LSNとしてソロを再開したRUKAは、NIGHTMARE休止から現在までに何を想い感じたのか
LSN/RUKA 撮影=西槇太一
The LEGENDARY SIX NINE改め“LSN”としてソロ活動をスタートしたRUKAが、約2年ぶりの音源となる6曲入りミニアルバム『≠』(not equal)を4月19日に3000枚限定でリリースする。そこで、NIGHTMAREが活休を決定したところまで遡り、彼が何を想い、感じて現在のソロ活動をスタートさせたのか? 明け透けすぎるRUKAの発言は衝撃的ではあるが、故に嘘のない言葉の本心を受け止めてほしい。
普通に俺が曲書いたらNIGHTMAREのRUKA曲になるんですよ。
そこはもうしょうがない。それが俺なんだもん。
――まず最初にストレートにお伺いします。現在活休中のNIGHTMAREに対して、いまはどんな感情を抱いてらっしゃいますか?
俺ね、寂しいとかは全然ないんですよ。俺のなかでは最初に“活休します”って決まった瞬間が一番のピークだった。去年のツアーの初日、仙台のライブ(2016年4月2日 仙台PIT)をやる前に決まったんだけど。それ以降はなにもない。
――ピークだったというときは、どんなことを感じてたんですか?
この先どうやって生活していこう?っていう不安感(笑)。……そりゃ考えますよ、リストラされたのと同じようなもんだから。といっても、NIGHTMAREが活休入るまでの間に、そのための準備を並行してできるほどゆるいスケジュールでもなかったから、とりあえず(ファイナルの)11月23日を早く迎えたいと思った。そうしないと何もできないから。
――でも、活休に入ったら入ったで、すぐにバカンスに出かけてたみたいじゃないですか。マレーシアに行かれてたんですよね?
ああー。それは去年2月にBiSHとのツーマンが終わったあと、齋藤(紳一郎/LSNサポートギター)と行ったんですよ。活休後は1週間ぐらい何にもやってない。引越しが決まってたから、家でその準備をずっとしてて。引っ越しがやっと落ち着いたと思ったら、もうトークイベントの時期だった。
――1月27日に行なった『作戦会議』ですね。なぜライブではなく、トークイベントをやろうと思ったんですか?
年も明けて、自分の近況報告としてLSNをちゃんとやるということと、3月9日にプレワンマンライブ(『LSN Preparation solo live BASEMENT THEATER』)をやるっていうことを発表したかったんですよ。あとは、齋藤紳一郎が絶望的に喋れないんで、それを鍛えようというのもあった(笑)。二人でいるときは面白いんで、試しに司会をやらせてみたんですけど、ガチガチでしたね(笑)。
――RUKAさんの今後の人生を共に考えようという趣旨で開催されたそうですが、やってみて手応えはいかがでしたか?
良かったですね。僕はまず、自分以外のメンバーのファンが苦手だったんですよ。たぶん。
――これ書いちゃっていいものなのか(苦笑)。
いいですよ。他のメンバーのファンも俺のことは苦手な人多いと思うから。イベントとかでも自分のファンだとわかるとガツガツ喋れるんですけど、他のメンバーのファンだとわかると萎縮しちゃうというか、“俺より他のメンバーと喋りたいだろうな”って思っちゃったり。なんか、そういうところがあったんですよ。でも(トークライブは)自分のファンしかいないから、俺は“帝王”でした。
――だはははっ。帝王ね(笑)。
帝王だから何を喋っても許されるという。だから、自由でしたね。俺ね、不特定多数に向けて何かを発信する気になれないんですよ。根が小心者なんで。みんなが自分を見るのが苦手というか。その結果が、(NIGHTMAREのライブで)誰よりも先に(ステージから)居なくなることで。
――最後の曲を叩き終わったら一目散に舞台から姿を消してた理由は、それ?
うん。それで、あれを16年間続けてきたんですよ。
――けれども、目の前にいるのが自分のファンだけとなると?
めっちゃ居心地いい。最高です(笑顔)。
――『作戦会議』のなかで、RUKAさんが実践したくなるようなアイデアも出たりしたんですか?
まずこのトークイベントを定例化しようという案が出たんで、本当に今後は3ヵ月に1回やっていこうと思ってる。
――RUKAさんの音楽人生が、ファンの提案によってこうして本当に変わっていくというところが面白いですね。
ねっ。面白いですよね。俺も2回目をやるなんて考えてもいなかったからびっくりだよ。あと、今後も異業種の人との対談コーナーは続けたい。
――1回目のときには“あの人”の乱入もあったそうですね?
ありましたね(笑)。俺、本当に知らなくて。急に客席から悲鳴が上がったもんだから、てっきり誰かが客席で吐いたのかと思ったの、お酒も飲める場所だから。そうしたら“あの人”が来てて驚きました。
――RUKAさんはNIGHTMAREのメンバーと連絡をとったりしてるんですか?
してないですね。ほぼ。
――他のメンバーの動向とか気になったりしませんか?
あまりならないですね。悪い意味じゃなく。
LSN/RUKA 撮影=西槇太一
――いまは、自分の音楽活動にまつわることは全部RUKAさん自らセルフプロデュース&マネージメントでやっているとか。
そう。ずっとパソコンで作業してるから肩こりが半端ない(笑)、NIGHTMAREやってた頃よりも。最近は後頭部まで痛くてヤバイですよ。今日締め切りのデザインがあって、このままだと100%間に合わないと思ってこの取材時間も1時間遅らせてもらいましたけど。本当に、自分でやってみると、こんなこともスタッフにやってもらってたのかってことがいっぱいある。
――あまりにもやることが多すぎて、早寝早起きの生活スタイルに変わったそうじゃないですか。
変わりました。休みの日は昔から早く起きる習性があったから、それが習慣づいちゃっただけなんだけど。いまは毎日、夜中の2時頃に寝て朝8時半には起きてる。
――今回、全部を自分でやってみようと思った一番の理由は?
俺は元々ドラムが苦手だし、活休が決まった頃は曲作りにも疲れちゃってて、できれば曲も作りたくない感じで。単純に“音楽”というものに飽きちゃってた気がするんですよね。イヤイヤ期みたいな。そんなときに活休が始まっちゃったら俺は何もできないと思って。自分はたまたまですけど、前からソロをやらせてもらってて。だから、ちょうどいいから俺のソロを使って人体実験しながら勉強してみようと思ったんです。それで、いろいろ勉強していって憶えたら、将来何かの役に立つかもしれないという安直な発想がきっかけ。NIGHTMAREはスーパーマネージャーのE氏がいたから、何も勉強しなくてもよかったんです。俺は間違いなくすべてを彼に頼ってて、やってもらえることはすべてやってもらってたんで(笑)。
――いわば恵まれた環境にあった訳ですね。
そう。でも、いまは活休だけど、次この後にもしも解散ってことになったら俺はこの先どうなるんだろうってところまで考えちゃって。もしかしたらメンバーの誰かが事故や病気になったり、俺が怪我の後遺症でドラムを叩けなくなったりしたら、完全復活はなくなる訳じゃないですか? この活休は本当にいい機会だから、この先自分がやれることを探そうと思ったの。そのために、まずは自分を実験台にして。
――自分はドラムを叩いたり楽曲を作ったりすることの他に何ができるのかを探っていこうと?
そうだね。あとは何か自分が知らない天性の才能を持っているのかどうかを知りたくて(笑)。
――今回から、ソロプロジェクトの名称を“LSN”に改名したのはなんでだったんですか?
単純にここから心機一転スタートという意味で。LSNのロゴの取り消し線はそういう意味を込めて入れました。
――なるほど。そういう作業と並行してアルバム制作も行なっていたんですよね?
はい。今回、忍さん(Creature Creature/LSNサポートギター)と二人だけでの制作作業が多かったので早かったですね。もう付き合いも長いので僕の好みを知っててくれてるので。
――なるほど。
ちなみにボーカルは、元THE KIDDIEのギターの淳がやってるスタジオがあったからそこで録ったんだけど。そのスタジオでは、元THE KIDDIEのギターがエンジニアをやりながら元THE KIDDIEのボーカルの揺紗の歌を録るという訳分かんないことになってて面白かった(笑)。できるだけ周りにいる人だけで固めて今回はやりました。
――ソロはいろんなミュージシャン、有名クリエイターとコラボするのが醍醐味だという考え方もありますけど。
今後はそういったこともできたらいいですよね。女性にも歌ってもらいたいし、ピアノと歌だけの曲とかもやってみたいし。何より自分で聴いてみたいし。
――本当に自らを使って実験してるんですね。
そうだね。NIGHTMAREやってる頃、俺はストレスなんて感じたことないと思ってたんだけど、それ以上にいまは全然のびのびしていられるから。不思議だよね。大所帯が苦手だったのかな?
――今回の人体実験を通して、早くもそんな発見があった訳ですね?
そうだね。
――でも、そういうストレスから解放された反面、今度は音楽、クリエイティブな部分に集中する時間が減ってストレスを感じてたりするのでは?
僕が元々そんなに音楽やクリエイティブに重きを置いてる人間ではないんで、昔から。NIGHTMAREでも、咲人は音楽人間だからコンスタントに曲を作って出せるけど、俺は甘えん坊なので(曲を)思いついたときにしか書けないから。自分はこういう人間なんだと思って。ソロだったら、自分が本当に好きな曲ができたときにそれを出せばいいから。そこはラクです。
――今作に収録した曲は活休以降に作った曲ですか?
そうです。地獄でしたね。6曲も作るなんて。なんとか絞り出した。もう出がらしも残ってない(苦笑)。俺はストックを持てない人間だから、これがすべて。でも、さっそくこの曲たちは全部、聴き飽きてきちゃったんですけどね。すげーいいなと思ってたのに。
――まだリリースもしてないのに?
そろそろ新しい曲ができる兆候です。これは。
――それならよかった。アルバムのタイトルはどう読めばいいんですか?
“ノットイコール”ですね。
――今作とイコールではないその対象とは?
NIGHTMAREとも違うし、The LEGENDARY SIX NINEとも違うということですね。
――ということは、曲を作るときからそれらとかけ離れた曲を作らなきゃという意識があったということ?
いい質問ですね(笑顔)。そこはすごく意識してました。でも、途中から“なんだ、俺は無理してこれまでの曲を作ってた訳じゃないんだ”ってことに気づいて。何も考えないで作るとこうなるんだって分かっちゃって。だから“これは俺の個性なんだ”と思って、そのまんまでいこうと思ったんです。
――やっぱりね(微笑)。今作を聴いててそう思ったんです。ああ、これは途中で違うものを探すのやめちゃったなと。
はははっ(笑)。探してて一番最初にできたのが「DARK NIGHT」と「かみさまのいうとおり?」なんですけど、だからこれだけ変わってるんですね。でも、そこで諦めました。別に悪いことしてる訳じゃないし、こんなメロディー作る人いないんだから逆にそのまんまでいいや、と。だから、全部“俺”です。
――だから、これを聴いてまず思いましたもん。NIGHTMAREの曲と同じじゃんって。
ホントそう思うよ(笑)。
――まだThe LEGENDARY SIX NINE名義の作品のほうがNIGHTMAREとは違いがあって。
あれは(NIGHTMAREの)ボツ曲だから毛色が違うんですよ。きっと。
――なるほど。でも、今回新しくLSNのために曲を書き下ろしてみたところ。
普通に俺が曲書いたら、やっぱね、NIGHTMAREのRUKA曲になるんですよ。そこはもうしょうがない。それが俺なんだもん。これも新たな発見だったね。
LSN/RUKA 撮影=西槇太一
――柩さんはGREMLINS、咲人さんはJAKIGAN MEISTER、YOMIさんはTAKE NO BREAKと、各々ソロワークが活発化していくなか、RUKAさんが作るLSNの楽曲がもっともNIGHTMARE色が強く出てますからね。
あー、そうでしょうね。前にも何かで話したんだけど、NIGHTMAREだからこうっていう音楽性を俺は感じたことはないんで。好きなようにやったらそりゃあそうなりますよ。仕方がない。もともと自分の好きな曲を作ってたから。
――特に6曲目の「DARK NIGHT」はまんまというか。
あー。「DARK NIGHT」ができたときに、俺は自分から離れた曲を書くのは無理だなと思ったんで、そこで諦めたんですよね。
――これはNIGHTMAREの「Star[K]night」のアンサーソングですか?
えっと、この曲に関しては、いいことをいわれるのも嫌なことをいわれるのも嫌だから、歌詞は載せないんです。感じたり思ってくれたりするのはいいんですけど。
――では、これだけ確認させて下さい。この歌詞はRUKAさんの想いを綴ったものですよね?
……嘘じゃないですかね。この曲はフィクションだと思いますよ。ふふっ。
――では、そういことにしておきます。
この曲は最初、もうちょっとパンキッシュなものをやろうと思って作ったんですけどね。出来上がったらこうなりました。
――今作のなかで「ソナタ」は唯一作詞を外部のクリエイターの竜宮寺育さんが担当してますが。
最初から頼もうと思ってたんです。BiSHに曲を書かせてもらったとき(「IDOL is SHiT」)、俺のメロを女の子が歌うとこうなるんだっていうところとかすごい勉強になったんですよ。そのときに歌詞を書いてもらった竜宮寺さんにお願いしました。
――最初からここまで爽快で明るいタッチの曲だったんですか?
うん。これは一番短時間でできた曲。5分ぐらいでできたかな、何も悩まず。駄作ができたと思ったんだけど、周りの人に“いい曲だ”っていわれたら自分でもそう思い込めるんで(笑)、それで進めていったら後半からどんどんよくなってったの。
――この曲は揺紗さんの声質が映えますね。
そうなんですよ。だから、この曲に関しては揺紗に「LSNに寄せなくていいから、一番得意な歌い方で歌ってくれ」ってお願いしました。
――これらの曲を初披露したプレワンマンライブはどうだったんですか?
クソでしたね、俺が。3カ月も(ドラムを)叩いてないとダメですね。家にばっかいるから身体も鈍ってるし。
――トレーニングとかは……。
する訳ないじゃないですか。この俺が。
――ですよね(笑)。でも一応聞いてみました。
家でずっとパソコンやって疲れたら床暖に寝っ転がっての繰り返しだから。でも、それでもライブ前にはがっつり個人練習に入ってたんだけどね。だけど、ステージに立つという行為が久しぶりすぎてダメでした。すごい緊張して変な力入っちゃったし。始まってみたら想像してた以上に体力が落ちててバテバテだった。
――次のライブに向けて改善策は考えてるんですか?
次はBiSHとの『CHAOS PARTY』だからね、ヤバいですよ。俺、ゲロ吐くと思う。このままいったら。何を鍛えたらいいんですか?
――それはドラム叩いてる人に聞いて下さいよ。
どうしよう。ヤバいなとは思うんだけど、何もする気はないんですけどね(笑)。
――まあそれがRUKAさんなんで。ちなみに、BiSH以外に対バンしたい人たちとかいないんですか?
まず俺は友達が少ないから対バン相手がいないんですよ。ずっと小さなコミュニティーの中でしか付き合わないし、NIGHTMARE自体がワンマンばっかで活動してきたから、本当に友達がいない。NIGHTMAREがインディーズ時代に一緒にやってきたバンドは、もう規模がでかくなっちゃってるから、今の俺と対バンとなると難しいし。でも、さらに歳下の世代ってなると本当に知らないから。今年はそこもなんとかしなきゃね。
――BiSHとの対バンの後は、6月18日にはLSN1stライブが決定しています。こちらはどんなライブにしようと思ってるんですか?
いま考えてるところです。演出も自分が好きなこと、やってみたかったことができるから、なんでもやれるからどうしようって悩んでる感じ。
――その後の予定は?
まだ全然決めてないんだけど、渋谷のチェルシーホテル3DAYSとかやりたいな。1回限界までやってみたい。
――限界を見たいんですよね。RUKAさんって。
そう。やったことのないことの結末を知りたい。自分で自分を追い込みたいなと。
取材・文=東條祥恵 撮影=西槇太一
LSN/RUKA 撮影=西槇太一
2017年4月19日発売
<収録曲>
1.かみさまのいうとおり? 作詞 作曲 RUKA
2.CRAZY CRAZY 作詞 作曲 RUKA
3.Monsters inc. 作詞 作曲 RUKA
4.haze 作詞 作曲 RUKA
5.ソナタ 作詞 竜宮寺育 作曲 RUKA
6.DARK NIGHT 作詞 作曲 RUKA
2017年6月18日(日)新宿BLAZE
OPEN 16:00 START 17:00
<料金>
前売り ¥6,000(消費税込み)ドリンク代別途
当日 ¥7,000(消費税込み)ドリンク代別途
受付期間:3月10日(金) 12:00~ 3月20日(月) 23:00
http://www.nightmare-web.com/
受付期間:3月21日(火) 12:00~ 4月9日(日) 23:00
http://www.lsn.tokyo/
問)DISK GARAGE 050-5533-0888