吉田鋼太郎の当たり役がまた一つ!舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』ついに開幕

レポート
舞台
2018.5.16
舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』

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吉田鋼太郎が主演を務める舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』が、2018年5月15日(火)、東京・日生劇場にて初日を迎えた。これに先駆けて初日前日となる14日には初日前会見と共に公開ゲネプロ(通し稽古)が行われた。

舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』

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本作は、フランスの劇作家エドモン・ロスタンが1897年に発表。17世紀中盤のパリを舞台に、正義感が強く権威におもねらない剣豪シラノの命を賭けた純愛を描いた物語。マキノノゾミと鈴木哲也が上演台本を手掛け、演出を鈴木裕美が、音楽を清塚信也が担当している。(清塚は劇中でも舞台上で「楽士」という役どころで演奏する)

舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』

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ガスコン青年隊に身を置き、仲間たちから絶大なる信頼を置かれているシラノは、剣の腕前だけでなく、詩の才能をも持つ、文武両道の騎士。ただ生まれ持った大きな鼻が唯一のコンプレックス。想いを寄せる美貌の従姉妹ロクサーヌに片思いしているが容姿を恥じて打ち明けられない日々を過ごしていた。

舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』

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しかし、シラノの胸の内を知らないロクサーヌは容姿端麗な青年・クリスチャンに惚れてしまい、彼がシラノと同じガスコン青年隊に配属されたことを知って、こともあろうにシラノに恋の仲立ちをお願いする。心が押しつぶされそうになるのをこらえつつ、愛する女性のたっての願いをかなえようとするシラノ。クリスチャンは非常にすばらしい青年でシラノも好意を持つが、残念ながら美麗な詩を紡ぐ才能がまるでない。やむなくシラノがクリスチャンの代わりにロクサーヌへのラブレターを書き始めるのだった……。

舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』

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会見には吉田のほか、黒木瞳大野拓朗白洲迅六角精児が登壇した(※ゲネプロではクリスチャン役を大野拓朗が務めた)。この日が初披露となる吉田シラノの立派な鼻の存在にどうしても目がそそがれる。吉田は「この鼻、重くもなければ痒くもないんです。本当によく出来ていますので、皆さんにも一度付けてもらいたいくらい。ただ、下が見えない事があって、階段を降りる時とか少し怖いんです」と笑いを誘った。

舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』

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本作では吉田が敵を相手に見せる“100人斬り”に代表される様々な殺陣が見どころの一つ。「最初から最後まで出ずっぱりで、階段を駆けあがり、駆けおり、100人を斬り……黒木さん演じるロクサーヌに振られ、大野と白洲のクリスチャンとロクサーヌの恋を助け、と、獅子奮迅の活躍をしております」と語る吉田。その言葉にもあるとおり、ロクサーヌへの熱い想いを美しい言葉で語り紡ぎ、さらには鼻持ちならない権威に対してもおもしろおかしく、だが本質を鋭く突く数々の台詞を立て板に水のごとく口から放っていくその姿も見ごたえ抜群だ。

舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』

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その吉田の姿はクリスチャン役の大野や白洲にも伝わっている。大野は吉田たちの圧巻の殺陣に「カッコいいですし、尊敬という言葉しか思い浮かばないです」とコメントし、大先輩たちとの共演について「舞台上で少しでも爪痕を残し、楽しい舞台になるようがんばりたい」と力を込める。その気持ちは白洲も同じで「鋼太郎さんのエネルギーがすごいので、負けないようにしたいです。(鋼太郎さんの)殺陣は手数が多いうえに、すべての所作が美しいんです」と吉田への敬意と憧れを示していた。

舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』

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吉田から「この人、六角さんです(笑)」とあえて紹介されるくらい、元の風貌が想像できないド・ギッシュ伯爵姿の六角も吉田には舌を巻く。「人間っていうのは、こんなに台詞を覚えられるものなのか?というほど、鋼太郎さんは台詞をしゃべっておられます。私はこの舞台にバイプレイヤーとして違った色を添えられたらいいと思います」と、タイトルロールを引き立てたいという想いを込めてコメントしていた。

舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』

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そしてヒロイン・ロクサーヌ役の黒木ももちろん吉田を絶賛。「鋼太郎さんがすばらしいので、私たちは“盛り上げ隊”として日々頑張っています。今は初舞台のような新鮮な気持ちです」と微笑みを浮かべると、横で吉田がまんざらでもないと言わんばかりの笑顔を見せていた。

舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』

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「さあ、これからやってやるぜ!という気持ちが高まっています」と気合いを入れる吉田。「目指すのは“高級大衆演劇”です。お客さんからも手拍子や掛け声をかけていただきたいです。この物語はフランスの古典ではありますが、非常に身近な純愛もの。小難しさもありませんので、楽しんでいただけると思います」と本作の楽しみ方をアピール。ついには「こんなにおもしろくなるとは思わなかった!という仕上がりです」と胸を張っていた。

舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』

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ゲネプロではシラノの強く正しい理想的な騎士としての姿が随所に見ることができ、その一方で、ロクサーヌへの叶わぬ想いに苦悩する姿や、クリスチャンの姿を借りて溢れんばかりの想いをロクサーヌに伝える純粋かつ情熱的な姿など、誰もがシラノを愛し、涙し、応援したくなる要素しか存在しなかった。そう言っても過言でないくらい非常に魅力的なシラノが描かれていた。そう思わせるのは、演じる吉田の役者としての優れた技量、そして吉田の愛すべきキャラクターが、どこかシラノと重なって見えるからかもしれない。吉田の「当たり役」がまた一つ誕生した。

舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』

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取材・文・撮影=こむらさき

公演情報

舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』
 
■日程・会場:
【東京公演】2018年5月15日(火)~30日(水) 日生劇場
【兵庫公演】2018年6月8日(金)~10日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

■作:エドモン・ロスタン
■上演台本:マキノノゾミ 鈴木哲也
■演出:鈴木裕美
■音楽:清塚信也
■主催:東宝 ホリプロ
 
■キャスト
シラノ・ド・ベルジュラック:吉田鋼太郎
ロクサーヌ:黒木瞳
クリスチャン(Wキャスト):大野拓朗/白洲迅
ル・ブレ:大石継太
ラグノー:石川禅
ド・ギッシュ伯爵:六角精児
ほか
 
■公式サイト:http://www.tohostage.com/cyrano/
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