「挑戦の気持ちでぶつかっていきたい」ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』ベンヴォ―リオ役:馬場徹&矢崎広インタビュー
(左から)馬場徹、矢崎広
ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』プリンシパルキャストのインタビュー第3弾は、ベンヴォ―リオ役の馬場徹と矢崎広が登場。『ザ・ビューティフル・ゲーム』以来、久々のミュージカルとなる馬場。そして『タイタニック』『ジャージー・ボーイズ』など話題のミュージカル作品への出演が相次ぐ矢崎。共に『ロミオ&ジュリエット』には初参加となる。世代を代表する若手演技派のふたりが、この注目の大作で今度はどんな新しい魅力を見せてくれるだろうか。
(左から)馬場徹、矢崎広
――本作から初参加となるふたりですが、そもそも「ロミジュリ」と言うと、どんなイメージがありますか?
馬場:真っ先に思い出すのは、やっぱりレオナルド・ディカプリオさんが主演の映画ですね。実はシェイクスピア作品はあまり詳しくなくて、「ロミジュリ」しか知らないんです。シェイクスピア作品に出演するのも、今回が初めて。その意味でも、すごく新鮮です。
矢崎:僕もディカプリオさんの映画『ロミオ+ジュリエット』とか、あとは藤原竜也さんの『ロミオとジュリエット』なんかがパッと思い浮かびますね。「ロミジュリ」と言えば、シェイクスピアを知らない人でも知っている、名前そのものにパワーのある作品。そこに参加させていただけるのは、とても光栄ですね。
馬場:誰もが知っている作品ですからね。それをストレートプレイではなく、ミュージカルでやるというのがすごく面白いなって思いました。言葉だけじゃ伝えきれない感情を、メロディに乗せて届けることができるのがミュージカルの魅力。シェイクスピア作品というくくりとはまた違う、新しい『ロミオ&ジュリエット』になるんじゃないかと期待しています。
矢崎:前回の上演中、街角でこの『ロミオ&ジュリエット』の大きなポスターが貼ってあるのをよく見たんですね。そのたびにカッコいいなあと思っていたので、今度は自分がそこに出演するというのが何とも不思議な気分です。小池(修一郎)先生とご一緒させていただくのは今回が初めて。ずっと憧れていた方なので、ついにご一緒できるんだという気持ちもあれば、今の自分に何ができるのか挑戦の気持ちもある。すごく胸がドキドキしています。
馬場徹
――おふたりが演じるのは、ロミオの親友・ベンヴォ―リオです。
馬場:このベンヴォ―リオをやらせていただけるというのも、僕にとってはすごく嬉しいことだったんです。仲間の中でもちょっと兄貴的な存在で、何をするにも先陣を切るタイプ。それでいてちょっとお茶目なところもあるし、すごくやりがいのある役だなと思います。
矢崎:このお話ってどんどんいろんな人が亡くなっていくんですけど、その中で最後まで生き残るキャラクターのひとりがベンヴォ―リオ。きっとそれは彼に先を見据える目というか、世間を見渡す力があったからじゃないかなと思うんです。友人の死というとても重大な出来事を彼はふたつも経験しなくちゃいけない。そんなベンヴォ―リオをどう演じるか。役者の個性が出せる役だと思うし、そういう役が自分に来たことが嬉しいです。
――しかも、それを馬場さんと矢崎さんのおふたりで演じる。おふたりが同じ作品に出演するのは13年の『神州天馬侠』以来ですか?
馬場:そうですね。Wキャストの相手が矢崎さんで良かったというのが僕の率直な感想です。なぜかと言うと、僕と矢崎さんって持っている素地や表現が全然違うんですよね。矢崎さんは影のある目やその表情が印象的な役者さん。僕はどちらかと言えば不器用に実直に向かっていくタイプです。それぞれ持っているものが違うから、同じ役をやっても、変に意識する必要はありません。
矢崎:『神州天馬侠』で共演したときもそんな感じで。わりと立ち位置が重なりそうな役どころだったんですけど、自然と棲み分けができていた。舞台で一緒に作品をつくる仲間として尊敬しているので、Wキャストの相手が馬場くんということにはすごく安心感があります。むしろどうなるか予測がつかないという意味で言えば、キャストの組み合わせですね。いろんなバリエーションがあるから、本当にその日その日をその場で生きることになりそうだなって気がします。
――あと注目は何と言っても音楽です。
馬場:もう本当に耳に馴染みやすくて、いい曲ばかりで。今日(9月5日)、製作発表があって、そのミニLIVEで『世界の王』を初めてみなさんの前で披露したんですけど、「もうこのまま全部歌いたい!」っていうくらい気持ち良かったです(笑)。
矢崎:曲が入ることで、役のイメージもぐっと膨らむんですよね。戯曲だけでは伝わらないことでも、歌を通じて届けることができる。そんな力を持った楽曲だと思います。ベンヴォ―リオには『どうやって伝えよう』というソロナンバーがあるんですけど、とてもいい歌です。きちんと曲の通りに僕たちが歌うことができれば、お客様に伝わるものがある。だからこそ、しっかり歌についても稽古を積んでいきたいです。
――そこで気になるのが、ストレートプレイを中心にキャリアを積んできたおふたりが、ミュージカル作品に出演することにかける想いです。
馬場:僕の場合、ミュージカルに出るペースって大体2年に1度くらいなんです。だから、稽古が近づくたびに「またミュージカルの季節がやってきたな」という感覚はあります。やっぱり毎回新鮮ですし、毎回大変です。ミュージカルって、演技だけじゃなく、歌も踊りもあるから、物理的にやらなきゃいけないことが多いし、決まったメロディがあるから誤魔化しも効かない。毎回挑戦の気持ちが強いです。
――その中で、馬場さんがミュージカルの舞台に立つ意味とは?
馬場:純粋にミュージカルが好きなんです。客席にいるだけで華やかな気持ちにもなれるし、切ない気持ちにもなれる。特に小池先生の『エリザベート』は僕の中でいちばん大好きなミュージカル作品です。今でも自分がミュージカルの舞台に立っているのってどこか不思議な感覚があります。それでもやっぱりあの舞台上で歌う快感が忘れられないから、大変だけどまたやりたいって思っちゃうんでしょうね。
――矢崎さんはどうですか? 今年も『ジャージー・ボーイズ』に出たかと思えば、前田(司郎)さんと『宮本武蔵(完全版)』をやったりで、この先どちらに行くんだろうという気持ちでご活躍を見つめているのですが。
矢崎:どっちに行くんでしょうね(笑)。ただ今の時点ではっきり言えるのは、全部が好きなんです。こうしていろんなことをやらせてもらえる今の環境が楽しいし、ありがたい。ミュージカルの現場に来れば、すごい実力のある方たちがたくさんいて、僕なんて毎日ヘコむことばっかりですよ。早く追いつかなきゃって気持ちでいっぱいです。
――その中でもミュージカル俳優としての成長を感じる瞬間はありますか?
矢崎:まだ全然ないですね。でも、少しずつ自分が楽しくなってきたっていう感覚はあります。ストレートプレイだとか、ミュージカルだとか、そういう隔たりが自分の中でなくなりつつあるのかもしれません。むしろジャンルの垣根ごとぶち壊していけたら。そういう気持ちで、今、ひとつひとつの作品に向き合っています。
――ありがとうございます。では、最後に読者のみなさんに向けてお誘いのメッセージをいただければ。
馬場:今までの『ロミオ&ジュリエット』をご覧になった方にも喜んでいただきたいし、初めてご覧になる方にも行って良かったと思っていただける作品にしたいです。そのために、みんなで精進して作品づくりに取り組んでいきます。ぜひ新しく生まれ変わった『ロミオ&ジュリエット』を楽しみにお待ちいただければ。
矢崎:新キャスト、新演出、新振付。いろんなところに「新」という言葉がつく作品です。どんな作品になるかは僕たちもまだわからない。きっとそれはお客様も同じだと思います。だから本番の日を心待ちにしてくださるお客様と一緒に楽しみながら、この作品にぶつかっていきたいと思います。
<スタイリスト:伊藤伸哉 ヘアメイク:国府田圭>
インタビュー・文=横川良明 撮影=岡崎 雄昌
【ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」キャストインタビュー】
★ロミオ役:古川雄大&大野拓朗
★死のダンサー役:大貫勇輔&宮尾俊太郎
★ティボルト役:渡辺大輔&広瀬友祐
★マーキューシオ役:平間壮一&小野賢章
★ジュリエット役:生田絵梨花&木下晴香
1988年6月17日生まれ。東京都出身。中学生の頃から俳優活動を始め、2006年にミュージカル『テニスの王子様』で、初舞台を踏む。舞台を中心に映画、TVでも活躍。舞台の主な出演作に『飛龍伝2010ラストプリンセス』、『SAMURAI7』、『タンブリングvol.3』、『ザ・ビューティフル・ゲーム』、『熱海殺人事件 Battle Royal』、『引退屋リリー』等。「99.9-刑事専門弁護士」(TBS系)にも出演。
矢崎 広(やざき・ひろし)
1987年7月10日生まれ。山形県出身。2004年にミュージカル『空色匂玉』でデビュー。舞台、ドラマ、映画、アニメ声優など幅広く活躍。主な出演作に、舞台『黒いハンカチーフ』、『女中たち』、『薄桜鬼』シリーズ、ミュージカル『ドッグファイト』、ミュージカル『タイタニック』、『ETERNAL CHIKAMATSU』、ドラマ「東京DOGS」、「HERO」、アニメ「ヒロイック・エイジ」等。今年7月にミュージカル『ジャージー・ボーイズ』、8月に『宮本武蔵(完全版)』に出演。10月からミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』に出演予定。
<東京公演>
日程:2017年1月15日(日)~2月14日(火)
会場:東京都 TBS赤坂ACTシアター
料金:S席13,000円/A席9,000円/B席5,000円[全席指定]
好評発売中
<大阪公演>
日程:2017年2月22日(水)~3月5日(日)
会場:大阪府 梅田芸術劇場 メインホール
料金:S席13,000円/A席9,000円/B席5,000円[全席指定]
好評発売中
<スタッフ>
原作:W.シェイクスピア
作・音楽:ジェラール・プレスギュルヴィック
潤色・演出:小池修一郎
<キャスト>
ロミオ:古川雄大 / 大野拓朗 ※Wキャスト
ジュリエット:生田絵梨花(乃木坂46) / 木下晴香 ※Wキャスト
ベンヴォーリオ:馬場徹 / 矢崎広 ※Wキャスト
マーキューシオ:平間壮一 / 小野賢章 ※Wキャスト
ティボルト:渡辺大輔 / 広瀬友祐 ※Wキャスト
死のダンサー:大貫勇輔 / 宮尾俊太郎 ※Wキャスト
キャピュレット夫人:香寿たつき
乳母:シルビア・グラブ
神父:坂元健児
モンタギュー卿:阿部裕
モンタギュー夫人:秋園美緒
パリス:川久保拓司
大公:岸祐二
キャピュレット卿:岡幸二郎
ほか