SUPER BEAVER ソロインタビュー企画・第3弾 藤原”29才”広明「もっと思ってることややりたいことを広げていこうよっていう作品」
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SUPER BEAVER・藤原”29才”広明 撮影=高田梓
この1年間で目覚ましい躍進を遂げたSUPER BEAVER。その過熱ぶりは間もなくスタートするツアーもZepp Tokyoの2デイズも含み、即完売している事実からも明らかだ。にもかかわらず、当の本人たちに浮ついたり気負ったりする様子は無い。一人ひとりと向き合いながら、足元を踏みしめながら、それでいて大きな野心を胸に抱きながら進むバンド、SUPER BEAVER。今回はメンバー全員にソロインタビューを敢行し、それぞれの胸の内を語ってもらうことにした。第3弾は、強靭なビートとその愛すべきキャラクターでバンドを支える藤原”29才”広明が登場する。
――前回のインタビュー、最後を藤原さんが締めてくれましたよね。
あ、そうでしたっけ? 僕、ふざけてなかったですか(笑)。
――「これで大丈夫ですか」的に不安がってましたけど、ちゃんと締めてましたよ(笑)。で、今回はなんとソロインタビューです。
そうですよね、初めてです。
――まずはここ最近の躍進ぶりについて聞きたいんですが、実感することはありますか。
もちろん実感はありますね。ライブの反応がすごく変わって、登場するだけでワーッと盛り上がってくれるし、ありがたいことに対バンでも先輩や大きいバンドの方に誘っていただいたり、
――リアクションの部分で感じることが大きい?
リアクションですね。待っててくれてる感がより増えたと思いますし、あとは(ビーバーを)知らないっぽいお客さんでも盛り上がってくれてるというか。調べてきてくれたり、噂を聞いて来てくれたり、そういうの嬉しいですね。
――ご自身の意識することは何か変わりました?
何年か前からフェスとかに出させてもらう中ですごくショックを受けたのが、僕らがずっと中学生頃から聴いてきたようなバンドしかメインステージに立ってないフェスがあったことなんです。自分たちと近い世代のバンドはSiMしかいなくて。それを観たときに、次の年にまたそのフェスに出たとして自分たちがメインステージに立てるかっていったら、立てないなと思ったんですよ。そういう体験をしてから、フェスでメインに立てるバンドってどういうライブをするのかな?とか、すごくチェックするようになって……みんなすごいんですよ。ただ歌がいいとか曲がいいだけじゃなくて、立ち振る舞いがかっこいい、演奏が上手いとか、すごくいっぱい要素があるから、そういうことをできるようになりたいと思いながら今もやっている最中ですね。そういう場に出れるようになって気持ちは変わったかもしれないです。
――メインステージに立てないと感じたということは、裏を返せば今度はそのメインステージに立ってやろうという気持ちでもあるわけで。
そうですね。そういう意味ではすごく刺激になったかもしれない。自分の中で。
――ちなみにそういうときって、ドラムを観るんですか? それとも全体を観ます?
ドラムももちろん観ますけど、全体かな。楽屋とかケータリングスペースにあるモニターの映像で観てても面白いんですよね。やっぱり凄い人たちっていつ(カメラに)抜かれててもかっこいい。それは絶対に考えてやってることですからね。最近ではONE OK ROCKのツアーに出させてもらったときも、すごくそのことを思いました。もう、ステージングとか完璧なんですよね、あいつら。人気もあって、ああいうステージングも自分たちで考えてできるようになったから、今あの規模でずっとツアーができるわけで、自分たちもそういうことができるようになったらもっと面白いだろうし、同世代だから余計に響くものもあって、勉強になりましたね。
――そういった意識のもと過ごす中で出来上がった、『真ん中のこと』はどのように作っていったんでしょうか。
(他のメンバーのインタビューで)聞いたかもしれないですけど、渋谷(龍太・Vo)の強い希望でミニアルバムになって。……まぁ、俺はわりと「フルアルバムでいいじゃん」って思ってたんですよ。10曲とかでもいいから、フルで。……ミュージシャンが考えることじゃないですけど、セールスとかもぶっちゃけ多分、ミニよりフルの方が売れる気がするっていうか。手に取りやすいっていう面はあると思うんです。
――ああ、それはあるかもしれない。
僕はあんまりしょっちゅうCDを買うタイプでもなかったし、フルアルバムがあるならそっちを買うタイプだったと思うんですよね。せっかくだったら1曲でもいっぱい入ってる中に好きな曲があったらいいなって。だから、ミニアルバムで出すことには「えーそうかな、反対」とか思ってたんですけど(笑)、けどちゃんとそこには意味があって、彼の強い思いがあると分かったんで、そうしようかなと。
――渋谷さんは受け手のことを考えての選択だと言っていて、それは納得感がありましたけど、確かに一つのパッケージ単体で見たときには、たくさん曲が入っている方が魅力的に映るのもまた当然で。
うん。多分、僕が最初にフルアルバムがいいって思った理由って、知らない人に向けての話だったんですよ。なんとなく気になるとか、全く知らないけどジャケが気になったから視聴しようとか、そういう人たちに親切だなと思ってたんです。でも渋谷が言ってることって、既に僕らのことが好きな人に対してのことなんですよね。だからどっちも正解なんですけど、渋谷がそこまで考えてることなら、そっちの方がいいと思ったし、できあがってみたらミニでもちゃんと良いボリューム感になったと思うので。
――そうなんですよね。6曲なんですけど、10曲前後の作品とそんなに変わらないくらい聴きごたえがあって。
おお、そう言ってもらえるのは一番嬉しいですね。
SUPER BEAVER・藤原”29才”広明 撮影=高田梓
――制作過程はどんな感じで進んだんですか。
今回は渋谷が、こういうリズムのロックンロールで、とか、スネアをこのパターンで、とかいう部分までアイデアをたくさんもっていたので、そのイメージに当てはまるアレンジをあてていったんですよ。今までは曲が完成してから、どこまでその世界に深く入れるか、どう膨らませるかっていう作業をみんなでしてたんですけど、今回はお題があったので、歌の世界には入り込みながらも、一回戻ってきて俯瞰しながらアレンジしたというか。「自分はこうしたい」という気持ちももちろんあるんですけど、それをしたときにどう聴こえるのかな?みたいなことはすごく考えたかなぁ。まず、絶対にブレない歌とメロディと言葉があって、それがどんどん強くなってもいるから、渋谷のアイデアみたいに結構遊んだり新しいことをやっても成り立つと思ったので、僕も乗り気で楽しみながら、いろんなリズムパターンを入れてみたんです。
――そういう作り方って初ですか?
初めてですね。今までは大体コンセプトとかは無い状態でどんどんアレンジして、できあがった曲を並べてみてから「あ、今回は俺たちこういうモードだったんだ」と気づく感じなんですけど、今回はミニアルバムくらいのサイズで、こういう曲があって、順番はこうで――っていうところまで最初から決まってたので。
――渋谷さんの頭の中に。
あったんだと思います。単純にいえば、やっぱりライブの楽しさがもっと広がったらいいなっていうか……リリースをしてツアーをしてっていう僕らの活動って、キャッチボールで言えば一方通行じゃなくちゃんと帰ってきて、また投げ返すっていうことの繰り返しなんですよね。今までは受け取るだけだったお客さんも、曲のアレンジが変わったり活動の規模が大きくなるにつれてだんだん投げ返してくれる人が増えてきたし、そういう意味でライブの楽しさやビーバーのライブの醍醐味は、歌と言葉とメロディだけなのか?っていったらそうじゃない。じゃあもっと思ってることややりたいことを広げていこうよっていう作品だと思うんですよね。もっと楽器が楽しくてもいいんじゃないか、もっとノレてもいいんじゃないかって。
――パフォーマンスの芯の部分は変わらないけど、そこに奥行きや幅をもたせるのが今作の大きな意味である気はしますね。
うんうん。俺もそういうことを最近思っていて。激しいパンクなバンドとの対バンのときに客席でライブを観てたんですけど、こんなに速くて激しくても意外とお客さんはこういう風にノるんだとか、そういう発見もドラムフレーズや、全体のノリに活かせているし、(今作を通じて)僕も幅を広げてもらったという感覚はあって。自分が「ああしたい、こうしたい」だけだと、自分のできることや得意なことしかやらないし、今までだったら周りから何か言われても「そ~お?」みたいな(笑)、「俺はこう思うんだけどな~」みたいな感じで終わってたかもしれないんですけど、なんか今のモード的に「できるかどうか分からないけどやってみるよ」みたいな感覚になれたんですよ。先輩のバンド達を見ても、そこでぶつからずに柔軟にやっている人って、すごく何でもできるし、バンドの世界が広がるなって思ったから。
――そんな新曲たちとともにまわるツアーに向けては、どんな展望を持っていますか。
作る時点からライブをすごく意識した作品なのでその評価も楽しみだし、イメージ通りにはなると思うんですけど、想像以上になればいいなって。絶対に楽しくなると思うんですよね。こういうアルバムができたからこそ他の曲も違う聴こえ方をするだろうし、逆に新曲が生きるセットリストの組み方もあると思うんですよ。ビーバーの曲に対する「こんなにかっこいいんだ」「楽しいんだ」みたいな新しい発見ができるツアーになったらいいなと思ってます。
――キャパも大きいですからね、今回は。
ありがたい話ですよね、本当に。こんな規模でまわれるなんて想像つかなかったですもん。Zepp Tokyoも初めてですし。
――そこに気負いはないですか。
もちろんいいライブをしたいし、いいツアーにしたいです。僕は「見てろよ、引っ張ってってやるから」みたなタイプじゃないんですけど(笑)、そろそろ自分に言い聞かせる意味でも、たくさん練習していいライブにしようと個人的には思います。
――わかりました。では最後に、あなたにとってのSUPER BEAVERとは。
一番素になれる、素を出せる場所ですかね。僕は自分の思ってることを何かで表現することがものすごく苦手なんですけど、唯一、ビーバーというバンドでドラムを叩く、バンドマンとして音に乗せて表現することは得意だなと思うんです。それはビーバーじゃないとできないので、そういう意味では僕にとって一番素になれて、自分の表現を音に乗せられる場所です。
……大丈夫ですかね?
――またしても「大丈夫ですか」で終わるという(笑)。
はははは!(笑)
取材・文=風間大洋 撮影=高田梓
SUPER BEAVER・藤原”29才”広明 撮影=高田梓
発売中
『真ん中のこと』
品番:NOID-0021(初回盤)22(通常盤)
発売元:[NOiD] / murffin discs
販売元:Japan Music System
【CD 収録内容】
1, ファンファーレ
2, 正攻法
3, ひなた( カンテレ・フジテレビ系 SP ドラマ「でも、結婚したいっ! BL 漫画家のこじらせ婚活記」主題歌 / 岩手銀行 CM「登場」篇テーマソング )
4, irony
5, 贈りもの
6, それくらいのこと
【初回限定生産盤DVD 収録内容】
2017年4月30日(日) @日比谷野外大音楽堂
「都会のラクダSP~ラクダビルディング~」
SUPER BEAVERワンマンライブのダイジェストを収録!
2, ひなた
3, 生活(Acoustic Ver.)
4, 青い春
5, 27
6, 東京流星群
9月15日(fri) 千葉LOOK【ワンマン】
9月16日(sat) F.A.D YOKOHAMA GUEST:SCANDAL
9月20日(wed) KYOTO MUSE GUEST:10-FEET
9月23日(sat) 高知X-Pt. GUEST:SiM
9月24日(sun) 松山Wstudio RED GUEST:SiM
9月26日(tue) 周南RISING HALL GUEST:夜の本気ダンス
9月27日(wed) 熊本B.9 V1 GUEST:夜の本気ダンス
9月29日(fri) 鹿児島CAPALVO HALL GUEST:HEY-SMITH
10月1日(sun) 岡山YEBISU YA PRO GUEST:HEY-SMITH
10月2日(mon) 神戸太陽と虎 GUEST:THE BACK HORN
10月6日(fri) 高崎club FLEEZ GUEST:coldrain
10月7日(sat) 長野CLUB JUNK BOX GUEST:BLUE ENCOUNT
10月9日(mon) 金沢EIGHT HALL GUEST:BLUE ENCOUNT
10月20日(fri) 水戸LIGHT HOUSE GUEST:ROTTENGRAFFTY
10月21日(sat) HEAVEN’S ROCK宇都宮 VJ-2 GUEST:ROTTENGRAFFTY
10月22日(sun) HEAVEN’S ROCK熊谷 VJ-1 GUEST:爆弾ジョニー
11月4日(sat) 広島CLUB QUATTRO【ワンマン】
11月5日(sun) 福岡DRUM LOGOS【ワンマン】
11月11日(sat) 新潟LOTS【ワンマン】
11月12日(sun) 仙台CLUB JUNK BOX【ワンマン】
11月14日(tue) 札幌cube garden【ワンマン】
11月18日(sat) 高松オリーブホール【ワンマン】
11月19日(sun) なんばHatch【ワンマン】
11月25日(sat) 名古屋DIAMOND HALL【ワンマン】
12月15日(fri) Zepp Tokyo【ワンマン】
12月16日(sat) Zepp Tokyo【ワンマン】