ペヤンヌマキ×安藤玉恵 生誕40周年記念ブス会*『男女逆転版・痴人の愛』リーディング公演レポート
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ブス会*『男女逆転版・痴人の愛』リーディング公演 (写真:宮川舞子)
ペヤンヌマキと安藤玉恵。同い年の2人が生誕40周年を期にタッグを組んだ「ペヤンヌマキ×安藤玉恵生誕○周年ブス会*」という新しい演劇のシリーズが開始された。記念すべき第1回「生誕40周年ブス会*」に選ばれた題材は「男女逆転版・痴人の愛」。谷崎潤一郎の「痴人の愛」を男女逆転させ、ペヤンヌマキ独自の視点で現代的に描く。
去る7月15日、16日に御徒町の「ギャラリーしあん」にて、プレイベントリーディング「男女逆転版・痴人の愛」が行われた。
ブス会*『男女逆転版・痴人の愛』リーディング公演 (写真:宮川舞子)
会場であるギャラリーしあんは古民家を利用したギャラリー。玄関に入ると、蚊取り線香の香りが鼻をくすぐる。30人も入れば満席と思われる会場は、7月15日の初日から満員だった。(客演の福本雄樹が所属する)劇団「唐組」さながらに、客席のほとんどは桟敷席で、折からの夏日の気候も相まって、ムンムンと熱気に満ちていた。そして、開演時間となる。チェロ演奏の浅井智佳子が入場し、バッハ作曲「無伴奏チェロ組曲第1番よりSarabande」の演奏が始まった。
チェロ演奏=浅井智佳子 (写真:宮川舞子)
黒いロングワンピースで現れた安藤玉恵が舞台中央に立つと、手に持った本を開き、「私はこれから、あまり世間に類例がないだろうと思われる、私と彼の関係について、出来るだけざっくばらんに、ありのままの事実をお話ししてみようと思います」と語りはじめる。
主人公の「私」/「犀門(さいもん)洋子」=安藤玉恵 (写真:宮川舞子)
舞台は神保町のバー・ダイヤモンドから始まる。ある雨の日、亡き母の墓参の帰りにバーに寄った「私」(安藤)が出会ったのは、青い顔した濡れ鼠のような美しい少年だった。「私」は身寄りのないその男の子「ナオミ」(福本雄樹)を引き取って理想の紳士に育て上げようとする。良い服を着せ、良い食べ物を食べさせ、良い教育を授けようとするが、悉く良い結果にはならない。しかしナオミの魅力に取り憑かれた「私」は、ナオミの甘い言葉に感激し、貯金をはたき、徐々に身を持ち崩してしまう。ある日「私」は同僚の山本(山岸門人)からナオミの良くない噂を耳にするが...。
洋子を惑わせる男、「ナオミ」=唐組の若手ホープ 福本雄樹 (写真:宮川舞子)
原作を生かした言葉群で耽美な世界を描きながらも、時折現れる「伊勢丹MENS」「インスタグラム」など軽妙な横文字との融合が観客の笑いを誘う。
バー・ダイヤモンドの「マスター」、「私」の同僚の「山本」、ナオミの友人「浜田」役 =山岸門人 (写真:宮川舞子)
「痴人」となった「私」は物語が進むに従い声を荒げ、感情があらわになっていく。そして、物語はとある結末を迎える。古民家の雰囲気、チェロの演奏と安藤玉恵の独特の声、役者3人の三者三様の色気が混じり合った作品。
リーディング公演は2日間限定で終了したが、本公演は12月、こまばアゴラ劇場にて決定している。リーディングと同じく安藤、福本、山岸が出演する。
ブス会*『男女逆転版・痴人の愛』リーディング公演 (写真:宮川舞子)
ペヤンヌマキ コメント
今回、12月の本公演に先立ち、同作品のリーディング公演を行いました。リーディングという形態、通常の劇場とは違った古民家での上演、チェロの生演奏、全て初めての試みで、私にとってすごく刺激的な創作体験となりました。そしてこれから更に時間をかけてこの作品を深め、12月にアゴラ劇場で上演できることの贅沢さ、これまでのブス会の作品にない新しいものができる予感がひしひしとしています。リーディングのテキストを書くに当たり、原作「痴人の愛」から大好きな谷崎さんの言葉をお借りしつつ、私自身の言葉を加えて行く作業は、なんだか谷崎さんとセックスしているような妙な心持ちを覚えました。更に深化した12月アゴラ劇場での本公演にぜひご期待ください。
ブス会*『男女逆転版・痴人の愛』リーディング公演 (写真:宮川舞子)
ペヤンヌマキ×安藤玉恵 生誕40周年記念ブス会*プレイベント
リーディング『男女逆転版・痴人の愛』
■翻案・演出 ペヤンヌマキ
■出演:安藤玉恵 福本雄樹(唐組) 山岸門人 / 浅井智佳子(チェロ演奏)
■日程:2017年7月15日(土)、16日(日)
■タイムテーブル:7月15日(土)14:00 / 17:30、7月16日(日)11:00 / 14:00 / 17:00
■会場:ギャラリースペースしあん(東京都台東区東上野1-3-2)
ペヤンヌマキ×安藤玉恵 生誕40周年記念ブス会*
『男女逆転版・痴人の愛』
■脚本・演出 ペヤンヌマキ
■出演:安藤玉恵 福本雄樹(唐組) 山岸門人
■日程:2017年12月8日(金)〜19日(火)
■会場:こまばアゴラ劇場 (〒153-0041 目黒区駒場1-11-13)
■公式サイト:http://busukai.com