松雪泰子、小島聖、霧矢大夢らが女性作家ネリー・アルカンの生涯を綴った小説を舞台化『この熱き私の激情』
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この熱き私の激情
2017年11月4日(土)より銀河劇場にて、PARCO Production『この熱き私の激情〜それは誰も触れることができないほど激しく燃える。あるいは、失われた七つの歌』が上演される。
本作は、2009年9月に36歳の若さで自らの人生の幕を閉じた女性作家、ネリー・アルカンが、作家デビューから亡くなるまでの8年間で書き上げた小説の舞台化である。女であることへの戸惑い、怒り、コンプレックス、そして生きていくことへの辛さ、悲しみ、無力感と孤独。6人の女優と1人のダンサーで演じる1人の女の生涯の話だ。
2013年にカナダ・モントリオールのESPAS GOにて上演された本作は、ロベール・ルパージュと長年コラボレートし、氏の多く出演、そして中谷美紀の初舞台となった『猟銃』のカナダ版の女優であり、演出家であるマリー・ブラッサールの翻案・演出で、その年の話題を総なめにした。
今回の舞台の出演者は、わずか7名。松雪泰子、小島聖、初音映莉子、宮本裕子、芦那すみれ、霧矢大夢という女優6名と、ダンサーとして国内外で活躍する奥野美和という名だたる女優・アーティストが集結した。
ネリーの書いた小説は、ほぼ自身の生涯を綴ったもの。モントリオールで高級娼婦だった時代のことや、これまでの人生、自分が“女”であること、あるいは家族の中でつねに感じていた疎外感などを赤裸々に小説の中に練りこんでいる。
本作品はパリでセンセーショナルなデビューを飾った小説「Putain (「邦題:キスだけはやめて」)」、「Folle(「狂った女性」という意味)」、 「Burqa de chair(「肉のブルカ」という意味)」、 「L‘enfant dans le miroir(鏡の中の子供)」の一部で構成されており、出演者7名が異なる立ち位置から、心の襞を、痛みをアレクサンダー・マクスウィーンの音楽とともに語り描いていく。
懸命にもがき生きた1人の女性の中に渦巻く様々な感情、そして死へと向かうさまが万華鏡のように舞台に照らし出され、それぞれの声、ことばが重なりあい、舞台にこだまする。
本作について、演出のマリー・ブラッサールは演出プランを次のように語っている。
上演中ずっと、登場人物たちは、それぞれが各々の部屋に居続けます。モントリオール公演では、セット・デザイナー(アントニン・ソレル)と衣装デザイナー(キャサリン・シャノン)の協力を得て、部屋のそれぞれを、それぞれの女性の美意識を表わすようにデザインしてみました。日本の女優たちとも同様に、それぞれの個人的なコンセプトを展開するような経験が出来たら素晴らしいと思います。
加えて、今年10月には恵比寿ガーデンシネマ他にて、ネリー・アルカンを題材にした映画『Nelly(原題)』が日本公開される。2017年の『トロント国際映画祭』で、ワールド・プレミア上映され、気鋭の女流監督のアンヌ・エモン(『ある夜のセックスのこと モントリオール、27時』)がメガフォンをとった作品である。
また、ネリーのデビュー作である小説「Putain」が、松本百合子氏の翻訳でPARCO出版から9月に発売が決定した。この秋は、書籍・映画・舞台と、様々なメディアで「ネリー・アルカン」の鮮烈な世界を堪能してほしい。
2013年カナダ公演より
2013年モントリオール初演時劇評
心を動かされずにはいられない。見事なセットデザイン、アレクサンダー・マクスウィーンの共鳴が際立つ音楽、そして時に包み込み、時にむき出しにするようなミッコ・ヒニネンの照明を忘れることはできない。
そして特に、ネリー・アルカンの言葉を忘れることはできない。彼女の死から時を経た今も、最初に書かれた時そのままに、いまだに刺すように鋭い。マリー・ブラサールはその巧みなスキルで、ネリー・アルカンのさまざまなテキストを切り刻み、七つの主要なテーマに焦点を当てて、再構築し演出している。
-Lucie Renaud, JEU
ブラサールは生きることの痛みに苦しめられた悲劇的な作家のために、レクイエムのようなスコアを創り出した。申し分なく豊かな主題を持った優れた形式のこのプロダクションは、文学作品の深い味わいを存分に伝えてくれる。
-Marie Labrecque, Le Devoir
http://www.parco-play.com
アステールプラザ広島 大ホール
2017年11月23日(木)
北九州芸術劇場 大ホール
2017年11月25日(土)〜26日(日)
ロームシアター京都 サウスホール
2017年12月5日(火)〜5日(水)
穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホール
2017年12月9日(土)〜10日(日)
翻訳:岩切正一郎
音楽:アレクサンダー・マクスウィーン
衣装:カトリーヌ・シャニオン
音響:井上正弘
ヘアメイク:川端富生
舞台監督:小笠原幹夫
製作:井上肇
後援:ケベック州政府在日事務所