『SAKAI MEETING 2016』をTHE CHINA WIFE MOTORS × GOOD4NOTHINGが語り尽くす
THE CHINA WIFE MOTORS ・TSUNEHIKO KAJITA / GOOD4NOTHING・Utan、MAKKIN
「地元に恩返しをしたい」という気持ちから、大阪・堺出身のバンド、THE CHINA WIFE MOTORSとGOOD4NOTHINGが立ち上げた堺発大型イベント・『SAKAI MEETING』の開催が、今年も決定している。2013年から始まったこのイベントも今回で4回目を迎え、さらに会場も野外ステージにチェンジ。3月18日(金)には第3弾アーティストも発表され、期待も高まるばかりだ。そこで今回、THE CHINA WIFE MOTORSのTSUNEHIKO KAJITA(Vo/G・以下、K)、GOOD4NOTHINGのU-tan(Vo/G・以下、U)とMAKKIN(B・以下、M)に話を聞く…はずが、そこにMAKKINの姿はなく、なんと2人で取材スタート。波乱の幕開けだが、それをも忘れさせる情熱たっぷりのトークをお楽しみあれ――そして、果たしてMAKKINは現れるのか!?
「自分も作ってる一人やって思えるような、DIYの感じ」U-tan
「この感じは来ないとわからない」TSUNEHIKO KAJITA
――まずは、簡単に『SAKAI MEETING』が始まったきっかけを教えてください。
U:もともと僕らとCHINA(THE CHINA WIFE MOTORS)と堺で活動するバンドとで、地元を盛り上げようというイベントをやってたんです。でも、なかなかみんながそろうのが難しくて…。それでもやっぱりこういうイベントは続けていきたいって思ったし、(参加バンドは)お互い海外ツアーをしたり共通点も多いし、この面子ならおもしろくなるんちゃうかっていう気がしたんですね。
――『SAKAI MEETING』はその名のとおり、地元密着型。堺への愛があるからだと思いますが、堺はどんな街なんですか?
K:なぜかバンドマンが多い。それにジャンル関係なしに仲が良い。
U:堺の人って堺が大好きなんですよ。堺って書いてあるTシャツを着るくらい(笑)。おばちゃんなんて……
K:(「堺」と書いてある、ひったくり防止の)自転車のカバー付けてるもん(笑)。
U:筆で殴り書いたような…(笑)。
K:あれね。キャンペーンで配ってるんかもね。市民に負わせてるんかも、(市の)プロモーションを(笑)。
U:あとツアーに行くとわかるんですけど、他にも堺って街があるじゃないですか? 好きなんですよね(笑)。先人がここを切り開いたんやろうな……みたいな気がして。
――パイオニアの匂いがすると(笑)。
U:かもしれない。
K:そういう血があって、その精神が土地に根付いてるんじゃないですかね。
U:受ける側じゃなく、発信する側っていうね。
――だからミュージシャンも多い?
U:ですかね。でも、なかなか他の地方のバンドが来てくれるってことがなくて。だから、(SAKAI MEETINGでは)そういうのも実現したいなっていうのもあった。でも、じゃ、堺のバンドがしょっちゅう集まって(ライヴを)やってんのか?っていうと、それもできないので、この日だけはみんなで集まって…っていう意味もある。
GOOD4NOTHING・U-tan
――お祭りに似た感じ?
U:うん、お祭りやし、そこで切磋琢磨する。1年間どんな活動してきたか?っていうのを確かめ合ったり、ねぎらったりね。
――そんな堺のシーンのなかで、お互いのことを紹介するとしたら?
K:何やろな…。でも、僕がバンドをやり始めた時には、既にGOOD4(NOTHING)は全国を回っているバンドで、同級生やけど先輩みたいな…。
U:最初、敬語やったもんな(笑)
K:「U-tanさんですか? 初めまして。THE CHINA WIFE MOTORSというバンドで細々やらせてもらってます」って(笑)。でも、こんなんやってんねんって話をして、ジャンルは違うけど向いてる方向は一緒ちゃうかってなって、イベントをやって……。
U:急速に、だったね。
K:うん。堺でもやし、他でもGOOD4が先頭を切ってくれて…頼りがいがある感じ。リーダーというかね。
U:うちのメンバーはクズ(MAKKIN遅刻中)ですけどね(一同爆笑)。
K:メンバーがクズでも(笑)、4人揃えば、すごく大きい塊でガーって転がっていく。クズも固まれば……。
U:ゴミぐらいにはなる!
――(笑)。では逆はどうですか?
U:(THE CHINA WIFE MOTORSは)堺の…核弾頭、ですかね(笑)。
K:ははは。でも実はお互いそんなに堺を背負っている感覚はないですね。
U:誰もが故郷を愛するように、俺らもそういう感じ。自然なことで、そこにジャンルも何も関係ないですね。
K:どっか行ったら友達がおるっていう。今もスタジオ行ったら誰かおって、街歩いてても誰かがおって。
U:コンビニ入ったら「お!」って(笑)。
K:ほんま、その延長線上。だから今も当たり前のように練習も堺でしてるし。昔はライヴも堺でやったけど、最近はそうもいかなくて、それならって『SAKAI MEETING』を立ち上げたんですよ。仲間も増えて、呼びたいバンドも増えて、ちょっとライヴハウス一つではできへんことをしよう!って。
――そんな地元愛は、ミュージシャン以外の堺の人にとって、うれしいことでしょうね。
K:大人の味方が毎年増えていくんですよ。おばちゃんたち、おっちゃん……そこから小さい子も遊びに来てくれるようになって「楽しかったよ~」って言ってくれる。ライヴハウスは行きにくいけど、ちょっとお祭りというか……飲食ブースもあって、孫を連れてフラッと行こうかなって感じで来てくれる。で、おっちゃんが若者が盛り上がってるのを見てエネルギーもらって帰るみたいな。
――それはもう街の財産ですね。そうやって多くの人を集める求心力は何だと思いますか?
U:自分も参加してるような気分になれるっていうところ。自分も作ってる一人やって思えるような、DIYのお祭りの感じですよね。好きなバンドがどうこうってのじゃなく、自分もこのフェスに参加するっていう感じで行けるっていうか。
K:参加してるっていう意識で来てくれたら、おそらくいろんな所に目が行くと思うんです。単にライヴを楽しむだけじゃなく、出店してくれるブースの人や裏方さん…というか、ま、僕らも当日いろんなことをしてるんでね(笑)。
U:インカム付けてやってます(笑)。
K:ゴミ拾ったり、人の整備したり。
U:「並んでくださ~い」って。
K:でも「それを、やろう!」って言って始めたんでね。ただ、お客さんはビックリしますね。でも「ゴミすんなよ」とか言うとちゃんと守ってくれるしね。
U:顔見知りの子やったら「あっちで酔っ払って寝てる人いてます」って教えてくれる(笑)。
K:「じゃ、助けに行くわ!」って(笑)。
――お客さんと交流する機会にもなりますね。
U:でもね、みんな僕らが(裏方の仕事を)やってるのを知ってるんで、無駄に話し掛けたりとかはない。わかってくれてる。
K:この感じは来ないとわからないですね。(出演する)バンドにも「ちょっとあそこで人の整理して来て」とか言うと、「じゃ行ってくるわ」ってやってくれるんですよね。
――バンド同士の信頼関係があるんですね。グッと来ます。個人的な話で恐縮ですが、以前THE COLLECTORSさんが、たくさんのミュージシャンと一緒に作った「恋するフォーチュンクッキー Rock Musician Ver.」を見て泣きそうになりましたもん。
K:あれね、僕も見ました。わかりますね。先輩がああいうことをしてくれてるの見たら、やっぱりすごいなって思った。自分らもそういうのやろか?って話もあったよな。堺っ子体操のPV作るとか。
U:あったね。
――「堺っ子体操」……?
U:そういう、小さい頃から堺の人がやってる体操があるんですよ。堺の人はみんなできる。『SAKAI MEETING』でも朝礼でやってます。
K:前は堺市長が来てくれて一緒にやったな。キティちゃんも来てやってくれた。
――ハローキティ?
K:そう。なぜか、キティちゃんと知り合いで、「出てくれない?」って聞いたら「いいですよ」と…(笑)。
U:キティちゃんとのコラボTシャツも作ったね。物販ブースを見ると、そういうグッズもあっておもしろいですよ。それに今回から会場が野外になるんですけど、ドックランやBBQスペースも近くあったりして、本当にピクニック気分で来てもらってもいいのかもしれない。
K:僕らの(ライブ)会場とは別なんですけどね。でも、音楽は聴こえるだろうし。どんな感じになるか、まだわからない点も多いんですけどね。BBQしてたら、見たくなってイベントに来る人もいるかもしれない。
GOOD4NOTHING・U-tan / THE CHINA WIFE MOTORS・TSUNEHIKO KAJITA
「やっぱ、楽しみたいし楽しんで欲しい」U-tan
「365日中の300日くらいはずっとやってます」TSUNEHIKO KAJITA
――さて3月18日(金)、出演の第三弾アーティストが発表になりました。
K:(携帯が鳴る)あ、もうすぐマッキンが来るかも。
――待ちましょうか?
U:あ、いいです(笑)。
――ははは! では第3弾アーティストのご紹介を1組ずつ、お2人からお願いします。まずはグッドモーニングアメリカ。
K:今回2回目の出演。前回すごかったな。たなしん(B)、何かやってたな(笑)。
U:来てたな、着ぐるみ(笑)。
K:本当に大盛り上がりでしたよ。
U:2004年頃からの知り合いですね。
K:普段から常に一緒に遊んだりしてるわけではないけど、このフェスやから一緒にやれるっていうね。好きやから呼びたいし、来てくれる。そういうバンドは他にも多いね。
――次は、MONOEYES。
K:今回初出演。
U:細美さんは、エルレ(ELLEGARDEN)時代から、スコット(・マーフィー)はALLiSTER時代からの付き合い。
――初出演の方にはどんな期待を?
K:今回は会場が変わって1回目で、僕らもDIYでやってるので…粗相もあるかと思うんですけど(笑)、初出演の人らには、こういう感じでやってるのかってわかってもらえたら…。それに、こういう感じにした方がいいんちゃう?っていうのもいろいろあると思うし、温か~い気持ちでやってもらえたらと思います(笑)。僕らは最大限の準備でお迎えして、もしも、もしも何かあったら「本当にすみません!」という感じでやるんで、ライヴはガツッとやってもらって楽しんで欲しいですね。
――期待というか受け入れ側の気合いですね(笑)。そして、Nothing To Declare。
K:若いバンドです。もともと海外でやっていて、そういう方向性というか目線も好きで、縁あって呼ぶことになったんですよ。
――『SAKAI MEETING』はそういった注目の若手バンドを知ることができる場でもありますね。
U:確かに。
K:お客さんにしてみたら「初めて見た」っていうバンドも結構いると思うので、それを楽しんでもらうのも、このイベントのいいところやと思いますね。
U:それでまた、それぞれのバンドのライヴ行ってもらえたらね。そうやってつながっていくかなって思います。
――続いて、RAZORS EDGE。
K:ここはSABOTENと一緒に紹介させてもらおか。この2組は毎年力を貸してくれてるんでね。大阪チーム(大阪発のバンド)なんです。「『SAKAI MEETING』いつなん?」ってずっと意識してくれて、何があっても力貸すよって感じ。なので、かなり心強いですね。もちろん、既に発表されている中にもそういうバンドはおるね。
U:どっちも自分たちが主催するイベントやってて、そっちに僕らが出演したり…。SABOTENのイベントに至ってはもう10年も続いてる。『SAKAI MEETING』は4年目やから、わからんことを教えてもらったり相談したりとかもしてね。
K:イベントの先輩。持ちつ持たれつというか、苦労をわかってくれる。RAZORS(EDGE)もSABOTENも、『SAKAI MEETING』に関しては「そこまでせなあかん?」とか言ってくれるくらいなんで(笑)。でも、「ま、汗かいてやらなね」って言ってやるんです(笑)。
THE CHINA WIFE MOTORS・TSUNEHIKO KAJITA
――イベントの先輩がそこまで言う程のことができる、その原動力は?
U:やっぱ、楽しみたいし楽しんで欲しいし、ですかね。
K:みんなライヴ以外でも持ち場があって、それをやりきった時の充実感、達成感があって。その5倍ぐらいの疲労感はあるんですけど(笑)、でもその達成感の方が勝つんでね。それを各々わかってて、毎年それを感じたいっていうのがあるんですよ。
――ちなみに立ち上げはいつ頃から始まるんですか?
K:次の年の企画は(その年のイベントが)終わったらすぐやります。日程を決めて、絶対に改善点が出てくるので反省会をやって、次はこうしようとか会議して……
U:場所も決めて。
K:バンドをどうするか精査して、動き出す。365日中の300日くらいはずっとやってますね(笑)。
――もうライフワークですね。さて話を戻して、次は少年ナイフ。
K:(出身が)大阪ですし、(海外を中心とする)活動歴も…むちゃむちゃ先輩です。僕らも海外に行ってやってるけど、常に海外のバンドから日本のバンドで名前を挙げるのは少年ナイフですね。もちろん僕らもめちゃめちゃ(そのカッコ良さを)肌で感じて来てます。少年ナイフも1回目からずっと出てくれていて、なんせメンバーさんもスタッフさんもみんなこっちのイベントのことを意識してくれていて、大阪盛り上げるためならなんぼでも盛り上げますよっていう、ザ・バンドなんですよ。心意気でやってくれるというか。活動の仕方も生き方も、すごく尊敬してるし目標にしてる。
U:ほんま、すごいよなぁ。
K:僕らにとって、『SAKAI MEETING』の女神様。ぼくらを守ってくれる感じ。それに、少年ナイフを見た若い子らが衝撃を受けてるんですよね、やっぱ。例えば、対バンしたファンの子らが「『SAKAI MEETING』見たんですよ。いいバンドさんがいっぱいでした」ってなるんですよ。「誰が気に入った?」って聞くと、「少年ナイフが…」ってなる。だから「少年ナイフがどんなバンドか話したるわ」って話をすると、衝撃受けてひっくり返ってましたね。レジェンドですからね。そういうバンドのあり方とかを『SAKAI MEETING』を通じて感じてもらえたらいいなと思う。
――『SAKAI MEETING』は、演者とお客さんの間だけでなく、演者同士の間でも何かを伝えあう機会になっているんですね。
K:そうなんです。なぜ毎年僕らが少年ナイフを呼ぶんかってことも、考えてくれればおそらく……そこまで僕らも細かく言わないけど、どこかで意味を感じてもらえたらいいなと思いますね。
U:何でも情報のある時代じゃないですか。僕ら、昔はレコ屋のコメント見て買ったり、ルーツを探るっていうのもして…。でも今はそこまで貪欲じゃないっていうかね。
――何でも簡単に視聴できてしまいますよね。
U:ま、考え方によっちゃいいことなんですけどね。
K:ピンポイントでヒットしちゃうんでね、今は。昔はレコ屋をはしごして、途中で寄り道もして、やっと辿り着く。
U:それを今、唯一できるのが、対バンとかイベントとかライヴですよね。自分でわざわざ足を運んでっていうね。
――さて、話を第3弾発表の出演アーティストに戻すと、最後は04 Limited Sazabys。
K:今回初出演ですね。彼らは4月に、地元の名古屋で自主フェスを始めて打つ予定って聞いたんで「こういう準備あったら楽ちゃう?」とか、そういう話もしてて…。4月はちょっと様子を伺いにいこうかなって思ってます(笑)。
U:「不安なんです~」って言ってたね。それなら、とりあえず視察へ……と(笑)。
――優しい(笑)。
K:本当に観に行きますよ。書いてもらっても大丈夫ですから(笑)。どんなことするか楽しみですね。僕らも気付かされることが絶対にあるし。イベントって主催のバンドで雰囲気が全然違うものですからね。カラーがある。
――『SAKAI MEETING』には『SAKAI MEETING』のカラーがあるということですよね。さて、第3弾発表の出演アーティストは以上です。出演者さんも徐々に明らかになり、そして今年から堺市海とのふれあい広場特設会場という新しい会場になり。最後に『SAKAI MEETING 2016』はどんな感じになりそうか教えてください。
U:会場は野外になって広くなるけど、これまでのライヴハウスの感じでやりたいんですよね。
K:野外だけど、僕ららしさを出せる限界まで縮めるんで…キュッと締めてというか、そんなイメージですね。でもまだ、明確にはイメージが浮かばない……。
――初回と同じ緊張感が?
U:緊張感……今は、不安しかないかも(笑)。
K:ま、1回目の時の気持ちと同じですね。
――でも苦労がある分、達成感も大きい。
K:……と、終わった時に思いたい(笑)。おいしいビールが飲みたいですね。
――成功をお祈りしています! ありがとうございました。
U・K:ありがとうございました。
K:……あっ!
(ここでMAKKIN登場!)
M:いや、ここ(取材場所)の入り方がわからんから、警備員に止められて……ほんま、すんません! すんませんでしたっ!!(一同爆笑)
K:めちゃメールしたし、電話したし(笑)。
M:そやんな。ほんますみませんっ!(反省の写真を撮影)
GOOD4NOTHING・MAKKIN
M:俺、知っててん。朝、スケジュール見て今日、夕方やなって……
U:何してたん?
M:ベランダのビューッてやつ付けたりとかしてて、携帯見たらむっちゃ連絡あって「あーっ!」ってなって…ほんま、すんませんでした!
――もう終わったんですけど、もしひと言あれば……。
M:え。録ってたんや!!
インタビュー・文=服田昌子
THE CHINA WIFE MOTORS ・TSUNEHIKO KAJITA / GOOD4NOTHING・Utan、MAKKIN
2016年5月21日(土)
堺市海とのふれあい広場特設会場
開場9:30 開演11:30(雨天決行・荒天中止)
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