こんな日本アーティストがパリで活躍中 【第2回】
パリで活躍中の日本アーティスト「フローリスト 大類優子」
【今回のアーティストのプロフィール】
フローリスト 大類優子 さん(38)
日本の「サンジョルディフラワーズザデコレーター」にてウエディング会場装花、イベント装花、ゼクシィ用撮影装花・小売商品開発などを担当。2010年に渡仏。パリの「Marianne Robic」「360°by flower」「Christian Collin」「Vert et Plus」「L'arrosoir」などの花屋にて「パリスタイル」を学ぶ。2015年フリーのフローリストとして独立し、ブランド「La Plume」を立ち上げる。
パリの街角でよく見かける花屋。
店先に並ぶあでやかな季節の花に誘われてお店に足を踏み入れると、そこはまるで絵描きや彫刻家のアトリエに紛れ込んだかのようなクリエイティブな空間があります 。
そう、フローリストとはお花を使ったクリエーションをするアーティストなのです。今回はパリで活躍する日本人フローリストの方を紹介します。
ーーどうしてパリでフローリストになろうと思ったのですか?
大類:実は初めての社会人経験は一般職でした。学生の頃からフラワースクールに通ったり、花が好きだったのですが、なかなか好きなことを仕事にする自信がありませんでした。後に花屋で販売の仕事に転職し、少しずつ経験を重ねる中で挫折もありました。そんな時、パリの花屋巡りをし「いつかこんな風に、パリの素敵な花屋で働きたい」というのが私の夢になったのです。
それが励みになると同時に、まだまだ経験が足りないなと思い東京で花に関するあらゆる仕事に挑戦しました。その上で今度は自分のスタイルを探すために、やはりパリに行きたいと思い今にいたります。
ーー日本とパリとの花における違いはありますか?
大類:一番の違いは、お客さんの花の関わりかたでしょうか。パリでは生活の中で人と花との距離が近いと思います。
というのも、日本人のお客さんは花を買う時に「どれくらい日持ちしますか?」と聞かれることがとても多かったのですが、パリのお客さんは、日持ちより季節感を大切にする方が多いです。
例えば、春先にミモザが店頭に並んでいるのを見たお客さまが「まだ寒くて曇り続きの毎日だけど、ミモザの黄色がまるで太陽の色のようね。私のお家に太陽を連れて帰りましょう!」と、比較的日持ちのしないミモザの花であってもよろこんで買って行かれるなんてことがあります。
こんな風に、パリで花は日常生活の中で季節を感じるためのエッセンスとして愛されているのです。
特にウェディングのフラワー・アレンジメントが得意だという大類さんの作品
ーーこれからの目標を教えてください。
大類:パリに来てからというもの働きかたが変わったことで、私自身の花との関わりかたも随分変わりました。日本で仕事をしていた時は朝から晩まで働き通しの毎日でしたが、パリでは自分の時間をゆっくり過ごせるようになりました。休日は友人らと公園でピクニックしたりと、自然とふれあったり、じっくり感じる余裕がでてきたのです。
おかげで花を「商品」として扱うだけでなく、五感を通してより深く感じることができるようになりました。これからも、季節感を大切にしたクリエーションを忘れずに、日常の中に花のある生活づくりをお手伝いし続けられたらと思っています。