能のスタイルを用いた音楽劇『未練の幽霊と怪物』を、チェルフィッチュ主宰の岡田利規が上演 森山未來、片桐はいり、栗原類ら出演

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2020.2.3
(上段左から)森山未來、片桐はいり、栗原類(下段左から)石橋静河、太田信吾、七尾旅人

(上段左から)森山未來、片桐はいり、栗原類(下段左から)石橋静河、太田信吾、七尾旅人

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2020年6月3日(水)~24日(水)KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ、その後、 豊橋・新潟・兵庫にて『未練の幽霊と怪物』が上演されることが決定した。

本公演は、現代演劇の旗手として国際的に活躍、2019年12月にミュンヘンで初演された『The Vacuum Cleaner』が、ドイツ演劇の年間ベスト10を上演する「テアタートレッフェン 2020」にも選出された劇作家・演出家の岡田利規(チェルフィッチュ主宰)が、現存する世界最古の舞台芸術「能」に触発された新作。

岡田がドイツ公立劇場の名門、ミュンヘン・カンマーシュピーレの委託で創作し、2017年2月に発表した「NO THEATER」の日本版進化形で、本公演では、同作と同じく能の上演形式にのっとり、間狂言を挟む二つの演目を上演する。

構想中の演目は、ザハ・ハディドをシテにした『挫波』。そして、高速増殖炉「もんじゅ」をめぐる『敦賀』。『挫波』は、2012年に新国立競技場の設計者としてコンペで選ばれ、日本でも一躍脚光を浴びた天才的な建築家「ザハ・ハディド」。後にその採用を白紙撤回され、その後失意のうちに没した彼女が、2020年の千駄ヶ谷に現われるというもの。
そして『敦賀』は、1985年の着工以来1兆円を超す巨額の資金が投じられながら一度も正式稼動することなく廃炉の道を辿る高速増殖炉「もんじゅ」。夢のエネルギー計画を実現するべく、希望を抱いて「もんじゅ」の設立・計画にかかわってきた人々の思いが、もんじゅを臨む敦賀の浜辺に現れる、とのこと。

作・演出を務めるのは、従来の演劇の概念を覆すと評され、創作した作品は世界30都市以上で上演をかさねるなど国内外での活躍が目覚しい、作家・演出家・チェルフィッチュ主宰の岡田利規。

音楽は維新派の音楽監督に32年にわたって携わり、UA、Salyu、細野晴臣、カルメンマキなどの作・編曲、プロデュースのほか、即興演奏などでも自在に活躍する内橋和久が担当。ダクソフォン3重奏を率いて、能の囃子方の役を担う。

出演者には、個性的で才能あふれる俳優・アーティストが集った。俳優、そしてダンサーとしても常にその活動が注目される森山未來をはじめ、無二の存在感を放つ片桐はいり、独自の個性で俳優としても活躍目覚しい栗原類、若手の実力派女優、ダンサーでもある石橋静河、チェルフィッチュ作品にも多数出演し、映画監督としても話題を集める太田信吾が名を連ねる。さらに、シンガー・ソングライターの七尾旅人が出演。類まれな歌い手の七尾が、劇中では謡をつとめ、内橋率いる演奏家とともに音楽劇としての能の根幹を担う。

岡田利規 (作・演出)  コメント

岡田利規 (C)Kikuko Usuyama

岡田利規 (C)Kikuko Usuyama

社会とその歴史は、その犠牲者としての未練の幽霊と怪物を、ひっきりなしに生み出して来て、今だって生み出し続けています。
わたしたちはそれら幽霊や怪物のことを見ないこと忘れてしまうことを、その気になればできちゃうし、そのほうが快適な向きは確かにある。
でもそれらに、つまり直視しないこと忘却することに、抗うために、能という演劇形式が持つ構造を借りて、音楽劇を上演します。

<プロフィール>
演劇作家/小説家/チェルフィッチュ主宰
1973年横浜生まれ、熊本在住。従来の演劇の概念を覆す創作活動で、国内外から注目される。2005年『三月 5日間』で第49回岸田國士戯曲賞を受賞。
同年7月『クーラー』で TOYOTA CHOREOGRAPHYAWARD 2005ー次代を担う振付家の発掘ー」最終選考会に出場。2007年デビュー小説集『わたしたちに許された特別な時間の終わり』を新潮社より発表、翌年第2回大江健三郎賞受賞。12年より岸田國士戯曲賞の審査員を務める。13年には初の演劇論集『遡行 変形していくための演劇論』、14年には戯曲集『現在地』を河出書房新社より刊行。1年よりドイツ有数の公立劇場ミュンヘン・カンマーシュピーレのレパートリー作品演出を4シーズンにわたって務める。
18年8月にはタイの小説家、ウティット・へーマムーンの原作を舞台化した『プラータナー:憑依のポートレート』をバンコクにて発表、12月にフェスティバル・ドートンヌ(パリ)、2019年には東京で上演。読売演劇賞優秀演出家賞、優秀スタッフ賞を受賞。KAATとは2011年の開館より関わりが深く、チェルフィッチュの5作品を上演、15・16年には自身初となるキッズプログラム『わかったさんのクッキー』を創作、全国13都市で上演した。

公演情報

KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース 『未練の幽霊と怪物』
 
作・演出:岡田利規
音楽監督・演奏:内橋和久
出演:森山未來、片桐はいり、栗原類、石橋静河、太田信吾/七尾旅人(謡手)

日程・2020年6月3日(水)~24日(水)
会場:KAAT 神奈川芸術劇場 <大スタジオ>
 
発売:一般発売4月4日(土)~
 
企画製作・主催:KAAT神奈川芸術劇場
公式ホームページ:https://www.kaat.jp/d/miren 

その他の公演日程:
<豊橋公演>
日程:2020年6月27日(土)~28日(日)
会場:穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール 
主催:公益財団法人豊橋文化振興財団

<新潟公演>
日程:2020年7月1日(水)
会場:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場 
主催:公益財団法人新潟市芸術文化振興財団

<兵庫公演>
日程:2020年7月4日(土)5日(日)
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール 
主催:兵庫県、兵庫県立芸術文化センター
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