漫画家たちとの濃密トークから、まさかの“手錠クッキング”まで 島﨑信長&松岡禎丞出演『コミック☆プリンスカフェ』収録レポート・インタビュー
写真左より、島﨑信長、松岡禎丞 ©CS日テレ
声優の島﨑信長と松岡禎丞が人気漫画家を招くトーク番組『コミック☆プリンスカフェ』が、日テレプラスにて1月28日(土)24:00~26:00に放送される。本番組では、島﨑と松岡が切り盛りする喫茶店「コミック☆プリンスカフェ」に、いま人気を集める4作品の漫画家が“来店”。作品の魅力や、制作の舞台裏など、たっぷり漫画談義する内容となっている。
そんな『コミック☆プリンスカフェ』の収録現場に、今回SPICE編集部が潜入! トークをはじめ、島﨑と松岡による料理コーナー、漫画のアテレコ披露など、見どころ盛りだくさんの内容を、収録後インタビューと併せて紹介する。
島﨑&松岡が気になる4作品を、作者と深掘りトーク
今回出演した漫画家は、『異世界居酒屋「のぶ」』(KADOKAWA・ヤングエース)の蝉川夏哉&ヴァージニア二等兵、『CV.オレ!』(講談社・マガジンSPECIAL)の上野春生、そして『山賊ダイアリー』(講談社・イブニング)の岡本健太郎、『累-かさね-』(講談社・イブニング)の松浦だるま 、という顔ぶれ。漫画好きの島﨑と松岡が、自ら愛読する4作品を取り上げた格好だ。番組尺はたっぷり2時間。画家ごとに30分を割いて、じっくりトークをしていく。
最初のゲストは、『異世界居酒屋「のぶ」』(以下『のぶ』)より、蝉川夏哉(原作)と、ヴァージニア二等兵(漫画)のふたり。同作は、異世界に店を構えた日本式居酒屋が舞台。個性豊かな異世界の住人たちが、“タイショー(大将)”の出す美味い酒と肴を求めてやってくる――という異色のグルメ漫画だ。
同作はもともと、小説投稿サイト「小説家になろう」に掲載された小説作品。会社員時代の居酒屋通いからアイデアが浮かび、そこから兼業作家を経て、専業になった――という蝉川のこれまでの経緯も語られていた。またヴァージニアにとっても、同作は専業になってから最初の作品。そうした巡り合わせに、島﨑と松岡も「何があるかわからないね」と、感慨深そうな様子を見せていた。
そんな真面目な一幕もありつつ、『異世界居酒屋「のぶ」』パートは基本的にハイテンションで進行。蝉川も、作風にも通じるような軽妙なトークを披露していた。編集者に取り上げるよう提案された”ある料理“を、締切ギリギリで初めて食べ、急いで執筆したエピソードなども明かしていた。
写真左より、蝉川夏哉、ヴァージニア二等兵 ©CS日テレ
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2人目のゲストは、『CV.オレ!』の上野春生。同作は、声優業界のリアルを徹底的に描いたお仕事漫画だ。主人公・小山田宙太は、事務所所属オーディションに合格を果たすも、仕事がまったく来ない新人声優。ようやく舞い込んだ「村人A」役に挑むところから、人気声優を目指す姿を描いている。
同作の持つリアルさに大きく貢献しているのが、実際の声優への綿密な取材。それを担ったのが、原案としてクレジットされている松岡だ。同じく島﨑も、上野の取材に応じたという。上野によると、取材時の松岡は「少年漫画の主人公のように熱かった」とか。番組のなかでも、原案を引き受けた松岡の熱い心中が語られる。
また、松岡と島﨑の声優下積み時代の話題にも及ぶ。松岡がカラオケでアルバイトをするなかで取り入れた演技練習や、島﨑の初現場での失敗談も飛び出した。漫画家、声優になるという夢を叶えた者同士(※本人たち曰く、叶えている途中)、お互いに共感するところも多い様子だ。
上野春生 ©CS日テレ
©CS日テレ
3人目のゲストは、『山賊ダイアリー』の岡本健太郎。同作は、現役猟師である岡本ならではの“狩猟&ジビエ喰い実録日誌“だ。ウサギの唐揚げ、カモのロースト、カラスの焼き鳥などの山グルメほか、野生動物との知恵比べや、サバイバル術なども盛り込まれて、コミカルなタッチのなかに狩猟の奥深さが詰まった作品となっている。
同作の主役である”岡本“は、ほかならぬ岡本本人がモデル。番組では、子どもの頃から猟が身近にあったという岡本の経歴や、猟のなかで撮った写真を見ながらのトークに花が咲いた。カラスや、過去に食べた鹿の刺身(※現在は、厚生労働省からジビエの生食に対する注意喚起が出されている)の味に話題が及ぶと、語り口が漫画の”岡本”にオーバーラップするかのようだ。
さらに、岡本がこれまでに食べたジビエのなかから「おいしかったものベスト3」と「まずかったものベスト3」を発表。特に「まずかったものベスト3」では、ある動物の肉を“犬をふいた雑巾“に例えるなどして、島﨑と松岡も興味津々。狩猟の世界のディープさを伺わせていた。
最後のゲストは、『累-かさね-』(以下『累』)の松浦だるま。『累』は、醜い顔を持ちながら圧倒的な演技力を持つヒロイン・淵 累が、亡き母の遺した「口づけをした相手と、声と顔を入れ替えることができる」口紅の力を駆使しながら、舞台女優として活躍していく姿を描く。圧倒的な画力で、人間の業にも切り込んだ作品だ。
そんな同作を描く松浦が登場するや、島﨑は一瞬で“ファン”に変貌。同じく松浦の筆による『累』の前日譚・スピンオフ小説『誘(いざな)』の素晴らしさを語るなど、ファンとしての熱量の高さを全開にしていた。現在10巻まで発売されている『累』。松浦の頭のなかには、ぼんやりと最終巻までの構想があるとのことだが、松岡が「聞きたいんじゃない?」と振ると、島﨑は「聞きたくない! 作品で見たい!」と声を大にしていた。
松浦の漫画執筆遍歴の話題になると、小学生のころの自由帳に描かれた、ウサギが主人公の漫画『ららのゆめ』をテレビ初公開。ほのぼのとしたアニマルライフのなかに、いまの松浦の作風にもつながるものが見えたり、見えなかったり……。その真相はぜひ放送で確かめてほしい。
松浦だるま(写真中央) ©CS日テレ
『異世界居酒屋「のぶ」』、『CV.オレ!』、『山賊ダイアリー』の3作品については、漫画から1シークエンスを抜き出して、島﨑と松岡がアテレコを実施。漫画家本人の目の前で、完成した映像を一緒に見るコーナーも設けられた。
『異世界居酒屋「のぶ」』は、ハンスとニコラウスが「のぶ」で初めておでんを食べる場面(第1巻・第1話)。『山賊ダイアリー』は、岡本とマサムネが狩りをするなかで、マサムネが野グソデビューをする場面(第2巻・18話)が演じられた。松岡による人力SE(効果音)も、「ここぞ!」というところで入ってくる。
『CV.オレ!』では、第1巻・第5話より、宙太と叶が初めて同じ現場でアフレコをするシーンをピックアップ。キャラクターたちの本気の演技や、相手の演技に合わせた演技など、いろいろなタイプの演技を、島﨑と松岡がさらに“演技”するという、ファンならば必見の内容になっている。
漫画家本人の目の前で演技を見られるのは「断頭台にいる気分だった」(松岡)そうだが、漫画家たちは、初めて声がついた自分の作品を感慨深げに観て、惜しみない賛辞をおくっていた。
©CS日テレ
松岡&島﨑が作品にちなんだ料理に挑戦
『コミック☆プリンスカフェ』では、松岡と島﨑が各作品にちなんだ料理を作り、実際に作者にふるまうコーナーも実施。「ふたりを手錠でつないだ状態で」、「鼻眼鏡をつけてオーバーリアクションで」、「英語・カタカナ語を使わずに」といった過酷な条件のもと、料理番組も手掛ける腕前の松岡がリードしつつ、料理をしていった。
©CS日テレ
ふたりが手錠でつながれながらの『累』パートでは、劇中にも登場したオムライスを調理。英語・カタカナ語禁止トークの『異世界居酒屋「のぶ」』パートでは、「のぶ」の看板娘・しのぶが、まかないで作ったナポリタンを再現した。
なかでも出色は、鼻眼鏡をつけてオーバーリアクションなトークをしながら作った、『CV.オレ!』パートの松岡禎丞特製ハンバーグプレート”ツグバーグ”。寒天やお麩によって牛のうまみを閉じ込め、ソースなしで深い味わいが楽しめる、松岡の得意料理だ。各工程の解説をはさみ手際よく料理する姿は、完全に料理番組のそれ。鼻眼鏡とのギャップに、ジワジワくる内容となっている。
『山賊ダイアリー』パートでは、島﨑&松岡はサポートにまわり、岡本が「イノシシの塩焼き」と「キジ鍋」を披露。はじめて食べるイノシシとキジの味に、島﨑は「うまい!」を連呼しながら箸をいそがしく運び、松岡も衝撃を隠せない様子だった。
島﨑信長&松岡禎丞 『コミック☆プリンスカフェ』収録後インタビュー
盛りだくさんの収録後には、島﨑と松岡が囲みインタビューに応じてくれた。以下、番組とあわせてチェックしてほしい。
©CS日テレ
――『コミック☆プリンスカフェ』収録お疲れさまでした。終えてみて、ご感想はいかがですか?
島﨑:いやぁ、本当に貴重な時間を過ごさせてもらいました!
松岡:うんうん。(アニメと漫画は)業界としてはつながっていますけど、普段は最終話後の打ち上げで初めて原作漫画の先生とお会いする……といったパターンが多くて。これだけの先生とお会いする機会は、そうそうないです。
島﨑:しかも、僕らが「おもしろい!」と思った作品の先生方をお呼びできたので感激でした。楽しかったし、作品づくりのお話を伺うなかで刺激もたくさんいただけて。すごく糧になった1日でした。僕らの料理も、おいしく食べていただけたみたいでよかったです。
――おふたりによる料理コーナーも、すごくおもしろい内容になっていましたね。ふたりで手錠をつけたまま作られたり……。
島﨑:あれはなんだったんだろうね(笑)。
松岡:わかんない。何プレイなんだろう(笑)。
――絆を深めるための手錠だったようですが、その点、やってみていかがでしたか?
島﨑:あれをしたから深まる……とかではないですね(笑)。禎丞とはもともと仲良いですし。
松岡:あれで絆が深まるのは、物語のなかだけだと思います(笑)。
――(笑)。おふたりで一緒に料理して食べるような機会は、今回が初めてでしたか?
島﨑:初めてですね。松岡禎丞特製「ツグバーグ」も、今日はじめて食べました! 本当においしくって、ワンプレート全部食べちゃいました(笑)。
松岡:今度はできたて食べさせるから!
島﨑:いいね! 超楽しみにしてるわ。
――『CV.オレ』、『異世界酒場「のぶ」』、『山賊ダイアリー』の3作品に関しては、おふたりで1シークエンスのアテレコをして、描いた漫画家さんご本人の前で一緒にご覧になっていました。なかなか特殊な状況だったと思いますが、いかがでしたか?
島﨑:いろいろ複雑だったよね? ドキドキしました。先生方の頭の中には、なんとなく「このキャラはこういう声だろう」というイメージがあると思うので。ちょっと心配でした(笑)。
松岡:そうそう。普通だったら指名やオーディションを経て、役を作って、ようやく演じるわけですけど、今回はそういう過程がないという(笑)。
――漫画のコマに合わせてアテレコをするというのは、アニメとはまた違う感覚なのでしょうか?
島﨑:やっぱり、積み重ねなしで、途中のワンシーンを抜き出して演じる……というのが難しいんです。その作品の魅力が伝わるシーンを先生方に選んでいただいたので、責任重大でした!
――アテレコする際、島﨑さんは『CV.オレ!』が特に難しいとおっしゃっていましたね?
島﨑:もちろん、どの役にも難しさはあるんですけど、『CV.オレ!』には劇中劇の難しさがありました。熱の入った芝居や、他のキャラクターに合わせようとする芝居もあって、僕らはさらにその芝居をする……という(笑)。しかも、がむしゃらな新人声優がその演じ分けをする。とにかく考える要素が多いんです。
松岡:言うなれば、8~9年前くらいの自分たちだよね。
島﨑:そう、俺らが出会ったころみたい。お互いに、まだメインキャラなんてやったことなくて。本当に『CV.オレ!』みたいに、生徒Aと生徒Bみたいな感じで俺らも出会ったよね。
松岡:それが今では……ねぇ。『異世界居酒屋「のぶ」』のアテレコしてるときに思ったんですけど、信長とやってると、間尺が気持ちいいんですよね。ほんとに、普通に居酒屋でしゃべってる感じ(笑)。
島﨑:俺も思った! ハンスとニコラウスのかけあいは、いつもの俺らみたいな感じだったよね。自然にできた気がします。
――おふたりの仲の良さゆえですね。
島﨑:アテレコもトークも料理もですけど、禎丞と一緒だと楽しいし、楽です(笑)。
松岡:信長とやってると、「やべ!」って思うときに助けてくれるので、すごく助かってます。僕がちょっと考えてしまっている間があっても、信長はそれを死に間にしない(笑)。
島﨑:いま考えてるんだろうなぁ、こういうこと言いたいんだろうなぁって、なんとなくわかるので。楽しく収録させていただきました!
――それでは最後に、番組の放送を楽しみに待っているみなさんに、メッセージをお願いします。
島﨑:今回は漫画家の先生をもてなす立場でしたが、自分自身、とても貴重な経験をさせていただけました。きっと何か糧になるものや、楽しいと思えるものがある、そんな番組になったと思いますので、ぜひ見ていただければうれしいです。紹介した4つの漫画も、ぜひぜひ楽しんでもらえたらと思います!
松岡:これだけの漫画家の先生が出演される番組って、そうそうないですよね。今回は4作品の先生方に来ていただけて、漫画家になった経緯なんかも伺えて良かったです。人生こういうこともあるんだなぁ、何事も目指していれば叶うんだなぁ、といったことも垣間見れて、とても刺激をいただきました。番組を見られるみなさんも、きっとお腹いっぱいになってもらえるんじゃないかなと思います! ……胸がいっぱいになって、お腹は減るのかもしれないですけど(笑)。こういう先生方だからこそ、この魅力的な4作品が生み出されたんだ! と体感できると思いますので、ぜひご覧いただければうれしいです!
レポート・文・撮影:小林 真之輔
初回放送 1月28日(土)24:00~26:00
再放送 2月11日(土)25:00~27:00 ほか
出演:島﨑信長、松岡禎丞、松浦だるま、上野春生、蝉川夏哉、ヴァージニア二等兵、岡本健太郎
放送チャンネル:CS日テレプラス (※視聴には契約が必要です)
http://www.nitteleplus.com/program/variety/comic_prince.html