どこまでもあたたかで等身大 嬉しい発表にも沸いたSPiCYSOLの東京ワンマン
SPiCYSOL 撮影=AZUSA TAKADA
波MACHI ONE MAN LIVE 2017 Spring 2017.3.12 渋谷LUSH
3月12日、渋谷LUSHにてSPiCYSOLのワンマンライブ『波MACHI ONE MAN LIVE 2017 Spring』が開催された。SPiCYSOLが東京でバンドセットでのワンマンを行うのは昨年7月3日のツアーファイナル以来約8ヶ月ぶりということで、はソールドアウト。会場にはたくさんのファンが駆けつけ、開演を今かと待っていた。
SPiCYSOL 撮影=AZUSA TAKADA
青色の照明と波の音のSEが心地よい雰囲気を作り出す中、KENNY(Vo.Gt)、AKUN(Gt)、KAZUMA(Dr)、PETE(Key.Trumpet)、サポートのSEKI(Ba)が登場。「渋谷、調子はどうですか? 最高に楽しんでいこうぜ」とKENNYが早速呼びかけ、1曲目「Honey Flavor」へと突入した。腰から揺らす重心低めのビートと、切なげにきらめくキーボードの旋律。ゆっくりとミラーボールが回る下で、オーディエンスが身体をゆるやかに動かし始める。そのまま、アコースティックギターとトランペットの爽やかな音色が潮風を運ぶような「Tropical Girl」へ。「今日はどこよりも早い夏フェスにしようと思います!」と宣言したKENNYは、しきりにオーディエンスからの声を求めている。のちのMC曰く「SPiCYSOLのライブは一方向じゃない。(みんなで)ひとつになってこそライブなんですよ」とのことだが、とはいえ、無理してテンションを上げに行く素振りはなく、フロアとステージとの距離が一歩ずつ縮まっていき、場内がじわじわと盛り上がっていくような感じが良い。そういう温度感からも、“Surf Beat Music”を掲げながら「ありのままでいいんだよ」というメッセージを発し続けたこのバンドの人柄が垣間見える。
SPiCYSOL 撮影=AZUSA TAKADA
「Rising Sun」の後にはPETEのトランペットソロに合わせてオーディエンスが「テキーラ!」と声を張り上げる“テキーラ・タイム”も。続く「PABUK」ではライブならではのバンドアレンジが光る中、フロアでは色とりどりのタオルが回される。演奏前にKENNYが「久しぶりだぜ」と呟いた「Night Cruising」ではタイトルコールと同時にフロアからワッと歓声が。直後に自然発生した手拍子の音も、同曲を華やかに彩ったのだった。
SPiCYSOL 撮影=AZUSA TAKADA
MCに入ると、なかなか東京でライブをする機会がなかったことに触れながら「スゲー怖かったけどスゲー安心しました!」と飾らず打ち明けるKENNY。ここで重大発表として、5月10日に1stフルアルバム『SIGNAL』を発売することが伝えられた。「挫折もあったしつらい年だった」「4人で続けていけるのかという不安もあったし曲が作れなかった時期もあった」という昨年(2016年)を経て生み出した同作には、「周りに流されず心の信号(SIGNAL)に従って生きてほしい」というバンドからのメッセージが込められているという。この日いち早く披露された新曲「Signal」は、ここから一歩踏み出そうと前を向く今の自分たちのことも、悩んで迷ってなかなか歩き出せずにいたあの頃の自分たちのことも、まるごと肯定するような曲だった。ポジティブな気持ちもネガティブな気持ちも抱きしめながら進んでいく彼らの音楽は、聴き手のことを受け入れてくれるような懐の深さを持つ。つらいと感じた季節さえも決して無駄ではなかったということを、メンバー&オーディエンスの笑顔が何よりも強く証明していた。演奏終了後、「というわけで、今年も俺たちは止まらないんでね! みんなもついてきてくれ!」とKENNY。すぐさま、フロアから温かな拍手が送られていく。
SPiCYSOL 撮影=AZUSA TAKADA
新曲初披露という特別な場面を境に、ライブはいよいよ後半戦へ。テンポの加速とコール&レスポンス合戦がスリリングな「To The C!!!」、KAZUMAの野性味溢れるビートが昂揚感を招く「Around The World」の後に届けられたのは「Coral」だ。この曲は元々KENNYが友人の結婚式の為に作った曲だが、この日は「去年一旦休もうかと思ったけど、それでもステージに立てたのは、仲間たちやクルー、そしてみんながいてくれたからです」という言葉とともに等身大の感謝の形として奏でられた。オーディエンスへまっすぐ視線を向けながら、時にはその一人ひとりを指すようにして歌うKENNY。前髪を汗で濡らしたAKUNの演奏にも一層熱がこもっている。
SPiCYSOL 撮影=AZUSA TAKADA
そして「Hello Swallow」で本編は終了。アンコールでは「重大発表、まだ終わっていません!」と春の全国ツアーの開催を発表し、場内はさらなる歓喜に包まれた。しかしまだまだパーティーは続く。その後披露されたニューアルバム収録予定の新曲では、ゲストボーカルとしてSoweluとJAZEE MINORが登場! 予想外のサプライズ・ゲストが新たなバンドの魅力を引き出していました。そして、この日限りでチーム・SPiCYSOLを卒業するマネージャーに宛てられた「My Roots」では「会場に来ることができなかった人たちのために」ということで急遽撮影許可が下りたのだった。
この日初披露の新曲や盛り上がり必至のライブ定番曲、そしてなんでもありのアンコールまで、終始、メンバー&オーディエンスの温かな人となりが滲み出ていたこの日。等身大の気持ちを引き連れて、SPiCYSOLの旅路はまだまだ続いていく。「まだまだ終わりじゃありません。今年はここが始まりなので、2017年も楽しみましょう!」というKENNYの言葉が、どこまでも爽快に響きわたった。
取材・文=蜂須賀ちなみ 撮影=AZUSA TAKADA
SPiCYSOL 撮影=AZUSA TAKADA
1.Honey Flavor
2.Tropical Girl
3.AWAKE
4.Rising Sun
5.PABUK
6.Night Cruising
7.Signal
8.V.A.CATION
9.To The C!!!
10.Around The World
11.Coral
12.Hello Swallow
-Encore-
1.You Find Me,I Find You ft.Sowelu & JAZEE MINOR
2.My Roots
2017年5月27日 (土) 北海道 札幌ベッシーホール
2017年6月10日 (土) 広島県 広島BACK BEAT
2017年6月11日 (日) 福岡県 福岡DRUM SON
2017年6月17日 (土) 宮城県 仙台enn 2nd
2017年6月18日 (日) 新潟県 新潟CLUB RIVERST
2017年6月24日 (土) 愛知県 名古屋ell.SIZE (ワンマン公演)
2017年6月25日 (日) 大阪府 心斎橋Pangea (ワンマン公演)
2017年7月02日 (日) 東京都 代官山UNIT (ワンマン公演)
【OTHER LIVE SCHEDULE】
◆2017年3月23日 (木) SHIBUYA CLUB QUATTRO
「ベリーグッドマン presents “3X UP Tour 2017”」
「ベリーグッドマン presents “3X UP Tour 2017”」
「夢チカLIVE VOL.119」
「ベリーグッドマン presents “3X UP Tour 2017”」
2017年5月10日(水)発売
「Rising Sun」
「Coral」
「PARK(Interlude)」
「Honey Flavor」
「No Time No Reason」
「EXA SCALE」
「LOCAL BEAT」
「OCEAN(Interlude)」
「Signal」
「WDTA(Shut Up)」
「You Find Me,I Find You ft.Sowelu&JAZEE MINOR」
「Sex On Fire」
RX-RECORDS / UK.PROJECT