マリメッコの大規模な巡回展が、渋谷で開催!『マリメッコ展ーデザイン、ファブリック、ライフスタイル』レポート

レポート
アート
2016.12.22
《ウニッコ》の図案が展開された製品、2003-09年、図案デザイン:マイヤ・イソラ、1964年

《ウニッコ》の図案が展開された製品、2003-09年、図案デザイン:マイヤ・イソラ、1964年

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日本に多くのファンを持つフィンランドの人気ブランド、マリメッコ。その60年の歩みを紹介する国内初の大規模展が、12月17日より東京・渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで公開となった。フィンランド・デザイン・ミュージアムの所蔵作品から、ファブリック約50点、貴重なヴィンテージドレス約60点、デザイナー自筆のスケッチ、各時代の資料など、計200点以上を通してその魅力に迫る本展。開幕に先立って行われたプレス内覧会より、みどころをたっぷりとお伝えしたい。

『マリメッコ展ーデザイン、ファブリック、ライフスタイル』会場入り口

『マリメッコ展ーデザイン、ファブリック、ライフスタイル』会場入り口

マリメッコ誕生から現在まで続く、人気の秘密を探る

マリメッコは、1951年アルミ・ラティアによってテキスタイル・プリント工場を営みながら婦人服を仕立てる小さな会社として、フィンランド・ヘルシンキにて創業された。フィンランドの自然に着想を得た大胆な柄とカラフルなプリントで、数十年で世界的人気ブランドへと成長したその背景には、デザイナーの個性を尊重し、常に新しい挑戦にあふれたクリエイティブ精神とビジネスセンスがあった。本展ではその歴史を3つのセクションに分けて辿る。

2000年代のファブリックとドレスの数々

2000年代のファブリックとドレスの数々

第1セクション『はじめにーマリメッコとは?』では、最も象徴的なウニッコ柄をはじめ、創業時から現在に至るまでのオリジナル・ファブリックを展示する。

(左)ファブリック《ウニッコ》(ケシの花)、図案デザイン:マイヤ・イソラ

(左)ファブリック《ウニッコ》(ケシの花)、図案デザイン:マイヤ・イソラ

第2セクション『マリメッコの歩み』では、ドレス、アクセサリー、インテリア、生活用品を通し、ブランドの60年の歴史と個性豊かな歴代デザイナーを紹介。中には、マリメッコを愛用し世界に広めたジャクリーン・ケネディが実際に所有したドレスも展示される。

1960年代のアンニカ・リマラのドレスたち

1960年代のアンニカ・リマラのドレスたち

(中央)ドレス《ヘイルヘルマ》1959年、ファブリック《ナスティ》1957年、服飾・図案デザイン:ヴォッコ・ヌルメスニエミ / 写真右2つがジャクリーン・ケネディが所有したもの

(中央)ドレス《ヘイルヘルマ》1959年、ファブリック《ナスティ》1957年、服飾・図案デザイン:ヴォッコ・ヌルメスニエミ / 写真右2つがジャクリーン・ケネディが所有したもの

第3セクション『デザインの芸術』では、デザイナーの手によるスケッチや、生地のカラーサンプル、インタビュー映像、製造過程を紹介する映像資料から、マリメッコのデザインが生まれる工程に迫る。

(右)図案《カリッカ》のためのインク画、脇阪克二、1975年

(右)図案《カリッカ》のためのインク画、脇阪克二、1975年

様々な図案のカラーサンプル、デザイン:マイヤ・イソラ、1960年

様々な図案のカラーサンプル、デザイン:マイヤ・イソラ、1960年

日本人も活躍! 多彩なデザイナーに注目

会場には数々のカラフルなドレスや歴代の製品が並び、思わず「かわいい!」「素敵!」と目移りしてしまうが、それを生み出したデザイナーにもぜひ注目してほしい。マリメッコの大胆な柄を生かすため、極めてシンプルな形のドレスを作り出したヴォッコ・ヌルメスニエミ氏と、70年代に多くの人気柄を生んだ日本人デザイナー・石本藤雄氏の貴重なインタビュー映像は必見だ。

石本藤雄氏の作品とともにインタビュー映像も

石本藤雄氏の作品とともにインタビュー映像も

また、デザイナー直筆のスケッチと、実際に製品となったファブリックが並べて展示されている点も面白い。デザイナーの個性を大切にしながら、製品として展開するマリメッコの精神が垣間見える。

(左)図案《クルーナ》のための下絵、1967年 / (右)ファブリック《クラーヴァ》、図案デザイン:アンニカ・リマラ、1967年

(左)図案《クルーナ》のための下絵、1967年 / (右)ファブリック《クラーヴァ》、図案デザイン:アンニカ・リマラ、1967年

マリメッコは、フィンランドの美学そのもの

本展のみどころについて、フィンランド・デザイン・ミュージアム学芸員のハリー・キヴィリンナ氏はこう語る。「マリメッコの店舗は日本にもたくさんありますが、そこに並ぶのは現在のトレンドのものだけです。本展に並ぶ展示品は、国立美術館が提供する歴代の品々。製品だけを見るのではなく、マリメッコとフィンランドの歴史、文化、プロセスそのものを味わえるのではないかと思います。」

フィンランド・デザイン・ミュージアム学芸員のハリー・キヴィリンナ氏

フィンランド・デザイン・ミュージアム学芸員のハリー・キヴィリンナ氏

また、同ミュージアム館長のユッカ・サヴォライネン氏は「マリメッコの製品はフィンランドの美学そのものです。60年前からフィンランド人の生活の一部であり、これからも守られ、明るさと楽しさを与えることでしょう」と笑顔でコメントした。

大きなファブリックとカラフルなドレスが並ぶ会場内の様子

大きなファブリックとカラフルなドレスが並ぶ会場内の様子

日本中のマリメッコ・ファンが待ち望んだ本展。高知、島根、兵庫を巡回して、いよいよ東京で見ることができるこの機会をぜひ逃さないでほしい。

イベント情報
マリメッコ展―デザイン、ファブリック、ライフスタイル

開催期間:2016年12月17日(土)~2017年2月12日(日) *1月1日(日)のみ休館
開館時間:10:00-19:00(入館は18:30まで) 毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで) *12月31日(土)を除く
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
入館料(税込):一般1,400円 大学・高校生1,000円 小中学生700円 *障害者手帳の提示で割引
特設サイト:http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/16_marimekko/
主催:Bunkamura、フィンランド・デザイン・ミュージアム、朝日新聞社
協賛・協力等:[協賛]こだま印刷、アフタヌーンティー・ティールーム [後援]フィンランド大使館 [協力]Visit Finland(フィンランド政府観光局)、フィンエアー、フィンエアーカーゴ
 
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