カノエラナ「カノエ暴走。」リリースパーティーでみせた、弾き語りからエクササイズまで変幻自在なその魅力

レポート
2017.8.15
カノエラナ 撮影=木村篤史

カノエラナ 撮影=木村篤史

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「今日もわやわやvol.4649~カノエ厨学夏休みの巻~」 2017.7.30 代官山UNIT

7月19日に3rdミニアルバム『「カノエ暴走。」』を発表したカノエラナ。それを記念したリリースパーティー『「今日もわやわやvol.4649~カノエ厨学夏休みの巻~」』が、7月30日(日)、代官山UNITにて開催された。

この日のライブは、弓木英梨乃、木谷将夕、片山タカズミ、ejiをサポートに迎えたバンドセットと、カノエひとりでの弾き語りの2部構成。他にも、ライブ前には『「カノエ暴走。」』に収録されている「ダイエットのうた」を、カノエ自身が真剣に踊る映像を場内のスクリーンに映したり、終演後には来場者に抽選で「カノエ先生の補習授業」と銘打ったミート&グリートを行なったりと、オーディエンスを楽しませたいという彼女のサービス精神が様々な場面で発揮された一日になっていた。

カノエラナ 撮影=木村篤史

カノエラナ 撮影=木村篤史

場内が暗転して、学校のチャイムが流れると、カノエとサポートメンバーがステージに登場。「これで、平成29年度カノエ厨学校終業式を終わります。校歌斉唱」というアナウンスの後、バンドセットの第一部は「私立カノエ厨学校校歌」からスタートした。その名の通り、ザ・校歌な曲調でありながら、ユーモア溢れるワードが散りばめられた歌詞を、カノエが時折、指揮棒を振る動きをしてみせながら歌えば、オーディエンスも曲にあわせて声をあげる。そして、アコースティックギターを勢いよくストロークして、自身のプロフィールを歌詞にした「カノエラナです。」へ。さらには「ABCの歌」のメロディーに乗せて、<あなたが好きなの何カップ?>と歌う「たのしいバストの数え歌」と、序盤からポップに、アッパーに突き進んでいった。

カノエラナ 撮影=木村篤史

カノエラナ 撮影=木村篤史

MCでは「来てくださってありがとうございます!」と、満面の笑みで感謝を告げるカノエ。「みなさん、もう夏休みに入ってますか? まだ残念ながら入っていない“シャッチー”(=社畜の意。カノエが命名)の方もいるかもしれませんけど」と盛り上げたり、「アルバム聴いた? ほんと? 信じてよか?」と、地元である佐賀の方言を交えながら、オーディエンスとコミュニケーションを取っていく。そこから軽やかなビートの「トーキョー」を歌い上げると、ステージには青いTシャツを着た女性ダンサー2人が登場。「部活動ということで!」と始まったのは「ダイエットのうた」だ。<インナーマッスル鍛えましょ>と、エクササイズ風な振り付けを踊りながら、一度聴いたら耳から離れないキャッチーなメロディーを歌うと、「みんな動いて汗かいたでしょ? 水分補給ばちゃんとしてくださいね」と、オーディエンスをねぎらっていた。

カノエラナ 撮影=木村篤史

カノエラナ 撮影=木村篤史

パワフルかつ賑やかなパフォーマンスが続く中、「(今回の)アルバムの中で唯一暗い曲というか。今の自分が思っているすべてを詰めてみました」と、「SNS」へ。SNSがあることで生まれてしまうネガティブな感情や世相を切り取った言葉達を、薄暗い照明の中で悲鳴にも似た声を張り上げ歌い上げる。そして、会場に張り詰めたシリアスな空気を断ち切るように、ポップパンク風な「沼に落ちて」でテンションを激しくあげると、「恋する地縛霊」ではコールアンドレスポンスを巻き起こし、「ヒトミシリ」では飛び跳ねながら笑顔でギターをかき鳴らして、高揚感たっぷりのまま第一部は終了した。

カノエラナ 撮影=木村篤史

カノエラナ 撮影=木村篤史

カノエによる弾き語りで行なわれた第二部のオープニングは「あなたとわたし、あかねいろ」。キーボードを弾きながらしっとりと歌うと、「いやいや……一部と二部の落差よ」と本人も話していた通り、アッパーな第一部とは打って変わって、ゆったりとした空気が会場には流れている。そこからアコースティックギターに切り替え、「大事にしてもらえよ」を話しかけるように伸びやかに、「恋とか愛とかそーいうの」では、吐息混じりで切なげにと、ギター一本と歌声のみで様々な表情を見せていく。

そんななか、「次の曲、笑わずに聴いてください。お手を拝借でございます!」と、クラップを求めて披露したのは「鉄壁スカート」。アコギをジャカジャカとかき鳴らしながら、スカートの奥が見えそうで見えないモヤモヤや、そのロマンを歌い上げると、「初めてライブに来た方、すみません。これがカノエラナです!」とフロアにアピールし、笑いを誘っていた。それにしても、バストやらスカートやら、なぜに彼女は男の下心を巧みに切り取れるのだろうか。というか、男性の浅はかな考えなど、世の女性は完全にお見通しなんだろうな……。なんだか恥ずかしくなってきたが、ただ、そういった一歩間違えたらただの下世話になってしまうテーマも、キュートかつポップに描けてしまう抜群のバランス感覚を、彼女は持っている。センスなのかスキルなのかはわからないが、それは間違いなく、カノエラナというシンガーソングライターだからこそできるものでもあるだろう。

カノエラナ 撮影=木村篤史

カノエラナ 撮影=木村篤史

リリースパーティーという記念すべき日ということで、「特別な歌を歌おうかなと思って、新曲を持って来ました!」と告げると、フロアからは喜びの声があがる。第2部最後の曲として披露されたのは「セミ」と名付けられたスロウナンバー。この曲を作った時期、彼女の中にはいろいろな葛藤があったそうで、完成したときに「私の曲ができた」とSNSでつぶやいたそうだ。事実、そこに綴られた言葉達は、ステージでは表に出さないようにしている素の彼女をそのまま曝け出したような、なんとも生々しいものだった。カノエはアコースティックギターをそっと爪弾きながら、今にも消え入りそうな声で歌い始めると、徐々にストロークを強めていき、泣き叫ぶような切迫感でもって歌い上げる。曲を終え、「ありがとうございました」とつぶやくと、客席からは一際大きな拍手が起こっていた。

カノエラナ 撮影=木村篤史

カノエラナ 撮影=木村篤史

アンコールに応えて姿を現すと、「カノエラナのライブがゆっくりな曲で終わるわけがないんですよ! もう一段階、もう二段階、もう三段階ぶち上がるんですけど大丈夫ですか!?」と、バンド編成で「シャトルラン」を披露。ハンドマイクで歌うカノエがフロアを熱く盛り上げると、間髪入れずに「真夏に片想い?」、さらには「夏の祭りのわっしょい歌(か)」と、サマーチューンを3連発! サンバビートにあわせてタオルをまわし、声をあげるオーディエンス達と共に、この日一番の熱狂的な光景を作り上げてリリースパーティーを締めくくった。

カノエラナはこの日、今秋に全国5ヶ所を廻るワンマンツアーを開催することを発表した。ツアーファイナルは、彼女の誕生日である12月4日(月)恵比寿リキッドルームにて行なわれる。『「カノエ参上。」』『「カノエ上等。」』『「カノエ暴走。」』と、クラシックヤンキーよろしくな作品タイトルからも分かる通り、自身のスロットルをひとつずつ確実に開けてきた彼女。さらにここからその勢いをあげていくことを確信させられたライブだった。


取材・文=山口哲生 撮影=木村篤史

カノエラナ 撮影=木村篤史

カノエラナ 撮影=木村篤史

セットリスト
「今日もわやわやvol.4649~カノエ厨学夏休みの巻~」 2017.7.30 代官山UNIT
[第1部]
1. 私立カノエ厨学校校歌
2. カノエラナです。
3. たのしいバストの数え歌
4. トーキョー
5. ダイエットのうた
6. SNS
7. 沼に落ちて
8. 恋する地縛霊
9. ヒトミシリ
[第2部]
10. あなたとわたし、あかねいろ
11. 大事にしてもらえよ
12. 恋とか愛とかそーいうの
13. 鉄壁スカート
14. セミ
[ENCORE]
15. シャトルラン
16. 真夏に片想い?
17. 夏の祭りのわっしょい歌(か)

 

ツアー情報
カノエラナ ワンマンツアー
11月16日(木)
札幌・cube garden
11月22日(水)
名古屋CLUB QUATTRO
11月24日(金)
福岡・イムズホール
12月1日(金)
大阪・umeda TRAD
12月4日(月)
東京・恵比寿リキッドルーム
チケット料金:前売¥4,000 (税込・1ドリンク代別)
*オールスタンディング ・福岡のみ全席指定
*未就学児入場不可、12才以下は保護者同伴の上チケット購入の上入場可
 

 

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