「自粛を記録し、上演する」 ヌトミックが約20時間の音楽作品をリリース

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2020.6.12
 『Our play from our home』ジャケット ©︎ヌトミック

『Our play from our home』ジャケット ©︎ヌトミック


演劇カンパニーのヌトミックが、音楽作品『Our play from our home』を、2020年6月12日(金)19:00に配信リリースした(配信URLは、下記「配信情報」参照)。

同作はヌトミックの4人のメンバーの自宅の生活音と、19個の「play」で構成された音楽作品。録音は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、外出自粛が叫ばれていた2020年5月に実施された。メンバーそれぞれの起床時間から就寝時間までをほぼノーカットで収録しており、作品の長さはおよそ20時間に及ぶ。

膨大な録音の中には、4人のメンバーによる19個の「play」が潜んでいる。本作におけるplayとは演奏すること、演じること、話しかけることなど「その場にいない、誰かに向けた行為」である。一人で演奏をすることもあれば、決められた時刻に一斉に音を出すといった複数人のおこないまで、生活音に潜む様々なplayが収録されている。一部のplayを除き、メンバーもお互いの状況を確認することができない中で録音が進められた。

出演者はヌトミックの河野遥、長沼航、原田つむぎ、深澤しほ。なお各トラックにつけられたタイトルは、録音された時刻と、トラック内の聴きどころを擬音語で表している。

ヌトミックは、2016年に東京で結成された演劇カンパニー。「上演とは何か」という問いをベースに、音楽のバックグラウンドを用いた脚本と演出で、パフォーミングアーツの枠組みを拡張していく作品を発表。俳優のみならずダンサー、ラッパー、映像作家などとのコラボレーションも積極的におこなっている。主な作品に『SUPERHUMAN』(2018)、『アワー・ユア・タワーズ』(2019)、『それからの街』リクリエーション(2020)など。また「ヌトミックのコンサート」と題したライブパフォーマンスも定期的に開催。

カンパニーを主宰する額田大志は、演出家・作曲家・劇作家。東京藝術大学で作曲を専攻、現代音楽、舞台音楽、映像音楽を中心に学び、並行して舞台芸術の創作を開始した。俳優やダンサー、ミュージシャンなど、出自の異なるパフォーマーの個性を最大限に活かして作品を立ち上げるボーダレスな演出を得意とする。2017年にはバンド「東京塩麹」のメンバー(作曲・キーボード担当)としてデビュー、その1stアルバム『FACTORY』はスティーヴ・ライヒから称賛された。第16回AAF戯曲賞大賞、こまばアゴラ演出家コンクール2018最優秀演出家賞を受賞している。


■額田大志コメント

「歴史に載ることがない記録」を残すために、日常生活の録音を始めた。
刺激的で快楽的な情報からは程遠い。しかし、確かに同時代を生きている私たちの記録を残しておきたい。これは歴史の教科書には掲載されない「その他大勢」の私たちが、どのように2020年5月を生きていたかの録音である。

一方、本作は「記録」であると同時に「上演」でもある。
20時間に及ぶ膨大な録音の中に、私たちは19個の「play」を潜ませた。「play」は遊びであり、演奏であり、演劇である(そして、それ以外にも無数にある)。私たちが上演だと考えるありとあらゆるものが、この録音の中には潜んでいる。

私たちにとって、今できる「上演」はここにある。これから先、どのような事態が待ち受けていても、私たちは上演を続けていくだろう。

ヌトミック主宰・額田大志

 

配信情報

ヌトミック『Our play from our home』
 
■作曲:額田大志
■出演:河野遥、長沼航、原田つむぎ、深澤しほ


■〈WEBサイト〉ヌトミック *:
https://nuthmique.com/post/620570772828733440/ourplayfromourhome

 
 
■ヌトミック公式サイト:https://nuthmique.com/
 
■楽曲一覧
 
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