奥村徹也×大村まなるにインタビュー この夏を彩る青春SFコメディ、ゴジゲン番外編『なんかすごいSF的なやつ』
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ゴジゲン番外編『なんかすごいSF的なやつ』
7月6日より下北沢・小劇場B1にて、ゴジゲン初の番外公演『なんかすごいSF的なやつ』が上演される。主宰の松居大悟が不在のなか、劇団員で俳優の目次立樹が演出を、堀善雄が脚本を務めるというなんともイレギュラーな本作。
実力派ぞろいの俳優陣のなかから、今回はゴジゲン第7回公演『ハッピーエンドクラッシャー』以来の共演となる奥村徹也(劇団献身)と大村まなる(劇団プレステージ)に話を聞いた。
奥村徹也、大村まなる、8年ぶりの共演
――お二人はゴジゲン第7回公演『ハッピーエンドクラッシャー』以来、8年ぶりの共演となりますね。
奥村:僕がまだ大学二年生で二十歳の時でした。
大村:役で金髪にしてなかったっけ?
奥村:そうです。でもいつも髪は派手にしてました。調子に乗ってました、あの時は(笑)。
大村:僕も初めて外の公演に客演して、全然芝居とかわからなかったんだけど。
奥村:よく覚えているのが、まなるさんが泣きながら叫ぶシーンがあって、千秋楽で本当にうるっときてませんでしたか?
大村:そうだっけ?(笑)
奥村:僕、もらい泣きしそうになって。
大村:感情を吐露するシーンで。結構楽しくて、あれが初めての外部作品でよかった。自分的に感覚が変わったというか。劇団プレステージはコメディが多いんですけど、『ハッピーエンドクラッシャー』はゴジゲンのなかでも重めの内容で。役者として心情的なお芝居を学べました。
奥村:アミューズのイケメン俳優なのに、笑いもとりつつ。エヴァンゲリオンの物まねとかして。
大村:ちなみに今でもそれやってるから(笑)。そしてお笑いコンビの役だったからお互い頭をたたき合って、それがエスカレートして、星が見えるくらい……。
奥村:叩き合ってましたね。
――お笑いコンビ役として、結構話合っていたりしたんですか?
奥村:それがあんまり仲良くなれなかったんですよ。僕がイケメンには負けたくないっていう思いがあって(笑)。
大村:てっちゃんもイケメンじゃん!共演者の女性はてっちゃんのほうがイケメンって言ってたよ。
奥村:まなるさんが飲みに誘ってくれたんですよね。本番一週間前に。それが朝五時まで。
大村:そんな時期だったっけ?
奥村:それでお酒でも負けたくないから鏡月をずっと飲んでました。「俺は割らない!氷など入れない!」って意気込んで。
大村:気づいたらてっちゃんがトイレから帰ってこなくなって(笑)。結局ぜんぜん話してないんだよね。
奥村:でも僕はだいぶあれで打ち解けました。
社会人、俳優、劇団員……それぞれの8年間
――それ以降は共演はなかったのですか?
大村:そのあとは僕は『神社の奥のモンチャン』に出させていただいて。
奥村:僕は『アメリカン家族』に出て以来、一回演劇をやめて就職しました。
大村:それで帰ってきて劇団立ち上げて。
奥村:実は、仕事は楽しかったんです。大学を卒業してすぐ就職しないと生きていけないと思ってて。だけど社会に出たら周りをみると「いろんな生き方があるなー」って思って。
大村:じゃあ好きなことやろうって思ったの?
奥村:そうです。そして演劇で自分どこまでいけるか、知りたかったからもう一回やってみようと。
大村:てっちゃんは精力的に活動してるからすごくエネルギーを感じるよ。
奥村:まなるさんは節目はあったんですか?
大村:節目と言えば三十っていう年齢はあったかもしれない。劇団プレステージで俳優だけでなくバラエティもやらせてもらって。僕はもともとバラエティやりたかったから(笑)。劇団では一致団結してみんなでひとつのものに向かっていく感じが楽しいです。
――再会したときのお互いの印象は?
大村:劇団献身をやっているからかもしれないけど、前のめりなエネルギーが前よりもましている気がします。ちゃんと自分から思ったことを何でも言うっていうスタンスがすごい。自分も脚本も演出もやってるからかな。周りを気にせず自分の意見を言えるのが演劇人として成長を感じます。
奥村:ゴジゲンではみんな優しいので、年下が何を言っても受け入れてくれるんです。
大村:優しいよね、みんな。
奥村:つまんないこと言ってもみんな「おー、おもしろい」って(笑)。作品自体を良くしたいっていうのはあるかもしれないですね。まなるさんは実は不器用な部分や泥臭い部分があるっていうのを知って、今回は稽古に入っているので、僕にとっての見え方が変わってきたかもしれないです。
大村:そうだね、僕自身は変わってないかも(笑)。
堀善雄の脚本、目次立樹の演出について
――ゴジゲンで初めて脚本を担う堀善雄さんの作品はどうですか?
奥村:善雄さんは繊細な方なんで(笑)。思い入れが強いので、それを感謝してリスペクトしつつ、いい意味ではみ出していきたいなと。
大村:何気ない言葉の裏側に善雄の想いが隠れていたりするんだよね(笑)。何にでもとらえられる本で、一つの感情ではなくて、こういう見方もあるし、違う見方もあるし、っていうのが続くんです。ゴジゲンだから下ネタとか泥臭い男臭いのが来るのかなって思ってたら、少年マンガみたいな。喋ってると少年のようでピュアなんだよね。
奥村:ワクワクしている感じがありますね。
――演出の目次立樹さんの印象はどうですか?
大村:立樹が率先して空気づくりをしてくれているんです。そして立樹がこれまで学んで経験してきたことを伝えてくれる。この後もはっきり「こうして」というような演出はしないと思います。昨日は、今ある台本の三分前から始めてみようというような稽古をしました。「その前はどうだった?」とか、はっとするようなことを提案してくれて。
奥村:目次さんが一人の俳優としてやってきたことをみんなで共有するというか。それは自分にとってもすごくいい経験だと思います。目次さんは僕らを押さえつけないでしょうし、僕らがどれだけのびのびできるかを考えていると思います。目次さんが農業で一番好きなのは“自然農”で、種を投げてあとはそのまま生やすっていう……
大村:農薬とかまかないんだ!
奥村:ちゃんと分けたりもしない。とにかくばらまいて。それが一番楽しいみたいです。
大村:僕ら種か!
奥村:そうです!僕らは種で、目次さんに“自然農”されているんです!
大村:確かに役者にゆだねる部分が多いかもしれないですね。
奥村:“自然農演出”だと思うんですよね。
大村:オーガニック演出!あんな強烈なヤンキーみたいな顔してるのに(笑)。
ディスカッションが絶えないゴジゲンの稽古場
――稽古場の雰囲気はどんな感じですか?
大村:1時間半くらいゲームやってるよね。筋トレもやってる。結局稽古がはじまるのが2時間後くらい。
奥村:その後も話し合いをして。
大村:結構ディスカッションが多いよね。一回お芝居をやって、話し合いをして。
奥村:ゴジゲンの前回公演『劇をしている』も話し合いがとても長くて。「劇とはなんだ?」というテーマでずっと話をしていました。
大村:でもいろいろ分かってくることが多いからいいよね。
奥村:今回は「SFとは」という知識の勉強会をして。全員文系なのに(笑)
大村:SFの話を散々して、迷って、何が何だか分からなくなってきたけど、みんなで話し合いをするとだんだん解けてきて。みんなで話して広がる感じが楽しいです。
奥村:小劇場の贅沢なとこですよね。
大村:ディスカッションすることで一体感は生まれやすいかもね。
チラシ表
『なんかすごいSF的なやつ』の見どころは
――今回はどういった作品になりそうですか?
大村:ドラマがメインになりそうな…。お客さんは「SF」っていうと宇宙とかレーザービームとかを想像するかもしれないけどそこはメインじゃないんだよね?
奥村:まぁ、博士は出てきますよ。博士の発明品を巡って、全員に十分すぎる見せ場があります。そして一人一人がしっかり描かれています。
――作品の見どころを教えてください。
奥村:レギュラーの目次さんと善雄さんと僕の三人に加えて、久しぶりのまなるさん、土田(祐太)さん、初めての藤尾(勘太郎)さん、木村(圭介)の四人がミックスしたときに、今までのゴジゲンのような作品なのか、もう一歩新しいものになるのかを見てもらえたらと思います。
大村:二十代後半から三十代が演じる“男しかできない青春”を感じていただきたい舞台です。「少年ジャンプ」を見る感じです! そして、見ている人にゆだねられる舞台になると思います。
奥村:○○的な、という部分はお客さんにゆだねる感じですね!
大村:そういうのも含めて楽しんでもらいたいです。
ゴジゲン番外編『なんかすごいSF的なやつ』
会場:下北沢 小劇場B1
作:堀善雄
出演:大村まなる(劇団プレステージ) 奥村徹也(劇団献身) 木村圭介(劇団献身)土田祐太 藤尾勘太郎(犬と串) 堀善雄 目次立樹