Rhizomatiks Research x ELEVENPLAYによる、光とダンスの融合 『Dance Installation at Gallery AaMo「phosphere」』レポート
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東京ドームシティに新しく誕生する多目的ギャラリー・Gallery AaMo。そのオープニングイベントとして、メディアアートクリエイティブチームRhizomatiks ResearchとダンスカンパニーELEVENPLAYによるイベント『Rhizomatiks Research × ELEVENPLAY Dance Installation at Gallery AaMo「phosphere」』が4月15日(土)と16日(日)の二日間にわたって開催された。今回はそのオープンに先駆けて行われた内覧会より、パフォーマンスの概要をお伝えしよう。
Rhizomatiks Research × ELEVENPLAYの2年ぶりの新作
いままでも数々のエンターテイメント施設を展開してきた東京ドームシティが、はじめてアートの施設をオープンする。新スペースの名前は「AaMo」。「A」は「Art」「Amusement」、そして「aMo」は「and More」を意味しており、エンターテイメント性とアートの融合による、大人のための「遊べる」ギャラリーを目指しているという。
その新スペースのオープニングを飾るアーティストには、今年10周年を迎えるRhizomatiks Researchと、彼らとこれまでも多くのコラボレーション作品を発表してきたダンスカンパニー・ELEVENPLAYが選出された。両者がタッグを組んで生み出される2年ぶりの新作「ダンス・インスタレーション」が発表される。
作品タイトルの「phosphere」とは、ギリシャ語で「光」をあらわす「phos」と球体・空間・領域を意味する「sphere」をあわせた造語だ。その名の通り、光の作り出す不思議な空間がうみだされるパフォーマンスが展開される。
光とダンスがおりなす圧巻のステージ「phosphere」
舞台上に置かれたキューブのオブジェとプロジェクションからこの作品は始まる。やがて光と対照的な黒い服を着た8人のダンサーが白い光のキューブから四方に次々現れ、フレーム状のキューブを転がしながら三方面を囲む客席へと広がってゆく。
ELEVENPLAYの演出振付家・MIKIKO氏が総合演出を担当したリオ五輪閉会式の「トーキョー・ショー」でも、このフレーム状のキューブを用いたパフォーマンスは組み込まれており、記憶に新しい方も多いだろう。ELEVENPLAYのダンサーたちは巧みにキューブを操り、光も含めた舞台上のものすべてと息をぴったり合わせる。舞台上には、より一層濃縮された空間が立ち現れはじめる。
モーションキャプチャーで同期された、キューブやダンサーの手を結ぶ鋭い光線は、まるで光が形を持った物質のよう。さらにダンサーは光と一体となって、協調しあうようにこの空間をつくりあげる。最後に霧の中にみえてくる光の領域「phosphere」は、思わずため息が出てしまうほど壮観であった。
「ダンス・インスタレーション」という新しさ
この作品が「ダンス・インスタレーション」という新しいジャンルであるとされているのは、この光と物(キューブのオブジェ)、そして生きたダンサーの身体を対等に配置し、対等に踊らせているからなのだろう。
ELEVENPLAYのダンサーたちは美しくダイナミックな動きをしつつ表情は人形のように固定され、人間でありながらある種の物性を持ちながら激しく動く。そこに生き物のように意思をもって動いているかのような光と、ダンサーに軽々踊らされるオブジェが絡み合い、「動きのあるインスタレーション」でもある「ダンス」となる。
光のプロジェクションとダンサーの対等な戯れは、数多くのコラボレーションを行ってきた両者だからこそ成し得るものだ。新スペースのオープニングに相応しい圧巻のステージ、今後の再演も期待しながら待ちたい。
日時:2017年4月15日(土)・16日(日) 各日 13:00/16:30/20:00 の3回公演 ※開場は開演の30分前
会場:Gallery AaMo(ギャラリー アーモ)
演出・振付:MIKIKO
ビジュアルデザイン・インタラクションデザイン・テクニカルディレクション:Rhizomatiks Research
CAST:ELEVENPLAY
※未就学児入場不可