「お互いに探り合いながら作っている感じが面白い」ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』 マーキューシオ役:平間壮一&小野賢章インタビュー
(左から)平間壮一&小野賢章
シェイクスピアが描いた『ロミオ&ジュリエット』は多くの人の涙を誘うラブ・ロマンスとして、舞台・映画・バレエなど数多くのジャンルで取り上げられてきた。
今回上演されるミュージカル『ロミオ&ジュリエット』は、2001年にフランスで初演、その後スイス、ベルギー、ロンドン、モスクワ、ウィーンなど世界各国で上演され、500万人以上を動員、CD・DVDの総売り上げは700万枚以上を誇る傑作ミュージカル。豊かに彩る名曲の数々、両家の対立を表すアクロバティックなダンスなど見所も満載で、日本では小池修一郎の演出により、2010年に宝塚歌劇団星組での日本初演から雪組、月組でも相次いで上演。2011年、2013年には男女混合の日本オリジナルバージョンを上演し大好評を博した。
そしてこの度、新たにオーディションにより選ばれたキャストと、衣裳や装置などを刷新した新演出により、待望の再々演が行なわれる。
その中でマーキューシオ役を射止めたのは、『オーシャンズ11』『レディ・べス』などの小池修一郎演出作品を始め、10年にわたり数多くの舞台に出演し続けている平間壮一と、子役として『エリザベート』少年ルドルフ、『ライオンキング』ヤング・シンバを演じ、映画「ハリー・ポッター」シリーズで日本語吹き替え版のハリー・ポッター役を務め、現在は舞台『黒子のバスケ』黒子テツヤ役、舞台『ReLIFE』海崎新太役などで活躍する小野賢章。SPICEでは、このお二人に話をうかがった。
死ぬ時に本来のマーキューシオが出たらいいなと思います(平間)
マーキューシオは社会を馬鹿にしているような気がします(小野)
――お二人は今回初共演となりますが、何か共通点はありますか?
小野:同い年だよね。
平間:そうそう、同い年。
小野:身長も同じ。
平間:小柄ね。あと、性格的にゆったりしています。
小野:確かにそうだね。洋服もなんとなく似ているよね。
――お二人とも若い頃から芸能活動をしているのも共通点ですよね。休憩中にはどんな話をしていますか?
小野:立ち位置や段取りの確認が一番多いですね。(平間)壮ちゃんは抜群に覚えるのが早いので、大体僕が「あそこどうだっけ?」と聞いて教えてもらっています。完全に頼っています。
平間:僕も感覚で覚えているようなこともあるので、そういう時に小野っちに確認します。
小野:振付の間、お互いの体力と集中力を見て「そろそろ変わる?」って合図してチェンジすることもありますね。
――Wキャストならではの形ですね。小野さんは大人になってからWキャストは初めてとのことですが、経験してみていかがですか?
小野:壮ちゃんがいてくれると本当に心強いし、Wキャストっていいなと思います。壮ちゃんがどうやって演じているのかを見ていると勉強になります。壮ちゃんのマーキューシオは、やんちゃだよね! ダンスの経験が随所に活かされていて、ひとつひとつの動きがものすごくかっこいい。だから「ここで何か動きを入れてください」と任された時に、「壮ちゃん、俺はかっこいい動きが分からないから教えて」って教えてもらうんです。
平間:小野っちのマーキューシオは怒りに対してまっすぐだよね。それでいて、ただ怒っているのではなく、その裏にある気持ちも感じます。俺が「こういうマーキューシオを演じたいな」と思っているイメージの半分位は小野っちが既にやっているんですよ。それを冷静に見ながら「俺もこういう風にやってみようかな」と思うこともあります。内心はそうやって見ているけど、芝居や役作りに関しては話し合わないよね。
小野:せっかくのWキャストなのに、全く同じだったらあまり意味がないなと思いますよね。
平間:そうだよね。お互いに探り合いながら作っている感じが面白いなって思います。小野っちとは、バチバチした(ライバル関係という)感じではなく、お互いに信頼感があるなって思います。いいところはいいところとして認めあっている感じがするな。
平間壮一
――今、お互いの印象についてお話いただきましたが、ご自分の中ではマーキューシオをどのように演じたいとお考えですか?
平間:さっき、小野っちが「壮ちゃんが演じるマーキューシオはやんちゃ」と言いましたが、僕の中でもやんちゃなイメージですね。でも死ぬ時に本来のマーキューシオが出たらいいなと思います。何か考えを持ってやんちゃなことをしていたんだという面や、だからマーキューシオはあんなに怒っていたんだということを少しでも感じてもらえたらいいなと思います。
小野:マーキューシオって社会に対しても、ティボルトに対しても、馬鹿にしているというところがあるのかもしれないなと思っています。ロミオやベンヴォーリオとの仲間意識が強く、「モンタギュー家の方がイケてるぜ」と常に思っている気がするのでそういう気持ちをベースに持っていたいなと思います。小池先生には「まだ何がしたいのかが出てきていないな」と言われてしまったので、もっともっと探らないといけないですね。
平間:ナイフの扱い方も一緒に研究しているんだよね。
小野:インターネットでバタフライナイフのかっこいい出し方を色々検索しています。
平間:「クルクルまわすのがかっこいいかな」とか言いながら、時間がある時には二人でカチャカチャ練習しています。
小野:自分が舞台上に立っているイメージがまだ全然わかなくって、ちょっと不安なところもあるな。
平間:もう死んだ?(笑)
小野:まだ死んでない(笑)。
平間:そっか、俺は一回死んだよ。
小野:いいなぁ。早く自分の出番の最後まで一度やりたいですね。
小野賢章
――そこだけ聞くと面白い会話ですね(笑)。ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』の中で自分に近いなと思うキャラクターは?
小野:敢えて言うのであれば、ベンヴォーリオがちょっと似ているかな。みんなの意見を聞くバランサーな感じが。
平間:僕はやんちゃなタイプだからそういう意味ではマーキューシオかな。やんちゃと言うか、ちょっとしたイタズラが好きなんですよね。誰かの練習靴の靴紐を両足揃えて結んでおくとか、グミを机に並べておくとか、そういう地味なことをして楽しんでいます(笑)。
小野:グミが並んでるの、見たことある!!(笑)
――モンタギュー家とキャピュレット家の争いが描かれていますが、争いが起きたらどういう反応をするタイプですか?
小野:まぁまぁって。
平間:まぁまぁ、って言いますよね。
小野:どうしたどうした?って聞いて。
平間:あとは、それからの状況次第ですよね。
小野:僕は、イライラすることは結構ありますが、怒鳴るようなことはまずないので、冷静に判断している感じが多いかも。もしもアドバイスを求められたら「こうした方がいいかもね、俺はそう思うよ」って言う位の感じ。
平間:俺は、まぁまぁ、と言った後、まずは両方の言い分を聞きたいですね。それから「なんでそんなことになっているの?」という会話になって、自分なりに「それはおかしいんじゃない?」って思う方に、その気持ちを伝えます。でも基本的に俺の周りにいるのは穏やかな人たちだから、あまりそういうことにもならないかも。血の気の多いガツガツした人にはあまり近付かないんです(笑)。
小野:分かる分かる(笑)。
平間壮一、小野賢章
――ロミオはジュリエットと出会って突き進んで行きますが、お二人は何かに夢中になって突き進んで行った経験はありますか?
小野:僕は割と熱しやすく冷めやすいタイプです。携帯ゲームも一気に熱くなって夢中でやり始めるのですが、「これをやっていても何も残らないな」って急に冷静になっちゃってやめるんです。今、興味があるのはゴルフです。友だちがやり始めたからやってみたいなって。スポーツ系のことだと怪我が怖いのでなかなか実現出来ないのですが興味はあります。
平間:俺はダンスですね。上手いとか下手とかどうでもいいやと思う程、ずっとずっと踊っていたいんです。走るのも遅いし、サッカーもバスケも苦手。でもダンスだけは初めてやった体験レッスンで身体が動いたんです。その時に「これだ!」と思ってから、踊ることは何よりも好きになりました。最近、仕事として踊る機会も多くなってきましたし、今回はダンスシーンも多くて嬉しいです。
小野:僕は踊ること自体が久しぶりなので「ずっとダンスを続けておけば良かった!」という気持ちが大きいです。覚えるだけでもう大変です!
――では、最後にSPICEをご覧の皆様にメッセージをお願いします。
平間:誰もが知っている有名なストーリーですが、平間壮一が演じるマーキューシオ、小野賢章が演じるマーキューシオ、それぞれの考えがプラスされた面白さがあると思います。これからもっともっと色々なことを試して『ロミオ&ジュリエット』を完成させていきたいなと思います。
小野:このミュージカルで伝えられることはたくさんあると思います。まずは小池先生が伝えたいと思っていらっしゃることを体現出来るよう、一生懸命頑張りますので、楽しみにしていてください。
マーキューシオ役:平間壮一&小野賢章
インタビュー・文=住川絵理 撮影=岡崎雄昌
【ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」キャストインタビュー】
★ロミオ役:古川雄大&大野拓朗
★死のダンサー役:大貫勇輔&宮尾俊太郎
★ベンヴォ―リオ役:馬場徹&矢崎広
★ティボルト役:渡辺大輔&広瀬友祐
★ジュリエット役:生田絵梨花&木下晴香
<東京公演>
日程:2017年1月15日(日)~2月14日(火)
会場:東京都 TBS赤坂ACTシアター
料金:S席13,000円/A席9,000円/B席5,000円[全席指定]
好評発売中
<大阪公演>
日程:2017年2月22日(水)~3月5日(日)
会場:大阪府 梅田芸術劇場 メインホール
料金:S席13,000円/A席9,000円/B席5,000円[全席指定]
好評発売中
<スタッフ>
原作:W.シェイクスピア
作・音楽:ジェラール・プレスギュルヴィック
潤色・演出:小池修一郎
<キャスト>
ロミオ:古川雄大 / 大野拓朗 ※Wキャスト
ジュリエット:生田絵梨花(乃木坂46) / 木下晴香 ※Wキャスト
ベンヴォーリオ:馬場徹 / 矢崎広 ※Wキャスト
マーキューシオ:平間壮一 / 小野賢章 ※Wキャスト
ティボルト:渡辺大輔 / 広瀬友祐 ※Wキャスト
死のダンサー:大貫勇輔 / 宮尾俊太郎 ※Wキャスト
キャピュレット夫人:香寿たつき
乳母:シルビア・グラブ
神父:坂元健児
モンタギュー卿:阿部裕
モンタギュー夫人:秋園美緒
パリス:川久保拓司
大公:岸祐二
キャピュレット卿:岡幸二郎
ほか