【SPICE独占インタビュー】高橋大輔が『氷艶 hyoen 2017 -破沙羅-』歌舞伎×フィギュアスケートのコラボに挑む<前編>

2017.3.15
インタビュー
舞台

『氷艶 hyoen 2017 -破沙羅-』高橋大輔

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氷艶 hyoen 2017 -破沙羅-』が、5月20日(土)より3日間全6公演、代々木競技場第一体育館のアイススケートリンクにて開催される。

世界初となる、歌舞伎×フィギュアスケートのコラボに挑むのは、歌舞伎界から市川染五郎、市川笑也、フィギュア界から高橋大輔荒川静香をはじめとした豪華なキャスト陣。さらに映像演出にチームラボ、演奏にDRUM TAO、アーティスティックコンサルタントにはVOGUE JAPANが名を連ねる。一流の表現者たちが美意識と創造力を結集させ、どのような芸術空間をみせてくれるのか。

本公演のメインキャストであり、フィギュアスケーターの元世界王者・高橋大輔がインタビューに答えてくれた。インタビュー前半は『氷艶』に、後半は高橋にフォーカスしてお話を伺う。


戦い、舞う、勧善懲悪の物語

――さっそくですが、脚本はご覧になりましたか?

はい、いただきました。僕は、源義経の役ですね。その敵役として、染五郎さんが仁木弾正(にっきだんじょう)。歌舞伎の中では、一緒に登場することがない、時代背景も元の話もちがう登場人物が戦う、空想の世界の物語です。その世界をつなぐのが、荒川さん演じる女神ですね。

脚本は、「誰かかみ砕いて教えて!」っていうくらい漢字ばかりで難しいんですが(笑)、内容は勧善懲悪で分りやすく、歌舞伎の知識がなくても楽しんでいただけるストーリーです。


――岩長姫(市川笑也)、瓊瓊杵尊(織田信成)、木花開耶姫(浅田舞)、公表されている役名だけでも、たしかに漢字だらけですね(笑)。この作品には、台詞もあるのですか?

染五郎さんと笑也さんは台詞があります。僕は、滑りながら喋ることはできないので……。基本的に、僕は言葉よりも動きで表現する方が得意なんです……。がんばります(笑)。

高橋大輔


 

「染五郎さんにはいつもの僕のままでいいと」

――すでに練習ははじまっているのでしょうか。

ようやく動き始めたところで、先日初めて、染五郎さんと荒川さんと僕の3人で、氷の上で打ち合わせをしました。その時はまだ、歌舞伎とフィギュアスケートでお互いのできることを確認する段階でしたね。「こういう動きはできますか?」とご質問いただいて「できます」「できません」と答えたり、「こういった動きがあります」とご提案させていただいたり。でも、歌舞伎の方々は週3回、深夜に集合されてスケートの練習を始めていらっしゃるそうなんです。


――週3! タフですね!!

別の方が(染五郎さんのスケート指導に)ついてくださっているんですが、染五郎さんは、さすが体幹がしっかりされています。万が一にでも怪我が怖いので、こちらからはリクエストできませんが、本番には、スピンとかできるようになられているんじゃないでしょうか。ストイックでアクティブな方だなって思いました!


――制作発表の会見でおっしゃっていた<世界最速の飛び六方>が現実味を帯びてきましたね。高橋さんは、ご自身の役についてどう思われますか? 役作りなどをされるのでしょうか?

染五郎さんには “いつもの僕のままでいい”と言われています。「(役作り)しなくていいんだ。良かった! その分、動きをがんばろう!」って安心しました(笑)。歌舞伎に出てくる義経は、追われて逃げて逃げて……というイメージがあるかもしれませんが、ここでは逃げずに戦っていく義経になるそうです。僕らしく、勢いのある感じでやりたいです。


――高麗屋の染五郎さんによる仁木弾正、澤瀉屋の笑也さんもご出演となれば、代々木第一体育館でワイヤーアクション(宙乗り)も?

はい、お二人にはそういった演出もあるようです。女神も(宙乗りが)あるのかな? 楽しみにしていてください!

高橋大輔


 

一流の表現者たちの美意識が結集する


――各界のエースの名前が次々と出てきますね。この盤石な布陣、舞台は氷上、いつもの高橋さんのまま演じれば良いとなると……。高橋さん、余裕ですね!

全然そんなことないです!(笑) なかなか制限が多いんですよ。フィギュアでは、自分のナンバーをひとりで自由に演じることができました。今回は決まったストーリーがあり、リンクには同時に人がいて、その方々とコンタクトをとりながら歌舞伎"風”の動きをするので、今までのアイスショーとは全然違います。それから、殺陣もあります。刀を持って動くのは初めてですが、歌舞伎"風”に近づけるように、がんばります。


――”風”を強調されるのはなぜですか?

氷艶 hyoen 2017 -破沙羅-』は、“和”の歌舞伎と“洋”のフィギュアスケートが融合する新しいものなので、歌舞伎“風”かな?って。それに伝統芸能ですから、この短い準備期間でスケーターにできるのは、がんばっても歌舞伎ではなく、歌舞伎“風”だと思っています。

たとえば<見得を切る>ってありますよね。「今回やるかもしれないなあ」と、うすうす想定してはいたんですが、いざ「やってください」と言われた時は「やっぱやるんだ。プロだけに任せた方がカッコいいのに!」って正直思いました(笑)。

もちろん少しでも近づけるようにがんばります。でも自分に期待されているのは歌舞伎っぽいことではなくて、フィギュアの動きで『氷艶-破沙羅-』を表現することかなって。それにも、まだちょっと受け取りきれていないところはあるんですが。


――「受け取りきれていない」とは?

染五郎さんは、様々なアイディアをお持ちです。その想像される世界を、この前お会いした時だけでは、受け取りきれなかったと思っています。もう少ししたら掴める気はするんです。今後、より具体的な稽古を受けたら「そういうことか!」というのも増えるのかな。本格的な練習が楽しみです。

和×モードのビジュアル撮影

――プロジェクションマッピングによる映像演出に、チームラボさん。和太鼓の演奏に、DRUM TAOさん。さらにVOGUE JAPANさんも参加されます。VOGUE JAPANは、どういったサポートをされるのでしょうか?

ヘアメイクとプログラムと、メインビジュアルの監修をしていただけるということで、つい先日、撮影がありました。まだお見せできる写真がないのですが、かっこいいですよ!


――それは楽しみです! 衣装やメイクはいかがでしたか?

“がっつり歌舞伎”ではなくて、和でありモードでもある感じです。歌舞伎役者さんたちの衣装の方がボリューミーで、スケーターの衣装はだいぶ軽くしていただきました。それでもエッジが裾に引っかからないようにとか、練習の段階から衣装を着て確認していきます。他の方の写真も拝見しましたが、けっこう派手で、なかなか迫力があります! メイクは、チラシと同じイメージかな。 あと、ロン毛です。


――今、なんと?!

ロン毛、ポニーテールです(笑)。地毛がこの長さなのでここがこんな感じでこうなると(髪をまとめる仕草で)、ちょっと違ったポニーテールになって、モードな感じなんです。わかりますか?


――そうですね。高橋さん、こんなところにホワイトボードがありますね。

絵は得意ではないんですが(苦笑)、ここがテンテンテンテンってなっていて後ろが長くて、こんな感じですかね?

絵をかいてるところ

書きあがった絵

――とても分りやすいです! ありがとうございます!! おっしゃる通り、これはモードな牛若丸、VOGUE JAPANな義経ですね。想像したら、公演がますます楽しみになってきました。

高橋大輔


インタビュー後半では、高橋大輔によりフォーカスした話を伺うことができた。インタビュー記事後編は近日公開予定。
 

高橋大輔の「高」は「はしごだか」が正式
インタビュー・文=塚田史香 撮影=荒川潤

★インタビュー後編はこちら:http://spice.eplus.jp/articles/111863

公演情報
氷艶 hyoen2017 - 破沙羅(バサラ) -

■日時:2017年5月20日(土)~22日(月)※各日2公演
会場:国立代々木競技場第一体育館
■出演:市川染五郎、市川笑也、高橋大輔、荒川静香、織田信成、鈴木明子 他

 

 

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