品川プリンスホテル クラブeXで2017年3月3日~12日まで上演。巻き上がる“奏”旋風を体感してほしい!
取材・文=丸古玲子 撮影=荒川 潤
(C)日吉丸 晃/講談社「初恋モンスター」舞台製作委員会
(C)日吉丸 晃/講談社「初恋モンスター」舞台製作委員会