BiSH ライブハウスの熱気を持ったままさらに大きな舞台へ「ここで止まりたくない、行けるところまで一緒に来て下さい」
BiSH 2017.7.22 幕張メッセ 幕張イベントホール
BiSH NEVERMiND TOUR RELOADED THE FiNAL “REVOLUTiONS“
2017.7.22(SAT) 幕張メッセ 幕張イベントホール
「幕張メッセ、約束は果たしました。でも、BiSHはまだまだ止まりません! “最高”の、その先へと行くことをここで約束します!」(セントチヒロ・チッチ)
2015年3月にグループを結成して2年半。ここから彼女たちはいったいどこまでいってしまうのか。ライブハウスの“熱気”を持ったまま、この人気はさらに大きなものになる。7月22日、幕張メッセイベントホールでBiSHが開催した『BiSH NEVERMiND TOUR RELORDED THE FiNAL“REVOLUTiONS”』のライブ空間には、そんな空気が充満していた。最新作となるミニアルバム『GiANT KiLLERS』はオリコンデイリーチャート3位を獲得、TVをはじめ、あらゆるメディアから驚異的な勢いで注目を集めだしたBiSH。音楽シーンでGiANT KiLLiNGな快進撃を巻き起こす彼女たちの魅力、独自性を幕張メッセのライブから探ってみる。
まずそのライブ空間に驚かされる。客席を満員に埋め尽くした7,000人の清掃員(BiSHファンの呼称)たち。男性も女性もそのほとんどはBiSHのロゴが入った黒いTシャツを着ている。この日、客席はアリーナから3階席まで辺り一面黒づくめ。そして、ステージに出てきたBiSHは、最後まで衣装の着替えなし。衣装もこの日のための着飾ったものではなく、いつも通りだった。色は暗め、スカート丈もひざ下。女子力を全開にしたキュートなアピールなど微塵も感じさせないデザインは、彼女たちが着ると戦闘服のようにも見える。アリーナクラスの大きなステージなのにど派手なステージセットや花道、トロッコもなかった。左右にちょっとしたサイドステージとLEDスクリーンを設置した舞台は、むき出しのまんまで装飾も何もない。舞台上には今年初めてツアーで試して好評だった“鬼バンド”もいなければ、野音のようなオーケストラもいない。だだっ広いステージにいるのはアイナ・ジ・エンド、モモコグミカンパニー、セントチヒロ・チッチ、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・D、たった6人だけ。この幕張メッセという大舞台で“楽器を持たないパンクバンド”というグループのコンセプトにあえて立ち返り、メンバー6人のみでグループ史上最大規模のステージに立ったとき、BiSHならではのパンキッシュなカオスほとばしる歌とダンス、“胸アツ”でエモーショナルな感情をどこまでもくすぐっていく楽曲でこの空間をライブハウスのように熱狂させられるのか。それが、この日のライブの最大の挑戦であり、醍醐味だった。彼女たちは、清掃員たちを見事一人も残さず熱狂させ、ともに一つになって過去最大規模のスパークを引き起こし、そこにいた全ての人々を感動という歓喜へと導いていった。
BiSH 2017.7.22 幕張メッセ 幕張イベントホール
この日は、1曲目から衝撃的な番狂わせが待ち受けていた。いつもと違い、映像を通してプロデューサー・渡辺淳之介氏がライブの注意事項を告げた後、これまでのBiSHの軌跡を振り返るオープニング映像が流れ、スクリーンが上がると逆光の中にBiSHのメンバーが立っている。そうして始まったライブの1曲目は、なんとこれまでライブの最後やラスト前に歌ってきた感動チューン「オーケストラ」だった。BiSHの知名度を最も上げた、いわば彼女たちの“切り札”ともいえるこのメジャーソングを1曲目で使ってしまうという潔い幕開けに、場内にはいままで聞いたことがないような驚きと嬉しさが入り混じった“ウォー”という歓声が地鳴りのように響き渡った。そうして、「社会のルール」からは清掃員たちがいつものように盛り上がりだし、パンキッシュな「DEADMAN」投下で客席はさらに熱量が急上昇。「みんなー、もっともっとー」とアユニが煽って始まった「本当本気」まで一気にパフォーマンスした後は、メンバー全員の自己紹介コーナーへ。その後、モモコが「幕張のみなさ~ん、BiSHと踊りましょう!」と叫んで,始まったのは「DA DANCE !!」。BiSHの曲のなかでは珍しくキュートなナンバーに合わせて客席も踊り出し、「ダンスしようよ!」というファンの叫び声もバッチリ決まる。サビの振りをオーディエンスも一緒になって真似する「ヒーローワナビー」、曲中メンバーたちが『だるまさんがころんだ』をやり出す「VOMiT SONG」も含め、BiSHはアイナがつける振りが独特で、そこも彼女たちの魅力の一つ。そうして「Nothing.」はハスキーボイスでアイナ、伸びのあるピュアボイスのチッチ、BiSHの歌を引っ張る2人の対照的な歌声がサビでスパーク。そのあとは、始まった懐かしの「スパーク」で『はないちもんめ』の振りをアリーナ席でやりだす猛者たちを見て、客席が大盛り上がり! これで清掃員に火がついた。「サラバかな」のイントロでさらにテンションが上がった客席からは、ハンドクラップ、MIXなどの掛け声の乱れ打ちが沸き起こる。曲の後半からは、メンバーが舞台の左右に分かれてサイドステージへと駆け上がり、その付近にいたアリーナやスタンド席の観客はジャンプしまくって大盛り上がり。そうして突入した「ALL YOU NEED IS LOVE」では感動的な絶景が生まれる。サビでメンバーが肩を組むのと同時にアリーナ、2階、3階席の清掃員がどんどん隣の人と肩を組んでいって、左右に体を揺らしながら盛大なシンガロングを場内に響かせていった場面は本当に圧巻! 大きな会場ならではの迫力ある一体感に、胸が熱くなる。
BiSH 2017.7.22 幕張メッセ 幕張イベントホール
ハシヤスメの音頭でコール&レスポンスで盛大に盛り上がったあとは、BiSHの今回のツアーでも恒例となっていたハシヤスメをアユニが中心となってイジメ倒すコント“ハシヤスメ劇場”を幕張でも披露。「私も穴が欲しい……あった! 鼻の穴!」と鼻の穴に指を突っ込んだハシヤスメにアユニが「うるせぇんだよ! この鼻の穴モンスターが!」と一撃。そんなオチの後に始まったのはライブのキラーチューン「MONSTERS」。アイナが「そろそろ暴れようぜ!」とシャウトすると、ステージでは炎がブオォーっと音を立てて吹き出した。「アリーナ! スタンド!」とチッチに煽られたオーディエンスは全力でサビを<ワッセッソ、ワッセッソ>と大声でシンガロング。その盛り上がりのまま「OTNK」へ突入すると、今度は<追う鎮火、鎮火>の大合唱で、幕張は最高にパンクでエキサイティングな空間へ。そこからの「beautifulさ」のトゲトゲダンスで今度は振りを真似て楽しく騒いだあと「GiANT KiLLERS」が始まると、ステージにはCO2と炎が吹き出し、メンバーもオーディエンスも歌いながら大興奮。そして「行くぞー! 行くぞー!」とチッチが叫び、本編ラストはBiSHの代表曲であり、これまで死ぬほど歌ってきたライブには欠かせないあの曲、「BiSH-星が瞬く夜に-」。一丸となってコール、振りまねをするオーディエンスを讃えるようにここでは客席に銀テープが舞い降り、美しく感動的な本編ラストを作り上げた。
アンコールの声とともに、客席ではファンがスマホのライトを掲げだし、場内が真っ白いライト(本当に美しい光景だった!)に包まれた中、メンバーが再び登場。「BUDOKANかもしくはTAMANEGI」を披露。そのあとはメンバーが次々と挨拶。涙声で話し出したアユニは「私はここにいていいのか悩みました……」と神妙に語り出し“まさか脱退か!?”とファンを心配させるも、「BiSHとしてライブをやってていまは楽しいです。私がBiSHとして過ごしている時間は、人生の中で一番特別なものになると思ってます」と結んだ。このツアー中、心が不安定で「2日に1回は泣いていた」と告白したリンリンは「晴れ晴れとした気持ちでツアーファイナルを迎えられて嬉しく思ってます」と伝え「私はBiSHに入ってどんどん成長して、過去の自分をバカにできることが快感になったので、明日からは幕張メッセに立ったBiSHを見下せる人間に一歩一歩なっていきます。サンキューベリーマッチ!」と爽快な笑顔を浮かべた。ハシヤスメは芸能界に憧れ、いろいろ活動してきて挫折ばかりを味わった過去に触れ、BiSHのオーディションに合格したのは「奇跡だった」といい「BiSH6人のためにここに7000人の人々が全国から集まったのも奇跡。ここはまだまだ通過点。これからいろんなものを乗り越えて、全員でBiSHとともに“青春”しましょう」と話した。アイナはBiSHが、メンバーが“宝者”(←リンリン発案)だという話から「BiSHとしてここに立ててめっちゃ嬉しいけど、ここで止まりたくない」とキッパリ宣言。「今の音楽業界でBiSHは圧倒的な存在になりたいです。アイナ・ジ・エンドとしても圧倒的な存在になりたい。なので、行けるところまで一緒に来て下さい」と清掃員を鼓舞。初期メンバーとして加入したモモコは、初ワンマンライブで歌もダンスもダメな自分に気づき、逃げたくなった心情を吐露。「でも、逃げたい気持ちよりもBiSHが好きだって気持ちの方が大きいことに気づいて。そこからBiSHに食らいついて精一杯やってきたら、気づいたら今日みたいにたくさんのお客さんを前にライブができて本当に幸せです。私、あの日逃げなくてよかった。BiSHが大好きです」と熱い気持ちを伝えた。最後に、チッチは「BiSHが誰かの生きる理由になったり毎日の憂鬱を吹き飛ばす理由になる。そういうお仕事ができて幸せです。私自身も音楽に助けられて“明日も生きてやろう”と思ったことがあります。この6人でこれからも最高の音楽を届けていきたいです」と話した後、冒頭に書いた宣言をファンに伝えた。
BiSH 2017.7.22 幕張メッセ 幕張イベントホール
そこから始まった「プロミスザスター」で、さらなる高みへと約束を交わしたメンバーとオーディエンス。その瞬間、天井から星型の紙吹雪が舞い降りてきて、感極まるなか、最後はBiSHがダンスを捨てて横一列に並び、「生きててよかったというのなら」を全員で堂々と歌い上げた。オーディエンスが照らすスマホの真っ白いライトに包まれ、歌い終わったBiSHはステージ後方の階段をゆっくりと降りていく。1度も手を振ることもなく、舞台から姿を消すといううっとりするほどロックな幕引きに、客席からは盛大な拍手が送られた。
ここから、さらなる“最高”を目指すBiSH。この日の模様は『MTV LIVE:BiSH NEVERMiND TOUR RELOADED THE FiNAL”REVOLUTiONS”』と題して9月にMTVでオンエアされることも決定している。
取材・文=東條祥恵 撮影=外林健太
会場:Zepp Tokyo
入場に関して
‟どうしても入場したい方のために”有料にて先行受付
受付日時:7月23日(日)12:00~18:00
受付URL:http://w.pia.jp/t/bish/
料金
1Fスタンディング 3,240円(税込)
2F指定席 3,240円(税込)
※入場時にドリンク代別途必要
先行受付にて会場キャパに満たなかった場合は当日、整理券配布の上で入場無料でご入場いただけます。
先行受付にて会場キャパに達してた場合は当日の整理券配布はありません。
整理券配布日時:8月23日(水)11:00~17:00
※予定枚数に達し次第、整理券の配布は終了となります。
※整理券はお一人様につき1枚のみ配布となります。
※整理券の譲渡・転売は固くお断りいたします。
※入場時にドリンク代が必要となります。