青春とか、つながりとか、現在とか フラワーカンパニーズとサニーデイ・サービス「出会って20年」座談会

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フラワーカンパニーズ×サニーデイ・サービス 撮影=中野修也​

フラワーカンパニーズ×サニーデイ・サービス 撮影=中野修也​

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 フラワーカンパニーズが毎年秋に、ゲストを招いて地元名古屋・ダイアモンドホールで行っている恒例イベント『DRAGON DELUXE』。5回目の今年は10月22日土曜日、フラカンに加えて東京カランコロンとサニーデイ・サービスというメンツで行われる。
フラカンとサニーデイ。最近ファンになった人にとっては、もしかしたらあんまりピンとこない組み合わせかもしれないが、90年代中盤~後半の時代からこの2バンドを知る人にとっては、なんとも言えず感慨深いのではないかと思う。
ともにメジャーからのファースト・アルバムをリリースしたのは1995年。以来、時期によって近づいたり離れたりはありながらも、一貫して強い信頼関係で結ばれてきた……っていうときれいすぎるか。もっとこう、腐れ縁みたいなものかもしれないが、とにかく20代半ばの頃から20年にわたって共にロックの現場を歩んできた、生き抜いてきたこの両者=フラカン鈴木圭介&グレートマエカワ、サニーデイ曽我部恵一&田中貴に、出会いから現在までについて、みっちり話していただいた。


 

フラワーカンパニーズ×サニーデイ・サービス 撮影=中野修也​

フラワーカンパニーズ×サニーデイ・サービス 撮影=中野修也​

1. まさに青春だった90年代・20代・下北沢

──最初に会ったのっていつだったか憶えてます?

グレートマエカワ:……さすがに憶えてねえなあ。俺らは一方的に知ってたけど……俺らレコーディングをしとる時に『若者たち』聴いただろ?

鈴木圭介:聴いた。俺が買ってきた。

曽我部恵一:俺も音を先に聴いてて。で、兵庫さん(この座談会の司会)に「どういう人なの?ちょっと(遠藤)ミチロウっぽいよね」とか言ったら、「ああ、スターリン好きみたいよ」って。

鈴木:あ、最初に会った時に、まさにその話をしたの憶えてる。「遠藤ミチロウに似てるよね」って言われた。

グレート:最初に会ったの、どこだったっけ?……あ、日比谷野音でさ、ミッシェルとかCoccoとかホフとか出とったイベントあったじゃん。

曽我部:ああ。97年くらいかな。

グレート:あの時はもう知り合いだったから、それより前だよね。96年?

田中貴:うん。それくらいに、フラカンとかミッシェルと会うようになったんだよね。

曽我部:前田さんもいてね。

グレート:そう、サミー前田(当時のフラカンのレーベルの宣伝担当。現在はDJ/プロデューサー)と一緒に、下北沢の立一亭(バンドマン御用達だった居酒屋。2007年頃に閉店)あたりで飲んだりするようになってさ。

鈴木:そうだ、最初は前田さんに紹介してもらったのかもしれない。前田さんがミディ(サニーデイが所属していたレーベル)とつながってて、よくミディの情報をきいてたから。

──あと僕が憶えてるのは、フラカンが8月にパワステ(新宿・日清パワーステーション)でウィークリー・ライブをやった時、曽我部さんがゲストでセッションがあって。

グレート:それは97年の夏だね。「あったかいコーヒー」を歌ってもらったんじゃないかな。あの頃はもう、そういうことを頼めるぐらいの仲になってたってことだね。

鈴木:……クリスマス会やったよね? 立一亭でさ。

曽我部:やったっけ?

グレート:あれはね、97年のクリスマス。

鈴木:フラカンとサニーデイと、それぞれのスタッフの女の子が何人かいて、ただ飲んだだけなんだけど。でも「プレゼント交換をやる」って──。

曽我部:ああ!

田中:やったやった!

鈴木:で、俺、田中が買ってきた習字セットが当たってさあ(笑)。

曽我部:はははは!

グレート:そうだ、「文鎮が重い」とか言うとった(笑)。

鈴木:すげえがっかりしたの憶えてる。帰りも重いし、困るなあ、って。

田中:いや、いいじゃん、書き初めできるし。気の利いたものを買えたなあと思ったんだけど(笑)。

グレート:俺ら、スペシャ(スペースシャワーTV)の番組で、中野サンプラザで番組イベントの司会みたいなのがあって。ふたりでそれをやって、そのあとクリスマス会に行ったんだ。俺らスペシャでレギュラーやっとったし、それでよく番組に出てもらったり、出してもらったり──。

──スペシャがフラカンの日比谷野音の生中継をして、アンコールでメンバーがひっこんで、カメラが楽屋に行くとなぜかサニーデイがいるっていうの、ありましたよね。

グレート:初めて野音やった時、97年ね。その頃がいちばん会ってたんじゃないかな。

曽我部:よく飲んでたもんね。みんなヒマっていうか、独身だったしね。

鈴木:エンケンさん(遠藤賢司)のつながりもあってね。

曽我部:そうだ、大掃除行ったんだ。俺と田中と竹安くんと、あと前田さんもいて、みんなでエンケンさんの家の掃除をするっていう。草むしりしたりとか。で、みんなで酒盛りして、エンケンさんがピラミッドカレーを出してくれて(※遠藤賢司は70年代に渋谷でカレー店「ワルツ」を経営しており、その看板メニューがピラミッドカレーだった)。何十年ぶりかで作ってくれるっていうんで、それをみんなで食べて。

グレート:すごいよね、それね。

曽我部:で、俺と竹安くんはエンケンさんちの庭で寝てた(笑)。

グレート:まあ、時代だね。あの頃ありがちな。その頃東京に出てきたっていう知り合いからきいたんだけどさ、「ここが下北沢かあ」と思いながら歩いてたら、俺が酔っぱらって道で寝てて、もうちょっと行ったら曽我部が寝てたって(笑)。

曽我部:そういう時だったよねえ。

鈴木:だいたい朝までだったもんね。俺でさえ、烏龍茶しか飲んでないのに朝までいたもん。

グレート:時間があったんだろうね。

曽我部:体力もね。

田中:次の日仕事でも朝まで飲んでたもんね。

──青春ですね。

曽我部:うん、青春。

グレート:いや、ほんとそう。青春だよ。

フラワーカンパニーズ×サニーデイ・サービス 撮影=中野修也​

フラワーカンパニーズ×サニーデイ・サービス 撮影=中野修也​

2. フラカンはドロップアウト、曽我部はソロ、田中はマネージャー

 

──対バンとかは?

田中:大阪であったよね。『ロックロックこんにちは』(スピッツのイベント)。

鈴木:あと福岡のDRUM LOGOSでもやった。最後にセッションしたもんね。

グレート:「ここで逢いましょう」をやったよね。2マンでさ。

鈴木:俺もう、ギターソロが長くて間がもたなくてさ。

──当時サニーデイ、あの曲の後半で15分くらい延々ギターソロをやるのが定番でしたよね。

鈴木:でまた、セッションだからみんなヒートアップしちゃってさ。俺やることないじゃん。だからティッシュの箱を持って、ティッシュ1枚ずつ出して投げてた(笑)。俺だけだったのよ、手ぶらの人。「いつ終わるんだよ? これ」と思いながら。突っ立ってるわけにもいかないしさ。

グレート:あれは鈴木、かわいそうだった。演奏しながら「かわいそうだな」と思ったもん(笑)。でも止めれんしさ。

──サニーデイが解散したのと、フラカンがメジャーからドロップアウトしたのって、どっちが先ですか?

田中:解散したのは、2000年の末。

グレート:俺らは契約切られる寸前ぐらいで、もう切られるってわかってた頃。そこから2年ぐらいが、俺たちがいちばん厳しかった時代だからね。

──その時期は顔を合わせることはあんまり?

グレート:少なかったと思う。

曽我部:下北で飲む、みたいなことがなくなったんじゃないかな。

田中:「あそこの店に行けば誰かいる」みたいなのもなくなってきて。

曽我部:友達と遊んでて楽しい、みたいな時期も過ぎたんじゃない?。

グレート:そうだよね。曽我部といろいろ対バンするようになったのは、ソカバン(曽我部恵一BAND)になってからだから、何年か経ってるもんね。

──それから田中さんは、マネージャーになるわけですけども。

グレート:SCOOBIE DOのね。SCOOBIEがデビューするっていうんで、下北沢CLUB Queでライブがあってさ。それに行ったら田中がいて……それ、マネージャーになるひと月ぐらい前だったんだよ。

田中:ああ、じゃあ挨拶に行ったんだ、俺。

グレート:で、「俺がマネージャーやるんだよ」ってきいて「ええっ!?」ってびっくりして。

田中:あれ2002年ぐらいだから、サニーデイが解散して1年以上経ってたんだね。

曽我部:2002年にマネージャーになったの?

田中:うん、2002年に(SCOOBIE DOが)デビューするから。

曽我部:その2年間っていうのはどうやって食ってたの? 生活は?

田中:そん時は……なんもやってないねえ。

グレート:貯金を切り崩しとった?

田中:うん。2年は生活できるぐらい貯金しとかなくちゃな、っていうのはずっと言ってたから。

曽我部:そんなに? そんな収入なかったけどなあ、俺。

田中:だって俺、全然遣わんもん。

曽我部:俺だって遣わないよ、飲んだりレコード買ったりするぐらいだよ。

グレート:そのレコードに遣うカネが尋常じゃないじゃん(笑)。

──なんで今さらそんな話で盛り上がってるのか(笑)。あ、でも、田中さんはずっとクルマ持ってるもんね。そう考えるとすごい。

グレート:確かに。俺とかわりと堅実なほうだけど、それでも絶対無理だもん。

──当時、マネージャーになった田中貴を、みなさんはどう見てたんですか?

鈴木:いや、すごいなと思った、俺は。バンドマンが普通に働けるっていう感覚がないから。「ちゃんと働けるんだ? すげえなあ」と思って。

田中:無理だったけどね。

曽我部・鈴木:ははははは!

グレート:でも何年もやっとったじゃん。SCOOBIE DOのあとはスネオヘアーやっとったし。

田中:でもまあ、ちゃんとした会社員とはちょっと違う形で雇われてたから。業務委託みたいな。

──曽我部さんは?

曽我部:現場で会ってたかな。RISING(SUN ROCK FESTIVAL)かなんかで、SCOOBIEのマネージャーで来てた気がする。いろんなフェスで会ってたよね。

田中:うん。あと、曽我部がソロになって最初のワンマンは観に行ったけどね。クアトロかな。

グレート:俺もそれ、行かせてもらった気がする。

鈴木:……そうだ、サニーデイが解散したあとに、(丸山)晴茂くんがライブに来てくれたことがある。CLUB Queに、ひとりでいきなり来てくれて。打ち上げもいた。俺すごい晴茂くんとしゃべったもん。こんなに晴茂くんとサシでしゃべったの初めてっていうくらい。

グレート:俺も……あの頃、晴茂くんと家が近くてさ。電話がかかってきて、1、2回一緒に飲んだ。「何やっとんの?」「なんにもやってない」って話しながら(笑)。

フラワーカンパニーズ×サニーデイ・サービス 撮影=中野修也​

フラワーカンパニーズ×サニーデイ・サービス 撮影=中野修也​

3. 曽我部が助けられたグレートのひとこと

 

──ちょっと話が飛びますけど、再結成を知った時はどう思いました?

鈴木:よかったな!と思った。

グレート:うん。どんどんやるべきだと思った。やっぱり、サニーデイ・サービスって特別だから……俺らの中でもそうだけど、日本の音楽シーンの中でも特別な存在だと思うからさ。

鈴木:なんか俺らの中では、冷静に聴くものじゃないっていうかさ。めちゃくちゃ聴いてたから、もう生活に入っちゃっててさ。その当時のことがものすごく甦ってくるみたいな、そういう音楽あるじゃない? そういう存在になってるから、その新しい曲がもう一回聴けるのか!っていううれしさがあったよね。

グレート:ソロとかソカバンでもサニーデイの曲やってたじゃん。それでも俺、うれしくてさ。作った人が歌うのが最高だと俺は思ってるから、それは絶対やったほうがいいって……曽我部にそう言ったこともある。「サニーデイの曲もどんどんやったほうがいいよ、みんな聴きたいから」って。

曽我部:うん、うん。

グレート:そんなこと言ってたくらいだからさ、サニーデイの曲を田中のベースと晴茂くんのドラムで聴けるっていうのは最高じゃん。すんげえうれしかったよね。

曽我部:……グレートがねえ……最近の話なんだけど、サニーデイ、3人で渋公(渋谷公会堂)やったじゃない?(2015年3月27日) あの時、晴茂くんができるかどうかわかんないくらい体調が悪かったんですよ。で、もうほんとにギリッギリんとこで……晴茂くんがステージに立てないんだったら中止にするのか、それとも誰か別のドラマーに叩いてもらうのか。でも俺は、そういう形で、せっかくの久々の渋公をやりたくないなと思ってたんですよ。晴茂くんが叩けないんだったらやめようかな、ってすっごい悩んでたの。キャンセルするんだったらもうあんまり時間もないし、キャンセルするにしても赤字も増える、みたいな時だったの。で、すごい迷ってた時に、たまたまユニオン(ディスクユニオン下北沢店)でグレートに会って。「いや、ほんと悩んでんだよね」っていう話をしたら、「絶対やったほうがいい」って。「晴茂くんが叩けなくても、お客さんのために絶対やったほうがいいよ」って言われて、その時になんかフッと「そりゃそうだよなあ」って思えて。こっちの都合じゃないですか、晴茂くんが具合悪くて叩けないとかって。お客さんが聴きたいことを、こっちの都合でやめたりとか躊躇したりとか、なんか全然違うなあ、と思って。それはすごい、グレートに助けられたひとことなんだよね。

グレート:これから田中と話す、っていう時に会ったんだよね。

田中:そう、最終の話し合いの直前に会ったらしくて。で、俺に電話かかってきて、「グレートにこういうふうに言われたんだよね」って。

グレート:俺ら、前に小西が骨折して、サンコンやキュウちゃんに叩いてもらって、あれはやってよかったという自負があったから。それで言ったんだけどね。

曽我部:で、結局渋公は晴茂くんでできたのよ、奇跡的に。すごく最高だったんだけど、そのあとにできなくなった時は、もうあんまり迷わなかった。そのグレートの言葉があったから。そのことでバンドをストップさせるのは、ちょっとこっちの都合ばっかりすぎるな、と思って。それで今があるって感じ。レコーディングも、また晴茂くん来なくなったけど、それはそれで……「これでもサニーデイだ」と思ってやってたし。だからそれは、グレートの言ってくれたことが大きいんですよ、実は。

グレート:もちろんね、晴茂くんが戻ってくるのがいちばんいいんだけどさ。でも、いなくてもやったほうがいいと俺は思ったし、この間のアルバム(『DANCE TO YOU』)を聴いてもそう思ったし。

鈴木:でもあれだよね、昔から打ち上げでもなんでも、絶対晴茂くんの話題になるんだよね。最終的になんにせよ、晴茂くんの話でまとまるというか。晴茂くんがいても晴茂くんの話になってたよ(笑)。だから陰口とかじゃないのよ。

グレート:それがすごいよね。

フラワーカンパニーズ×サニーデイ・サービス 撮影=中野修也​

フラワーカンパニーズ×サニーデイ・サービス 撮影=中野修也​

4. サニーデイ・サービスのニューアルバム『DANCE TO YOU』、圭介&グレートはどう聴いたか

 

──圭介さん、『DANCE TO YOU』は聴きました?

鈴木:もちろんもちろん。すごいよかった! もうねえ、あの1曲目、「I’m a boy」! サンバでしょ? あれ。

曽我部:あ、そうだね。サンバだね。

鈴木:そう! 「サンバじゃん、これ、いきなり!」と思って。あのリズムで始まってさ、「ん? なんかいつもと違うな……」と思ってよく聴いたら「……サンバだ! これ」と思って。あのリズムはこれまでなかったよね?

曽我部:「魔法」っていう曲の「Carnival Mix」っていうのを昔自分たちで作って。それはサンバなんだよね、クイーカの音とか入れて。

鈴木:そうか。「I’m a boy」、サンバだったから。うれしかったねえ。

曽我部:(笑)。そうだよね、サンバ好きなんだよね。でもフラカンにもサンバの要素、あるんだよね。

鈴木:あるかなあ?

曽我部:サウンド的にはないけど……俺も好きなのよ。あの明るく突き抜けていく感じで、でもどっかで悲しいというか。それはフラカンにも……サウンドは全然違うけど、そこだけ共通するんだよね。

グレート:俺ももう、最初に聴いた時の1曲目のインパクトがでかすぎて。1曲目とあのジャケットで「こういう感じか! どこに行くのかな、このアルバムは」と思ったら……それもありながら、やっぱりサニーデイにしかできない感じでさ。俺がベーシストだからかもしれんけど、やっぱり田中のベースの存在もでかいんだよね。曽我部のソロだったら絶対違う感じになるんだよ。田中のベースが入ると、俺が90年代から知ってるサニーデイになるっていうかさ。そこが俺が胸踊るところでもあってさ。そういうのを再認識した。やっぱりサニーデイだな、誰にもできないバンド・サウンドになるな、っていう。

──このアルバムは、田中さんはいかがですか? 再結成後の2枚とは全然違うじゃないですか。

田中:まあね。最初は同じ感じで始まったんですけどね、レコーディングも。なんだけど、完成しなくて、どんどんどんどん……最終的にはスタジオにも入ってないし、みたいな。

──その完成しない時期は、田中さんとしてはどういう気持ちでいるものなんですか?

田中:いや、でも、そもそもレコーディングに入る前から……今思い出すと、「代表作みたいなものを作りたい」って曽我部が言ってて。代表作って……『東京』とかそう言われてるけど、実際はそんなに自分らには、そんなに「代表作です」って感じはなくて。再結成後の中でも核となるような1枚を作りたい、みたいなことをずっと言ってて。で、レコーディングに入って……何回も完成しながら、そのたびにやり直しになって、最終的には晴茂くんもいなくなって。でも「代表作を作りたい」って言ってたから、満足いくまでやるんだろうな、って。ほんとにできないんじゃないかなと思いましたけどね、最後のほうは。ツアーもぼちぼち組み始めてる時期に、「新曲ができたからベース入れてくれ」みたいなのが連日あって、家に行って入れて、みたいな。「これ、本当にできないかな」と思ってましたけど。

──で、できたものに関してはいかがですか?

田中:だから、何十曲か録った中からのこの9曲だから……最初はこう……「これかあ」っていうか……。

曽我部:だからねえ、感動的な曲とかいっぱいあったの。

田中:はははは。うん。

曽我部:ロックのかっこいい曲とか。全部ないんですよ。感動的な、ほんとに涙が出そうなバラードとか全部ないから、田中はあせると思う、これができたら(笑)。「あんなに一生懸命作ったのに、こんな軽い曲ばっかり?」みたいな。

田中:小説のような、一大ストーリーみたいな曲もあったし、ほんとにバンドっぽい、3人の音でできてる曲もいっぱいあったからね。

曽我部:そういう曲も一緒に録ってるからね。それは引くと思う。「それを削るんだ?」って思ってもしょうがないと思う。

田中:(笑)。まあ、「あの曲はなんだったんだろう?」って思うよね。

グレート:そっちの曲も聴きたいよね、そういう話をきくと。

田中:でもリリースされてみたら、ほんとに評判がいいから。と思うと、確かに、ボツになったタイプの曲から選んでアルバムにしてたら、こんなふうにはならなかっただろうな、とは思う。

曽我部:つまり、僕らの都合なんですよ、その感動は。バンド・サウンドなんだけど、そういうのも含めて、こっちのストーリーの中での感動だから、そんなことお客さんは知らないじゃん。それで「めんどくさいな」「重いな」「おじさんのバンドだな」って思われるのがすごいシャクだったの。こっちのストーリーでアルバムを作ると、若い子たちはそう思うんだろうな、意地でもそう思わせねえぞ!っていうのを作ったつもりなんだよね。

鈴木:なるほどー。そうかあ。

曽我部:だから、田中はびっくりしたと思うんだよね(笑)。この9曲が選ばれたのは。俺らが「これがサニーデイだよね」って文句なく思うような曲を全部カットしたから。

グレート:レコーディング、どれくらいやってたんだっけ?

曽我部:1年半ぐらいやってたな。最初の1ヵ月でおカネは全部なくなったから、あとはリハスタがメイン。田中のベースは家で入れたりしたけど、ほかはふたりでリハスタに個人練で入ったり。

田中:前日でもとれるのよ。

鈴木:もっと前からは予約できないんだよね。そうするとバンド料金になっちゃうから。

曽我部:そうそう(笑)。

──確かにこのアルバム、ライド・シンバルとか、すごい音で入ってますよね。

グレート:そう、音質もすごいんだよね。

曽我部:ドラムもマイク2本とか3本で録ってるから、結局ライド・シンバルを目立たせたい時は、あとで叩いて足したりするんだよね。

鈴木:ディスクユニオンからメールマガジン来るんだけどさ、「サニーデイ・サービスの恐ろしいほどポップなニュー・アルバム登場」って書いてあって(笑)。「恐ろしいほどポップ」ってすごくない? なんだよそれ、今までのはポップじゃなかったのか?っていう。でも、聴くとわかるんだよ、そういうふうに書きたくなる気持ちも。すごいキャッチーというか、わかりやすいというか、誤解を呼ぶような言い方をすると、渋くないというか。ドロッとしたところが……歌詞はあるんだけど、音になるとドロッときこえないというか。それをディスクユニオンは「恐ろしくポップな」って書いたのかな(笑)。

フラワーカンパニーズ×サニーデイ・サービス 撮影=中野修也​

フラワーカンパニーズ×サニーデイ・サービス 撮影=中野修也​

5. サニーデイ・サービス再結成秘話・それはグレートのイベントで決まった

 

──もうひとつ思い出した。以前にグレートさんが「BARグレート」というイベントをやっておられて。

グレート:はいはい、CCC(CITY COUNTRY CITY。曽我部経営のカフェ兼レコード店)で。

──グレートさんメインの無料イベントで、田中さんと私も一緒にDJやってたんですけども。サニーデイ・サービスの再結成の最初の話し合いは、あのイベントで行われたんですよね。

鈴木:そうなの?

グレート:そうだっけ?

──何回目かの時に、曽我部さんと晴茂くんが来たんですよ。で、朝4時頃に気がついたら3人がいなくて、見たら外の非常階段のところで何か話してて。

曽我部:ああ、それがおそらく再結成する時の話ですね。RISINGから出演のオファーがあって、僕ひとりじゃ判断できないんで。で、3人で話したら「いや、ないでしょ」って感じでもなかったから、「じゃあ出ようか」とかそういう話を。

グレート:そうだそうだ、ふたりが来たことあったわ。4時ぐらいだったから、俺もう酔っぱらってて、全然気づいてなかったけど。

──僕は一気に酔いが醒めて。曽我部さんは自分の店だからまだしも、晴茂くんも来たらびっくりするでしょ。で、3人で階段で何か話してたら「これは!」と思うじゃないですか。

田中:そうだね。再結成するにあたってどういう文章で発表しようか、とかそういうのも、ノートにメモしながら話してたと思う。

──でも、戻ってきても、3人ともなんにも言わないし。

鈴木:そりゃ言わないよ(笑)。でも、そういうものなのかもしれないね。そういう重要なことほど……きちっとセッティグされた場で話し合って決まるんじゃなくて、何気ない時に、グレートがのんきに酔っぱらってるところで決まる、みたいなね(笑)。

曽我部:でもその時は、RISING以外は何も決まってなかったんだけど。でもいいきっかけだったね、今思うと。あれがなかったら、今もやってないかもしんないから。

グレート:その1年後くらいだっけ、誘ったもんね。「一緒にツアーやらない?」って。

田中:ああ、2マンで3本ぐらい回ったやつね。浜松とか。

曽我部:あの時もだから、ライブがまだ慣れてないから……3人でやりたかったのね。サポート入れて補ってやるんじゃなくて、ヘタでもなんでもいいから3人だけの音でやろう、って再結成後は始めたのよ。あの時は最高によかったね、3人でのライブ。

グレート:あの時リハもずっと観ててさ、本番も観てて……音の隙間がさ、すげえいいんだよね。これはもう究極だなと思って、3人で演奏してるとさ。もう俺「これだよ!」って声出して言いながら観てたからね。

曽我部:で、それがたぶん一番ちゃんとできたのが、さっき言った渋公だったんだよね、去年の。それでほんとはアルバムを録りたかったの。ほんとに隙間がある、ダビングしない音楽を、3人で作りたかったの。でもまあ、そうじゃなくなったんだけど、曲作ったりとかプリプロやったりとかしてた時は……ボブ・ディランの『ジョン・ウェズリー・ハーディング』ってアルバムあるでしょ?

鈴木:シンプルなやつね。

曽我部:そう、何も入ってないくらいシンプルな。あれをやりたくて、田中にも聴かせたりして、「これなんだよ!」って言って、やり始めたの。

フラワーカンパニーズ×サニーデイ・サービス 撮影=中野修也​

フラワーカンパニーズ×サニーデイ・サービス 撮影=中野修也​

6. 『DRAGON DELUXE』での共演にあたって

 

──今年の『DRAGON DELUXE』にお誘いしたのは?

グレート:『DRAGON DELUXE』って今年で5年目なんだけど。ずっとサニーデイ、出てもらいたかったんだけど、タイミングが合う時を待っててさ。さっき言ったツアーも……2010年とかそれくらいだから、もうかなり前だよね。

曽我部:そうですね。久しぶりだよね。

──この日は3人編成? 5人編成?

曽我部:まだ決めてない。でもさ、昨日カジ(ヒデキ)くんがキュレーターのフェスに出たんだけど(8月21日『PEANUTS CAMP』)……最初はサポートドラムと3人でやろうと思ってたんだけど、『DANCE TO YOU』の曲をやりたい!っていう気持ちが強くなってきて──。

田中:それでギターで新井(仁)さんに入ってもらって、4人でやった。初4人編成。

曽我部:だから『DRAGON DELUXE』も、どうやるかまだわかんないけど……フラカンのイベントだし、地元のイベントだから、自分にとってアウェイ感はあるんですよ。そういうところでどういうふうにできるかな、というのは楽しみなんですよね。

──付き合い長いわりに、意外とお客さんかぶってない?

グレート:そうだね。昔のほうがかぶっとったかもしれん。

曽我部:それがいいじゃないですか。こんなに親しくて付き合いも長いんだけど、お客さんがかぶってない、っていうのはすばらしいですよね。だってそれは、お互いがお互いのことを一生懸命やってたってことだし。いいなあと思う。で、こっちから出かけて行って、フラカンの音楽を好きなお客さんにどう聴いてもらえるかな、どういうライブができるかな、っていうのはドキドキするし、楽しみですね。

鈴木:特に若い人とかは……20代の頃から仲がいいとかそういうことを知らなくて、この2バンド、接点がまったくないように思ってる人たちが観ると、おもしろいと思う。いかにもありそうな対バンじゃないじゃん?

グレート:当日のその、イベントとか出た時の、お客さんの空気とか、お客さんの混じり具合とか──。

曽我部:そういうの常に観ていそうだよね、グレート(笑)。

グレート:うん。ライブを観ながらお客さんを観るのが好き。半分くらいはお客さん観てるかもしれん、特に自分たちのイベントだと。『DRAGON DELUXE』、それも楽しみかも。


取材・文=兵庫慎司  撮影=中野修也​

イベント情報
フラワーカンパニーズpresents「DRAGON DELUXE 2016」
日時:2016年10月22日(土)
開場17:00/開演18:00
会場:名古屋DIAMOND HALL
出演:フラワーカンパニーズ、サニーデイ・サービス、東京カランコロン
前売りチケット:¥4,000(税込/ドリンク代¥500別途要/整理番号付/オールスタンディング)
チケット:発売中
お問い合わせ:JAIL HOUSE 052-936-6041
 
 

 

フラワーカンパニーズ情報
配信限定シングル「青い吐息のように」
配信中
iTunes>https://itunes.apple.com/jp/album/qingi-tu-xinoyouni-single/id1089071076?app=itunes
レコチョク>http://recochoku.jp/artist/30045959/
mora>http://mora.jp/artist/13449/m

LIVE DVD&Blu-ray『フラカンの日本武道館〜生きててよかった、そんな夜はココだ!〜』
フラワーカンパニーズLIVE DVD&Blu-ray『フラカンの日本武道館〜生きててよかった、そんな夜はココだ!〜』

フラワーカンパニーズLIVE DVD&Blu-ray『フラカンの日本武道館〜生きててよかった、そんな夜はココだ!〜』

発売中
2DVD+2CD:AIBL-9339〜9342 ¥5,800+税
1Blu-ray+2CD:AIXL-67~69 ¥6,800+税
*初回仕様:三方背BOX+武道館ライブフォト&インタビューブック付


フラワーカンパニーズ47都道府県ワンマンツアー「夢のおかわり2016」
※終了した2〜7月分公演は省略
9月11日(日)大分@大分T.O.P.S Bitts hall
9月13日(火)奈良@奈良NEVERLAND 
10月29日(土)福島@いわきSONIC 
10月31日(月)宮城@仙台MACANA 
11月3日(木・祝)岩手@盛岡CLUB CHANGE WAVE 
11月5日(土)青森@青森Quarter 
11月12日(土)福井@福井CHOP 
11月13日(日)滋賀@大津U★STONE 
11月16日(水)鹿児島@鹿児島SR HALL 
11月18日(金)熊本@熊本Django 
11月20日(日)島根@松江AZTiC canova 
11月26日(土)埼玉@さいたまHEAVEN’S ROCK?さいたま新都心VJ-3
11月27日(日)千葉@千葉LOOK
12月9日(金)新潟@新潟CLUB RIVERST
12月11日(日)愛媛@松山W-studio RED
12月14日(水)京都@京都磔磔
12月15日(木)京都@京都磔磔
12月18日(日)和歌山@和歌山CLUB GATE
 
※全公演共通:前売¥3,800(tax in)ドリンク代別途必要
※一般チケット発売日:
10/29〜11/27公演分:2016年9月10日(土)10時
12月公演分:2016年10月15日(土)10時〜
☆フラワーカンパニーズ47都道府県ワンマンツアー「夢のおかわり2016」特設ページ http://www.flowercompanyz.com/yumenookawari2016

 
フラワーカンパニーズ アコースティック・ワンマンツアー
「夢のおかわり2016〜フォークの爆発編〜座って演奏するスタイルです〜」

9月17日(土)富山@フォルツア総曲輪ライブホール
9月28日(水)東京@渋谷duo MUSIC EXCHANGE
9月30日(金)大阪@味園ユニバース
10月2日(日)広島@福山グランドソウルカフェガンズ
10月8日(土)北海道@札幌サンピアザ劇場
10月10日(月・祝)山形@ミュージック昭和セッション
 
<全公演共通>
*チケット料金:前売¥3,800(税込/ドリンク代別途要)?※10/8@札幌公演はドリンク代なし
*一般チケット発売日:2016年7月31日(日)10時

 
 

 

サニーデイ・サービス情報
アルバム『DANCE TO YOU』
サニーデイ・サービス『DANCE TO YOU』

サニーデイ・サービス『DANCE TO YOU』

発売中
1. I’m a boy
2. 冒険
3. 青空ロンリー
4. パンチドランク・ラブソング
5. 苺畑でつかまえて
6. 血を流そう
7. セツナ
8. 桜 super love
9. ベン・ワットを聴いてた

サニーデイ・サービス TOUR 2016
10月 21日 (金)大阪 umeda AKASO
10月 28日 (金)岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
11月 3日 (祝)札幌 PENNY LANE 24
11月 6日 (日)仙台 Rensa
11月 12日 (土)広島 クラブクアトロ
11月 13日 (日)福岡 BEAT STATION
11月 19日 (土)高松 DIME
11月 20日 (日)名古屋 クラブクアトロ
11月 23日 (祝)京都 磔磔
11月 26日 (土)新潟 GOLDEN PIGS RED
11月 27日 (日)金沢 AZ
12月 14日 (水)東京 恵比寿リキッドルーム
12月 15日 (木)東京 恵比寿リキッドルーム


 

 

 

 

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