「強いからこそ切ない」明日海りお×戸田恵子のタッグが生み出す日本初演ミュージカル『エリザベス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン ‒WAR PAINT‒』

インタビュー
舞台
2023.4.19
明日海りお、戸田恵子

明日海りお、戸田恵子

画像を全て表示(6件)


女性の美に革命を起こした二大コスメブランドの争いを描いたミュージカル『エリザベス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン ‒WAR PAINT‒』(原題:WAR PAINT)が、2023年5月に日本初演を迎える。

2017年にブロードウェイで幕を開け、華やかで美しい世界観が圧倒的な支持を集めた本作は、視覚に訴える華やかさを追求したアーデンと、科学的見地からアプローチしたルビンスタインという、自らの化粧品ブランドを世界的地位へと押し上げた二人のライバル関係と秘められた苦悩を描くミュージカル作品。日本ではこれが初演となり、演出はG2が手がける。

エリザベス・アーデンを演じる明日海りお、ヘレナ・ルビンスタインを演じる戸田恵子に話を聞いた。

おしゃれで美しいミュージカル

――この作品に出演することはどう感じていらっしゃいますか?

明日海:私は映像でブロードウェイ公演のダイジェストを拝見したのですが、題材がコスメの会社なので、すごくおしゃれなミュージカルだなという印象を持ちました。日本語の脚本もいただいて、今までになかった感じの物語だなと感じています。それを今回、G2さんがどんなふうに演出されるのか楽しみな気持ちです。と同時に曲が本当に難しい……。今はそういう楽しみと不安があります。

――戸田さんはこの作品をブロードウェイでご覧になっているそうですね。

戸田:そうなんです。だからびっくりが大きくて。(戸田が演じる)ヘレナ・ルビンスタインを現地で演じていらしたパティ・ルポンさんは、私にとって憧れの大リスペクトの女優さんなものですから。40年近くブロードウェイに通っていますが、彼女が出ている作品は必ず観ています。そんな憧れの方がやっていた役をやらせていただくということにびっくりで。おうけするかどうかも考えましたが、こんなことは二度とないと思うから、チャレンジしてみようと思いました。ただ私は普段からミュージカルに出演しているわけではないので、急にやることが多くなって……。

――やることが多く(笑)。

戸田:そう、身体も丈夫じゃなきゃいけないし、体力もなきゃいけないだろうし、いろんなことが急に……!という感じです(笑)。

――現地で観劇されたときの感想もうかがいたいです。

戸田:とにかく美しいミュージカルだなと。化粧品を取り扱った二人の話だから、女性がたくさん登場して、美容部員の人もいっぱい出てきて、舞台がとてもきれいでした。歌も、たしかに分量が多かった記憶はあるのですが、いま実際に譜面をいただいて、その多さと難しさにまたびっくりしています(笑)。観客として観たときはそんなに難しいとは感じなかったんですけどね。つまり(演じた俳優が)とてもお上手なんだと思います。譜面を見て「こんなに難しい歌を歌っていたの!?」と思いました。

同じ場所にいなくても一番近くに感じる

――役の印象をお聞かせください。明日海さんが演じるエリザベス・アーデンについてはいかがですか。

明日海:自分で調べられる範囲で調べてはいますが、演じるうえでは知識以上に台本をよく読むことが重要かなと思っています。あまりにリスペクトが過ぎると、この作品に描かれているものが出てこなくなっちゃったりしますから。今回のキャストならではのバランスでどう存在するのがいいかとか、そういうことを考えながらつくっていけたらと思っています。

――戸田さんが演じるヘレナ・ルビンスタインについてはいかがですか?

戸田:この役をいただく前のヘレナ・ルビンスタインの印象は、とにかく「金持ち」です。女性として、化粧品会社の創始者として、かなり財を成した方で、「めっちゃお金持ち」という印象を長いこと持っていました。でも今回、脚本を読んで、どこまで史実かはわからないですけれども、(最初からお金持ちだったわけではなく)成り上がっていった人なんだなという印象を強く持ちました。息子と夫もいるんだけど、全然うまくいっていなかったりもしますし。

――タイトルのように、おふたりが「VS」で戦うシーンはあるのでしょうか?

明日海 実は最後の場面までふたりが台詞を交わすシーンはないんですよ。

戸田:一回もないんです。「VS.」ってなってるんだけど、個人戦です。でも同じメロディをエリザベスバージョン、ヘレナバージョンで歌うところとかあって、それはミュージカルならではでおもしろいなと思います。最後まで目があわないですよね。

明日海:はい。だからこそ一番近くに感じているというようなところもあるなと思っています。

戸田:そうですね。同じ場所にいないがゆえに想像力でライバル心が芽生えたり。いい言葉で言えば「切磋琢磨」かもしれない。「あっちがこうするなら、こっちはこうする」としながら、お互いが上がっていく感じはありますよね。

お客様に楽しんでほしい、笑ってほしい

――エリザベスとヘレナの生き方についてどう思われましたか?

戸田 芯の強い二人なので、自分が女優の仕事をしていくにあたっては同感なところもありますが、同調はしたくない、みたいな気持ちも……(笑)。微妙なところですね。でも、女性が活躍する時代よりずっと以前にスタートした二人ですから。相当大変だったと思いますし、憧れる強さがあります。その強さがあるから最後がとても切ないし。

明日海 これほどまで意地を張ってくれたり、ここは譲らないというものを持ってくれている二人を、気持ちいいなと思います。普段の私たちはそんなふうにライバル心を剥き出しにすることはないし、むしろそういう感情はオブラートに包んでいるほうがよかったりしますよね。だからこそ、見ていると「気持ちいいな」と思います。

――共感するところもありますか?

明日海 私も好きでこの仕事をしているので、仕事に対してここまでこだわったり、情熱を捧げて最後まであがき続ける姿をかっこいいと思います。そしてうらやましくもあります。きっと「生きた甲斐があった」と思って死んでいくんじゃないかなって気がしますし。最後は切ないですけど。

――おふたりの共演、楽しみにしています。

明日海 戸田さんのブログを読ませていただくと、フットワークが軽くていらっしゃって。

戸田 軽さが特徴なんです(笑)。

明日海 エネルギーがあってパワフルだなと感じます。よくお芝居も観劇されていますよね。

戸田 趣味ですからね。演じるより観るのが好きで(笑)。

明日海 これからお稽古に入って、いろいろお勉強させていただけたらと思っています。そのパワフルさに負けないようにがんばりたいです。

戸田 いやいやそんな。びっっくりするくらいパワーないから!

明日海 (笑)

戸田 もうね、言ってるんです、「座組で私を労わって」って(笑)。そんな感じでなんとかがんばりたいです。でも本当に珍しいタイプのミュージカルだから。みなさんに喜んでもらいたいです。私たちの組み合わせもおもしろいと思っていただけるように。たくさん女優さんがいらっしゃる中で私を選んでいただいて、これは本当に奇跡だと思っているので。みなさんに楽しんでいただきたいです。たくさん笑っていただける作品にしたいとも思っています。

明日海 エリザベスとヘレナが全く違うところにいるのに運勢がリンクしていたりもして、だから笑っていただけますし、そこに翻弄される男性たちもすごくおもしろいです。私も戸田さんのお芝居を受けてがんばりますので、ぜひ楽しんでいただければと思います。

取材・文=中川實穗 撮影=敷地沙織

公演情報

『エリザベス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン -WAR PAINT-』
 
脚本 ダグ・ライト
音楽 スコット・フランケル
歌詞 マイケル・コリー

翻訳 / 訳詞 / 演出:G2

出演:
エリザベス・アーデン  明日海りお
ヘレナ・ルビンスタイン 戸田恵子

トミー・ルイス     上原理生
ハリー・フレミング   吉野圭吾

朝隈濯朗 後藤晋彦 俵和也
井上珠美 河合篤子 罍陽子 小林由佳 原広実 彩花まり 美麗 吉井乃歌

日程・会場:
<東京公演>2023年5月7日(日)~17日(水) 日生劇場
料金:S席:14,000円 A席:9,000円 B席:4,500円 (税込 / 全席指定)
※未就学児入場不可
車椅子を利用されるお客様はご来場前に必ずお問い合わせへご連絡ください。
※今後の社会情勢に応じて、開演時間ならびにの販売等が変更となる可能性がございます。
出演者変更による払い戻しや他日への振り替えはいたしかねます。

<大阪公演>5月27日(土)~29日(月) 森ノ宮ピロティホール
<名古屋公演>6月2日(金)~4日(日) 御園座
<京都公演>6月8日(木)~13日(火) 京都劇場

公式サイト:https://warpaint.jp/
公式Twitter:@warpaint2023  https://twitter.com/warpaint2023

製作 TBS / 研音
シェア / 保存先を選択