ザ・フレッシュメン、聴き馴染みのある“クラシック”にこだわったプログラムで観客を魅了
ザ・フレッシュメン 撮影=原地達浩
フォークソングの名手・フレッシュメンが“クラシック”にこだわって見えたものとは 第47回“サンデー・ブランチ・クラシック”2016.10.2ライブレポート
eplus LIVING ROOM CAFE&DININGにて、毎週日曜日に行なわれている『サンデー・ブランチ・クラシック』の10月2日(日)に登場してくれたのは、伊勢久大(ヴァイオリン)&青木智哉(ピアノ)from ザ・フレッシュメン。本来はチェロの秋津瑞貴を含めたピアノ・トリオだが、この日は2人での出演となった。
ザ・フレッシュメンと言えば、クラシックに乗せ“フォークソング”の数々を新たな形で演奏することをコンセプトとしているが、2人という特別編成ということもあり、「あえて“クラシック”、聞き馴染みのある名曲をメインとしたプログラムを」ということで、1曲目は、エルガー作曲「愛の挨拶」からスタートした。
青木智哉(ピアノ)、伊勢久大(ヴァイオリン) 撮影=原地達浩
「皆さん、こんにちは」と挨拶をした青木は、ちょっと緊張気味な様子。「普段ですと、チェロの秋津くんが司会をしてくれているんです……(笑)」と話してくれた。確かに前回3人で出演してくれた時は、主に秋津がプログラムの司会進行全般を担っていた。いつもとは違った意味で“フレッシュ”な一面が垣間見える回となった。
「今日は、皆さんにとって聞き馴染みのある曲をご用意いたしました。続いては、ちょっと雰囲気を変えて」と、演奏してくれたのは、カッチーニ作曲の「アヴェ・マリア」。伊勢のヴァイオリンが、厳かな調べを青木の優しいピアノに乗せて奏で上げる。
青木智哉(ピアノ)、伊勢久大(ヴァイオリン)from ザ・フレッシュメン 撮影=原地達浩
次に、伊勢が紹介したクロール作曲の「バンジョーとフィドル」は、昭和のフォークソングを中心として活動しているザ・フレッシュメンにちなんで選曲した楽曲だという。バンジョーはギターやマンドリンに似た楽器で、民族音楽やカントリーミュージック、フォークなどでよく使用されている。また、フィドルはヴァイオリンの別称だ。踊り出しそうな楽し気なメロディと軽快なリズムが特徴的で、聴きながら自然と身体が揺れ出しそうになった。
会場の空気が、少しほんわりとしたところで「ここで、僕等の代名詞ともいえるフォークソングを2人バージョンでお届けしたいと思います」と、ザ・フレッシュメンの十八番である日本のフォークソング、荒井由実の「いちご白書をもう一度」を演奏してくれた。クラシックの名曲の中で聴くと、改めて新鮮に耳に届く感じがする。
伊勢久大 撮影=原地達浩
ザ・フレッシュメンがこの曲を演奏し始めたのは、今年の春頃だったという。「演奏することになった時、映画をまだ見たことがなかったので、借りてきて3人で観たんです」と青木は振り返る。「学生運動などを描いた作品なので、僕らにはちょっと難しい内容だったんですけど(笑)。でも、映画を観た時の記憶と感情って、一緒にずっと残っていくものだと思うんですよね」と語り、「それと一緒で、今日聴いてくださった皆さんが、僕らの演奏で聴いたこの曲をずっと覚えていてくださって、『あの時、サンデー・ブランチ・クラシック』で聴いたよなって、いつか思い出してくれたらいいなって思います」とその思いを明かした。
続いて、「アメイジング・グレイス」、青木のピアノソロによるリスト作曲「ラ・カンパネラ」、タイス作曲「瞑想曲(マスネ)」などを次々と披露。最後は、モンティ作曲「チャルダッシュ」で会場を盛り上げ、ザ・フレッシュメン2人バージョンのカフェコンサートを締めくくった。
青木智哉 撮影=原地達浩
終演後の2人を直撃すると、やはり秋津がいないためトークをどうするかでかなり緊張したという2人。演奏に関して、青木は「さっき、「いちご白書をもう一度」を弾いている時すごく気持ちよくて。クラシックを多めに演奏するプログラムを通して、改めてフォークもいいなあって思いました」と、自身も弾きなれた曲に新たな魅力を感じるきっかけになったと語ってくれた。
インタビュー中の様子 撮影=原地達浩
11月に新曲を録音したというザ・フレッシュメンの新譜は、自分たちで編曲をおこなったものになっており、これまでとまたカラーの違ったカバーとなるようだ。「ザ・フレッシュメンのオリジナルを出していけたらなと思います」と、今後の活動も見据えていた。
最後に、「フォークソングはもちろん、クラシックも含めていろんな演奏をやっていきたいですね。フォークソングもクラシックも、いろんなジャンルの曲の良さを、お客様に伝えられたらいいなと思います。客さんが知っている曲も知らない曲も、こういうかっこいい曲があるんだっていうことを、こういった場を通して披露していけるようにしたいです」とメッセージをくれた2人。次回、3人並んだ姿を観る時は、また新たな曲とともにピアノ・トリオとして“ザ・フレッシュメン”の新たな魅力を見せてくれるに違いない。
伊勢久大(ヴァイオリン)&青木智哉(ピアノ)from ザ・フレッシュメン 撮影=原地達浩
青木智哉(ピアノ)
日付:2016年12月25日(日) 開場 12:00 開演 13:00
会場:増田ふれあいプラザ コンベンションホール(秋田県)
問い合わせ:増田ふれあいプラザ (0182-45-5556)
13:00~13:30
MUSIC CHARGE:500円
12月25日
13:00~13:30
MUSIC CHARGE:500円
公式サイト:http://eplus.jp/sys/web/s/sbc/index.html