GOOD BYE APRILの個性光る楽曲を詰め込んだ、多幸感溢れるニューアルバム『HOW UNIQUE!』とは

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2026.2.20
倉品翔(Vo.Gt.Key) 撮影=桃子

倉品翔(Vo.Gt.Key) 撮影=桃子

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2023年のメジャーデビュー時から折々に制作を行ってきた、シティポップのレジェンド=林哲司を共同プロデューサーに迎えたGOOD BYE APRILのニューアルバム『HOW UNIQUE!』。70〜80年代のディスコソウルやダンスビートに親しみやすいメロディーが光る曲や、スキマスイッチの常田真太郎がプロデュースで参加した「ハーフムーンが見えたらさよならを」は切なさと温かさ、美しさが溶け合った珠玉のバラードに仕上がっている。1曲1曲それぞれに違った色や匂いを持つ楽曲が一枚のアルバムに収まり、唯一無二のハーモニーを鳴り響かせる。その大充実のアルバムに込めたメッセージについて倉品翔(Vo.Gt.Key)は、自分たちらしくあることや個性的であること、つまりユニークであることを「今すごく肯定したい」と語った。新たに掲げた「TOKYO AOR」というキーワードについても語ってくれた。ぜひアルバムに耳を傾けながらご覧いただきたい。

偉大な先輩たちに鍛えられて
制作中は常に筋トレ状態だった

ーー新作『HOW UNIQUE!』は1曲1曲が色鮮やかで個性的でタイトル通りユニークなアルバムですが、できあがってみてどんな手応えを感じていますか?

いろんなチャレンジができた作品でした。前作『HEARTDUST』は、メジャーデビューするまでのバンドの音楽的な変遷やそれまでの自分たちの歴史をひっくるめた総集編のようなアルバムが作れた手応えがあったんですが、今作は今までになかった新しい自分たちをたくさん見つけられたアルバムになりました。制作期間自体は短かったけど、ギュッとコンパクトな制作期間の中で自分たちの瞬発力も試されたし、ガッツを求められる制作だったので常に筋トレしているみたいな状態で。おかげで筋肉ムキムキになれた気がします(笑)。

ーー共同プロデューサーである林哲司さんや、MVも公開されている4曲目の「ハーフムーンが見えたらさよならを」をプロデュースしたスキマスイッチの常田真太郎さんといった先輩たちと一緒に作品を作っていく中で鍛えられましたか。

そうですね。もともと僕らは、同じところに留まるんじゃなく常に自分たちを壊してビルドアップしていくスタンスでやってきたのですが、今回も前作より一歩進んだものを作りたくて、そのためには新しい自分たちを開拓することが必要なんだろうなって。それをやるためにも林さんに共同プロデュースという形で関わっていただいたり、常田さんと初めてご一緒したり、昨年リリースした「リ・メイク」で佐橋佳幸さんとご一緒したりという新しいトライをすることに自然と向かったんだろうなと思います。今回のアルバムは、全体の流れも含めた作品性は大事にしながら、一曲一曲が個性的に輝けるような10曲にしたかったんですね。それを意識して作っていった結果、すごくカラフルなアルバムになったなという手応えがありますね。

ーーもしアナログ盤だったら、4曲目の「ハーフムーンが見えたらさよならを」はA面の最後を飾る曲かななど想像しながら聴きました。ストリングスの華やかさが曲の切なさを際立たせるようなバラードで、常田さんと一緒に作り上げたこの曲もGOOD BYE APRILにとって新しい扉を開けた曲なのかな、と。

まさにそうですね。この曲はメジャーデビュー前からあった曲で、もともとの曲自体がスキマスイッチや先人の皆さんが築いてきたポップミュージックのエッセンスを持った曲だったのですが、今回常田さんと一緒に作っていく中で僕が一番びっくりしたのはストリングスですね。イントロからすごく美しい旋律が聴こえてくるんですけど、Bメロの後ろでさりげなく入っているストリングスがBメロの聴こえ方を変えてくれて。メロディーはまったく変わってないんですよ?なのに弦が入っただけでこんなに変わるんだ……って。ものすごく深い悲しみや切なさが聴こえてくるようで、まず最初そこにすごく感動してしまって。間奏もガラッと作り変えていただいたんですが、それがもうすごくかっこいいのと同時に内心では”…この演奏すごく大変そうだな”って(笑)。メンバーもヒーヒー言いながら頑張りました。

ーーそうだったんですね(笑)。

自分たちだけで仕上げていたら、きっとこれまでのGOOD BYE APRIL印がついたバラードになっていたと思うんですが、常田さんと一緒に作れたことで、一歩踏み込んでもうワンスケール大きな曲になれたんだと思います。

GOOD BYE APRIL「ハーフムーンが見えたらさよならを」Official Music Video

ーー「ハーフムーンが見えたらさよならを」のMVも素敵で、映像と一緒になると曲の切なさがいっそう深まるようです。

ですね。昔からそうなんですけど、自分が作るメロディーは妙に<さよなら>が似合うというか、まだ歌詞を載せる前のメロディーが<さよなら>を内包しているなと感じていて。

ーー倉品さんの作るメロディーが<さよなら>を含んでいる?

はい。なのでGOOD BYE APRILというバンド名でほんとによかったなって(笑)。それはさておき、なんでそうなっているんだろうと考えると、過去に大きなさよならをした経験もあって。その喪失の悲しみと、それをどうやってこれからの自分の人生に活かせるか。喪失から次にどう歩き出すのか、みたいなことを自分は音楽にしたいんだろうな……というところに行き当たりました。過去にもそういう曲は作ってきてるんですけど、自分の中の大事なテーマのひとつですし、この曲はその最新型ですね。

ーーさよならを内包したメロディーというのは、1曲目の「SYMPATHY」にも当てはまる気がします。アルバムの幕開けを飾る軽快な曲ですが、行間にさよならが滲んでいるような。今の話を聞いていてふとそう思いました。

あぁ、そうかもしれない。「SYMPATHY」は自分のらしさというかど真ん中な感じで、すごく自然に生まれた曲なんですね。「ハーフムーンが見えたらさよならを」と「SYMPATHY」に共通してるのは、今ここにないものを想っていること。「SYMPATHY」はちょっとライトで、単純に物理的な距離を隔てたものだったりしますが、その「今ここにないものに対して思いを寄せている」というのは、自分の音楽を作る上での根幹というか、本質的な部分かもしれないですね。

言葉やメロディー、サウンドに日本の情緒をちりばめた
GOOD BYE APRILならではのAORを目指したい

ーー5曲目の「Tokyo Weekend Magic」はとてもクールでかっこいい曲ですが、ライブではめちゃくちゃ熱く盛り上がりそうですね。

僕らもそう思います。早くやりたいんですよ、この曲

ーー曲のタイトルもそうですが、バンドのプロフィールにもGOOD BYE APRIL=TOKYO AOR Bandというキーワードがあります。結成15周年の今、TOKYOという看板的なワードを打ち出すことは、バンドとして腹を括るところがあったのではないでしょうか。

はい。以前はネオニューミュージックを自分たちのキーワードにしてたんですね。僕らのルーツ的にも、シティポップという括りだけじゃなくてもっと本質的なメロディや言葉を僕らは大事にしたくて、そういう意味でも自分たちのルーツはニューミュージックにあるなと思ってやってきたんですね。ただ前作を作り終えてから、これから目指していくサウンド感や今のバンドの目指すアンサンブルは、ニューミュージックという言葉だけでは括りきれないなと感じてて。というのは、ビートだったりバンドの肉体的なグルーヴみたいなものをここ近年で自分たちの一つの個性として獲得できた実感があったんですね。メロディーや言葉とともに、バンドとしての肉体感やグルーヴ感。その大事な本質を一括りにできるキーワードとして、AORという言葉が今の自分たちに一番しっくりくるなというところに行き着いたんです。

ーーなるほど。

僕らは今東京を中心に活動してますが、メンバーは東京出身のバンドではないんですね。そういう意味のTOKYOというより、日本情緒を大事にして言葉やメロディー、サウンドにそういったものを散りばめたAORを目指したいし、海外の人からも親しまれるTOKYO AORでありたい。「Tokyo Weekend Magic」も最初に林さんのデモを聴いた時から、なんてクールな曲なんだろうと思ったし、これまであまり自分たちがやらなかったような楽曲の雰囲気がこの曲にはあって。そういうものに気兼ねなくトライすることができて、その結果この曲も自分たちの新しい扉を一つ開けることができた曲ですね。

ーーTOKYO AORというキーワードは言い得て妙ですね。海外にいるGOOD BYE APRILリスナーにも伝わりやすくキャッチーで良いし、AORという音楽自体がフュージョンを内包していたり幅広く奥深いですよね。

嬉しいです。ニューミュージック、シティポップがリバイバルして、僕らはシティポップの文脈で括られることも多いんですが、僕ら自身はシティポップバンドではないとずっと思っていて。もともとギターロックをやっていたり、前作『HEARTDUST』の「Love Letter」も林さんのプロデュースですが、あの曲もシティポップというより、シティポップの元になった80年代のソウルミュージックにアプローチしたかったんですよね。そういうことも全部括れるってなったらもうAORって言葉しかないなって。

自分たちの生み出すポップスは
僕ら固有のユニークなものであり続けたい

ーー9曲目の「ユニーク」は歌詞中にアルバムタイトルにもなっている<How Unique! /You’re Only One>という一節が登場します。爽やかなハーモニーに乗せて、<誰とも似ていない君でいて>という歌詞もあったりして、SNSの声や風潮に翻弄されそうな心に寄り添ってくれる温かさや、力を分けてくれるようなメッセージを感じます。で、同様のメッセージを2曲目の「悪役」にも感じました。「悪役」では〈世間とズレた俺の感性は/間違いらしい〉と歌っていますが卑屈さはなくて、むしろ<譲れないものがあるなら/嫌われてもいいんじゃない?>とカラリと歌っている。周囲から異分子のように捉えられたとしても、自分らしさを大切にしていいんじゃないかと歌われているように感じました。

そうですね、まさに「悪役」と「ユニーク」は実は同じテーマで、『HOW UNIQUE!』というアルバムタイトルに全部集約してるんですが、それこそが僕が今作で伝えたかったテーマなんですよね。誰でもみんなそれぞれ自分らしく生きようと思うじゃないですか? もちろんそうやれてる時間とかそういう日々もあると思うんですけど、ふとした時に、「どっちが正解なんだろう?」と顔色を伺っちゃったり、SNSで流れてくる手引きみたいなものが本当は正しいんじゃないかと思っちゃう瞬間って僕もあるし、誰しもそういう瞬間があると思う。そういう時に背中を押せる作品になったらいいなと思ったし、今ってますます自分にしかできないこととか、自分だけが思っていること、感じていることとかがすごく大事な時代だと思うんですね。

ーーというと?

これは一つの例に過ぎないんですけど、AIでいろんな仕事がまかなえるようになってきた中で、音楽を作る上での感性とか、何かに触れた時に自分が思う感覚っていうのは自分にしかないものですよね。自分が生きてきた中で見てきたものから育まれた感性だったり、自分にしか感じれないものって本当に貴重で、その価値はより高まっているんじゃないかなって。だからこそ僕はユニークであることを今、すごく肯定したいと思ったんですよね。

ーーいいですね。倉品さん自身もメンバーも、GOOD BYE APRILの音楽もユニーク/個性的であると。

そうですね、まさに自分たちにも返ってくる言葉ですね。これまでの歩み方もかなりユニークなバンドですし、ポップミュージックをやることは、最大公約数の音楽になることじゃなくて、ポップスとしての旋律の美しさとかを追求するけど、そのポップスは自分たちにしか作れないもので常にありたい。そういうところは頑なに守っていきたい。この先も自分たちの生み出すポップスは僕ら固有のユニークなものであり続けたい。このアルバムタイトルを決める時に、そういう思いもありましたね。

ーー「ユニーク」の歌詞にあるように、自分の好きな服、好きで選んだ音楽が自分にとっての正解で、誰かの正解を真似する必要はなくて。GOOD BYE APRILの4人も好きなバンドや憧れのミュージシャンはいるでしょうが、その人になるんじゃなく今の4人のGOOD BYE APRILで音楽をやることがユニークなんでしょうね。

そうですね。それこそが自分たちの音楽を続けていく価値だと思うし、例えばAORっていうジャンル一つとっても、70〜80年代の素晴らしい音楽がたくさん存在していて、それをそのままやるだけなら僕らがやる意味はない。今の時代を生きている僕たちが、いろんな感覚をフュージョンさせて今のAORとしてやることに意味があるので、そういう意味ではユニークなものであるっていうことは絶対条件ですよね。

ーーラストの「BIOGRAPHY」は祝祭感のある曲で、歌詞にはバンドが誕生して15年間の日々が重なるようにも聴こえました。

期せずして自分たちの歩みにも重なった曲ですが、実は8〜9年前からあった曲で当時ライブでもやってたんです。毎回アルバムに入れたいなと思いながら作品に馴染まなかったりして出番を待ち続けていたんですが、今回1曲目の「SYMPATHY」と繋がっていくようなフィーリングを感じたんですね。作った年月は全然違う2曲ですが、15周年イヤーに出すアルバムであることや、この曲の歌詞が自分たちの15年に投影できるようにも思えたし、ラストはこの曲以外に考えられないなって。

ーーまもなく始まるツアー『GOOD BYE APRIL ONE-MAN TOUR2026 OUR BIOGRAPHY 〜15th Anniversary〜』のタイトルにもBIOGRAPHYというワードが登場しますが、今回はどんなツアーになりそうですか?

2016年にアルバム『ニューフォークロア』を作った時から一貫してるのは、僕らは4人のバンドだけど、4人だけの音で完結させることをバンドの美学にするんじゃなくて、曲に尽くすことを美学にしてきたんですね。曲によってはメンバーが自分の楽器を弾かない曲があってもいいし、メンバー以外の人が加わることもある。例えば今回のツアーは東名阪はサックスの藤田淳之介(THE TRI4TH)さんとキーボードのはらかなこさんに入ってもらうんですが、それは曲が求めていることだからそうする。それが曲に尽くすことなんだっていうのが僕らのスタンスなんですね。今回のアルバムの曲たちは今までの自分たちと一味違うものを連れてきてくれたので、それをライブでやる自分たちもこれまでとは一味違う4人になれているんじゃないかなって。それを皆さんと共有したいし、曲ってやっぱりライブで育っていくんだなって実感してるんですね。このアルバムの曲たちもツアーの中でどんどん表情を変えていってくれると思うので、僕たち自身もそれを楽しみに今準備をしています。

ーー2月21日(土)の名古屋、22日(日)の大阪の後に2月28日(土)に台湾でのフェスに出演。3月から長野、仙台を経て4月4日(土)の東京がファイナル。ツアーの前半と後半ではライブも変わってくるかもしれませんね。

そうなんですよ!長野と仙台は4人で回るので東名阪とはまた違った新しい風が感じられると思うし、台湾では初ライブなんですが、現地でもたくさんの方が聴いてくださってて早くライブをしたいと思ってたんで念願叶いました。ファイナルまでいろいろ変遷していくツアーになると思うので、たくさんの方に来ていただきたいし、楽しみにしていてほしいですね。

取材・文=梶原有紀子 撮影=桃子

リリース情報

Major 2nd Full Album
『HOW UNIQUE!』
2026.2.4 Release / PANAM
CRCP-20620 / 定価¥3,300(税抜価格¥3,000)
配信リンク:https://lnk.to/howunique
 
1.SYMPATHY
2.悪役
3.息切れの恋
4.ハーフムーンが見えたらさよならを(スキマスイッチ 常田真太郎プロデュース)
5.Tokyo Weekend Magic(林哲司 作曲)
6.whiteout
7.Velvet Motel(大滝詠一カバー)
8.リ·メイク(佐橋佳幸プロデュース)
9.ユニーク
10.BIOGRAPHY

公式サイト
https://www.goodbyeapril.com/

ツアー情報

GOOD BYE APRIL ONE-MAN TOUR2026
『OUR BIOGRAPHY』〜15th Anniversary〜
・2026年2月21日(土)愛知・名古屋ボトムライン
 開場16:30/開演17:00
・2026年2月22日(日)大阪・LIVE HOUSE バナナホール
 開場16:30/開演17:00
・2026年4月4日(土)東京・大手町三井ホール
 開場16:30/開演17:00
 

前売料金 6,500円(税込)全椅子席(東京のみ全指定席)
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