フジロックKIDSLAND運営チームも携わる『こども みらい フェスティバル』の魅力

地域に根付いた祭りといえば、盆踊りや花火大会など昔ながらのものが主流である日本において、「こどものこと、子育て・子育ちのこと、そして、こどもの未来を考える」を主題とした地域密着型の新たなスタイルを確立しつつあるフェスティバルが神奈川県横浜市に存在する。その名も『こども みらい フェスティバル』だ。

■「こども みらい フェスティバル」とは
｢子どもが主役の子育て」「もっと自由に外遊び」を２大コンセプトに、｢Free Children！｣｢No Play No Life｣｢Let’s Play Together｣をメッセージに掲げ、2014年に初開催され、今年で4回目を迎えた。

運営を担う実行委員会は、都筑冒険遊び場 まんまるプレイパーク、りんごの木 子どもクラブ、NPO法人もあなキッズ自然楽校、NPO法人のはらネットワーク、保育ルーム・学童保育どろんここぶた、フジロックKIDSLAND運営チームら保育関連団体や地域社会グループによって構成されており、このフェスを通して、子育ての不安が軽くなるようなアドバイスや環境づくり、子ども自身が育つ力に大人が気付くきっかけづくり、また親同士がつながりあえる第一歩になれたらという思いがベースに｢子育てのネットワークづくり」を目指している。

■２週間に及ぶイベントはコンテンツが盛りだくさん！
４回目を迎えた今年は、1st week の6月10日（土）、11日（日）にセンター北駅前芝生広場・あいたい・およびその周辺において、出張プレイパーク、親子ワークショップが入場無料で開催された。

センター南駅前に突如出現する「プレイパーク」のダイナミックな遊具に使用されている竹は、地域のお父さんボランティアが毎年近くの山に竹取をして用意されているものであり、こどもたちによる駄菓子屋さんの「こぶたのだがっしー」や、お母さんやお父さんによる「バルーンアート隊」の他、同広場には子育て情報コーナー、プチ休憩、授乳もできる「青空ポポゾウひろば」や「〜頑張ってるお母さんのための〜 母の手づくりホッとスペース」も用意されるなど、子どもと親双方への配慮がなされたゆったりと遊べる自由空間が広がっていた。

また、駅ビル内のイベント広場では、保育シンガーソングライターの荒巻シャケ氏による「親子でいっしょにあそびうたライブ」、材料費のみの負担で参加できる「親子でいっしょにつくろうワークショップ」が開催され、思い思いの天然素材を子どもたちが自由に選び、それを使って超大作を創る子もいれば、親子で共同制作をする姿が常時溢れかえっていた。

2nd week の6月17日（土）は、同地区内にある都筑公会堂に場所を移し、E テレ『すくすく子育て』の回答者でもある保育界の風雲児的カリスマ、りんごの木子どもクラブ代表の柴田愛子氏による子育て子育ち支援のための講演会と、同地に縁のある子どもや大人に大人気のミュージック・ユニット、ケロポンズのコンサートが開催され、どちらも超満員大盛況であった。

柴田愛子氏の講演会では多くの乳幼児を持つ母親たちが客席のほとんどを占め、保育歴45年の大ベテランの話を聞き逃すまいと真剣に聞き入り、時に笑いあり、感動ありの和やかで優しい空気が流れていた。

一方、ケロポンズのコンサートではステージ前に作られたスタンディング・エリアにこどもたちが集結し、後方で保護者も楽しむという一般的なロック・コンサートのような空間作りがなされ、子どもはもちろん、大人も一緒に楽しい時間を歌って踊って過ごしていた。今週末に開催されるフジロックフェスティバルには、なんと5年連続で出演しているケロポンズ。その明るくキャッチーな容姿の奥にあるロック・スピリッツで、街のこどもと同様に、苗場に集結するこどもフジロッカーたちをも魅了してくれることだろう。

こうした地域全体を巻き込んだ大規模な子育て支援への取り組みは、行政だけでできるものではない。こうして地域の人々の思いや努力が積み重ねられて確率されてゆく子育てネットワークを持つ街は大変魅力的であるし、隣り街で子育てに奮闘している筆者には引っ越そうかと考えてしまうほど羨ましく映ったのも事実だ。そしてまた、地域に根付き始めた人と人を結ぶ絆がそこには確かに存在していた。

こうした街で育ったこどもたちは、大人になってもその地を離れることなく根付き、脈々とバトンは渡されていくのではないだろうかと考えさせられるフェスティバルであった。

文・写真＝早乙女‘dorami’ゆうこ
写真提供＝こどもみらいフェス