まさに永遠の宇宙! 冨田勲の遺作『ドクター・コッペリウス』初演ライヴCDリリース! そして交響詩「ジャングル大帝」演奏会
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冨田勲
昨年5月に他界した、世界的シンセサイザー音楽家・冨田勲の未完の遺作『ドクター・コッペリウス』初演ライヴCDアルバムがリリースされた。これは、昨秋11月に東京・渋谷のBunkamuraオーチャードホールで行われた追悼公演を収録したもの。
生前、冨田が尊敬していた科学者・糸川英夫博士(1912~99)の「ホログラフィーとバレエを踊りたい」という夢や博士の生涯など、80年代から温めてきた構想の具現化ゆえ、2014年の「イーハトーヴ交響曲」で起用したバーチャルシンガー・初音ミクを再び登場させてバレエを踊らせるといったアイデアも盛り込んでの壮大な作曲となった。
その途中で、冨田は先に宇宙に旅立ってしまったわけだが、亡くなる1時間前までこの曲の打ち合わせをしており、上演を楽しみにしていた。ボイスメモの最後には「感激してくれればいいねぇ、お客さんがね」の言葉が遺っている。そこで、プロデューサーらが遺志を形にと奮起し、半年がかりで「舞台上に富田先生がいらっしゃるような演奏会」を実現。見事に成功させたのだった。
まさに公演時の空気が伝わってくる録音で、冨田の遺した電子音とオーケストラが見事に融合し、永遠を感じるサウンド宇宙を悠々と散歩しているかの気分に浸れる。もはや欠楽章などを超越した演奏。彼が表現し続けて来た「宇宙への夢と希望」を、初音ミクも汲み取って歌っているかのよう。きっと、富田は宇宙で糸川博士と再会を楽しんでいることだろう。
分厚いブックレットに、公演の一部始終や懇切丁寧な解説などが掲載されているので、富田ファンならずとも深く理解できるはずだ。
当面、『ドクター・コッペリウス』の再演は未定だが、4月19日にすみだトリフォニーホールで、アニメ交響詩「ジャングル大帝」コンサートがある。
文=原納暢子
COCQ-85337 ¥3,000+税 ※高音質CD「UHQCD」採用
指揮:渡邊一正、バーチャル・シンガー:初音ミク
エレクトロニクス:ことぶき光、管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
2.第3楽章 宇宙へ
ヴィラ=ロボス作曲 「ブラジル風バッハ」第7番に基づく
3.第4楽章 惑星イトカワにて
レオ・ドリーブ作曲 「コッペリア」ワルツに基づく
4.第5楽章嘆きの歌
ヴィラ=ロボス作曲 「ブラジル風バッハ」第4番に基づく
5.第6楽章 時の終わり
リヒャルト・ワーグナー作曲 「トリスタンとイゾルデ」愛の死に基づく
6.第7楽章 日の出
■日時:2017/04/19(水) 開場18:00 / 開場19:00
■会場:すみだトリフォニーホール
■指揮:渡邊一正
■演奏:新日本フィルハーモニー交響楽団
■公式サイト:https://www.isaotomitacollections.com/