go!go!vanillas このバンドにしか鳴らせない全13曲、3rdアルバム『FOOLs』の進化はいかにして起きたのか

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インタビュー
2017.7.24
go!go!vanillas 撮影=上山陽介

go!go!vanillas 撮影=上山陽介

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直近のシングルやライブの様子などからバンドの調子の良さを窺うことができていたが、go!go!vanillasの3rdアルバム『FOOLs』はこちらの期待を遥かに飛び越えるほど痛快な作品となった。全13曲、収録曲には一つも同じ色のものがない上に、どれも確かにこのバンドにしか鳴らせないものばかり。タイトル通りかなりヤンチャなアルバムだが、その裏には、末永くロックンロールし続けるため、彼らが大切にしてきた美学や信念の存在があった。守るべきものをバンドの内側に一つ持つことによって、バニラズはここまで自由に、そして大胆に、進化することができたのだ。

音楽以外も含めて、この歳になって“自分のルールの中でカッコいいと思えることだけをやる”っていうふうに決めたんです。

――名盤じゃないですか!

一同:ありがとうございます!

――しかも突然変異的にこういう作品が生まれたわけではなく、先発シングルから段階を踏んでここに辿り着いた感じがあって。「ヒンキーディンキーパーティークルー」「おはようカルチャー」「平成ペイン」に関しては特に、意識的に決め球を投げたのかなと。

牧 達弥(Vo/Gt):それはかなりあります。この三部作に関しては俗に言う“バニラズらしさ”っていう部分を今一度進化させていくみたいなところを意識していたので。

――その“バニラズらしさ”ってどういうものなんですか?

:うーん……まず、俺らが思う“バニラズらしさ”と第三者が思う“バニラズらしさ”は結構違うと思います。で、今言った“バニラズらしさ”っていうのは第三者から見た方を指してて、それは分かりやすいところで言うと、音楽ジャンルとしての軽快なロックンロールなんじゃないですかね?

柳沢 進太郎(Gt):うん。周りから見たらね。

長谷川プリティ敬祐(Ba):でも最近はあんまりそういうのも考えないようになってきて。昔はそれこそ“自分たちらしさを出すのは難しいなって思うこともあったんですけど、好奇心がしっかりあって、その時やりたいことに音楽で取り組んで、4人で演奏して牧が唄えば、それはもうバニラズだなって思うようになりましたね。

:それが俺らから見た方の“バニラズらしさ”だよね。音楽をずっと追求しつつ好奇心を保つこと、ワクワクさせて“次”を予測させないこと、みたいな。

ジェットセイヤ(Dr):うん、ノー・ボーダーね。両生類みたいな感じだよね、バニラズって。陸でも息できるし、水の中でも息できるロックンロール。

進太郎:自分がカッコいいと思ったものにすぐに飛びついて、噛み砕いて噛み砕いて、味がなくなるまで噛むみたいな。そうやって研究して、自分らのカラーで出すことに長けてるのがバニラズなのかなって思いますね。

――その先陣を切っていくのが作詞作曲を担う牧さんなわけですけど、牧さんのルーツには洋楽だけではなく、歌謡曲やフォークも存在しているし、さらに民族音楽にまで手を伸ばしていて。とにかく引き出しの数が多いじゃないですか。こういう人についていくのって、変な話、大変じゃないですか? 一緒にバンドをやるということは、メンバーに求められる部分も多くなるんじゃないかなと思うんですけど。

プリティ:まあ音楽とは全く違う部分でキツい時は正直あるけど……忘れ物が多かったりとか、その時々で言ってることが違ったりとか……。

進太郎&セイヤ:ははは!

プリティ:でも音楽的な話でいうと、牧が作ってきた曲の方向性に共感ができなかったことも、あんまりドキドキしないなって思ったこともそんなにないですね。そこに関しては完全に信頼してるし。

進太郎:まずダサいものを持ってこないし、持ってきたくないと思ってる人だと思うんですよ。

セイヤ:うんうん。

:リリースの時期とかその時のモード、バンドの流れとかを考えて(曲を)持って行ってますからね。例えば“メンバーは今これをやりたがらないだろうなあ”と思っても、“いや、今これをやらんとアカンねん”って考えて曲を出したりもするし。

――それこそ今回のシングル三部作は“今やらんとアカンねん”感が強かった気がして。

:うん。

go!go!vanillas/牧 達弥(Vo/Gt) 撮影=上山陽介

go!go!vanillas/牧 達弥(Vo/Gt) 撮影=上山陽介

――そういう曲を牧さんが持ってきた時に、それを初めて聴いた時、お三方はまずどう思ったんですかね。

セイヤ:自分は結構ストレートやなって思いました。ビートがカントリーで一貫してたから、そこがバニラズの持ち味かもっていうことにも改めて気づけましたね。

進太郎:ストレートの中でも速度が上がっていってる感じっていうか。この3曲においてはさっき言ってたように“バニラズらしさを客観視して出す”っていうテーマがあったので 「“らしさ”を残しながらこんなにも進化するのか、この人は!」っていうのが強かったです。

:まずTHE BAWDIESと一緒に(スプリットシングルのリリースやツアーを)やるタイミングで「ヒンキーディンキーパーティークルー」を作ったんですけど、お客さんからのアクションを見て、俺らを知らない人にとっても分かりやすい曲ができたなっていうふうに思えて。そこで“あ、なんか面白いことやってんな”って近づいてきてくれた人に対して自己紹介する意味で「おはようカルチャー」を作ったんですよ。それを受け取ってくれて中まで入ってきてくれた時に“友達になれたからもっと深いところで話そうぜ”っていうのが「平成ペイン」っていうイメージで。シングルでそういうふうに、僕らの名刺代わりのような楽曲を研ぎ澄ませることができた分、そこで一つ完結できたから、アルバムに関しては結構三部作とは切り離してますね。仮に「ヒンキーディンキーパーティークルー」から「平成ペイン」まで聴いてくれた人がいるとしたら、その時点で僕たちにすごく興味を持ってるっていうことじゃないですか。そこでやっとアルバムを届けられる、バンドのすべてを見せるための準備ができたっていう感覚なんですよ。

――シングル三部作はアルバムへの導入だったということですか?

:まあそこまで極端ではないですけどね。三部作を通して一つうちのカラーを確立することもできたし、最初にあった“バニラズらしさ”をここまで進化させることができたっていう自信にもなったし。そもそも“この曲、このバンドっぽい”っていうのって紐解けば、コード進行のパターンやメロディラインの手癖だったりするんですよ。それって作り手からすると既視感になっちゃうし、やってる側は意外と楽しくなくなってきちゃうこともあるんですけど……というか三部作を作る上でそれが一番のネックだったんですけど……。

――でも、今そこにトライする必要性を感じていたからこそ実行したわけですよね。

:そうですね。それがちゃんと成功したからもう大丈夫だなって。そこからのアルバム、っていう感じですね。

go!go!vanillas/長谷川プリティ敬祐(Ba) 撮影=上山陽介

go!go!vanillas/長谷川プリティ敬祐(Ba) 撮影=上山陽介

――アルバムの制作自体はいつ頃から始まったんですか?

進太郎:(昨年の)6、7月ぐらいからやってたんじゃないですか? でもわりとキツキツでしたね……。

セイヤ:その間にシングルのリリースもあったしね。

進太郎:だから5、6曲ぐらい一気にやってた時期もありました。でも“ヤバい、出てこねえ”みたいな苦労はなかったですね。

:すごく良かったなって思ったのは、そういうふうに詰め込んでたのに、嘘無く全曲シングル級に気合いを注げたなっていうことですね。さっき言ったような手癖だったりとかノリや勢いで作ることもできたけど、それじゃあもったいないって思ったから。

――アルバムに関しては、シングル三部作とはまた違う方向性ですよね?

:そうですね。三部作の次に何を見せたいのかを考えた時、やっとここで“リアクションがなくても響くもの”をちゃんと届けられるなと思って。

――リアクションがなくても響くもの?

:音楽っていろいろな聴き方があるし、ワーッてなることが人間の最高の感情だとは限らないじゃないですか。スッと聴いて、顔には出ないけど“これヤバいわ”って思うようなことを音楽でもやりたいなと。僕自身、シングル曲よりもB面曲がすごく好きな人間なんですけど、それは多分僕だけじゃなくて、そういう人はたくさんいると思うんですよ。だからこそ、ちゃんとそこを作れるようにしておきたかった。例えば全部がシングルを作りたいんだったら、もっと知識がある人に曲を作ってもらえばいいし、別にバンドでやらなくてもいいと思うんですよね。でもそうじゃないところにシングル級の気合いをB面に注ぐことがバンドの美学だとやっぱり俺は思うし、それを好きでいてくれる人がいっぱいいるからこそバンドっていうのは長生きすると思うんです。10年、20年先っていうのを考えた時に、響いてくるのはアルバムの中に入ってる曲だったりするから。

――でもそれって難しいですよね。やっぱり目に見える盛り上がりがあった方が“求められてる”っていう実感は得やすいじゃないですか。そういう“求められていそう”な音楽と自分たちのやりたい音楽の間のギャップに関しては、どう捉えてます?

:前までは空気を読んでいたというか、ライブでやりづらさを感じることもあったんですよね。でもそれって結局ね、“曲自身のパワー+自信”っていうところでどうにでもなるなっていうふうに最近思ってて。もちろんフェスとかでやって“何か退屈だな~”“あの曲の方が聴きてえよ”っていう人は絶対います。絶対いると思うし、それはそれでいいんですけど、自分たちが自信を持ってやりきれるようになれば、そういうのはもう関係なくなるというか。そこのギャップが悪いふうに見えるうちは、まだ音源を超えることができてないというか、自分たちがライブにおいて調理をできていないということだと思います。フェスもやっぱり限界があるし、フェスでの盛り上がりとライブハウスの動員が比例してるかっていったら全然そんなことないし。今の時代においては、見えないリアクションを空気で感じさせられるバンドになることが、バンドとして一番達成感のあることなんじゃないかなと。

――それが聴き手にちゃんと届くだろうという自信があったからこそ、こういうアルバムを出せたんじゃないかなと。

:そうですね。

go!go!vanillas/ジェットセイヤ(Dr) 撮影=上山陽介

go!go!vanillas/ジェットセイヤ(Dr) 撮影=上山陽介

――そういう自信が持てるようになったのっていつ頃からですかね?

:やっぱりこの1年ぐらいじゃないですか? ツアーがあって、ホリエさんと新曲作って、このアルバムの制作もあって、対バンも結構あったし…………あとは歳かな?

プリティ:歳!?(笑)

:いや、ホントに思う。音楽以外も含めてなんですけど、この歳になって“自分のルールの中でカッコいいと思えることだけをやる”っていうふうに決めたんですよ。それがあると何かね、考えてることも整理しやすくなったというか、結局“自分がどうなりたいか”みたいな部分が分かりやすくなったのかもしれないですね。その考え方で曲を作っていったからお客さんの半歩先をいけたというか。

―― 一歩先ではなく半歩先なんですね。

:半歩先っていうのは、僕が好きな洋楽アーティストがそうなんですけど……僕、ストロークスを最初に聴いた時は音ショボいしテンション低いし、全然カッコよくないなと思ったんですけど、その1年後にはクソハマってたんですよ。だからきっとストロークスが僕の先に行ってたんだなって思ったんですよね。だからこそずっと研究したくなるし。ビートルズもそうだったし。で、それをお客さんにも感じさせたいんですけど、一歩先に行っちゃうと結局距離が開きすぎて“もういいや”って思われてしまうこともあるわけですよ。でも半歩先だとお客さんに考えさせる余地もあるし、僕らが引っ張っていけばついてこられる距離だなって感覚で。

go!go!vanillas/柳沢 進太郎(Gt) 撮影=上山陽介

go!go!vanillas/柳沢 進太郎(Gt) 撮影=上山陽介

――なるほど。今日話していただいたように、好奇心に基づいてやりたいように作ったアルバムとはいえ、そこにバンドの意志がにじみ出ていると思うんですよ。でもそれを直接唄うようなことはしてないし、今回に関しては歌詞のメッセージ性はあまり重要じゃないのかなと思って。例えば“愛犬かわいい”としか唄ってない曲もありますし。

:(笑)一つの音楽としての価値が高いものを詰め込みたかったっていうのが結構強くて。エモさって結構付加価値だと思うんですよ。特に日本語の言葉によるエモさみたいなものって日本独自の文化だし、洋楽からすると異端な部分があるし。

――歌詞によって共感や感動を呼び起こすということですよね。

:うん、もちろんそれによる魅力もあるんですけどね。でも、今回のアルバムを作る上で洋楽を意識してサウンドにこだわっていったから、エモさのある言葉に頼らずにしっかり良い音楽を作りたいっていう部分が強かったのかな。そこも言ってしまえば“バカになる”じゃないですけど、難しいことを言いたくなかったというか。お客さんに対して押しつけがましくしたくないんですよ。“こっちめっちゃ楽しいよー! いいよいいよー!”って宣伝はするけど、“じゃあ最後どうするかは任せるわ~”っていうふうにしたい。やっぱりねえ、すごく思うんですよ。今、音楽はめちゃめちゃサービス業になっちゃってるなあと。例えばCMで“ランキングナンバーワンです”とか言ってたらやっぱり買っちゃうじゃないですか。でもそれを鵜呑みにしちゃうと損することも多いから、自分で選択する心を持った方が絶対いいんじゃないかなって思うんですよね。音楽に関しても“これって本当に自分が聴きたいものなのかな?”っていうのを吟味して、良いものを聴いてほしいなって思います。


取材・文=蜂須賀ちなみ 撮影=上山陽介

 

リリース情報
アルバム『FOOLs』
『FOOLs』

『FOOLs』

2017年7月26日発売
【完全限定生産盤】(CD+DVD) VIZL-1195 ¥3,300+税 ※スペシャルパッケージ仕様
【通常盤】(CD) VICL-64812 ¥2,700+税
※CD / DVDの収録内容をスマホで簡単再生できる「プレイパス」サービス対応
<CD収録曲>
1.We are go!
2.サクラサク 
3.FUZZ LOVE 
4.ヒンキーディンキーパーティークルー 
5.ラッキースター
6.平成ペイン 
7.サウンドエスケープ
8.バイバイカラー
9.ストレンジャー
10.グッドドギー
11.パペット
12.ナイトピクニック 
13.おはようカルチャー
<完全限定生産盤付属DVD収録内容>
1.We are go! -Recording Documentary-
2.ヒンキーディンキーパーティークルー -Music Video-
3.おはようカルチャー -Music Video-
4.平成ペイン -Music Video-
<完全限定生産盤・通常盤共通特典>
go!go!vanillas 「FOOLs」 TOUR 2017抽選予約シリアルナンバー封入!
東名阪ZEPPワンマン3公演 <最速先行> 
9月30日(土)以降15公演 <特別先行> 
(抽選予約申込期間:2017年8月6日(日)23:59まで)
<「FOOLs」配信情報>
iTunes Store、レコチョクほか主要配信サイトで7月26日(水)より配信スタート

 

ライブ情報
『FOOLs PARTY』
7月26日(水) 渋谷WWW X
開場 19:00 / 開演 20:00
SOLD OUT!

『FOOLs』Tour 2017
9月9日(土) 横浜 Bay Hall
9月10日(日) 水戸 LIGHT HOUSE
9月16日(土) 熊谷 HEAVEN'S ROCK VJ-1
9月17日(日) 高崎 club FLEEZ
9月23日(土) 神戸 Chicken George
9月24日(日) 滋賀 U-STONE
9月28日(木) 浜松 窓枠
9月30日(土) 長野 CLUB JUNK BOX
10月1日(日) 金沢 EIGHT HALL
10月6日(金) 仙台 Rensa
10月8日(日) 秋田 Club SWINDLE
10月9日(月・祝) 盛岡 Club Change WAVE
10月21日(土) 高松 MONSTER
10月22日(日) 高知 X-pt.
10月26日(木) 米子 laughs
10月28日(土) 広島 CLUB QUATTRO
10月29日(日) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
11月9日(木) 宮崎 SR BOX
11月11日(土) 熊本 B.9 V1
11月12日(日) 福岡 DRUM LOGOS
11月18日(土) 札幌 PENNY LANE 24
11月19日(日) 札幌 PENNY LANE 24
<追加公演>
11月25日(土) Zepp Nagoya
11月26日(日) Zepp Osaka Bayside
12月2日(土) Zepp Tokyo

 

 

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