BAROQUEが築いてきた荘厳な美学が劇的変化を遂げた夜「次はもっとでっかい会場で合唱しよう!」

レポート
音楽
2017.2.2
BAROQUE 撮影=メトロ。

BAROQUE 撮影=メトロ。

画像を全て表示(5件)

PERFECT WORLD 2
2017.1.28(SAT) EX THEATER ROPPONGI

1月28日(土)、東京・EXシアター六本木でBAROQUEのワンマンライブ『PERFECT WORLD 2』が開催された。怜(Vo)と圭(G)の2人体制になってからのワンマンでは初の会場であり最大キャパ。シングル『G I R L』でプロデューサーとしての手腕を最大限発揮したL’Arc~en~cielのKenが、今度はライブ演出アドバイザーとなって彼らのライブを全面サポートした本公演。

1曲目「PLANETARY LIGHT」ではメンバーがスターのように登場したり、10曲目の「魔女の林檎」ではパペットを使ったり、アンコール最後の「GIRL」では信じられないぐらいの大量のピンク色の花吹雪がフロアに降り注ぐなど、キメの演出多々あり。舞台後方の縦長LED画面を使い、初出しにも関わらず曲の世界観を次々とコズミックなところから人肌の温もりあるものへと変えていった凄ワザ映像あり。ピュアネスの上に野性味溢れるワイルドさまで加わった“ニュー怜”あり。上品な王子キャラの上にセクシーさ、男らしさまで全開になってきた“ニュー圭”あり。ライブ中のトークはそんな二人がくっついたり離れたりして女子をキャーキャーいわせるチャラさもあり――。ラルクというスーパーバンドに在籍するKenならではのスキル、アイデアを存分に使って、壮大なスケール感で迫りくる王道感あるポップネスへとショーアップさせた本ステージは、これまでBAROQUEが築き上げてきたアーティスティックで荘厳な美学が、内側から壁をドカーンと突き破って外に向かっていく。まるでCOLDPLAYが『Ghost Stories』の後に『A Head Full of Dreams』を出した。それぐらいBAROQUEのライブが劇的変化を遂げた夜だった。

スモークと照明で青白く発光するステージに、今夜のサポートメンバーであるKENZO(Dr)とTOKIE(B)が現れ、定位置に構えると舞台後方に縦長に組まれたLEDパネルが発光。KENZOのドラム台よりもさらに一つ高いところに立った2人のシルエットが浮かび上がった後、照明がパーンと明るくなって怜と圭を全身で捉える。こんな目の覚めるような派手で鮮やかな登場っぷりは、いままで見たことがない。まるでスターのような登場に、冒頭からフロアは驚愕しながらも狂喜乱舞。

BAROQUE 撮影=メトロ。

BAROQUE 撮影=メトロ。

1曲目「PLANETARY LIGHT」のイントロが終わると、2人は階段を降りてステージへ。細身のジャケットに白シャツというフォーマルな貴公子系ファッションの圭に対して、怜がショート丈のパーカーにビッグシルエットのパンツを合わせたストリート系という組み合わせも、これまでとは違う。シンセのイントロでフロアにハンドクラップが広がっていった「DREAMSCAPE」からは、LEDが映し出す映像にも衝撃を受ける。これまでひとりぼっちで空想するコズミックな夢物語として描いてきた『PLANETARY SECRET』の収録曲たちを、「DREAMCAPE」ではマクロな地球視点から大地、地面、手を広げた指の間から見上げる空(こういう写真を怜がよくインスタで上げている)とミクロな視点へと引き寄せ、人間の体温を感じさせる日常の物語へと見事着地させていくのだ。オーディエンスの激しい盛り上がりが場内を包んだ「ガリロン」では、お立ち台の上で圭が投げキッスを華麗にふるまう中、怜は野性味溢れるやんちゃな少年性を放ちながらこの曲を歌い、つんのめるようなアクセントが入るリズムに合わせて足でキック。こんなワイルドパフォーマンスを見せる怜も、新鮮だ。

そんな斬新さ、新鮮さ満載のオープニング3曲あとの最初のMCでは「今日の登場、めっちゃかっこよくなかった? 神様みたいで。あそこいっぱい練習したもん!!」とさっそくオーディエンスに自慢する怜は、可愛さが爆発。圭はクリスマスにやった『PERFECT WORLD』のMCと関連づけて、前回は電話番号だったが「今日はみんなの顔がよく見えるから、ライブが終わった頃には全員の顔と住所は……あ! 早い人はもう郵便番号の一桁目が見えるから」と相変わらずの妖精っぷりを爆発させ、ここではいつもと変わらないキャラでファンを喜ばせた。

TOKIEのベースがうねり、KENZOの手数の多いドラミングがキッレキレだった「湿度」、「メロウホロウ」のダークなアッパーチューン連発のブロック。ここでは怜がフードを深くかぶってさらにワイルドなアクションで叫び声を張り上げ、圭は「湿度」のエンディングで激情系の早弾きプレイを色気たっぷりの表情できめてみせ、広大な空間を描くときとはまた違うギタリスト然としたパフォーマンスで観客を魅了。

BAROQUE 撮影=メトロ。

BAROQUE 撮影=メトロ。

フロアがオープニングのときのようなブルーに染まり、LED画面には月のクレーターのような模様が映し出される。仄かに聴こえてくるシューゲイなショートSE。ここからはいよいよBAROQUEの美意識が炸裂し、観客をチルアウトさせていくディープゾーンが幕を開ける。最初に聴こえてきたのは「SKY WALKER」。ステージを照らすのは斜めから差し込む1本のスポットライト。そのライトがオープニングのときにいた場所に一人立つ怜を照らし出す。怜がエフェクトした声を使って、観客をふわりふわり宙へ浮いた気分にさせていく。こんな風に1曲丸ごとボーカルだけスポットを当てた演出もBAROQUE初。

曲中、たびたび静寂を割く激しい音が現れ、後半その激しさが静寂を凌駕し、どんどん熱を帯びていった「SWALLOW THE NIGHT」。そのエンディングで、LEDの映像が空へと浮かび上がっていって次の「SILENT PICTURE」へと繋いでいく。<silent picture 映し出して>というサビの歌い出しでは、“ここにはいまのあなたの心を映し出して”とでもいうように映像が真っ白になって、写真のフレームのようにLEDパネルの周りの縁だけが浮かび上がった。だが、曲の後半、狂ったように轟音ノイズが炸裂し、意識がホワイトアウトしていくと、そのフレームに一瞬だけ怜、圭のモノクロの顔アップ写真が浮かび上がった。ぶっ飛んでいく曲に反して、観客に徹底的にリアリティーを追求させていくという絶妙かつ、見事な映像演出っぷりに深く感動。そこから、舞台の両サイドに置いた反射板を使って、大地からエネルギーがみなぎるようなパワーを表現した光に包まれたなか、生命の誕生を謳歌する人間の溢れ出す感情が描かれた「MEMENTO」へ。生命の息吹を表すような真っ赤な照明に包まれ、間奏で圭のギターが、TOKIEのベースが、KENZOのドラムまで音で高らかに歌い出したその瞬間、いまいるEXシアターが東京ドームに思えるぐらいのスケールの恍惚感に包まれた。

「今日ヤバイでしょ? みんなもディープに入ってくれたね」と話しかけても放心状態の観客を察して、怜が「今日ここにいる人は“バロッカー(BAROQUEのファンの呼称)ちゃん”ね」と可愛いことをいって笑わせ、みんなを現実へと引き戻す。そうしてメンバー紹介をはさんで、ライブは後半戦へ。

「魔女と林檎」からはさっきまでと雰囲気がガラリと変わり、みんなで騒いで盛り上がるBAROQUEへ。オーディエンスが手を左右に振る「魔女と林檎」では、怜が手に魔女のパペットをつけて歌うアクトを初披露。ここでは、サビで唯一コーラスを歌う圭を怜が引き寄せ、2人が仲良くくっついて歌うシーンにファンが熱狂。そのあと圭がギターソロを弾き終えると、怜はパペットでギターにチュッのサービスも! 続く「teeny-tiny star」ではステージにモノクロのレトロなアニメが映し出され、フロアはハンドクラップとシンガロングで大盛り上がり。そうして「Nutty a hermit.」でさらに体温を上げた後、怜がワイルドにマイクスタンドを振りかざし「まだまだいけんのか?」と煽り倒して「我伐道」が始まると、圭はペットボトルをフロアに投げ入れ、フロアとステージがものすごい一体感でこの日一番のエモーショナルな盛り上がりを作り出してみせた。そして、怜がサーチライトを手に持ち、暗転した場内でファン一人ひとり、メンバー一人ひとりをゆっくりと照らしながら歌い出した「CELEBRATE」は、その光がパーンと巨大なミラーボールへと変わり、キラキラした眩しい輝きで場内を包み込み、まさに祝祭の歓喜がフロアいっぱいに広がったところでドラマチックに本編のラストを締めくくって見せた。

BAROQUE 撮影=メトロ。

BAROQUE 撮影=メトロ。

観客に呼ばれ、再び舞台に戻ってきたメンバーたち。シャツの胸元のボタンを大胆に開けてやってきた圭は「圭ってエロいな」と怜にいわれ、ペットボトルの水を口に含んでは、観客めがけて何度も吹き出していった。アンコールは怜が「すっごい久しぶりの曲」といって、メンバーにとってもバロッカーにとっても大切なナンバー「キズナ」、そこから<繋ごう>と歌う「凛然アイデンティティ」を続けて披露。そして、怜が「去年、12月25日にやったライブで約束した通り、新曲持ってきました」というと、場内が湧き上がる。「珍しくラブソングを作りました。(棒読みで)心を込めて作りましたー」と照れ隠しなのか、ワザと心がこもってないようなトーンで話す圭(微笑)。その後、ここで初披露された新曲「YOU」ではシンセと柔らかなギターのアルペジオが溶け合うなか、怜が<キスをしよう>とスイートな言葉を届ける。

そして、彼らが最後の曲「GIRL」を歌い出すと、会場前方の両サイドからフロアめがけてピンク色の花びらの形をした花吹雪がものすごい勢いで降り注いできた! この曲で一番見たかった夢のような景色が目の前に広がり、感極まる。ステージもオーディエンスも見えなくなるぐらい降り続ける大量の花びらたち。その中で、オーディエンスは歓喜のジャンプを繰り返し、そこに怜が手に持っていたブーケを投げ込む。こうして、そこにいたすべての女子たちを“GIRL”に戻していき、多幸感に包まれたままライブは終了。

「いまのBAROQUEおもしれぇよ! 今日はKenさんが演出に入ってくれて、いろんな仕掛けがいっぱいあったでしょ? みんなもそうだけど、いまはいろんな人がBAROQUEになってくれてる」と今日のライブを振り返った怜は「次はもっとでっかい会場で合唱しよう! だから、お前ら絶対来いよ!」とオーディエンスと約束を交わした。そして、圭が「愛してるぜー!」と叫んだ後、2人は仲良くいちゃつきながら舞台を後にした。

終演後、観客たちはフロアをピンク色で埋め尽くした大量の花びらと戯れながら遊び、その後、各々が花びらを大切に持ち帰っていった。

夜空を眺め、一人哲学的な思いを巡らせていた『PLANETARY SECRET』から、朝を迎え、Kenを始めとしたいろんな人と出会っていくなかで「GIRL」、「YOU」という新曲とこんなにもオープンマインドなライブへとたどり着いた2人。これが、次にBAROQUEが進もうとしている世界なのだ。このライブをもって、彼らはまた新たな出会いを求め、この後はASH DA HERO、Rayflowerとのツーマンライブへと挑んでいく。

取材・文=東條祥恵 撮影=メトロ。

BAROQUE 撮影=メトロ。

BAROQUE 撮影=メトロ。

 
 
セットリスト
PERFECT WORLD 2
2017.1.28(SAT) EX THEATER ROPPONGI
01. PLANETARY LIGHT
02. DREAMSCAPE
03. ガリロン
04. 湿度
05. メロウホロウ
06. SKY WALKER
07. SWALLOW THE NIGHT
08. SILENT PICTURE
09. MEMENTO
10. 魔女と林檎
11. teeny-tiny star
12. Nutty a hermit.
13. 我伐道
14. CELEBRATE
<ENCORE>
15. キズナ
16. 凛然アイデンティティ
17. YOU(新曲)
18. GIRL
 
ライブ情報
ASH DA HERO 2MAN SHOW SERIES 2017「CONNECT X」
【ACT.2】ASH DA HERO × BAROQUE
2017/3/15(wed)
TSUTAYA O-WEST
OPEN 18:30 / START 19:00
[出演]BAROQUE、ASH DA HERO
料金
オールスタンディング 前売¥4,500 /当日¥5,000 ※ドリンク別
http://eplus.jp/ashdahero/

Rayflower presents「Night which GLORIOUS」
2017/3/22(wed)LIQUIDROOM
OPEN 18:00 / START 19:00
[出演]BAROQUE、Rayflower
料金
オールスタンディング 前売¥4,500 /当日¥5,000 ※ドリンク別

MIDNIGHT PARTY ZOO 2017 ~AKi’s Birthday Month~
2017年もやります!「MIDNIGHT PARTY ZOO」のDJパーティー!2月はAKiの誕生月!
何が起こるかわからない深夜のパーティーへようこそ!
みんなでSpecialな一夜を楽しもう!
※猛獣出没注意!?
※「鯛アキ」(たい焼き)販売決定!「Kenちゃんカレー」も販売!それぞれ数量限定ですのでお早めに!
2017/2/23(thu)
SHINJUKU LOFT
OPEN 2.23(thu) 23:15
START 2.24(fri) 0:00
※CLOSE 5:00予定

[出演]
ミヤ(MUCC) 、DJ狂犬(LOUD ROOTS) 、BABU(Bar-bu’s NIGHT/BAD BRAIN NITE) 、西村ひよこちゃん、村田智史(茨城出身) 、and Naughty stars
料金
オールスタンディング 前売¥4,500 /当日¥5,000 ※税込・ドリンク別

 

 

シェア / 保存先を選択