2016劇評講座Ⅲ「演劇における方法論とその射程を巡って-長谷基弘氏を迎えて-」を11/27に開催

レポート
舞台
2016.11.27

国際演劇評論家協会日本センター/シアターアーツは、2016年11月27日(日)18時より座・高円寺地下3階けいこ場2において、「演劇における方法論とその射程を巡って-長谷基弘氏を迎えて-」を開催する。概要は次のとおり。


「演劇における方法論とその射程を巡って-長谷基弘氏を迎えて-」

■日時:2016年11月27日(日)、18時スタート
■場所:座・高円寺地下3階けいこ場2
■ゲスト:長谷基弘氏(劇作家・演出家/劇団桃唄309)
■聞き手:中西理(演劇舞踊評論)
■主催:国際演劇評論家協会日本センター/シアターアーツ
■協力:座・高円寺
■受講料:500円(当日お支払い、予約不要)
■群像会話劇の形でその背後に隠れた人間関係や構造を提示する「関係性の演劇」は、1990年代以降の日本現代演劇で大きな流れを形成してきた。


桃唄 309の長谷基弘はその一翼を担う重要な劇作家だが、「関係性の演劇」の多くが一場劇ないしそれに近いスタイルだったのに対し、短い場面を暗転なしに無造作につなぎ、次々と場面転換をするという独自のスタイルを開拓した。時空を自由に往来する劇構造は従来、映画が得意とし演劇は苦手としてきた。それは映画にあるカット割りが、演劇にはないからだ。

ところが、短い場面を暗転なしに無造作につなぎ、次々と場面転換をするという独特の作劇・演出の手法は映画でいうところのカットに準ずるような構造を演劇に持ち込むことを可能にした。演劇で場面転換する際には従来は暗転という手法が使われたが、これを多用すると暗転により、それぞれの場面が分断され、カットやコラージュ、ディソルブといった映画特有の編集手法による場面のつなぎのようなスピード感、リズム感は舞台から失われてしまう。

これが通常劇作家があまりに頻繁な場面転換をしない理由なのだが、これに似た効果を演劇的な処理を組み合わせることで可能にした。こうした手法で長谷は一場劇では描くことが難しい長い歴史の中での出来事や大きな共同体の中の群像劇を描き出してきた。

今年の春にはひさびさに長編新作『風が吹いた、帰ろう』(座・高円寺)を上演。この手法を駆使してハンセン病とその療養施設がある島・大島の歴史に迫った。


ゲスト略歴
長谷基弘(はせもとひろ)氏
昭和42年生 出生(身)地:東京
立教大学文学部心理学科〔平成三年〕卒
劇団桃唄309代表
劇作家、演出家/日本劇作家協会常務理事
桜美林大学 文学部総合文化学科(演劇コース) 非常勤講師(2004年度より)
都立つばさ高校 演劇科目・朗読科目 特別非常勤講師(2004年度より)
神奈川県立総合産業高校 演劇科目 特別非常勤講師(2005年度より)

立教大学在学中に劇団桃唄309を結成。以降、同劇団の劇作家・演出家として活動を続けている。ストーリー性の高い戯曲と、多数のシーンを間断なく つなぎ合わせ物語全体を俯瞰させる手法が注目されている。2000年には文化庁芸術家派遣在外研修員に劇作家として選ばれ、2001年夏までの1年間、アメリカ合衆国にて戯曲と演劇全般について学ぶ。最近の戯曲・演出作品には山村を舞台に日本人的因習を扱った『三つの頭と一本の腕』、月面を舞台にした『月の砂をかむ女』、中学生の主人公と妖怪の物語のシリーズ第三作『おやすみ、おじさん3 – 草の子、見えずの雪ふる』、東京の今を鋭く切り取った『死すべき母の石』などがある。また、外部での演出も手がけている。高校・大学などで演劇講師を勤めている他、小中学校、自治体、企業、行政法人などでのワークショップ経験が豊富である。年間を通し全国各地で、幅広い年齢層・職層を対象にしたワークショップ講師・プランナー・プロデューサーとしても活躍している。
劇団Web: 劇団桃唄309 Web http://www.momouta.org/m/
個人Blog: mloge www.momouta.org/b/mloge/

シアターアーツ
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