Hello Sleepwalkers、“設計図のない完成形”の進化を示した赤坂BLITZの狂騒

レポート
音楽
2016.6.27
Hello Sleepwalkers Phoyo by yosuke torii

Hello Sleepwalkers Phoyo by yosuke torii

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Hello Sleepwalkers 2016 “Planless Perfection” 2016.6.25 赤坂BLITZ

2年の歳月をかけて完成を迎え“設計図のない完成形” と名付けられた最新作『Planless Perfection』 を提げての初の全国ワンマンツアーのファイナルが、東京・赤坂BLITZで行われた。

歌声と共に深海の様な青く暗い光の渦にシュンタロウのシルエット浮かび上がり、一曲目の「水面」が始まる。ナルミの歌うサビに併走する形でシュンタロウとタソコがギターで高速タッピングを繰り出す。ヒリヒリする様な緊張感の中、それをやってのける集中力に圧倒される。「待たせたな東京!」シュンタロウが叫び、「百鬼夜行」で完璧な相思相愛を確かめる様にハンドクラップで観客を巻き込みながら「さあ さあ 集え 始めよう」と宴の始まりの宣言、ナルミのパワフルな歌で一気に会場のヴォルテージを上げていく。ステージにレーザーが飛び交い、「Life is a Game??」では、シュンタロウがタンバリンを片手に観客を扇動。ジャムセッションを挟むアレンジがなされた「Jamming」、コール&レスポンスの定番「越境」と、初っ端からハイエナジーな5曲を連続で披露し、息も切れ切れになりながら、シュンタロウは満面の笑みで「今できる最高の音楽を近くでぶつけたい」と語った。時間の流れの残酷さを横目にしながらも、理想の音楽を探求し、その手応えを今まさに直に感じながら話すその姿は、突き刺す様な鋭いイメージとは裏腹に無邪気に音楽を楽しんでいる少年の様だった。

Hello Sleepwalkers Phoyo by yosuke torii

Hello Sleepwalkers Phoyo by yosuke torii

MCが終わると、「空白で満たした透明」という言葉が空いたこの2年間を全て物語っている様な絶望と再起の歌「EYES TO THE SKIES」を披露。そしてチューニングの静寂と暗闇の中、急速に発達する積乱雲の様な煙がステージを満たし、雷の様な照明が瞬くと、「2XXX」のイントロが炸裂する。ルール無用の壮絶な展開と、把握不能な程の変拍子にもかかわらず、靄に浮かび上がるシルエットとなったバンドは、音の混沌で観客を引き込んでいく。続いて、ユウキのスネアへの渾身の一撃と共に煙が高く噴き上がり、マシンの様に音塊をフロアに叩きつける。「Stand-alone」だ。この3曲は異端を貫くHello Sleepwalkersの最もディープな部分が打ち出されたパートになっているんだと感じる。

Hello Sleepwalkers Phoyo by yosuke torii

Hello Sleepwalkers Phoyo by yosuke torii

続くブロックはマコト作詞作曲の「ハーメルンはどのようにして笛を吹くのか」から。コーラスワークで会場をみるみる高揚させていき、「夜明け」につながる。全てが無意味に思えた夜に書いたというシュンタロウの私的な曲である。美しいメロディの中にその生活の壮絶さが垣間見れらる。続いて、静と動を駆使した「天地創造」が会場をHello Sleepwalkersの世界へとそめていく。そして、シュンタロウが静かに語りだす。思う様に曲がつくれず、進むべき方向が見失い、音楽が憎くなって何度もやめようと思ったこと。でもその時間があったから歌える曲があって、待ってくれる人がいて、結局音楽に救われているってことにみんなのおかげで気づいたということ。そんな話で改めて感謝の意を示すと、「この先何があってももう辞める気はないし、もっと面白いもの、もっとかっこいいものを追求していくつもりです。それをまた言葉にして、曲にして、みんなに投げ続けるから、どうかこれからもHello Sleepwalkersの隣にいてください。」と何時になく丁寧な言葉で決意表明をした。

Hello Sleepwalkers Phoyo by yosuke torii

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ここで「どんな最悪な結末が見えていても、書き変えて、新しい一歩を踏み出せると作った」というアルバムの中で最後に出来た曲「Perfect Planner」が始まる。無数の白い光の線が放たれるステージ上で歌う二人が幻想的で吸い込まれる様だった。次は強烈なインストパートを挟んで「レトリック」に突入。多幸感溢れるトライバルなビートの中、ナルミがコール&レスポンスを始める。「歌え!」の号令で一つの塊となった観客の合唱が赤坂BLITZを震わせていく。大声を出してアドレナリンが溢れ出した観客に投下されたのは狂気的労働賛歌「Worker Ant」。ここから最後まであっという間だ。隙間なく最強のライブアンセム「猿は木から何処へ落ちる」、代表曲中の代表曲「午夜の待ち合わせ」、今回のライブのハイライトとなる「神話崩壊」とキラーチューンで続けざまに捲したてる。クライマックスまであと一息。煙が勢いよく吹きだし、「神話崩壊」のMVでも使用されたバビロン紙幣、約2万枚が舞い落ちてくる。狂喜乱舞するオーディエンス。「ナンマイダー ナンマイダー アーメン アーメン」の大合唱。こうしてツアーは大団円を迎えた。

アンコールは二曲。まずは初期の代表曲「月面歩行」。そして、自分達の音楽に共感してくれる仲間と全速力で駆け抜けた「アキレスと亀」で締め括られた。次の一歩を期待しつつ、熱狂と混沌のセットリストの大半を占めた、アルバム『Planless Perfection』も改めて評価したくなるライブだった。

Hello Sleepwalkers Phoyo by yosuke torii

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セットリスト
Hello Sleepwalkers 2016 “Planless Perfection”  2016.6.25  赤坂BLITZ
01. 水面
02. 百鬼夜行
03. LIFE is a GAME??
04. Jamming
05. 越境
06. EYES TO THE 
07. 2XXX
08. Stand-alone
09. ハーメルンはどのように
10. 夜明け
11. 天地創造
12. Perfect Planner
13. レトリック
14. Worker Ant
15. 猿は木から何処へ落ちる
16. 午夜の待ち合わせ
17. 神話崩壊
[ENCORE]
18. 月面歩行
19. アキレスと亀

 

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