イラストレーター・陶芸家 山下美千代|こんな日本アーティストがパリで活躍中 【第14回】
山下美千代
イラストレーター・陶芸家 山下美千代
イラストレーターであり、陶芸家でもある山下さん。彼女のイラスト作品は、見ていると独特の世界観に一気に引き込まれてしまいます。また、陶芸作品であるカップを手に取ってみると、まるで小さな動物を抱えているような繊細さがあるのと同時に、ふと心がゆるむような気持ちになるのです。それは、ちいさな動物のモチーフの可愛らしさだけでなく、手作りの温かさが作品から感じられるからでしょう。
一児の母として生活を送る山下さんですが、最近お子さんを保育園に預けられるようになり、アーティストとしての活躍にエンジンがかかってきたとのこと。今年はパリと日本で開催される展示が盛りだくさんで見逃せません。
――パリで活動されるようになったキッカケを教えてください。
パリに来たのは2003年です。もともとパリに興味を持ったのは、私の絵の師匠である画家がフランス好きで、パリにアーパートを借りて定期的に住んでいた姿を見たからでした。フランスに来たばかりの頃はフランス語もまだ話せず、語学学校に通いながら、ゆくゆくは絵を描いたり、文を書いたりできたらいいなと思っていました。そして、それが一冊の本になったらいいな、とも。
その後2008〜2010年に、パートナーの仕事の都合でフランスを離れてアムステルダムに移住していました。ここで陶芸教室に通いはじめたのが陶芸との出会いです。その後またパリに戻り、パリのアーティスト仲間たちと一緒に毎年年末に定例の展示会をするようにもなりました。これは『Cadeau de Noel クリスマスの贈り物』といって2016年で7回目の開催になります。
――イラストと陶芸の作品作りをされていますが、両方にはどのような違いがありますか?
絵に関しては、物語のようにストーリーの感じられる作品を描くのが好きなのですが、書き始めるまでに舞台背景や登場人物を考える産みの苦しみがあります。もちろん、出来上がった時はそれを忘れるような喜びがありますが、一方陶芸は手が勝手に物語を作って行くような感じです。絵も陶器作りも違った楽しさがあり、どちらも気分を切り替えて並行して続けて行きたい仕事です。
――これからの活動予定を教えてください。
息子が学校に入る前は「自分の仕事が出来ない!」と嘆いていたのですが、子育てと作品作りをなんとか両立する間に、限られた自分の仕事の時間を精一杯集中する技を身につけることができました。今は少しまとまって制作にあてる時間が取れるようになったので、展示活動も増やしていこうと思っています。子育ても作品作りも同じく、日々の生活を丁寧に、誠実に謙虚に生きていくのが目標です。
ホームページから彼女の今後のイベント情報がチェックできます。日本でも開催されるものも沢山あるので、ぜひ足を運んでみてください。
フリーイラストレーター&陶芸家。
リクルート広告制作会社でイラストレーターを経て1991年に独立。2003年に渡仏。現在、日仏の両国で制作&発表中。
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