10,000発の花火を山と海が作り出す迫力のサラウンドで体感 夏の一大イベント『油津港まつり花火大会2017』レポート
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7月15日、宮崎県日南市の油津港にて、『油津港まつり2017』が開催された。三方を山に囲まれ、太平洋に面した港町で催される同イベントでは、毎年約1万発という県内最大規模の花火が打ち上げられるだけでなく、花火打上前にメッセージを場内放送する“メッセージ花火”といった趣向を凝らした企画も。今回のレポートでは、花火だけでなく、大会を彩る様々なイベントも体験。夏の一大イベントに参加した人々のようすもあわせてお伝えする。
快晴の中、向かった油津は、古くからマグロ漁業や林業で栄えた町である。かつて、交通手段として使われた、街から海につながる水路はとても趣があり、映画『男はつらいよ』のロケ地にも選ばれたことがある。
街の中央にある商店街は、一時はシャッター通りとして閑散としていたらしいが、いまは若いパワーで再興され、にぎやかでオシャレな場所になった。
商店街では、地元の中高生たちが企画したお化け屋敷や、ボディペイントなどの模擬店も見られた。
今回は、イープラスが発売している有料観覧席も体験。果たしてどんな景色を楽しめるのか。
おぉこれは広い!そして海の真ん前の、素晴らしいロケーションだ。どうやら、この眼前に花火があがるらしい。案内してくれた観光協会のSさんは、「1尺玉が上がったら、その迫力に驚かないでくださいよ」と、自信満々。これは楽しみだ。
花火前に楽しめるイベントも盛りだくさんだ。
まずは、本物の競艇選手の運転するモーターボートに乗り、海を激走するペアボートの乗船体験。これは、見ていいるだけでも迫力満点だ。ボートは「落ちてしまうんじゃないか?」と思えるほどののスピードでコーナーを曲がっていく。体験したい!
ほかにも、参加型のイベントが印象的だった。地元の飫肥杉で作られた丸太船でレースを行う弁甲競漕大会では、会社の同僚、クラスメイト、友達などそれぞれ5人でチームを組み、1試合4チーム対抗戦を行う。全長6メートルの丸太をオールで漕ぎ、150メートルのコースを進むレースは圧倒的な迫力だ。それぞれが会社や学校を背負って出場しているので、各チームの応援にも力が入る。大会がテレビでも放映されているとなれば、なおさらだ。
今回は、レースの参加者で、地元の超有名企業でもある九電工の“ギバちゃん(柳葉敏郎)”こと、黒木さんに突撃インタビューを行った。
――いかがでした?
いやぁ疲れました。
――若い方もいて強そうに見えましたが。
あいつら見掛け倒しで(笑)。
――普段から丸太のりの練習はされているんですか?
しているチームもあるけど、うちはほら(九電工なので)電柱だもの。沈んじゃって練習にならないよ(笑)。
と、とにかく明るい宮崎のギバちゃんだった!ちなみに、九電工は残念ながら予選落ちしてしまったようだ。
時間は流れ、19時少し前。、20時からの打ち上げまであと1時間ともあり、有料観覧エリアにも人が集まってきた。中には、重箱を持参した家族や、友人たちとパーティのように楽しむ人々の姿も。今回は、有料席を購入した8組の参加者にインタビューした。
1組以外は初めて有料席を購入したという。購入のきっかけは「無料エリアのように場所とりせず席が用意されているから」だという。また、優雅にゆったりと、家族や友人と食事をとりながら見れるのも魅力とのこと。
赤ちゃん連れの参加者に感想を聞いてみると、ビッシリと人が集まる無料エリアにくらべ、ベビーカーを拡げたまま持ち込める有料席を選んだことで快適に過ごすことができたそう。
せっかくなので、花火大会を楽しむ参加者のようすも写真に収めさせてもらった。
1枚目は、美味しそうな手作りのお弁当を持参したご家族。たまたま近くにいた﨑田恭平・日南市市長(赤のポロシャツの男性)とも知り合いとのことで、一緒にパチリ。
2枚目には、ベビーカーで来場のママさんとベイビーちゃん。みな楽しそうである。
夜のとばりが完全に降り、20時ちょうどになると、実行委員会のマイクパフォーマンスのカウントダウンの声とともに、美しい夜空に最初の花火が打ち上げられる。
ちあがる花火の軌跡を目で追う。「おぉ、これは結構目の前だぞ。目の前で上にあがっていくぞ!!だいぶ上にあがっていくぞ!!どうだ!どうだ!どうなる!?」
「ドカーン!ドカーン!ドカーン!!!!」と、何発もの大きなしだれ柳が空を埋める感動的なスタートに、観客全員が息をのみ、そして忘れていた拍手を一斉に送る。私は鳥肌が立った。花火は見るロケーションによってこんなにも印象が違うのだ。
油津の花火は目の前が港、そして三方を山が囲む。
一番低い位置に海があり、そして次に観客がいて、その周りを一気に高い山が囲む。低い位置にある海は光を映し出し、そして高い山々は音を包み込む。
だから眼前の大輪花火は見事な色彩で港内の水面に映えるのだ。美しい花火の色彩に遅れることコンマ何秒か、三方の高い山を地響きのような重低音の爆発音が貫く。これには「ビクッ」と身体が震えた。花火の音ってこんなに大きいんだ。そして、音はすり鉢状になった山々に反響し、また自分の足元に戻ってくる。そんなサラウンドな感覚を味わえるのは、この土地ならではの自然の技であろう。
いくつもの素晴らしい景色をこの目に焼き付けることができて、油津に来てよかったと思う。また来年会おう、油津!!
最後に花より団子みたいで恐縮なのだが、甘いものが好物の私=ライター・花火まつりちゃんのチョイスしたスイーツをご紹介。
今回は、油津商店街再生の口火となり、喫茶店をリノベーションしたaburatsu cafeのチョコパンケーキパフェをセレクト。
九州産小麦のモチモチのパンケーキ“九州パンケーキ”を贅沢に使用したパフェだ。アイス、生クリーム、コーヒーゼリー、九州パンケーキ、生バナナ、グラノーラが層になり、キレイに器に収まっている。
重なる味のハーモニー!これはめちゃくちゃに美味しい!!ぜひに試してほしい!
日本は楽しい。祭りも楽しい。花火まつりちゃんの旅は続く。
油津港まつり花火大会2017