ウォルピス社の株主総会に潜入 ウォルピスカーターの1stワンマンに見た“大きな未来”
ウォルピスカーター
1stワンマンLIVE~2017年度 ウォルピス社株主総会~ 2017.5.13(sat) 下北沢GARDEN
検索エンジンにてウォルピスカーターと入力すると、真っ先に出てくる単語は“顔”であり、その次に出てくるのは“ライブ”という言葉になる。この事実が意味することは、ただひとつでしかない。そう、ネットユーザーたちはウォルピスカーターの生の姿というものがどうしても知りたいのだ。
ニコ動界隈では2014年あたりから頭角を現すようになり、自らの提唱する“高音出したい系男子”という独自の方向性で人気を得てきたウォルピスカーター。彼がこのたび、ついにファーストワンマンとなる『~2017年度 ウォルピス社株主総会~』を下北沢GARDENにて開催することとなった際、なんでも500枚の枠に7600件もの購入希望が殺到したのだとか。このことからも、いかにウォルピスカーターの存在とその生歌声が強く人々から求められていたのか、ということが良く分かる。
ウォルピスカーター
実に15倍という、超難関をくぐり抜けてこの場に集った観客……いや、株主たちが今か今かとウォルピスカーターのことを待ち受ける中、開演時刻ちょうどにいきなり始まったのは開演前の諸注意をうながす影アナウンスと、それに続くちょっとした寸劇。
〈社長、株主の方たちがお待ちです〉という秘書からの声掛けに対し、〈分かった。すぐ行く〉という答えが返されると、次の瞬間にはステージ上にスタイリッシュなスーツ姿のウォルピスカーターが登場したのである。
「ようこそ、株主の皆様!!」
ウォルピス社の社長であるウォルピスカーターの生歌と、この日を待ちに待った株主たちの大歓声が湧き上がり、彼がここでまず最初に歌い出したのは「エイリアンエイリアン」だった。ウォルピスカーターのイメージを具現化したアクアブルーのライトバーが株主たちによって大量に揺れる光景を前に、初のワンマンにもかかわらずしょっぱなから伸び伸びと歌ってみせる彼の姿は実に頼もしく、さすがは社長と名乗るだけの堂々とした存在感に溢れていたと言っていい。
「さて。本日は株主総会ということですので、株主の皆様には我々ウォルピス社の社員と社長から、いろいろな曲をプレゼンさせていただきたいと思いますので、今日はここからどうぞ宜しくお願い致します!」
なるほど。ウォルピスカーターがウォルピス社の社長であるのは知っていたが、ともに音を奏でている楽器メンバーもウォルピス社の社員であったとは。確かに、彼らも全員がスーツ姿になっている。なんとも、徹底してるではないか。そして、徹底しているといえば。この株主総会が行われた下北沢GARDENにはライブハウスにつきもののドリンクカウンターがあるのだが、この日に限ってはドリンクメニューが水=ウォーターか、カルピスウォーターのふたつだけに絞られており、このあたりからもウォルピスカーターの粋なはからいが感じられた次第である。
ウォルピスカーター
もちろん、ライブ本編自体も粋で楽しい内容になっていたことは言わずもがな。続いて「シュガーソングとビターステップ」「高嶺の花子さん」を披露し、ウォルピスカーターならではのクリアなハイトーンと豊かな表現力によって、株主たちは誰もが深く魅了されていくことになったはず。
「セカンドアルバムの『ウォルピス社の提供でお送りしました。』を作るときに、次はライブをやりましょう。だから、ライブでやりやすいような曲たちを入れましょう、というような話をスタッフの人たちからされていたんですよ。でも、なぜか気が付いたときにはかなり音域の高い曲が並んだアルバムになっていました。「こんなのばっかり、ライブで歌えねーよ!」となったんですが(苦笑)、今日はその中からも何曲かは歌ってみたいと思います。いやほんと俺、今日のセトリ凄い攻めてるから(笑)」
かくして、ここからのウォルピスカーターはキーが高いだけでなくハイスピードでもある「チルドレンレコード」や前述のアルバムに収録されている「愛に奇術師」など、まさに攻めたボーカリゼイションの数々を我々に対してプレゼンしてくれることに。
また、途中にはウォルピス社の社員と共に面接試験風のコントまで繰り出すサービスぶりで、この場に集った株主たちは終始ウォルピスカーターのカリスマ社長ぶりに心酔させられることになったのではなかろうか。ちなみに、本編中ではかたくなに「僕は最初から織り込み済みみたいなアンコールはキライなので、今日もやりません!」とアピールしていたものの、ホールの客電がついてからもまだまだ帰ろうとしない観客たちの姿をみかねてか、なんとスーツからラフな姿に着替えた状態にて、ウォルピスカーターが再び登壇。
ウォルピスカーター
「出てはきましたけど、歌わないからね。アンコールはやりませんよ(笑)」という“フリ”のような言葉から、しばし20分ほどのトークスタイルのアンコールを行い、この中では今回のが激しい争奪戦になったことを受けて、追加公演の開催をにわかに示唆してみせた(詳細は明言しなかったが)。さらには、さんざんしゃべり倒したのちに再度バンドメンバーをステージに呼び込み、最後に1曲歌いあげることで、あらためてこの場をしめくくることになったのだ。結果、今回のライブではウォルピスカーターのツンデレ気質までもが明らかになったと言えるだろう。
なお、このライブから程なくして実際に『~2017年度 ウォルピス社株主総会~』の追加公演が、8月24日の新木場Studio Coastにて行われることが発表されたことも、最後に付記しておきたい。下北沢GARDENからいきなりの新木場Studio Coastという完全飛び級大箱ワンマンにはなるものの、今のウォルピス社の好調な業務成績と社長であるウォルピスカーターの辣腕ぶりがあれば、全ては盤石なことうけあい。今年の8月は、カルピスウォーターを片手にウォルピスカーターの歌で夏を満喫といきたいものだ。
取材・文=杉江由紀 撮影=Makoto Ando
ウォルピスカーター
8月24日(木)
5月27日(土)13:00~6月4日(日)23:59
2017.5.13(sat) 下北沢GARDEN
2.シュガーソングとビターステップ
3.高嶺の花子さん
4.チルドレンレコード
5.愛に奇術師
6.世田谷ナイトサファリ
7.God knows…
8.それがあなたの幸せとしても
9.待ちぼうけの彼方
10.晴天前夜
[ENCORE]
11.ぼくらのレットイットビー