中川晃教は嬉し涙、三浦春馬はトロフィーかかげてガッツポーズ! 第24回読売演劇大賞贈賞式

2017.2.28
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第24回読売演劇大賞 贈賞式

第24回読売演劇大賞の贈賞式が2月27日、高円宮妃久子さまをお迎えし、東京・帝国ホテルにて催された。

各部門最優秀受賞者はこちらにてご確認を!

以下表彰順に本人のコメントを紹介する。

■杉村春子賞/三浦春馬(『キンキーブーツ』ローラの演技について

こうしてこの賞を自分が今、手にしていると思うと、3年前ブロードウェイで『キンキーブーツ』と出会いこの役どころに挑戦したいと思ったときの自分が懐かしい。その想いが舞台で現実となり、その舞台が形となってこの賞に繋がったと思うと『キンキーブーツ』製作委員会の方々にも感謝したい。観にきてくださったお客様、僕を支えてくださったアミューズのスタッフ、そして家族に! 言葉にならない感情が沸き起こってきます。これからもこの賞に恥じぬようもっと自分がこのミュージカル・演劇を日本の皆さんにもっと身近に感じてもらえるよう、微力ではありますが努力をしていきたいと思います。

三浦春馬

三浦春馬

■選考委員特別賞/三浦基(地点『ヘッダ・ガブラー』『桜の園』の演出)

この受賞を聞いた周りの人は「特別賞は『地点』らしい、三浦くんらしいね」と喜んでくれまして。この特別賞は今まで支えてくれた人たちのものなんだなと思いました。(胸元から大事な人たちの名を記したメモを取り出して読もうとするが…)ちょっと、コレ、置きます(いただいたばかりのブロンズ像を床に置いたので場内から笑いが起きる。そして改めてお世話になった人々の名前を次々と読みだす…)ありがとうございます。以上の皆さんが特別だと思います。感謝しています。ありがとう!

三浦基

三浦基

■最優秀演出家賞/ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)(『8月の家族たち』の演出)

昨年も『グッド・バイ』で優秀演出家賞と最優秀作品賞をいただきました。今年は最優秀賞ということで、最優秀と優秀の区別はよくわからないのですが…でも最優秀のほうが嬉しいです。

『8月の家族たち』という作品は当初、映画で観ましたが、本当は戯曲だと知って。最初は書き下ろしをシアターコクーンでと言われていたんですが、私は台本を書くのが遅くて「おまえが新作をやると大変な迷惑をこうむるから、ここは他人の作品をやれ」と(笑)でも特にやりたい作品もなくて、あちこち探したんです。今回鈴木杏さんが受賞された『イニシュマン島のビリー』もいいなあと思っていたんですがすでに上演権が渡っていて。本当に苦し紛れの『8月の家族たち』だったんです。でも残り物には福があるといいますか(笑)、やらせていただいてよかったです。

ケラリーノ・サンドロヴィッチ

演出の仕事って、はたしてどこまでが演出の仕事なのか。誰とは言いませんがほとんど何もしない演出家もいるし、なぜかそいつが賞を取るとすごい腹立たしい訳で(笑)審査員の方々は稽古場にいらっしゃるわけじゃないのでご存知ないじゃないですか? だから僕がちゃんとやっていることをビデオかなにかでしっかり観ていただきたいです。(このあと、最優秀女優賞のプレゼンターとして登壇した小池栄子が「KERAさんは間違いなくお芝居されています! 毎日毎日ものすごく細かいダメ出しをされていますので私が保証します」とフォロー)麻実れいさんはじめ皆さんでわいわいやっている中で賞までいただけて嬉しいです。最近アブラが乗っていますね、と言われるんですが、同じことを2001年くらいにも一回言われたんですよ。で、その後パタッといわれなくなってその16年後また言われるようになりました。次回アブラが乗るのは2033年。そのときにまたお会いしましょう!

ケラリーノ・サンドロヴィッチ

■最優秀女優賞/鈴木杏(『イニシュマン島のビリー』『母と惑星について、および自転する女たちの記録』の演技について)

20代最後にこんなにすごいご褒美をいただけたことをとてもとても嬉しく思っています。今も本番中なので浮かれてケガをしないよう気をつけている毎日。2003年に『奇跡の人』で初めて舞台の上に立ってその時からずっと、演劇に恋をしっぱなしです。舞台の上に立っていると、照明は本当に太陽のようにあたたかく照らしてくれて、板は大地のように大きく包み込んでくれて、厳しくてもあたたかい私にとってとても大事な場所だと日々感じています。

鈴木杏

10代後半から20代と出逢った役・作品で、演出家、共演者の皆さまから役者としても、一人の人間としても多くの事を教えてもらい今迄生きてきました。なかでも大事な種をたくさん私に植えつけてくださった蜷川幸雄さんが昨年お亡くなりになって、ひとつ帰る場所を無くしたような寂しさを感じていましたが、森新太郎さん、栗山民也さんという素晴らしい演出家さんと出逢うことができ、今は野田秀樹さんとやらせていただき、この賞をいただいて、なんだか大きなものに囲んでもらい、未来につなげてもらっているような気がします。これからもたくさんの方に出逢いたいですし、欲張りなので再会もしたいです。またその時には面白いと思ってもらえる役者になっていたい。今、新たなスタートラインに立った気持ちです。

鈴木杏

■最優秀男優賞/中川晃教(『ジャージーボーイズ』)

(すでに涙がこみ上げてきてなかなか言葉が出てこない中川に、「アッキー!」「アッキー!」とジャージーボーイズメンバーらから声援が飛ぶ)

中川晃教

この『ジャージーボーイズ』というミュージカルと出逢いたくさんの事を経験し、今ここにいます。かなりかいつまんで言うとそういうことです(笑)18才でシンガー・ソングライターとしてデビューすることができ、翌年ミュージカル『モーツァルト!』で杉村春子賞をいただきました。あれから10年。ずっと大切にしていることがあります。それは芝居のクオリティと同じセンスを歌で表現できないものかということ。歌と芝居。ミュージカルにはほかにもダンスなど様々な手法・表現でお客様に感動を届けていく。なんてすばらしい職業なんだろう!やればやるだけその想いは強くなっていきました。30代で『ジャージーボーイズ』のフランキー・ヴァリの役を手中に収めるためにたくさんの方々の力をお借りしました。楊 淑美先生…あのトワングという発声は世界レベルではスタンダードのように使われていますが、フランキー・ヴァリの声をもって役に挑むことが必要で、その発声を教えていただきました。そしてボブ・ゴーディオのOKをいただいたのが初日の幕があがる一年以上も前の事。たくさんの恩師、劇場に足を運び、喜びと感動を得たいと思うお客様に盛り上げていただき、私たちも負けじと盛り上げ…この最優秀男優賞より『ジャージーボーイズ』のカンパニー全員でいただいた最優秀作品賞のほうが本当に嬉しいです。

中川晃教

(三浦)春馬くんも「家族に感謝」とおっしゃっていましたが、僕にとっても家族なしではこの賞はありませんでした。2年と8か月、一緒に暮らしてきたお祖母ちゃんにこの賞をいただいたことを見せてあげたかったんですが、そういう経験の一つ一つが再演に向かっていく力になると思っています。

■最優秀作品賞/『ジャージーボーイズ』(代表で藤田俊太郎から挨拶)

ミュージカルでは初めての最優秀作品賞をいただきました!作品を支持してくださったすべての皆さまに感謝を伝えます。2年前の2015年、この作品の演出の依頼を受けたとき、すぐに師匠である蜷川幸雄さんに報告したら蜷川さんはたくさんの事を話してくれました。70年代以降の東宝での演出、商業演劇での演出、またそれによって自身の劇団を解散したこと…最後に蜷川さんは「藤田、優秀な人と闘ってこい。闘って闘ってもしボロボロになったら俺のところに帰ってくればいいから」僕にはもう帰るところはないかもしれませんが、出会ったのは日本のミュージカルを愛し作ってきたたくさんの人たちでした。

藤田俊太郎

「カタログ・ミュージカル」と呼ばれる『ジャージーボーイズ』。僕はこの作品で演出は蜷川さんの魂を受け継ぎ、作品は世界演劇の最前線たるミュージカルを作ろうと決意しました。まああの皆さんのおかげでいい線いけたんじゃないかな、と思っています(笑)コーラスグループ『フォー・シーズンズ』を支えた聴衆、激動の60年代の時代の波に飲まれ闘いあがく4人の青年たち。昨年のシアタークリエでの上演ではドキュメンタリーのようにカメラを使い、観客の姿を観客役として舞台上に積み上げたモニターに映し出しました。そうすることによって『ジャージーボーイズ』は時代を超えて民衆の姿がその日その日の観客一人ひとりの姿となって描き出されていったと思います。これから日本版『ジャージーボーイズ』は再演を重ね、新しい青春を描き続けていきたいと思います。

最後になりましたが、この会場にはいない一人の方にメッセージを送ります。昨年の41回の公演のうち40回を支え、千秋楽の朝にこの世を去ったミュージシャン、ホーンセクション・リード1/クリストファー・ミヤギさん。天国にいるクリスさん、気持ちはいつも一緒です。

■芸術栄誉賞/吉井澄雄(舞台照明の第一人者)

私は60数年演劇の道というけもの道を歩んでまいりました。そして今日、想いも寄らぬ場所に呼んでくださった選考委員の方に感謝いたします。私が手掛けました演劇、ミュージカル、オペラに関わったあらゆる方にお礼を申し上げます。そして私を演劇の扉を開けてくれた3人(2年上の先輩、同級生の俳優、そして浅利慶太)この賞は私一人でもらったものではありません。あとからついてくる後輩たちが、この光を扱うけもの道にどうぞ光を当ててくださるようお願いいたします。

吉井澄雄

■大賞・最優秀スタッフ賞/堀尾幸男(『逆鱗』『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』の美術)

受賞のときに電話でその連絡をいただいたんですが、読売演劇大賞…「お山の大将」みたいなものがどうしても信じられなくて、何度も確認したんです。私、三浦雄一郎さんに似ているといわれるんです。三浦さんといったら登山、登山にはシェルパという人がいますよね。舞台美術や裏方はシェルパなんです。山に登ると三浦先生はうおおおお!ってやりますが、シェルパは映らないんです。なのに今回表に出ることになりました。大事な人の名前を出さないと…(メモを読み上げる)最後に久子妃殿下も大事な方ですのでお名前出させていただきました(笑)

堀尾幸男