Kalafina 「シンプルになっていくための勇気」9周年記念ライブ終演後に独占インタビュー
左からHikaru・Keiko・Wakana 撮影:大塚正明
1月23日に遂に9周年を迎えたKalafina。記念日となるこの日に毎年恒例のファンクラブ限定ライブを行った。興奮の中行われたライブのレポートは別記事としてお伝えしているが、こちらでは終演後直ぐに楽屋で行ったインタビューの模様をお伝えする。9年の歩み、そして控えた春ツアー『Kalafina “9+1”』についても話を伺った。
――まずは9周年おつかれ様でした。
Keiko:9歳になりました!
Wakana:一回ハケたあとにお客さんの拍手が鳴り止まないので、スタッフさんに「出て下さい!」って言われて、私達イヤモニも外してるし、バンドさんも着替えてるしどうする?ってなったんですよ、最後の最後までみなさんの熱気がすごかったですね。
――Hikaruさんも泣きそうな表情でした。
Hikaru:「傷跡」あたりでいっぱいいっぱいでしたね(笑)。 曲も『空の境界』って凄い世界観があって、私の中では苦しいけど暖かい曲が多いと思ってるんです。みんながいて、今この曲の世界に入っていて……っていうのがこみ上げちゃいましたね。
――きょうはライブハウスでしたが、やっぱりホールとは違う熱量を感じましたね。
Keiko:年に一回しかやらないので、私達もライブハウスのノリ大丈夫かなって正直不安な部分もあるんですけど、立ってみるとやっぱりライブハウスで始まったっていうのを体が覚えている感じがありますね。
――忘れないものですか。
Keiko:はい、後ろから直でくる生の楽器のグルーヴとか、みんなのエネルギーが押し寄せてくる感じとか。あのエネルギーの交換の仕方って私達が歩んできた過程の全てなので、なんか安心するところもありましたね。
Wakana:昨年末アコースティックライブで全国を回らせてもらっていたので、久々に床が揺れる感覚を思い出して。アコースティックのときは静かだったので、Keikoのリズムを取る靴の響きで私もリズムを取ったりしてたんですけど、昨日物凄いKeikoの靴音響くな!って思って!(爆笑) そんなわけないじゃん!ドラムの音じゃん!って一人で突っ込んじゃって(笑)。 ライブハウスならではですよね、この響きって。
――毎年この記念日でライブをここで行って4年目ですが、重ねてきて見えてくるものも多いと思うんですが、今年はどうでした?
Keiko:一つ前のライブがアコースティックツアーだったので、リズム隊がいなかったんですよね。自分たちでリズムを作っていたので、3人の呼吸と言うか、バンドアレンジだけど最後3人の三声で終わる締め方とか、そういうグルーヴ感がカチッとはまるというか。リズム隊の皆さんにリズムを頼り切らないというか、Kalafinaの底力はぐっと上がった気がしますね。
――拝見して、ライブ後半に行くに従ってなんだか皆さんがどんどん歌うことを楽しんでいってる感じがしたんですよね。
Keiko:それ出ちゃってました?(笑)
Hikaru:お立ち台も出ましたからね、あまりお立ち台とか使うこともなかったし、お客さんの顔がしっかり見えた状態だったので、「これで全員の目が見えるぞ!」って思いながら歌えたのは楽しかったですね。
――そして、9周年というわけで、『Kalafina “9+1”』というツアーがありますが、何故この9という数字にフューチャーされているのかをお聞きしたいと思います。
Keiko:自分たちにとって5周年のアニバーサリーから周年ライブをやらせてもらって、自分たちがデビューした日を待っていてくれる、祝ってくれる人がこんなにもいるっていうのを肌で感じることが出来たのがこのライブなんです。回数を重ねて10周年っていう区切りが近づいてくるに従って、そこを目指すにはこの9周年の年に自分たちがどういう風に音楽を発信していくか、お客様とつながっていくか、音楽の旅をどういうものにしていくのか……それが一番大事なんじゃないかなと思って。この1年活動する内容が10周年で見えるんじゃないかなと。
――なるほど。
Keiko:9周年に自分たちの思いを込めたいと思うんですよね。ひとつの区切りの10周年をめざすからこその「9」というのはあります。
――今日MCで一番印象的だったのは、最後の「皆さんのことだけを考える1年にしたいと思います」という言葉なんです。“ことだけを”ってなかなか言い切れないじゃないですか、普通。
Keiko:そうです!言い切っちゃった!(笑)
――具体的にまだ決まっていないと思うんですが、こういう事をしたいとかそういう物があるなら聞きたいと思いまして。
Keiko:今回で言えば、やっぱりフラットな場所でスタンディング形式だったので、身長の高い人や低い人がいらっしゃるじゃないですか。そうすると場所によっては「今日はWakanaさんしか見えなかった」とか「Hikaruさんの腕だけ見えました!」とかアンケートで書いてあるんですよね。女子専用ゾーンも作ってはいますけど、後ろの方になってしまうので「少しでも前に出てライブを感じたいけど、そのかわり見えなくなちゃうから」とか、そういうのもアンケートに結構あって。自分たちの中でライブハウス用のセットリストとかもそこまで考えきれてなくて。
――そうですね、どうしてもライブハウスとかだったら前の方に行けば圧迫もされますしね。
Keiko:自分たちがお客さんの目線だったらやっぱり顔や表情みたいよな、って思ってお立ち台を作ってもらったんですよ、お客様の声から生まれたもの。
――なるほど、そうだったんですね。
Keiko:はい、具体的にお客様のことだけを考えるっていうのは、これまでも皆さんの声を大事にして活動してきたつもりなんですけど、わかりやすくそれをダイレクトに発信してもいいかな、と思ったんです。お客さんが求めているからコレやるね!っていう。さっきのアンコールもお客さんが求めてくれてて、顔だけ見せるのもアレだから歌の上からでも私達が歌おう、それで嫌な気持ちになる人はいないよね。今度来るときはバンドでちゃんと演奏したやつお届けすればいいもんね!とか。常にお客様のことだけしか考えないっていうのは潔いなって。
――そうですね、中々そこまでは言えない。
Keiko:声を聞ける場所を増やしたいなって思うんですよね。具体的なことはまだまだこれからなんですけど、まずは聞かないと出来ないので、その機会は今までと一緒だったら駄目だなってのは思いますね。
――その考えに至ったのは9年間の活動の積み重ねがあったからなんでしょうか。
Wakana:でもブレてないんですよ、ずっとアンケートも取り続けてきたし。だから自然とそういうものを自分の中に取り入れてるっていうのもあるんですよ、声を聞いてるよっていうのも私たちは発信しているので。伝わっているからアンケートを皆さんが書いてくれているとも思いますし、みんなの言葉を聞きたい。私達の中で10年やれるっていうのは一つの目標だったんです。最初はライブをしないアーティストだったんですけど、今はライブは欠かせないものになっているし、それが培ってきたものなのかなって。10年続けていけるっていう気持ちを持った上で今のKalafinaをみんなに見せたい。プラスアルファしていきたいと思うんです。だから「9+1」、10周年に向けたワクワク感を持っておいてほしいですね。
――アリーナツアーでは「すべてが音楽でつながる空間」だったし、年々Kalafinaが伝えたいキーワードはシンプルでわかりやすくなっている気がしますね。
Keiko:うん、シンプルになってきている気がします。でもそれは結構勇気いるんですよね。
Hikaru:削がなきゃいけないんですよね、カッコつけてきたものを落として、素の自分の芯だけを見せるって正直恥ずかしい部分もあって(笑)。でもそうやって私達が見せだしてきたものを感じて共感してくれているお客様も居ると思うので。そこを肯定する、私はこういう人間なんだよってみんなに見せながら自分を肯定するのって成長なのかなって、今だから出来ることなのかなって思いますね。
――では、改めて本日の感想と、今年1年に向けてお一人ずつコメント頂ければ。
Wakana:9周年ということで二日間ライブさせていただきました、お客さんは皆さんファンクラブのかたという人で、そのアットホーム感を私達も楽しませてもらいましたし、10周年という夢の一歩手前まで来たというのを、お客様の笑顔で感じることが出来ましたね。来年は二日間とも平日なんですけど(笑)。それはそれでKalafinaらしいかな、と。前半で私達がデビューした『空の境界』を全部歌ったんですけど、走馬灯のように作品も浮かぶし、同時に私たちの当時の思い出も思い出してしまって、それをお客さんも同じように感じてもらえてたら嬉しいな、と。
Keiko:正直こんなにKalafinaの音楽を愛してくれて、待っていてくれる人がこんなにも居るんだと思ったら、今年この人達のために生きようと心から思いました、魂をそこに置いてこようと。なんか昔と同じことを言っていても、同じ歌を歌っていても熱量は上がっているし、今は今の歌い方しか出来ないんですよ。だから常にKalafinaが言い続けてきた「丁寧に歌を伝えよう」って部分と、「明日のことなんて考えないくらい目一杯やるぞ!」っていうこと。この二本の軸をくっつけてやっていきたいと思いますね!そうやって皆さんのことだけを考えて活動して行きたいって思えた二日間でした!
Hikaru:今日はファンクラブの方限定のライブだったので、最初の頃から応援してくれた人にはいろんな姿を見せてきての今日だったと思うんですけど、9年の中でも色々会ったなぁと思って!自分が居なかったあの頃の曲を3人で歌えたりとか、今3人でいる意味を凄い感じましたし、それを受け入れてくれているのが凄いことだなって。その幸せを噛み締めながらステージに立たせてもらいました!ありがとうございます!
――今年のKalafinaから目が離せなさそうですね。
Keiko:そうですよ!いつでも来てくださいよ?(笑)
インタビュー・文:加東岳史 撮影:大塚正明
インタビュー前に行われたライブのレポート記事はこちらから! http://spice.eplus.jp/articles/101770
[千葉公演] 2017年4月15日(土)・16日(日) 森のホール21
[北海道公演] 2017年4月23日(日) わくわくホリデーホール
[愛知公演] 2017年4月30日(日) 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
[大阪公演] 2017年5月2日(火)・3日(水・祝) フェスティバルホール
[神奈川公演] 2017年5月7日(日) 神奈川県民ホール 大ホール
[埼玉公演] 2017年5月13日(土) 大宮ソニックシティ 大ホール
[富山公演] 2017年5月14日(日) オーバード・ホール
[東京公演] 2017年6月3日(土)・4日(日) 東京国際フォーラム ホールA
[宮城公演] 2017年6月10日(土) 仙台サンプラザホール
[福岡公演] 2017年6月17日(土) アルモニーサンク 北九州ソレイユ