城田優『4Stars 2017』を語る~世界的なミュージカル界トップスターが集結!
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城田 優 (撮影:荒川潤)
世界最高レベルのコンサートとして、ミュージカルの醍醐味・魅力を余すところなく伝え、大好評を得た2013年の『4Stars』上演から4年。その第2弾『4Stars 2017』が今年の冬に再び開催される。世界トップレベルのスターたちと共演をする城田優に話を聞いた。
エンターテイナーのあるべき姿を見た
--前回は2013年6月。今回は実に4年半ぶりの『4Stars』ですが、いかがですか。
楽しみで仕方ないです。僕がショーやミュージカルをやるようになって10年以上経つのですが、自分にとって一番の伸びしろと言いますか、圧倒的に濃い時間を過ごせたのがこの『4Stars』でした。間違いなく今回の『4Stars』も自分にとって、とんでもなく有意義な時間になると思います。日本では絶対に経験のできない、レベルの高い歌声・表現力、そして演出に触れられる滅多にない機会なので、全力でぶつかっていくしかないですね。3人のトップスターたちに負けないように、一生懸命努力して、語学力も表現力も上げていきたいなと思います。アゲアゲでいきたいなと思っております(笑)。
--前回、稽古中または本番中で、特に印象的だったことはありますか。
いっぱいありすぎます(笑)。例えば稽古場だと、初めて音合わせをした時に、みんなの稽古の仕方、つまりブロードウェイ・スターの稽古のスタイルに「オォ~」となりましたね。
--それは、どんなスタイルだったのですか。
僕が歌っている時なんか、彼ら、全然聴いていないんですよ。携帯をいじったりしていて(笑)。4人で歌う時でも、自分のパートが後半だったりすると、また携帯をいじっている。で、自分のパートが来ると急に歌い出す。『その切り替えはどこから!?』と突っ込みたくなりました(笑)。でも、そのニュートラルさがポジティブであることにつながったり、メンタルが左右されない要因なのかなって思いました。日本人だと他人(ひと)の歌もじっと聴いているでしょう? ましてや携帯なんかいじっていたら、何か言われますよね。けれど僕は、どちらかと言うと、彼らのスタンスの方が好きですね。自分には海外の血が入っていて、小さい頃からオープン・マインドで過ごしてきたので、そちらの方が楽なんです。緊張しっぱなしでも喉は閉まったままだし、彼らのようにニュートラルな状態から始める方が楽だと気がついたんです。なるほどな、と納得しました。
--では前回の『4Stars』を経てブロードウェイ・スタイルを取り入れているわけですね。
そうですね。僕も普通に携帯いじりますし、あんまり他人の歌は聴かないです。まぁ興味があったら聴きますよ。彼らだって、僕が4年前にソロ曲で『エリザベート』を歌った時は聴いてくれて、拍手もしてくれた。知っているし、何回か聴いている歌だったりすると聴かない。そこははっきりしているんです。こっちもやりやすい。僕はこれがエンターテイナーのあるべき姿だなと思いました。海外は個を大事にして、集中力だったり、その瞬間の爆発力を大事にしている。日本は協調性をあくまで大事にする国で、エンターテイメントにおいてもそれはどこかで言えると思うんです。個性が強すぎると浮くじゃないですか。そこらへんが海外との違いかなと思います。それに比べて、この舞台に出ている人たちは世界のトップの舞台に出続けている人たちですから、圧倒的にすごいよなぁと思います。
--そうですね。みなさん、世界的なスターですからね。
はい。これが最初に僕が感じたショッキングな出来事です。さらに、遅刻に関してもエピソードがありまして(笑)。(前回出演した)レア・サロンガが、ある日時間になっても来なかったんですよ。15分ぐらい経っても来ない。でも誰も「どうしたんだろう〜?」と言うこともなく、電話することもなかった。すると、20分ぐらいしてレアが「Good Morning!」って感じで現れたんですよ(笑)。日本だったら平謝りだと思うんですけど、遅れた理由を何か話して、悪びれた様子もなくてですね。「ところでさ〜」とか言いながら会話始めたりして、全然リハーサルが始まらない(笑)。30分ぐらいして「いざ、やろっか」となったら、集中してやるんです。時間になったら終わり、ってなるんです。日本だと一緒に発声して、夜遅くまでみっちり稽古する。人間の集中力がそんなに持つはずがないんです。海外のスターの方が圧倒的に効率的だなと思いますよ。これがショッキングな出来事ナンバー2でしたね。
--舞台上でのエピソードは何かありましたか。
本番前のゲネプロ(総通し稽古)で、僕が恐怖心で泣いちゃったんです。「この人たちすごい、すごすぎる!」というのを本番直前になって目の当たりにしたんですね。稽古場だとあんなにラフだった人たちが、いざスポットライトを浴びて、衣装着て、マイク通して歌い始めた瞬間に「やべ〜、すげ〜」ってなりまして。明日からこの人たちと一緒に歌うのかと思うと、怖くなってしまった。それで僕は何回も歌詞を間違えたりしたんです。そうしたらみんなが「大丈夫だよ、優。あなたは素晴らしい才能を持っているんだから。こんなに素晴らしいのに何を言っている」ってラフに話しかけてくれたんです。レア・サロンガも「Yu, Watch my eyes. You will be fine(優、私の目を見なさい。大丈夫だから)」って。格好いいですよね。素晴らしいなと思いました。その通りにみんなの目を見ながら歌ったら、本番は歌詞を間違えずに、千秋楽まで走り抜けることができました。
--さすがはプロですね。
そこはね、私も4Starsの一員なんでね(笑)。でもレアの一言がなかったら、そして3人のアドバイスがなかったら、本当に危なかったですよ。「歌詞なんて飛んだっていいんだよ。お客さんは別に楽しめればいいんだから」と言うスタンスなんですよ。投げやりなわけじゃなくて、楽しもうというスタンスなんです。私たちが楽しめなければ、お客さんも楽しめるわけないじゃないっていう。みんなにメンタルを引っ張ってもらって、有意義な時間を過ごすことができました。
温かくて引っ張ってくれる存在
--今回の『4Stars』はレアさんは参加せず、ラミン・カリムルーさんとシエラ・ボーゲスさんが続投です。この二人とは公私共に交流があるとのことですが、特にプライベートではどのようなお付き合いがあるのですか。
家族にも友達にも紹介しているし、ご飯も食べに行きますよ。彼らが来日する時もそうですし、僕が向こうに行く時もですね。コンスタントに会いますよ。
--城田さんにとってはどんな存在ですか。
『4Stars』を一緒にやったということは、やはり大きいですね。歌や演技、エンターテイナーとして彼らをリスペクトしていますけれど、同時に、人として温かくて引っ張ってくれる存在でもあるんです。彼らが年上ということもありますが、ビジネストークじゃなくて、心から話してくれるというのを感じますね。なかなか会うことができないから、会った時の感動は何倍にもなります。お互いのキャラが確立されているから、毎回同じジョークを言ったりするんです。いい関係性です。
--ちなみにそのジョークというのは?(笑)
文字にしても面白くないかもしれませんが……(笑)。僕がお土産で買ったぬいぐるみがあって、ちょっと太ったパンダで「Fat Panda」って呼ばれていたんですね。そしてそのぬいぐるみが『4Stars』に入ったら、(ラジオのDJ風に)「フォースターズ、アーンド、ファットパンダ!(4Stars and Fat Panda)」になるねってシエラと言いあったりしています(笑)。「スリースターズ、アーンド、サムワンエルス!(3Stars and someoneelse)」って言ったりね。「3人のスターと知らない誰か〜!」って言うね。これはお決まりです。あとはエレベーターに乗るとラミンが必ず「優、大きい声を出せ」って言うんです。で、僕が大声出すと、ラミンが「YES!」って喜んだりとか(笑)。シエラは「やめて」って怒るけど(笑)。毎回やっているから今回も絶対やると思います。
--そして今年はパティーナ・ミラーさんが初来日&初出演です。『天使にラブソングを』のオリジナルキャストですし『ピピン』ではリーディングプレイヤー役でトニー賞主演女優賞を受賞したパティーナさんですが、どんな印象ですか。
『ピピン』は素晴らしかったですよね。僕は2013年にNYで『ピピン』を見たんですよ。もうね、パティーナ、めちゃくちゃうまくて。シエラに「ピピンを見に行ったんだけど、リーディングプレイヤーがやばかった」って言ったら、「あぁパティーナでしょ?私の友達だよ」っていう話をしていました。「すげぇ〜」ってなりましたよ。その人が今回『4Stars』に入るってご縁でしかないですよ。僕は、毎回ミュージカル見る度に「あの人がよかったな、この人がよかったな」と思うんですが、『ピピン』のパティーナはずば抜けてよかった。トニー賞主演女優賞を受賞するのを知らずに見たのでね。その人が今回『4Stars』に出るのは僕は大歓迎でした。もちろん(前回出演していた)レアが出ないのは寂しいですけど、できれば同じメンバーでやりたいとも思ったけれど、新しい風を入れるべきだよねと思っていました。
4人の「Journey」をたどる選曲
--プログラムの選曲はどのようなものになりますか。
ある程度お話できる部分もあります。前回は、『ミスサイゴン』『オペラ座の怪人』といった誰もが知っているようなブロードウェイミュージカルのビックナンバーが主でした。大きな打ち上げ花火がドッカンドッカン打ち上がるようなショーだったんですけど、今回は4つの個それぞれの「Journey(ジャーニー)」を出そうとしています。そこを基本にストーリーを仕上げていきます。演出のサラナと僕が話し合って方向性を決めました。僕は個性を活かしたい。その個のコラボレーションだったり、ぶつかり合いだったりをぜひやりたいなと思っています。4人の旅が混じり合って、4つの色が混じり合って、最終的にどんな色になるのか。
曲順や全容はまだ僕も分からないんですけど、前回のようなビックミュージカル、ビックナンバーだけではなく、ラミンたちがまだ歌ったことのないフレンチミュージカル『ロミオとジュリエット』、ウィーンミュージカル『エリザベート』の中から歌う。僕が歌うのは普通ですけど、彼らが歌うんですよ。これらを彼らが歌うこと自体がすごくレア。そういう意味でも今回はとても貴重です。僕らの個を掘り下げて掘り下げるので、前回とは違った『4Stars』になると思います。もちろん前回歌ったビックナンバーも多少は出てくると思うんですけど、前回が打ち上げ花火ばかりだとしたら、今回は線香花火だったりロケット花火だったりいろんな種類の花火が出てくるような、より色の濃さを感じられるショーになると思います。
--個人的にはパティーナさんと城田さんとで『ピピン』の『On the Right Track』を歌って頂きたいのですが.....
おっと忘れておりました。『ピピン』のナンバーは歌います。やっぱり本人の聴きたいですもんね(笑)。僕も歌うのかな? おそらく、限りなく100%に近い形で僕とパティーナで歌うと思いますよ。 『ピピン』のどのナンバーを歌うかは、お楽しみに!
--演出のことで教えて下さい。サラナ・ラパインさんが今回演出を担当されます。彼女とはニューヨークで会われたそうですが、どんな印象ですか。
とても強くてしっかりしていて、頭の回転が速い方です。しっかりと話を聞いてくださるし、それをすぐ要約して変換してくださる方でした。前半戦、僕がほとんど喋っていたんですが、どういうことをしたい、どういう歌を歌いたい、どういうことをしたくない、っていうのを聞いてくれて、冷静かつ頭の中で考えながら、持ち帰ってくれた。そこから「Journey」の話とか出てきたんですね。非常に楽しみだなと思います。僕はスペイン語の歌を歌いたいんだとリクエストした。彼らは英語がもともと母国語ですが、僕は違う。英語で歌うのはハンデを背負うことになるんですよ、僕にとって。頑張らなきゃいけないし、だからこそ成長できるというのはあるんですが、表現力に関して自分で100%優位に歌えるのは、スペイン語なんです。前回も『ISABEL』というスペイン語の曲を歌って評判が良かったので、今回も歌わせていただきたいと思っています。それぞれの自分を一番魅力的に魅せられるものを出せるように、一番得意な言葉だったり分野だったりをサラナが考えてくれると思います。ストーリーを汲み取って形にしてくれる演出家なので、楽しみですね。
--ブロードウェイの錚々たる顔ぶれを招く『4Stars』。城田さんは日本代表であると同時に、日本側のホストでもあるわけですが、心がけや何か特別に準備していることはあるのでしょうか。
前回もやっているので、今回も同じようにしようと思っています。新しく何かしようと思っていません。彼らがまた行きたいであろう店を僕は知っているし(笑)、あとは彼らのリクエストに答えるだけです。いつも僕は彼らの泊まっていたホテルに車で行って、一緒に劇場に行ったり、飯屋に行ったりしていた。自分の国だから僕はちゃんとおもてなしをしなきゃいけないと思う。僕が向こうに行った時は、彼らがもてなしてくれるのでね。彼らと同じように自分もしたいと思います。今の時点からどうこうというのはないけれど、リクエストがあれば答えたいですね。シエラがベジタリアンというのは分かっているし、ラミンにはジムが必要だから、僕が個人のパーソナルジムに連れていければいいなぁとかね。パティーナとサラナの情報は未知数なのでこれから色々仕入れたいですね。おもてなしします!(笑)
1枚10万円の価値と言っても過言ではない。
--ミュージカルのファンの皆様、そして読者の皆様にメッセージをお願いします。
前回『4Stars』をご覧になった方たちは、有無を言わさず、すぐ
取材・文=五月女菜穂 撮影=荒川潤
“Magic to Do” – Pippin(“マジック・トゥ・ドゥ” 『ピピン』)
“Die Schatten werden länger” – Elisabeth(“闇が広がる” 『エリザベート』)
“Empty Chairs at Empty Tables” – Les Misérables(“カフェ・ソング” 『レ・ミゼラブル』)
“Wishing You Were Somehow Here Again” – The Phantom of the Opera(“墓場にて”『オペラ座の怪人』)
“The Music of the Night” – The Phantom of the Opera(“ミュージック・オブ・ザ・ナイト” 『オペラ座の怪人』)
“Take Me to Heaven” – Sister Act(“天国へ行かせて” 『天使にラブソングを』)
“Where Did The Rock Go” – School of Rock(“ウェア・ディッド・ザ・ロック・ゴー” 『スクール・オブ・ロック』)
<大阪公演>
2017年12月14日(木)~12月17日(日)
梅田芸術劇場 メインホール
<東京公演>
2017年12月20日(水)~12月28日(木)
東京国際フォーラム ホールC
■演出 サラナ・ラパイン Sarna Lapine
■出演 (アルファベット順 alphabetical)
パティーナ・ミラー Patina Miller
ラミン・カリムルー Ramin Karimloo
シエラ・ボーゲス Sierra Boggess
城田優 Yu Shirota
■東京公演主催:キョードー東京・テレビ朝日・ワタナベエンターテインメント・梅田芸術劇場
■大阪公演主催:朝日放送・ワタナベエンターテインメント・梅田芸術劇場
■企画・制作:梅田芸術劇場
■一般発売(東京・大阪) 9月16日(土)
■問い合わせ(10:00~18:00)
梅田芸術劇場【東京】0570-077-039 【大阪】06-6377-3800
■公式HP http://4stars2017.com
■公式ツイッター @4Stars_2017
■公式インスタグラム @4Stars_2017