『この世界の片隅に』が25億円、190万人を突破!のん、高崎映画祭W受賞に「ずーっと大切な映画として残っていくと感じています」
左からのん、片渕須直監督 『この世界の片隅に』
公開から20週目をむかえたアニメーション映画『この世界の片隅に』が、興行収入25億円、累計観客動員数190万人を突破したことがわかった。また、第31回高崎映画祭で同作主演・のんと片渕須直監督がホリゾント賞をW受賞している。
『この世界の片隅に』は、こうの史代原作の同名漫画を原作に、片渕監督が6年の歳月をかけて映像化したアニメーション映画。第二次世界大戦中の広島・呉を舞台に、戦況が悪化していく世の中で大切なものを失いながらも、日々を前向きに生きる女性・すずの姿を綿密な時代考証をもとに描く。主人公・すずをアニメ声優として初主演を果たす女優のんが演じるほか、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔ら多くの才能が同作のために集結。音楽をシンガーソングライター・コトリンゴが担当している。
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同作は昨年2016年11月に公開し、先週3月25日(土)に20週目という記念すべき節目を迎えた。このタイミングで、興行成績は25億円を突破。現在までの累計動員は190万人を超え、いまだにロングランを続けている。
『この世界の片隅に』 高崎映画祭でのようす
また、3月26日(日)に行われた第31回高崎映画祭ではのんと片渕須直監督は、“野心的かつ革新的作家性を備え、日本映画界の未来を照らすであろう映画人”に贈られるホリゾント賞をW受賞。授賞式で、のんは「この映画は、たくさんの誠実な人たちの愛情が集まってできた映画だと思っていて、こんなに温かくて素晴らしい作品に関われたことを、心から誇りに思います。皆さんの中でも私の心の中でも、ずーっと大切な映画として残っていくと感じています」と、同作への思いを丁寧な言葉でコメント。片渕監督は「わずか何十分かの映画のために色々な仲間が集まって、大事な絆を築いて。そうやって応援してくれた人との絆が真っ白なホリゾントに画を描くんだろうなと思います。これからもそういう出会いを期待して、信じてやっていきたいと思います」と感慨深げに語った。
片渕監督は公開後、精力的に全国舞台挨拶行脚を行っており、これまで70回の舞台挨拶を実施。今後も、4月2日に福島県・フォーラム福島、4月3日に石川県・金沢シネモンド、4月7日に広島県・広島バルト11と呉ポポロに赴く予定だ。
また、海外でも『この世界の片隅に』の輪がひろがっており、全世界29の国と地域での配給決定している。 3月30日からは香港、6月からはイギリス、7月からはドイツ、9月からアメリカ・フランスで順次公開されるほか、韓国、シンガポール、ベトナム、インドネシア、マレーシア、ブルネイでも配給が決定している。
『この世界の片隅に』は公開中。
映画『この世界の片隅に』
声の出演:のん 細谷佳正 稲葉菜月 尾身美詞 小野大輔 潘めぐみ 岩井七世 / 澁谷天外
監督・脚本:片渕須直
原作:こうの史代「この世界の片隅に」(双葉社刊)
企画:丸山正雄 監督補・画面構成:浦谷千恵 キャラクターデザイン・作画監督:松原秀典
音楽:コトリンゴ
プロデューサー:真木太郎 製作統括:GENCO アニメーション制作:MAPPA
配給:東京テアトル
すずは、広島市江波で生まれた絵が得意な少女。昭和19(1944)年、20キロ離れた町・呉に嫁ぎ18歳で一家の主婦となったすずは、あらゆるものが欠乏していく中で、日々の食卓を作り出すために工夫を凝らす。 だが、戦争は進み、日本海軍の根拠地だった呉は、何度もの空襲に襲われる。庭先から毎日眺めていた軍艦たちが炎を上げ、市街が灰燼に帰してゆく。すずが大事に思っていた身近なものが奪われてゆく。それでもなお、毎日を築くすずの営みは終わらない。そして、昭和20(1945)年の夏がやってきた。