【ストレイテナー・山人音楽祭 2019】惜しみなくキラーチューンを連打して初登場の山人を席捲

山人音楽祭 2019【赤城ステージ】　ストレイテナー

ギターの大山純が前橋の出身で、G-FREAK FACTORYの茂木洋晃とは高校の先輩後輩の間柄だというストレイテナーは、今年、『山人音楽祭』に初参戦。SEにのせてステージに登場すると、まず、ナカヤマシンペイ（Dr）がパワフルなドラムを叩き出し、日向秀和（Ba）の骨太なベースが加わると、最後にホリエアツシ（Vo/Gt）と大山純（Gt）の2本のギターが重なった。

たっぷりと聴かせた黒めのセッションから、ファンキーな「DONKEY BOOGIE DODO」へ。ナカヤマがドラムのスティックを高い位置から振り下ろし、バンドの攻撃性を一気に解放するような「From Noon Till Dawn」は、原曲はホーンを交えたアレンジだが、その熱量を4人の音で凌駕しようとする気迫の演奏だ。

「勇気ある人に贈る曲を」と伝えてから、ホリエが鍵盤を弾きながら歌い、次第にも高まってゆくエモーショナルが言いようのない高揚感を生み出した「Braver」、生命力に満ちた大らかなサウンドのなかで、すべての人を救い上げるよう優しいメロディを紡ぐ「DAY TO DAY」。悲しみや痛みを抱きしめながら、それでも前を向いて生き続けるためのストレイテナーの音楽が、心の深い部分と沁みわたっていく。美しいサウンドケープのなかで丹念にメロディを歌い上げる。

「SIX DAY WONDER」は、このあとに出演するACIDMANが、テナーのトリビュート盤でカバーした楽曲でもある。かねてからこの曲を好きだという大木伸夫の気持ちを汲んで、この日のセットリストに組み込んだのかもしれない。

開放感あふれる新曲「スパイラル」のあと、『山人音楽祭』の開催に寄せて、「バンドがこうやってフェスをやるのはすごく大変なことだと思います。真似できない。G-FREAKは言葉が強くて、俺はライブを見るたびに、胸を打たれて、もっとがんばらなきゃなと思ってます。またかっこよくなって帰ってくるので、呼んでください」と、ホリエ。「Melodic Storm」から、間髪入れずに「シーグラス」という鉄板のライブアンセムで締めくくると、最後はステージ際に並び立った4人で肩を組み、深く頭を下げた。

文＝秦理絵　撮影＝HayachiN