プロ野球オールスター戦は、野球版サマーソニックである
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撮影:中溝康隆
今年もこの季節がやって来た。
プロ野球オールスター戦、今シーズンは初戦が7月14日(金)ナゴヤドーム、第2戦は15日(土)ZOZOマリンスタジアムで開催される。ファン投票も締め切られ、6月26日(月)には結果発表が待っている。
突然だけど、今の野球ファンはオールスター戦に何を期待するのだろうか? これが一昔前なら「普段見られない夢の対決」と即答できた。しかし今はWBCでガチの日本代表チームが招集されているし、直前の6月には交流戦も行われている。正直、オールスター戦だけの特別感は薄い。
よく40代以上のオールドファンと話すと「江川の8連続奪三振は興奮した」と話題になるし、30代以上の野球好きと話すと「清原対桑田や落合対野茂は熱かった」なんて言う。これが20代なら「ガキの頃に見た松井対松坂やイチロー対上原は凄かった」となる。気持ちはよく分かる。WBCもメジャー移籍も身近でなかった頃は、野球界のストーリーは国内ですべてが完結していたわけだから。
今で言ったらベテランになったイチロー、青木宣親、それにダルビッシュ有や田中将大がみんな年に1度だけナゴヤドームに集結してセ・パに分かれて戦うようなものだ。そりゃあ盛り上がるに決まってる。残念ながら、あの頃のオールスターの緊張感やスペシャル感を現代に再現するのは不可能だ。
ならばいったい現代の野球ファンはどんなスタンスで夢の球宴と向き合えばいいのだろう? そのヒントを見つけたくて、数年前、神宮球場までオールスター観戦に出かけた。ペナントは数百試合見てきたけど、生まれて初めて夢の球宴の現地体験だ。
ドヨめくスタンドは右も左も360度ギッシリ詰まってた。観衆は3万1816人で満員御礼。客層はバラバラで贔屓球団のユニフォーム姿の常連客と年に1度の野球観戦と思われる浴衣姿の一見さん。この日ばかりはどこの球団のファンもみんな仲良く弁当を食べて、ビールを飲んでまったり野球を見る。それぞれの球団カラーが混じり合う色とりどりのスタンド。初めてなのにどこか懐かしい感じがした。なぜなら子どもの頃、テレビでよく見たあのオールスターの風景そのものだったからだ。
正直、今となっては試合内容はほとんど覚えていない。思い出せるのはMVPが当時阪神の新井貴浩で、ルーキーの菅野智之はこの試合がオールスター初登板だったことぐらい。まあ夏祭りでおネエちゃんと何話したかなんて覚えちゃないよ。ただ、微かな夏の匂いと楽しかったという漠然とした記憶だけが残る。オールスターはそれでいいんじゃないかと実際に見に行って実感した。
選手に真剣勝負をしろ。WBCのようなテンションでプレーしろって、そら無茶だよ、潰れちまうよ。代表チームで1か月以上行動を共にする選手達に「仲良く話すな」っていうのも無理な話さ。だいたい、シビアなペナントレースの休憩時間として試合を眺めてる俺らファンも疲れちゃう。浴衣姿でかき氷をかき込みながら、気楽に楽しめるのがニッポンのオールスターの良さなんだから。
MLBのように1戦勝負でという提案も一理ある。それでも個人的にはNPBの今のオールスター2試合制、けっこう好きだけどね。野球ビギナーのライトユーザーを球場へ呼ぼうとしている2017年のプロ野球界で、オールスターのようなイベントを日本各地でやることには大きな意味があると思う。
今年で言ったら名古屋と千葉の2DAYS開催。旬のアイドルが始球式を務め、デビューしたての若手選手からベテラン選手の大御所まで一同に集う真夏の祭典。もちろん東と西で1日ずつ楽しめる。これってコンセプトは野球界の『サマーソニック』だよね。
つまり、オールスター戦とは、プロ野球界の夏フェスなのである。
今年も日本の夏は7月中旬のプロ野球オールスターで始まって、8月下旬のサマーソニックで終わる。
2017年7月14日(金) 試合開始 19:00 (開門 16:00予定)
セントラル・リーグ(1塁側)VS パシフィック・リーグ(3塁側)
ナゴヤドーム
<第二戦>
2017年7月15日(土) 試合開始 18:00(開門 15:00予定)
※予備日:2017/7/16(日) 試合開始 14:00(開門 11:00予定)
パシフィック・リーグ(1塁側)VS セントラル・リーグ(3塁側)
ZOZOマリンスタジアム