奈良県最大の打ち上げ数を誇る、宇陀市はいばら花火大会 音と光が山々に反射して大スケールの空間を作り出す
宇陀市はいばら花火大会の会場となる宇陀川河畔は周囲を山に囲まれているため、花火が山々に響きわたりこだまする大音響が魅力だ。単発の打ち上げの合間に大スターマインが組み込まれ、始めから終わりまで見どころ満載。企画運営を担当する宇陀市はいばら花火大会実行委員会の事務局にお話を伺った。
ーー開催の契機など、これまでの歴史をお知らせください。
宇陀市はいばら花火大会は昭和25年に始まった歴史ある花火大会です。地域の子どもたちが地元を誇れるようにと願いを込め、地元商工会によってスタートしました。開始当時から長らくは地元の方々で楽しむ小さな花火大会でしたが、現在では地域外からも多くのお客様が来場するまでに成長しました。私たち実行委員会も、お越しになった皆様に楽しんでいただけるような花火大会の実施に努めています。
ーー当大会ならではの特徴や自慢できるプログラムを教えてください。
県内最大の打ち上げ数を誇ること、打ち上げ号数(花火玉の大きさ)も県内最大級であることが自慢ですね。また、関西唯一の花火競技会でもありますので、花火ファンには熱く注目されています。
余談ですが、大衆花火の元祖である玉屋、鍵屋はご存知でしょうか。玉屋は鍵屋のお弟子さんなのですが、その鍵屋は奈良出身の方なんですよ。
ーーそうだったのですね。勉強になります。
そもそも関東と関西では花火の見方が全く異なります。関東では多くの競技会が開かれるように「花火」そのものを楽しむ文化なのですが、関西ではイベントの最後にちょこっと花火を打ち上げる程度で「お祭り」を楽しむ文化なのです。関西人は花火自体にはあまり興味関心がなかったみたいですね(笑)。そんな関西地方でも花火の奥深さを楽しんでいただきたいと思い、花火競技会を開催することにしたのが、この宇陀市はいばら花火大会なのです。
ーー他にもおすすめする部分がありましたら教えてください。
ロケーションが「田舎ならでは」なのも特徴ですね。ネオンやお店の灯りがほとんどありませんので、純粋に花火だけを楽しめる環境です。また、山々にこだまする花火の音と水田への反響が相まって、ファンの方曰く「独特の花火」が楽しめるようです。8月の熱帯夜の時期に開催されるものの、宇陀の地は高原地帯ですので冷ややかな風に吹かれながら花火を楽しめます。ちょっとした避暑にいかがでしょうか。
ーー今年特に力を入れているところ、見どころはなんでしょうか。
これまでの59回は、8月4日開催に固定し、歴史を重ねてきました。ですが、今年は60回記念大会ということもあり、日曜日に変更することにしました。地域の方が来やすいようお休みの日に、またお仕事で地域を離れておられる方に帰郷していただけるように、地域外から多くの方に来ていただけるように、週末の開催を決定しました。宇陀でしか見ることのできない花火を楽しんでいただければと思います。
ーー実行委員を担当されて、心がけていることはなんでしょうか。
私の個人的な話ですが、花火を担当するようになって視察も含め多くの花火大会を見て回りました。結果、花火の質のみで言うと、宇陀の花火に勝てるものはないだろうと自負しています。関西で行われる花火大会は迫力のあるものが多く、関東の花火大会は花火の質は非常に高いものの、開催時間が少し長く感じます。宇陀の花火はその両者の間を取り、一発ずつの質を上げつつ、県内最大の打ち上げ数を維持しています。もちろんお客様のご意見も様々ございますので、迫力のある花火を望まれる声もいただきますが……。それでも、年々花火競技会の評価も上がってきており、近年では東北から見に来られたという方もいらっしゃいます。
ーー地方から行くお客様のために、その土地の魅力や観光スポットを案内いただけますでしょうか。
室生寺、長谷寺、水分神社、大宇陀松山地区(重要伝統的建造物群保存地区)などはぜひご覧いただきたい観光スポットです。曽爾高原や大和富士などといった自然溢れるスポットもおすすめ。それから温泉も豊富にあり、保養センター美榛苑、大宇陀温泉あきのの湯、椿寿荘、お亀の湯、姫石の湯など、時間があればぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
インタビュー・文=ふくだゆみ
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