二宮和也主演映画『TANG タング』の三木孝浩監督×劇団四季『ロボット・イン・ザ・ガーデン』の演出 小山ゆうなが特別対談

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2022.7.28
三木孝浩(左)と小山ゆうな

三木孝浩(左)と小山ゆうな

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イギリスのデボラ・インストールによる小説『ロボット・イン・ザ・ガーデン』を原作とした、二宮和也主演の映画『TANGタング』が2022年8月11日(木・祝)に公開される。ゲーム三昧で妻に家を追い出されたダメ男・春日井健(二宮和也)が、記憶をなくした迷子のロボット・タングと出会い、壮大な冒険を繰り広げる中で、人生の宝物を見つけていくというストーリーだ。

今回、SPICEでは映画『TANG タング』の三木孝浩監督と、2020年10月に開幕した劇団四季のミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』を演出した小山ゆうなによる特別対談を取材。原作は同じでありながら、映画と演劇の表現の違いや創作の過程での工夫を語ってもらった。また、実は大学の同じ演劇サークル出身という共通点を持つ2人。互いの印象やこれからのクリエイターとしての夢なども聞いた。

同じ小説を原作とした映画と舞台。創作の工夫や苦労とは?

――三木監督は劇団四季の『ロボット・イン・ザ・ガーデン』をご覧になったそうですが、感想を教えていただけますか。

三木孝浩(以下、三木):すごく素敵な舞台でした。気持ちを歌にしたり、外国人の設定であってもそのまま日本人が演じたり、ミュージカルはいろいろなことをデフォルメするメディアだと思っているのですが、僕も今回『ロボット・イン・ザ・ガーデン』を映画化する上で、寓話的というか、少しデフォルメされた世界観を表現したかったんですよね。デフォルメの仕方を参考にしたいなと思って、観ていました。

特に面白かったのは、タングの動かし方。「こういう動きをしたら観客は笑うんだ」ということが分かって、タングの首が伸びるシーンは映画の中でも参考にさせてもらいました。舞台版では2人の演者がタングを動かしますが、そこに意外と意味があると思います。1人が動かしてしまうと、その1人の感情が乗っかりすぎてしまうけれど、2人だからこそ、そのどちらでもないタングというキャラクターが浮き立つ。動かしている2人のことを意識せずに見られる。そこが舞台版の面白さだなと思いました。

劇団四季オリジナルミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』(撮影=阿部章仁)

劇団四季オリジナルミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』(撮影=阿部章仁)

――小山さんもいち早く映画『TANG タング』をご覧になったそうですが、いかがですか。

小山ゆうな(以下、小山):私、三木さんの『僕等がいた』(2012)が大好きで、何回も見ているんです。三木さんが映画を撮っていると知ってから、割と追いかけて見ていたので、そういう楽しみがまずあって。それから私たちのサークルの同期である、小手伸也君も『TANGタング』に出ていて……。

三木:そうそう、小手君も同期なんですよ(笑)。

小山:新人公演を一緒にやったんです。それに『TANG』という題字を担当している映像作家さんも、私も舞台で映像を一緒にやっている方なんですけど、同じサークルの人。いろいろなことでドキドキしました。

三木:なかなか普通の気持ちで見られないよね(笑)。

小山:いろいろ嬉しすぎる!と思いながら見始めて、だんだん引き込まれていきました。同じ原作なのに、違う作品でしたね。特にタングの表現は映像ならではだと思いました。舞台版の演出をした際も、例えば目を光らせることができないかなと検討したことがあるんです。でも舞台上だと光っていることがいまいち分からないし、光らせるためにパペットが重くなってしまうんですよね。パペットを重くするに値する効果があるのかなど、いろいろ議論になったんですが、映画ではそういう事もすごく効果的に実現できていて映像の良さを感じました。

映画版では設定を日本に置き換えていましたが、そこでの発見もあって。日本に置き換えてもできるんだ、すごいなと思いながら観ていました。

映画『TANG タング』

映画『TANG タング』

映画『TANG タング』

映画『TANG タング』

>(NEXT)舞台と映画、それぞれのタング

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