安田成美・那須佐代子・伊勢佳世が3姉妹役に挑戦 『CRIMES OF THE HEART-心の罪-』稽古場レポート

レポート
2017.8.31
『CRIMES OF THE HEART−心の罪−』稽古場写真

『CRIMES OF THE HEART−心の罪−』稽古場写真

『CRIMES OF THE HEART−心の罪−』稽古場写真

『CRIMES OF THE HEART−心の罪−』稽古場写真

1981年にピューリッツァー賞を受賞した、ベス・ヘンリー作『CRIMES OF THE HEART−心の罪−』が9月2日からシアタートラムで上演される。演出は翻訳モノを得意とする小川絵梨子で、安田成美、那須佐代子、伊勢佳世が3姉妹を演じる。当初出演を予定していた中嶋しゅうが7月に急逝し、斉藤直樹が代わって出演することになった。8月中旬、稽古場を取材した。

『CRIMES OF THE HEART−心の罪−』稽古場写真

『CRIMES OF THE HEART−心の罪−』稽古場写真

物語の舞台は米国ミシシッピ州南部の田舎町。祖父母に引き取られて育ったマグラス家の3姉妹が主人公だ。物語は三女のベイブ(伊勢佳世)が上院議員の夫を拳銃で撃ち抜いた事件から始まる。長女のレニー(那須佐代子)は、自分の誕生日にもかかわらず、従妹のチック(渚あき)とともに保釈されたベイブの帰りを待つ。そこへ一足先に駆けつけたのは、歌手になるために故郷を離れた次女のメグ(安田成美)だった。数年ぶりの再会を果たす彼女たちの元へ、メグの元恋人のドグ(斉藤直樹)や若手弁護士のバーネット(岡本健一)も訪れるが、渦中のベイブは事件の真相を話そうとしない。そんな中、育ての親である祖父が危篤状態になって……というあらすじだ。「孤独な女たちが紡ぐ、可笑しくて愛おしい姉妹の絆」(チラシより抜粋)を描いている。

『CRIMES OF THE HEART−心の罪−』稽古場写真

『CRIMES OF THE HEART−心の罪−』稽古場写真

都内にある稽古場は仮の舞台装置がすでに立ち上がっていた。平台が積み重なって、緩やかに段差がついており、真横からでも観客が舞台を見ることができるような仕掛けの面白い構造。装置自体はマグラス姉妹の家のキッチンという設定で、1970年代の時代を感じさせつつ、適度な生活感が漂う小道具で溢れていた。

『CRIMES OF THE HEART−心の罪−』稽古場写真

『CRIMES OF THE HEART−心の罪−』稽古場写真

午後1時から始まった稽古。冒頭は、セリフの変更作業から始まった。演出の小川は、原作の英語表現を見比べながら、俳優陣にニュアンスやセリフの意味を丁寧に伝える。セリフとしては「微調整」に過ぎないのだが、原作の意図するところを最大限に汲み取るための大切な作業なのだろう。4つほどのセリフを約15分かけて調整していた。

『CRIMES OF THE HEART−心の罪−』稽古場写真

『CRIMES OF THE HEART−心の罪−』稽古場写真

この日の立ち稽古は、まず2幕の一部を荒く通すことから始まった。「2倍速ぐらいでお願いします。セリフが聞こえなくてもいいので」。キッチンで話す姉妹という日常のリアリティを追求するためだろうか、小川が俳優陣に声をかけた。40歳の長女レニーを那須、37歳の次女メグを安田、34歳の三女ベイブを伊勢が演じるのだが、キャラクターの違いがうまく出ていて面白い。さっきまで楽しげに話していたのに急に感情を爆発させたり、喧嘩の場面ではセリフが重なったり。3姉妹らしさはすでに出来上がっていたように思う。「長女の責任、次女の不安、三女の秘密」というPR文言が、どう展開していくのか。気になるところだ。

『CRIMES OF THE HEART−心の罪−』稽古場写真

『CRIMES OF THE HEART−心の罪−』稽古場写真

20分ほどかけて通した後、休憩を挟んで、同じシーンを倍以上の時間を使って作り込んでいく。小川がこだわっていたのは、テンポ感。トランプを探しながら3姉妹が会話をするという場面があるのだが、その場面のテンポ感が気になったようで、セリフだけで2回、動きも入れつつ2回。「正解」を求めて同じシーンを繰り返す。面白いと思ったのは、小川の立ち位置だ。荒通しの時は椅子に座って舞台から少し距離をとって見ていたのに、シーンを作り込む場面になると、舞台面にぴったりと寄り添って稽古をするのだ。そして時には俳優と同じ立ち位置に入り込んで、まるで「4姉妹」のようになっていた。

『CRIMES OF THE HEART−心の罪−』稽古場写真

『CRIMES OF THE HEART−心の罪−』稽古場写真

メグの元彼・ドク役の斉藤、ベイブの弁護士・バーネット役の岡本は淡々と落ち着いた演技。設定上疑問に思ったことを尋ねたり、よりよく見える動きの提案したり(中でも、ストールをどう女性の肩に掛けるかを真剣に議論しあう姿が印象的だった)。40歳と36歳の設定なのだが……稽古場では、いい意味で大人の貫禄がにじみ出ていた。

本番が迫る。たった6人の俳優で奏でる上質な会話劇を小川がどう見せてゆくか。期待したい。

『CRIMES OF THE HEART−心の罪−』稽古場写真

『CRIMES OF THE HEART−心の罪−』稽古場写真

取材・文=五月女菜穂  撮影=岡千里

公演情報
『CRIMES OF THE HEART-心の罪-』

■日時:2017年9月2日〜9月19日
会場:シアタートラム
 
作:ベス・ヘンリー
翻訳:浦辺千鶴
演出:小川絵梨子
出演:安田成美 那須佐代 伊勢佳世/渚あき・斉藤直樹/岡本健一

企画:中嶋しゅう
主催・製作:シーエイティプロデュース

公式ホームページ:https://www.stagegate.jp/stagegate/performance/2017/lonely_hearts/index.html​

シェア / 保存先を選択