新体制でスタートしたドラマストア、春の芽吹きを感じさせる新作『白紙台本』に込めた想い

インタビュー
音楽
2017.4.18
ドラマストア

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関西発正統派ポップバンド・ドラマストアが新体制になり新たな1歩を踏み出した。ミニアルバム『白紙台本』は、いろんな苦難を乗り越え、聴く人の心にそっと寄り添い、今を楽しんでいる彼らの想いが詰まった作品となった。今回のインタビューではバンド結成から今までを振り返り、ミニアルバム『白紙台本』について長谷川海(Vo/Gt)、松本和也(Dr)、松岡大暉(Ba)のメンバーに語ってもらった。

――まずはバンドを結成するに至った経緯を教えてください。

長谷川海(以下、長谷川)​:2014年の12月に活動をスタートさせました。前身バンドが解散して、新たにバンド結成するとなった時に、バンドをやってる僕の周りの人に声をかけたんです。だけどベースが中々決まらなくてどうしよう……となってた時にサークルの後輩から紹介してもらったのが松岡でした。

――決め手となったのは何だったんですか?

長谷川:最初スタジオに入った時に、僕以外のメンバーが彼のことをボロクソに言うんですよ(笑)。「全然出来てないから!」って。“初めてスタジオ入っていきなり面と向かってこんなこと言われたらキツいやろな〜”と思いながら聞いていて。そしたら1週間くらい経って急に「正規でやりたいです」と松岡から連絡がきて、ボロクソに言ってたメンバーの反応をみると……。

松本和也(以下、松本)​:“ええやん! そのガッツええやん!”って(笑)。

長谷川:そんなに言われたのにくる?と思ったのですが、その心意気を買おうってなりましたね。

――松岡さんは何故そこまで言われても“入りたい!”となったのですか?

松岡大輝​(以下、松岡):その頃、大学2回生で人生的にも本当にやることがなかったんです。大学も大卒という資格を取りに行くという考え方でした。そんな時にこういう話をいただいて、“これ棒に振ったら俺は終わってしまう”と思ったんです。

長谷川:初めて聞いた……(笑)。

――なるほど。昨年12月にメンバー(小川真尚(Gt))の脱退などもあり、ドラマストアにとって大きな転機があった1年だったと思います。それを経て2017年、新体制でのスタートをきってみて状況はいかがですか?

長谷川:今は本当にすごく楽しいですね。けど、メンバーが脱退して僕も何度か心挫けそうになって、バンドも音楽も辞めようかなと思った時期もあって……だけど和也くんが本当に支えてくれたんです。脱退したメンバーがやっていた今までのバンドのことなども引き継いでくれて、お互いコミュニケーションをとりながらやっています。

松本:そうですね。引き継ぎで大変というよりかは楽しんでやってます。裏方の仕事が多いので普通ならしんどいはずの作業もストレスなく楽しんでやれてますね。

松岡:12月の出来事があったからこそ、お互い分担してやるという状況が結果として意識の改革にもなって、僕らのメンタル的にもバンド的にもプラスになったのは確かです。

左から、松本和也(Dr)、長谷川海(Vo/Gt)、松岡大暉(Ba)

左から、松本和也(Dr)、長谷川海(Vo/Gt)、松岡大暉(Ba)

――バンドがすごく良い状況で4月19日(水)にミニアルバム『白紙台本』がリリースになります。これはいつぐらいから制作されたのでしょうか?

長谷川:結構ギリギリのスケジュールでした。12月に脱退したんですけど、リリースすることはもう決まっていて……1月末までには仕上げないといけない状況でした。絶対に無理だろうと思ってたんですけど、逆に“これを乗り越えればすごく良い経験値にもなるからやってみよう”という話になり、マネージャーに「出来ます!」と言ったんです。そこからは鬼の作業でした(笑)。

――では、ほとんどが12月以降に出来上がった曲なんですか?

長谷川:もちろんその前からあった曲もありますし、このタイミングだからこそ形にした曲もあります。今までの僕らの制作ペースを考えたら絶対に3ヶ月くらいかかるのですが、毎日スタジオに入ってメンバーと顔合わせて音出して完成させた1枚ですね。

――すごく濃い1ヶ月ですね。

長谷川:本当にそうですね。この2年間より、直近の2、3ヶ月の方が濃かったんじゃないかなというくらい……。ただ、個人のレベルアップにもなったし、自分たちの弱点なども分かってすごく良い時間でした 。

――『白紙台本』の中で印象深い1曲をあげるとするならば、どの曲になりますか?

松岡:僕は「Extra.」ですね。最初はピンとこなかったんですが、スタジオでレコーディングしてみたら、良い!ってなりました。クセになるというか不思議な感覚でしたね。

長谷川:「Extra.」は最後に作った曲なんです。セッションしながら、いろんなことを試して形にしていきました。

松本:僕は「スイミー」ですね。

長谷川:俺もそうかな。

松本:先に楽器だけで土台を作ってたんです。「これにメロディと歌詞は絶対に無理」って言っていたんですけど、海くんがメロディと歌詞を持ってきた時は、「お前天才やなー!」ってなりましたね(笑)。

長谷川:この「天才やなー!」は1回だけじゃなくて20回くらい言ってる(笑)。

松岡:このやりとり毎回スタジオで聞いてる(笑)。

松本:いや本当に毎回天才やなと思ってるので“全部”と言いたいんですけど、その中でも1番“コレだ!”となったのは「スイミー」ですね。

左から、松本和也(Dr)、長谷川海(Vo/Gt)、松岡大暉(Ba)

左から、松本和也(Dr)、長谷川海(Vo/Gt)、松岡大暉(Ba)

――リード曲にもなっている「至上の空論」は、人の儚さや刹那さを感じる作品だなと思いました。

長谷川:この曲は朝井リョウさんという作家さんの『何者』という映画を観てインスパイアされて書いた曲なんです。“人は頭の中で考えているうちは、何事も全てが傑作で自分の中では完成形だと思っていて……”というところから生まれた曲なんです。最後の歌詞で<鼻歌>という言葉が出てくるんですけど、楽曲を作ってる中で歌詞も演奏もまだない状態で鼻歌を歌ってる時は、これ絶対に名曲だと思っていて。まさに頭の中では“傑作だ”となってるんです。だけど、どれだけの人がこれを形に出来るのだろう……という部分に焦点をあてた曲です。

――MVの最後が衝撃の展開で驚きました。

長谷川:あれは僕も予想してなかったんです。監督サイドにはこちらからこうして欲しいなどの要望は一切出さずに作ってもらいました。MVの中で、“恋人同士お互いバレないと思って浮気をしていて、彼氏は浮気がバレてしまって彼女はバレないけど、実は彼女の浮気相手は彼氏の浮気相手の彼女だった”という、それぞれが頭の中で完璧なストーリーを描いてた完成品だと思っていたけど、それはお互い至上の空論だったという捉え方をしてくれたんです。その発想が僕自身すごく面白い!と感銘を受けて。バンドシーンがなかったのですが、僕がMVはこれでいきたいと言いました。

――それも含めてインパクトのある楽曲ですね。

松本:あとリードトラックはピアノロックでいきたいと考えていたんです。脱退があっても活動休止せずに進むことはすごく勇気のいることだと思うんです。だけど僕らは更に進化し続けているところを見せたかった。生意気にいきたいというか、普段僕たちはサウンド的にはポップでハッピーな感じが多いんですけど、リードトラックはちょっとカッコつける感じにしようと決めていました。

長谷川:何かにつけて挑戦の曲だったんだと思います。MVでの見せ方もそうですし、ピアノが入ることで、お客さんが離れていくかもしれないと思ったんですよ。それを分かった上で、ビビらずにやりたいし、立ち止まってないぞという部分、“変わったなドラマストア”じゃなくて“変わろうとしてるなドラマストア”というところを見せていきたいと思いました。

――5月14日(日)からは『白紙台本ツアー』が始まります。新たなドラマストアを感じられるツアーになりますね。

松本:そうですね。新体制を知ってもらうというか、見せつけに行くという気持ちなので楽しみです。あと初めて行く場所が多く、初めて見てくれるお客さんも多いと思うので、そこも楽しみにしています。そして、ツアー初日の東京と、ファイナルの大阪は毎年開催している『DRAMA FESTA』というイベントでやることになっているので、こちらも楽しみにしていて欲しいですね。

松岡ドラマストアの良さはメロディや、いろんな受け取り方が出来る歌詞の内容が魅力でもあるので、アルバムを買ったら曲を聴いて歌詞を読んでもらいたいです。それでライブに来たら、また違った歌詞の解釈になったりすると思うので、家に帰って、もう一度歌詞を読んでもらいたいです。

――これからが本当に楽しみです。

長谷川:ありがとうございます! 本当に今、愛されてバンドをやれてるなと思っているので、聴くだけの音楽になって欲しくないんです。聴いた上で自分の中でドラマストアというものを消化して、会いに来て欲しいという気持ちが僕の中では強いんですよね。口ずさめるから楽しい、踊れるから楽しいだけじゃなくて、ひとつの芸術として、『白紙台本』を聴いて感じたことをレスポンスしにツアーに来てくれたら嬉しいです。


取材・文=YUMI KONO 撮影=K兄

アルバム情報
ミニアルバム『白紙台本』
ミニアルバム『白紙台本』

ミニアルバム『白紙台本』

発売日:2017年4月19日(水)
価格: 1,600円(税抜価格)
1.至上の空論
2.スイミー
3.シャッター
4.紫陽花が咲く頃
5.Extra.
6.バースデー

 

イベント情報
ドラマストア 白紙台本ツアー
5月14日(日)Zirco Tokyo
『DRAMA FESTA 2017 in TOKYO』~新宿 ZircoTokyo 1st Anniversary!~
出演:ドラマストア、Bentham、THE BOY MEETS GIRLS、ユビキタス、the irony、CHERRY NADE 169 andmore
5月26日(金)広島BACK BEAT
5月28日(日)米子AZTiC laughs
5月29日(月)福岡 小倉FUSE
5月30日(火)福岡Queblick
6月3日(土)郡山PEAK ACTION
6月10日(土)前橋DYVER
6月16日(金)京都MUSE
6月23日(金)岡山CRAZYMAMA 2nd Room
6月24日(土)高松DIME
6月27日(火)札幌Crazy Monkey
6月28日(水)札幌Crazy Monkey
7月7日(金)名古屋APOLLO BASE
7月21日(金)静岡UMBER
7月23日(日)千葉LOOK
7月24日(月)水戸LIGHT HOUSE
7月28日(金)大阪MUSE

 
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