H ZETTRIO 12か月連続配信中の楽曲たちから高まるライブへの期待、すべての人を笑顔にする魔法の音楽を生み出す3人が語るバンドのリアルと意外な野望

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2019.3.9
H ZETTRIO/H ZETT KOU(Dr/銀鼻)、H ZETT M(Pf/青鼻)、H ZETT NIRE(Ba/赤鼻) 撮影=大橋祐希

H ZETTRIO/H ZETT KOU(Dr/銀鼻)、H ZETT M(Pf/青鼻)、H ZETT NIRE(Ba/赤鼻) 撮影=大橋祐希

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12か月連続配信リリースという破天荒な企画をぶち上げて、華々しく幕を開けたH ZETTRIOの2019年。1月の曲「Journey」は軽快なラテンビートをロックのパワーでブーストし、2月の「幻想ノスタルジック」は静謐なバラードとリズミックなサンバを組み合わせ、3月の新曲「Lovely」は緩急自在の複雑な構成をジェットコースターの如く一気に駆け抜けるスリリングな1曲。どれも明快でキャッチーなメロディが輝く曲ばかり、いやがうえにも期待高まるスタートダッシュだ。ライブも絶好調、2月には静岡で過去最大キャパのライブを成功させ、4月27日には大阪城音楽堂、5月5日には東京・新宿文化センターにて、恒例の『こどもの日Special』のダブル開催、そして下半期のツアー『H ZETTRIO TOUR 2019 – 気分上々 -』も決定。リリース前にライブで新曲をどんどん披露していくようだ。子供は無邪気にくるくる踊り、大人は超絶技巧にブラボーと叫ぶ、すべての人を笑顔にする魔法の音楽。H ZETTRIOは今年も僕らを幸せにしてくれる。

――毎年恒例の連続配信シリーズ。去年はお休みしましたけど、2年振りに帰ってきました。

H ZETT NIRE(以下、NIRE):これが12月まで続くと、最長になるんですよね。

――そうなんです。今までは8か月が最長だった。

NIRE:もう全部録ってあるんでしょ?と思われるかもしれないですけど、違います。必死でやってます。

H ZETT KOU(以下、KOU):今年いっぱいやれば、おのずと12曲あるわけですから。アルバムができますね。

――このやり方のメリットは、どう感じてます?

KOU:今年に関しては、偶然ですけど、平成からの移り変わりがあるじゃないですか。そこをまたいで12曲出すのは、何か特別感があるかなと。

――確かに。今しかできない企画。

KOU:後半は、曲調が変わってきたりしてね。

NIRE:新しい元号っぽい感じの。

――どんな感じだ(笑)。

NIRE:でも毎月1日に出るのがいいですね。新しい気持ちになれるというか、“あ、新しい月になったな”みたいな。

――今のところ3月までの3曲を聴かせてもらってるんですけどね。どれもメロディがすごく良くて、躍動的でキャッチーで、いい曲ばっかり。

KOU:天才ですね。現代のモーツァルト。

H ZETT M(以下、M):いやいやいや!(笑)

――メロディメイカーとして乗ってる感じがしますよ。最近どうですか。

M:最近は『SPEED MUSIC - ソクドノオンガク』(テレビ神奈川/毎週1曲J-POPカバーを披露中)もやってますし、演奏というところでも底上げがあって、それが曲に反映されている気がしますね。

KOU:継続は大事です。

M:大事ですね。いろいろ見えてくるものがあります。継続してやってると、“ここはこうしたほうがいいな”というものが見えてくるので。どんどん理想が高くなって、そこを目指すようになると、“次はどうしよう”と悩むことがなくなるので。

――順番に聞いていくと。まず1月配信の「Journey」はどんなイメージで?

M:こういう曲にしたいとか、特に考えてはいないんですけど、まあ、できちゃったというか。作ってたらできたという感じです。

NIRE:僕も、弾いてたら録れちゃいました(笑)。

KOU:“レコーディングしなきゃ”“じゃあ曲が必要だよね”って、集まった当日に作るみたいなこともあるからね。“こういうの録れちゃった”みたいな。

NIRE:ラテンビートの曲は、前からいろいろやってきてはいるんですけども。奥が深いので、掘り下げ甲斐があるというか。

――面白いですよ。ベースラインはラテンだけどKOUさんのリズムはラテンじゃない。

NIRE:ラテンの人に聴かせたら“違うだろ”って言われる(笑)。

――そこがいいんです。独特のミクスチャー。

KOU:サンバのリズムほど速くなく、ゆったりしてるんだけども。何と言ってもメロディが、ゆったりしている中に力強さがあって、海をイメージしたんですよね。航海している感じ。

M:今までやってきたことを、常にアップデートしていく。その結果を出していってる感じだと思うんですよ。というのも、別人のバンドですけど、以前に「Hale no sola sita ~LA YELLOW SAMBA~」という曲をやった時に、ミュージックビデオに出てもらったブラジルのサンバダンサーに「コレ、サンバジャナイネ」と言われた、そういうところから始まってるので。

――あはは。ブラジル人に言われた。

M:でもそれが、何か知らないけどドカン!と盛り上がるところもあるので。本流のサンバではないけど、ちょっとズレたところでワーッとなる経験をして、そういう積み重ねですかね。ここでこうしたらドカン!となる、ここの和音をこうしたらおいしくなる、とか。ちょっとの積み重ねが出てきてるんじゃないですか。

NIRE:継続ですね。ラテンは継続なり。

M:ジャズです、ラテンです、というものも確かにあるんですけど。それも含めた、じゃあ我々としてはどうやるか?というところで、面白いものができたらいいなという考えのもと、ジャズやラテンをやるというよりは、我々の音楽をやるというほうにシフトしてやっている感じですね。


■12ヶ月連続リリース、今後の展開は?


――素晴らしい。そして2月の曲「幻想ノスタルジック」は。

NIRE:これは沖縄の話が来てから作ったの?

M:そう。沖縄の東南植物楽園というところがありまして。すごい広いテーマパークで、夜になるとイルミネーションがそこらじゅうにあって、ピカピカで、高校生はみんなそこに行こうみたいな、デートスポットにもなってるんでしょうね。そこのCMソングの依頼を受けまして。

NIRE:冬の間のライトアップのテーマソングですね。

M:クリスマスに一番人が集まるということで、クリスマスソングになりかけましたけど。最初のほうとか、クリスマスっぽすぎるかな?と思いましたけど、まあいいかなと。キラキラした、というイメージですね。

NIRE:クリスマスにぜひ演奏してくれというオファーが来たので、去年の12月25日に、キラキラに囲まれて演奏してきました。

M:ゴルフのカートに電球がいっぱいついていて、3人がそれに乗って登場したという。

KOU:楽屋からステージまで、それで移動したんですけど、もうみんなに見られて。

NIRE:あれは恥ずかしかった(笑)。

KOU:派手なイルミネーションの華やかさもありつつ、ちょっと寂しげな雰囲気も漂わせる、作曲の技と言いますか。すごいですね。メロディというか、コード感というか。

――まさに。そして最新曲が3月の「Lovely」ですよ。

M:これは、大阪のクリスマスイルミネーションショーのときに、クリスマスVer.として先に公開されてたんですが、その原曲というかオリジナルVer.になります。

NIRE:イルミネーションショーは2年前にもやらせてもらったんですよね。祝祭広場というところに、ヒンメリ(*フィンランドの伝統的装飾品)というイルミネーションが飾られるんですけど、それが1時間に1回、音と光でショーをやるんです。

M:そのヒンメリというのが、3階ぶんくらいある、ものすごく大きくて、それが回るんですよ。そこに光がバーッと当たってキラキラって。

KOU:そこに我々の音楽がドーン!と流れる。

M:そのクリスマスバージョンはテンポが遅くて、キラッ、キラッっていう感じなんですけど。今それを出すとなると、クリスマス時期でもないですし、テンポや和音を変えて工夫を凝らして、という感じです。

――それこそ、どこか北欧か東欧の民謡みたいな、ノスタルジー感あるきれいなメロディ。それをキース・エマーソンばりに派手に弾きまくるMさん。プログレを感じましたね。プレイヤー的には、どんな楽しみが?

KOU:楽しく演奏してます。ドラムの話で言うと、同じパターンをずっと繰り返す曲ではなくて自由度、即興性が特に高い曲です。確かに途中ちょっとプログレっぽくなるとこもありますね。

NIRE:ベースはジャズっぽいけど、たぶん違うんですね。さっきの話と同じですけど、ジャズのベースとは違う弾き方をしているし、ロックに近いかもしれない。そういうものを前から研究しているというか、サンバダンサーに“サンバじゃねえよ”と言われた時期から、そういうものをやってたんですね。ドラムはロックのパターンで、ベースはジャズとか。なんだけど、弾いてみると、乗り方が全然違うんですよ。普通にロックみたいな弾き方で、ジャズっぽいベースラインを弾くというやり方を覚えたというか。今回も、そっちに近いですね。

――NIREオリジナル。

NIRE:そうなんですかね? それを最初にやった時には、すごい画期的だと思ったんですけど。すでに自分の中にそういうものがあるというか、コツというか、それをアップデートしたような弾き方ですね。

――ためになるなあ。なんで「Lovely」なんですか。

M:クリスマスの曲であり、クリスマスの曲ではないということを、両立させる言葉を探してまして。

――ああそうか、タイトルは最近ついた。

M:いや、最初から……どうでしたっけ? そうだ、最初はもっとアートな、何ならピアノ1台だけの曲でということだったんですけど、“やっぱり3人で、可愛い感じで”というふうに変わってきて。クリスマスっぽいわかりやすい曲のイメージになったんですよ。それを引き継いだタイトルですね。

KOU::新しいバージョンの「Lovely」は、最初はゆったり始まるけど、3人が入ったらあっという間に駆け抜けていく。

――コンパクトでポップ、メロディアスでキュート。さあ、次はどうなりますか。Mさん、4、5、6曲目に向けた展望は。

M:そうですね。「メシ」をどのタイミングで導入するか。

――出た(笑)。「メシ」シリーズ(*これまで3曲。KOUの主役から始まったコミカルな曲)は、やらざるを得ないですね。もはや。

NIRE:あれは三部作だと思わせておいて、実はまだ続きがあったみたいな。

KOU:あれ、『こどもの日Special』でも喜んでくれるんだよね。

NIRE:子供はご飯が好きですからからね(笑)。

■下半期のツアーは、“フレッシュ or 熟成?”

H ZETTRIO 撮影=大橋祐希

H ZETTRIO 撮影=大橋祐希

――楽しみです。今後のライブは、その『こどもの日Special』が4月27日に大阪城音楽堂、5月5日に東京・新宿文化センター。

NIRE:大阪は初めてですね。

M:『こどもの日Special』はとても評判が良くて、ぜひ大阪にも来てほしいという声が、多数あったと聞いております。

NIRE:野外なので気持ち良くできると思います。去年、東京の日比谷野音でやった時も、すごく良かったので。だんだん日が暮れて暗くなっていく、雰囲気も良かったし。

KOU:『こどもの日Special』だと、泣き声や騒ぎ声も構わず聴こえるんですけど、それがH ZETTRIOの音楽と一緒になって、逆に面白いよね? 全然騒いでもらっていいので。

NIRE:そのほうがお互いに楽なので。“騒いでいいですからね。こどもの日Specialですから”って堂々と言っちゃう。

――そして夏から、怒涛のツアーが。全国24本のホールツアーが始まります。

NIRE:今年は7月から年末くらいまで、長期に渡るので。去年とはまた違いますね。

――去年の『濃縮還元遊戯舞台』は、1か月に20何本やりましたけど。今年は長期熟成型ツアーですかね。

M:リリース前の新曲もどんどん披露していこうと思ってます。煮込んで行くタイプですね。

NIRE:連続配信よりさらに早いペースの展開が理想ですね。どんどん曲が増えていきますので、先取りしたいお客さんはさらに楽しめるんじゃないかなと思いますね。

KOU:煮込むと言ったけど、今回のツアーはライブとライブの間がけっこう空いてるから。料理でも、煮込んだあとに一回さますと、味が沁み込むんですね。

――どんどん味が良くなるツアー。とか言うと、最初のほうに行く人に悪いか(笑)。でも最初はフレッシュだから。

M:フレッシュ or 熟成? という感じですね。

――いいですね。違う味が楽しめる。

KOU:しかも間が空いてると、“今回はこうだったな”って冷静になれるから。そういう意味でもいいかもしれない。ガーっと詰めたツアーを去年やったんですけど、真逆なので、これはこれでいいですよね。

――話が前後しますけどね。2月10日の静岡グランシップでのライブ、どうでした? 最大4600人という、バンド史上最大キャパに挑戦しましたけれども。

NIRE:良かったですよ。ここ何年かよく一緒にやらせてもらってるポイラボのみなさんと、和楽器のAUN Jクラシック・オーケストラのみなさんにも出てもらって、すごく盛り上がりましたね。

KOU:和楽器と、こんなにハマるとは思わなかった。尺八、三味線、篠笛とかね。それも『SPEED MUSIC-ソクドノオンガク‐』でコラボして、その流れでグランシップでも一緒にやったんですよ。

NIRE:ポイラボのほうも、1月に配信した「Journey」という曲のミュージックビデオを一緒に作ってくれて。ポイ(ジャグリング用の紐)を回したい人をお客さんの中から募って、みんなで回しながら曲を演奏するミュージックビデオを作ったんですけど、すごく楽しい空間でしたね。

――毎年アップデートされ続けるH ZETTRIO。あえて聞きますけど、でっかい野望とかないですか。あんまりそういうこと言わない人たちですけども。

M:そうなんですよね。こつこつタイプなので。

NIRE:とりあえず、目の前の山を登るのに必死です。何事も継続するのが大事なので、それをやり続けたいですね。でも記事的には大きいこと言ったほうがいいですよね(笑)。何かあります?

KOU:NIREさんはホノルルマラソン目指してるんでしょ?

NIRE:個人的に、そういうのはあるけど。

――かっこいい。それはでかい野望じゃないですか。

NIRE:それも継続していきたいなと思ってます。市民マラソンとかに出ると、おじいちゃんで走ってる人がいっぱいいるわけですよ。タイムに関係なく、ずっとやってるのがすごいなと。僕も速さよりは、ずっとやりたいと思ってるので。

KOU:続けるとタイムも良くなるでしょ。

NIRE:体調も良くなっていくし、自分的にはプラスですね。あとは4時間の壁を切りたいです。

KOU:僕は老眼が進行して、スマホを見る時もどんどん遠くなっていくんですよ(笑)。演奏してる時も、近いものはほとんど見えてないから、雰囲気で叩いてるんですけど。

NIRE:“これタムかな”って?

KOU:タムかと思ったらシンバルだった、みたいな(笑)。目を使いすぎてたのかなと思うので、これからはあまり使わずに。そうすると第六感みたいなものが出てきて、3人のテレパシーで、次の境地に行けるんじゃないかと。ニュータイプですよ、ガンダムの。

M:いいですね。ニュータイプになろう。

NIRE:そこまでいけば、おじいちゃんになってもイケるんじゃないですか。

――つまり、一生やり続けると。頼もしいです、進化し続けるH ZETTRIO

NIRE:見守ってほしいです。


取材・文=宮本英夫 撮影=大橋祐希

H ZETTRIO 撮影=大橋祐希

H ZETTRIO 撮影=大橋祐希

 

ライブ情報

H ZETTRIO HALL TOUR “Lovely 2019”
3/30(土) 兵庫県・赤穂市文化会館ハーモニーホール 大ホール
3/31(日) 兵庫県・丹波市立ライフピアいちじま 大ホール
OPEN 16:00 / START 17:00
発売中 前売 ¥4,000 tax in、全席指定
※3歳以下入場不可、4歳以上必要


H ZETTRIO こどもの日Special in 大阪野音 - Virtual World (Jazz) -
4/27(土)大阪城音楽堂
開場15:00 開演 17:00
発売中 前売 ¥5,000
※全席未定・tax in ※年齢制限なし
※大人一枚につき未就学児の膝上鑑賞可(座席が必要な場合は購入が必要)

H ZETTRIO こどもの日Special in 東京新宿 – Virtual World (Jazz) –
5/5(日)新宿区立新宿文化センター 大ホール
OPEN 15:00 / START 16:00
: 前売 ¥5,000 / 当日 ¥5,500
※全席指定 tax in,
※大人一枚につき未就学児の膝上鑑賞可(座席が必要な場合は購入が必要)
一般発売日:3/16(Sat.)~

H ZETTRIO TOUR 2019 – 気分上々 –
7/6(土) 岐阜 バロー文化ホール(多治見市文化会館) 大ホール
7/13(土) 東京 町田市民ホール
8/23(金)  東京 かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
9/14(土) 山口 シンフォニア岩国 コンサートホール
9/23(月) 小樽  GOLD STONE
9/28(土) 神奈川 ハーモニーホール座間 大ホール
10/5(土) 香川  香川県教育会館 ミューズホール
10/12(土) 石川  石川県文教会館
10/20(日) 広島  広島市南区文化センター
10/26(土) 新潟  新潟市秋葉区文化会館
11/4(月) 宮崎  宮崎市清武文化会館 半九ホール
11/9(土 静岡 富士市文化会館ロゼシアター 中ホール
11/10(日) 長野 ホテルメルパルク長野 メルパルクホール
11/16(土) 宮城 仙台銀行ホール イズミティ21
11/23(土),24(日) 札幌 道新ホール 
11/27(水) 秋田 秋田県児童文化会館みらいあ・けやきシアター(子ども劇場)
11/29(金) 愛知 青少年文化センター(アートピア)
12/6(金),7(日)福岡 都久志会館
12/8(日)三重 川越町あいあいホール
12/14(土)東京 たましんRISURUホール(立川市民会館) 
12/21(土),22(日) 大阪 メルパルクホール

リリース情報

12ヶ月連続配信リリース第三弾
「Relax Time」

2019年4月1日配信

12ヶ月連続配信リリース第三弾
「Lovely」

2019年3月1日配信

12ヶ月連続配信シングル第二弾
「幻想ノスタルジック」

2019年2月1日配信 

12ヶ月連続配信シングル第一弾
「Journey」

2019年1月1日配信
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