光と音の覆面集団 ショバリーダー・ワンのグルーブに翻弄された夜

レポート
音楽
2017.4.19
ショバリーダー・ワン  Photo by Masanori Naruse

ショバリーダー・ワン  Photo by Masanori Naruse

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ショバリーダー・ワン来日公演 2017.04.12 TSUTAYA O-EAST

記憶に新しい4月12日、スクエアプッシャー率いるショバリーダー・ワンの初来日公演が渋谷TSUTAYA O-EASTで開催された。バンドセットによる、完全生演奏での来日となった。

これまでのスクエアプッシャーファンはもちろんのこと、彼のライブを観たことのない人でさえも、そのサウンドに魅了された一夜だったのではないだろうか。

照明が落とされ、暗闇の中で面を纏った黒装束の男達が姿をあらわす。スクエアプッシャー(b)、Strobe Nazard(key)、Company Laser(dr)、Arg Nution(gt)という4人編成だ。

もちろん顔は見えない。面にはLEDが音と同期しながら波を打っている。オープニングSEが消え、一瞬空気が止まった時、会場に緊張感と興奮の波が押し寄せる。ライブ会場でしか体感できないこの瞬間がたまらないのだ。皆が一様に感じる「くるぞ感」が高まった時、ドラムのスティックカウントが静寂の中響き渡った。

ショバリーダー・ワン  Photo by Masanori Naruse

ショバリーダー・ワン  Photo by Masanori Naruse

おそらくこの時、既に彼等の音源を聞いていた人は既に勘付いたろう。1997年発表のアルバム『Hard Normal Daddy』より「Coopers World」での幕開けだ。まさに一曲目に相応しい、歯切れ良いキメとブレイクビートが会場を一気に沸かせる。スクエアプッシャーと言えば、変態的な速弾きベースにドリルンベースのイメージが大きいがこの曲にはとてもバンドとしてのアンサンブル、存在感が全面にプッシュされていて、熱気とともに体が自然と動いた。

考えてみれば、スクエアプッシャーの90年代のサウンドは、全て生演奏で圧巻のプレイを繰り広げることでオーディエンスを熱くさせていたことを改めて思い出す。

Squarepusher Theme from Feed Me Weird Things (1996年)
Journey To Reedham  from Big Loada (1997年)
Don't go plastic from Music Is Rotted One Note (1998年)
Iambic 5 Poetry from Budakhan Mindphone (1999年)

とこの日続々とプレイされた楽曲をこうして並べてみても、この年代からあった楽曲がバンドサウンドとして更にアップデートされ届けられていることに驚きを隠せない。

そしてエレクトロの舞台から、こんな風にバンドサウンドへ用意に移行できてしまう背景には、彼らの音楽にあらゆる音楽要素が見事に調合されているからだろう。Break Beat、Jazz、Fusion、Rock……。これはセンスと、個々のサウンドのクオリティの高さもあるが、さらにグッとオーディエンスを引き込むのは、音と光のエンターテイメントによるホスピタリティの高さからくるのかもしれない。

ショバリーダー・ワン  Photo by Masanori Naruse

ショバリーダー・ワン  Photo by Masanori Naruse

ステージ上下から垂直に伸びたスポットライト。ステージ前後に配置されたスタンドライトから客席に光を放つ。ひたすらカラフルに色を散りばめている訳では決してなく、曲のコンセプトに合わせた色がステージを彩ってゆく。そこに各プレーヤーの“面”にも色や形、文字なども映し出され、ドラムのアタックのタイミングや強弱にまで同期されるほど“魅せること”に特化した演出が、極上のサウンドを更に色付けしオーディエンスを更に熱狂させていた。

今回の来日公演を見逃した人にとって嬉しいニュースも実はある。『SONIC MANIA 2017 』への出演が発表されたのだ。新しい刺激を求める日本の音楽ヘッズ達に、ショバリーダー・ワンは裏切らないスパイスをぶち込んでくれるであろうことを、この日のアクトは大いに感じさせてくれた。彼らもこの短いスパンでの再来日。きっと日本のオーディエンスともっと遊びたいはずだ。フェスという舞台でみるショバリーダー・ワンもきっと一味二味も違うだろう。それまでに3月8日に日本先行で発売された新譜『Elektrac』を聞いて備えてはいかがだろうか。

彼らはまたきっとクレイジーな演出をしてくれるに違いない。


Text by Norifumi Kimijima Photo by Masanori Naruse

セットリスト
ショバリーダー・ワン来日公演 2017.04.12 TSUTAYA O-EAST
1. Coopers World
2. Hello Meow
3. Don’t Go Plastic
4. Iambic 5 Poetry
5. Squarepusher Theme
6. E8 Boogie
7. Deep Fried Pizza
8. Delta-V
9. Tensor In Green
10. Anstromm Feck
11. Tetra Sync
12. Journey To Reedham
13. Megazine

 

ライブ情報
SUMMER SONIC 2017 東京公演
2017年8月19日(土) / 20日(日)
会場    ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ
開場/開演    開場AM 9:00 / 開演AM 11:00
    
◆前売り1日券 ¥16,500(税込|ブロック指定)
◆前売り2日券 ¥30,500(税込|ブロック指定)
◆プラチナ ¥30,000(税込|ブロック指定)
※サマソニ1日券+プラチナ特典
※枚数限定
プラチナ特典:専用ヴューイングエリア、専用ラウンジ、専用クローク、グッズ売り場ファストレーン、ウェルカムドリンク、会場間専用シャトルバス
◆ウィークエンド ¥39,000(税込|ブロック指定)
※ソニックマニア+サマソニ東京2日券

SUMMER SONIC 2017 大阪公演
2017年8月19日(土) / 20日(日)
会場    舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)
開場/開演    開場AM10:00 / 開演AM 11:00
    
◆前売り1日券 ¥14,000(税込)
◆前売り2日券 ¥25,500(税込)
◆プラチナ ¥25,000(税込)
※サマソニ1日券+プラチナ特典
※枚数限定
プラチナ特典:専用ヴューイングエリア、専用ラウンジ、専用クローク、グッズ売り場ファストレーン、ウェルカムドリンク
※シャトルバス、駐車券詳細は後日発表。
 
SONICMANIA
日程:2017年8月18日(金)
会場:幕張メッセ
開場 8:00PM / 開演 10:00PM
◆前売り11,500円(税込)別途 1 ドリンク代500円
◆プラチナ20,000円(ソニックマニア入場券+プラチナ特典)※枚数限定
プラチナ特典:専用ヴューイングエリア、専用ラウンジ、専用クローク、グッズ売り場ファストレーン、ウェルカムドリンク
◆ウィークエンド 39,000円※ソニックマニア+サマソニ東京 2 日券(税込|サマソニはブロック指定) 


オフィシャル先行:受付期間中
一般発売日:5月27日(土) AM10:00~

 

 

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